「公務員制度改革」闘争ニュースNO.38【2004年5月18日】

関係大臣との交渉・協議の実現を強く求める

= 全労連闘争本部が行革推進事務局と交渉 =


 全労連「公務員制度改革」闘争本部は17日、行革推進事務局と交渉しまし た。  交渉では、自民党公務員制度改革委員会の片山委員長による「片山メモ」が取りまとめられるなど、与党内での検討作業が急ピッチですすめられ、一方では、 連合と関係3閣僚による「政労協議」が開始されるもとで、あらためて、ILO勧告に沿った民主的公務員制度の確立にむけて、関係大臣との交渉・協議の場を 設けるよう強く求めました。

引き続き闘争本部との協議を重視すると表明

 行革推進事務局との交渉には、闘争本部から駒場副本部長(自治労連委員長)を先頭に、岩 田事務局長(全労連事務局次長)、若井事務局次長(公務労組連絡会事務局長)、東森闘争委員(全教書記長)、山瀬国公労連副委員長ほかが参加、行革推進事 務局は、堀江事務局長、公務員制度等改革推進室の出合次長、笹島参事官ほかが対応しました。

 はじめに、駒場副本部長は、別掲の「申し入れ書」を手渡し、その趣旨をのべたうえで、「昨年来、全労連闘争本部と大臣との交 渉・協議の場を求めてきたが、与党内での協議がすすみ、連合との『政労協議』が開始されるなど新たな情勢のもとで、あらためてその実現を強く申し入れる」 として、見解を求めました。

 堀江事務局長は、「公務員制度改革について、与党内で活発に議論され、3月には『片山メモ』が取りまとめられた。その内容は 事務局としても重く受けとめており、それも念頭に置いて精力的に作業をすすめる必要があるが、当然、当事者である労働組合との意見交換を積み重ねることは 重要だ。みなさんとは、これまでも誠意をもって話し合いをしてきたが、引き続き交渉・協議をすすめるという立場は今後とも変わらない。また、全労連が2月 に提出したILOへの追加情報も重く受けとめており、そうしたこともふまえ、本日の申し入れの内容は大臣には正確に伝えたい」とのべました。

 これに対して、駒場副本部長は、「事務局として、引き続き協議を重視するとの回答は受けとめる。しかし、闘争本部として求め てきたのは、関係大臣との交渉・協議の場の設置だ。ILO勧告は、すべての関係者との意味のある協議を求めているが、実務者レベルの協議をふくめて連合と 関係大臣との協議が開始されたもとで、全労連との交渉ルールのあり方についてどのように考えているのか」とただしました。

 堀江事務局長は、「大臣との協議の場については、政治的レベルの話であり、事務局としてコントロールできるものではなく、こ の場で約束できるものではない。実務者協議も、大臣の指示にもとづくものだ。また、行革推進事務局は、主に国家公務員関係の制度や諸権利などの検討をすす めているが、その点では、当該の国公労連とは各レベルで何度も協議してきた。今後も国公労連と話し合う必要があると考えている」として、関係大臣との交渉 については明確な回答は示しませんでした。

2度のILO勧告に沿って労働基本権の回復を

 公務員労働者の労働基本権回復にかかわって、「闘争本部は、一貫して労働基本権の回復 を求めてきたが、『公務員制度改革大綱』では、権利制約の維持が明記され、さらに、与党協議では、『中長期の課題』として先送りしている。そうした点は容 認できるものではなく、ますます闘争本部と大臣との協議の必要性は高まっている」と指摘したことに対して、堀江事務局長は、「『大綱』で決まったからとい う前提をつけた議論はしない。労働基本権は重要なテーマであり、議論を続けるべきというスタンスは変わらない。与党協議で決まったからと言っても、政府に は政府としての考え方がある。政府として意見を取りまとめるときは、みなさんの意見をきちんと聞く。お互いの信頼関係が必要であり、大臣との協議はこの場 では約束できなくとも、大臣には誠実にみなさんの要望を伝えたい」と答えました。

 さらに、「2度のILO勧告は、労働基本権問題をふくめて政府に再考を求めている。また、政府も、勧告を尊重すると国会でも 答弁しているが、そのことと、『大綱』を見直さないとする政府の態度は矛盾している」として、「大綱」の白紙撤回を求めましたが、「推進事務局としては、 『大綱』にもとづいて制度を検討していくことが与えられた役割だ。大臣から指示されれば別だが、その立場を変えることはできない」とのべました。

 これらの見解表明をうけて、駒場副本部長は、「今の事務局長の発言からも、推進事務局として回答できる範囲には限界があるこ とは明らかだ。そのことはきわめて不満であり、だからこそ関係大臣と直接の交渉・協議の場の設置は不可欠だ。連合と差異のない対応にむけて、あらためてそ の実現を強く求める」と申し入れ、約1時間にわたる交渉をしめくくりました。
以 上

【闘争本部ニュースNO.38添付資料】

2004年5月17日
行政改革担当大臣   金子 一義 殿
全労連「公務員制度改革」闘争本部
本部長  坂内 三夫

ILO勧告に沿った民主的公務員制度の確立を求める申し入れ

 2001年12月の「公務員制度改革大綱」にもとづき、「国家公務員法改 正法案」など関連法案の策定がめざされるもと、自民党行革推進本部の公務員制度改革委員会では、この間、ほぼ週1回のペースで会議が開かれ、3月初めには 片山委員長による「片山メモ」が取りまとめられるなど、急ピッチで検討作業がすすめられています。

 こうしたなかで、能力・実績によって国家公務員一般職を4等級にランク分けする「能力等級制」の導入や、「天下り」の規制対 象を公益法人等にまでひろげることなどを中心にして、5月から「改革」議論を本格化させるとのマスコミ報道がおこなわれています。また、一方では、金子行 革担当大臣、麻生総務大臣、坂口厚生労働大臣と連合草野事務局長らによる「政労協議」が開催される状況ともなっています。

 言うまでもなく、「改革」の中心課題は、戦後50余年にわたって制約され続けてきた公務員労働者の労働基本権の回復に据えら れるべきです。2度にわたるILO勧告も、労働基本権保障を繰り返し日本政府に求めており、労働基本権の取り扱いの議論を後景に追いやって、与党内協議や 連合との「政労協議」をすすめることは認められません。

 また、「能力等級制」など関連法案の検討作業にあたっても、その内容が、公務員労働者の労働条件決定の重大な変更をともなうものである以上、労働組合との話し合いによる合意形成が重視されることは当然と言えます。

 政府内部での議論や、連合との協議が活発化するという新たな情勢のもとで、全労連闘争本部が一貫して求めてきた関係各大臣との 交渉の実現は、ますます緊急性を増しています。とりわけ、「すべての関係者と全面的で率直かつ意義のある交渉・協議をおこなうべき」とするILO勧告から も、公務員労働者の労働基本権回復をはじめとした民主的な公務員制度の確立にむけて、全労連闘争本部との交渉・協議は不可欠となっています。

 以上の点をふまえつつ、貴職に対して、下記の事項について、その実現を要求します。

 ILO勧告に沿った民主的公務員制度の確立にむけ、労働組合との誠意ある対応をはかること。そのため、全労連闘争本部と関係各大臣との交渉・協議の場を設けること。

以 上