「公務員制度改革」闘争ニュースNO.35【2003年11月25日】

長野県下69市町村議会が請願・陳情を採択

〜 画期的な成果の背景にねばり強いとりくみ 〜

 民主的な公務員制度の実現にむけ、今春からとりくみを続けてきた地方議会への請願・陳情の運動は、現在、全国204市町村での採択が実現しています。

 とりわけ、長野では県内自治体の過半数を超える69市町村の議会が採択する成果を勝ちとっています。画期的な到達点の背景には、何としても一つでも多くの議会から採択を勝ちとろうという、地域の仲間の執念を持ったねばり強いとりくみがありました。

 来年の通常国会では「公務員制度改革」関連法案の提出がねらわれるもと、長野の経験にならい、地方議会請願の採択などを通して地域から世論をひろげていくことが決定的に重要となっています。

 こうしたことから、11月19日の第3次中央行動・総決起集会での長野県国公・宮澤事務局長の発言にもとづき、長野県での「奮闘記」を掲載します。

県国公・高教組・自治労連が手分けして全議会へ請願・陳情

 長野では、全労連の「全国キャラバン」の一環として、民主的公務員制度の確立にむけ、県下自治体への「請願・陳情」行動として、6月・9月議会にむけとりくんできました。

 全118自治体中、採択58、趣旨採択5、一部採択6、全体では69の自治体で採択され、半数を超える自治体が国の公務員制度改革に「ノー」を突きつけた形となりました。

 正直言って長野県国公幹事会においてもここまで数字がのびるとは、議長はじめ幹事会の誰も予想しておらず、「やってみるもんだ」と予想外の結果に驚きを隠せない様子でした。

 今回の議会請願にあたって、どのようにとりくむかを県国公幹事会で議論を重ね、6月議会にむけて、一番「手抜き」の方法である郵送で受け付けてくれるのかどうかを幹事会が手分けして全自治体議会に確認し、郵送可能な議会については「陳情書」と「意見書案」を郵送することとしました。

 幹事会で議論しましたが、全自治体へ持参し、提出なども考えましたが、いきなり難しいとりくみを提起して、結果としてできないよりは、とりあえずは簡単な方法でできるところまでやってみようと言うことになり、郵送の手段をとったものです。

 長野県は面積が広いため、県国公事務局からもっとも遠い自治体へは高速道路を使って3時間以上もかかるため、県国公だけで県下くまなくとりくむことは不可能であり、高教組、自治労連とともに、長野県公務労組連絡会が共同して県下すべての自治体を対象とすることになりました。地元住民の署名が必要な地方議会もありましたが、高教組、自治労連と県国公の三者が共同したことで、こうした問題もクリアできました。

「天下り」など政府への不満の声に手応え

 請願・陳情の審議にあたって、説明を求められた議会が4つありました。実はもっとたくさんあるかとも予想していましたが、実際は4つしかありませんでした。

 これらの議会に説明に出向き、今回の公務員制度改革での能力・業績主義の導入などについては、民間企業を経営している議員の方は、自分の会社でも同様の賃金制度を導入しているが、何がいけないのかと言った質問などが出される中で、私たちの主張を丁寧に説明しました。

 その際、キャリア制度や「天下り」、さらに自治体に対する国の強権的押し付け行政に対する自治体の不満が逆に私たちに伝わってきて、手応えを感じた自治体もありました。

 結果として、6月議会では全体で53市町村での採択を勝ちとることができました。また、50自治体では「継続審査」となり、今後の足がかりをつくりました。

 そして、9月議会では、継続審査の50地方議会に何とか採択にしてもらうべく、再度、追加の説明をした文章や、全国の請願採択状況の一覧表、毎日新聞の「公務員制度改悪法案の提出はやめよ」と題した社説等の資料を送付しました。

 その結果、9月議会では16の議会で採択されましたが、このとりくみの中で「継続審査」とは、自治体によって解釈が微妙に異なることがわかりました。継続審査とは、次回の本会議まで審査を続けるという意味で、再度の陳情がなければ議題として取り上げない議会がある一方で、「継続審査」の名のもとに事実上「廃案」にする議会、慎重に審議するため、次の議会でも審議するところなど、いろいろな扱いがあることが身をもって体験することができました。再度の陳情をしなかったために、いつのまにか廃案になってしまったところもあり、やはり、きめ細かな追跡調査が必要だと痛感しました。

 こうした運動をさらに発展させ、「公務員制度改革」は決して国民本位ではなく、物言わぬ公務員を作り出し、結果として住民サービスを低下させることをキチンと説明し、「天下り」やキャリア制度の問題点、自治体に対する国の強権的押し付け行政など自治体や住民が抱いている不満や疑問をうまく味方に付ける運動が重要だと考えています。

 それには、公務労働組合だけでなく民間労組と手をつないで、官民一体になったとりくみとしていく必要があります。十分な協議もなされないまますすめられる「改革」を、私たちが指をくわえて見ているわけにはいきません。

 最後に、今年の夏に長野の地区労連の学習会で金属労研事務室長の西村直樹さんの講演の中で一つ覚えた言葉があります。「みんなでノー!と言えば跳ね返せる」と言う言葉です。

 「みんなでノー!と言えば跳ね返せる」を合い言葉に、全国から小泉内閣・行革推進事務局に「ノー!」を突きつけ、民主的な公務員制度確立にむけて奮闘しましょう。

以 上