「公務員制度改革」闘争ニュースNO.24【2003年4月16日】

法案の閣議決定をやめ、ILO勧告にそった改革を

= 「4・15中央行動」を背景に行革推進事務局へ全労連が申し入れ =



 「公務員制度改革」関連法案の閣議決定に反対し、全国から1,000名の仲間が集まり「4・15中央行動」がとりくまれるもと、全労連「公務員制度改 革」闘争本部は15日、行革推進事務局に対して、ILO勧告にもとづく公務員制度の実現を求め、労使の交渉・協議のないままの閣議決定をしないよう申し入 れました。

 この日の交渉・申し入れは、昨年11月のILO勧告以降、ナショナルセンター規模でははじめてのものであり、今後、担当大臣との交渉など、さらに対応強化をめざしてとりくみを強めていくことが重要となっています。

労働組合との合意のもとでの検討作業を求める

 申し入れには、全労連「公務員制度改革」闘争本部からは、石元副本部長(全教委員長)、 岩田闘争本部事務局長、三宅闘争委員(自治労連書記長)、山瀬国公労連副委員長、黒田闘争本部委員、小林闘争本部事務局員が参加、行革推進事務局は、堀江 局長、春田公務員制度等改革室長、高原参事官ほかが対応しました。

 はじめに、石元副本部長が申し入れの趣旨をのべたあと、岩田事務局長は、「『公務員制度改革』は重大な問題を持っている。 ILO勧告にもとづき、国際労働基準にそって検討作業をすべきだ。また、合意のもとですすめるため、関係者とよく話し合う必要がある。決して、見切り発車 するな」と求めたうえ、現在の検討状況と考え方をただしました。

 これに対して、堀江局長は、次の通り回答しました。

●検討の過程で関係者の意見を聞き、誠心誠意話し合い、意思疎通をはかり、理解を求めながらすすめるのが基本だ。今後とも交渉・ 協議のもとで作業をすすめる。ILO勧告は、今までとは違って予想外のものであったため、十分に理解を深めてもらうため、ILOに『追加情報』を提出し た。ただし、ILOの議論そのものを否定するものではなく、労働基本権の議論をするつもりがないわけではない。また、法案提出までに、最大限、お互いが努 力すべきだが、どこまでいっても相互で一致しないこともある。そのなかで一致点を見いだしていきたい。法案は現在、『検討中』の扱いとなっており、提出を 決めたというものではない。しかし、いつになってもいいというわけでもなく、今国会中での提出へ、事務局は休日返上で努力している。問答無用で議論しない わけではない。一致しないところもあるが、努力したという手続きが重要だ。ご理解いただきたい。

「問答無用で閣議決定しない」ことなどを確認

 交渉参加者からは、「労働基本権の扱いはどうなるのか。議論しようという法案の内容 は、誰と誰が交渉して決めるのかというもっとも重要な点が欠けている。今後の労働基本権の取り扱いいかんで全体が変わってくる。それで国際的に通用するの か?」「十分協議するというが、ILO勧告にもとづく改革をやる姿勢があるのかどうかが問題だ。議論しても結局、態度を変えないというのでは認められな い」「『大綱』を変えないという政府の姿勢と、『大綱』の再考を求めるILO勧告とは正面から対立する。結局、議論したけれど結論は変えないとなると、本 当に中身のある協議と言えるのか。交渉・協議が、どのように実になっていくのかを鮮明にすべき」など、交渉・協議のあり方について追及が集中しました。

 堀江局長は、「問答無用でやるのではない。最大限の努力はする。それはわかってもらいたい。相互に意見を出し合い、協議して 実行する。そうして議論を重ねて、やっていくことが大事だ。ILOの指摘する『社会的な協議』とは、できる限り話し合いをすすめるべきということではない か。また、労働基本権問題も、このままでは、いつまでたっても抽象論にならざるをえず、より建設的で意味のある協議になっていかない」とし、春田室長は、 「労働基本権の保障を否定していない。協議していくなかでどういうことができるのか意見交換させてもらいたい」とのべました。

 これに対して、交渉団は、「『現状の制約維持』に対して再考を求めているのがILO勧告だ。現状を固定したままで制度の中身 の議論はすすめられない。どう『再考』するのかの議論が先だ。法案作業をすすめるというのなら、まず労働基本権制約をあらためることだ」「問答無用でやら ないというが、地方公務員の場合は、行革推進事務局の検討作業待ちとなっており、地方には十分な資料もない。そうこうするうちに、問答無用となる場合もあ る。また、消防団員の団結権問題も、重大な関心を持っているが、『公務員制度改革』のなかでどのような議論がされるのか?」などと行革推進事務局にせまり ました。

 春田室長は、「労働基本権回復を全労連として求めていることは理解する。しかし、現状から出発して、どうやって改革をすすめ るのかを考えている。そのなかで、労働基本権問題を議論していこうというスタンスだ。また、地方公務員制度の改革は、国とパラレルでやっていく必要があ る。できるだけオープンで議論できるように、論点の材料を出しながら作業をすすめている。資料がないという問題指摘は承知した」とし、また、消防団員の団 結権保障については、「総務省とよく連携しながらやっていく。関係するみなさんと話し合いながらすすめる」と回答しました。

 最後に岩田事務局長が、@全労連をふくむ労働組合と誠心誠意話し合い、一致点を見いだすために努力をする、A問答無用で閣議 決定を強行しない、B労働基本権の議論を切り離さず、お互いに議論できる場をつくる、C担当大臣をふくむ政府・行革推進事務局との交渉へ努力する、との4 点について確認し、申し入れを終えました。

以 上
【闘争本部ニュースNO.24添付資料】
2003年4月15日
 行政改革担当大臣  石原 伸晃 殿
 全労連「公務員制度改革」闘争本部
 本部長  坂内 三夫

ILO勧告にもとづく公務員制度確立を求める申し入れ

 貴職が作業を進めている公務員制度の「見直し」が、国民へのサービ スの質と公務員労働者の労働条件決定の重大な変更をともなうものであることから、全労連は、その内容のすべてにわたり誠実な交渉・協議による合意形成を一 貫して要求してきました。その主な内容は、日本国憲法にもとづく「全体の奉仕者」たりうる民主的な公務員制度の実現であり、またILO条約・勧告を踏まえ て公務員労働者に労働基本権を付与すること、そのためにも関係組合との誠実な交渉・協議を行えというものでした。

 02年11月のILO「結社の自由委員会」は、全労連の公務員制度改革に関する「提訴」を全面的に受け入れ「日本の現行公務 員制度が国際労働基準に違反している」として「その再考の求める」とともに、「結社の自由原則に合致させることを目的に全ての関係者と全面的で率直かつ意 義のある交渉・協議をおこなうべき」とする画期的な「勧告」を示しました。

 しかし、その後4ヶ月以上が経過しましたが、また全労連の要求にもかかわらずこの間交渉・協議は一切おこなわれてきませんでした。

 ついては貴職がILO勧告を尊重し、下記の事項をふまえて公務員制度改革を行なうよう強く申し入れるものです。



1.「公務員制度改革大綱」にもとづく法案作成作業を中止し、ILO勧告に基づき国際労働基準に沿った公務員制度改革を行うこと。

2.労働組合との交渉・協議にもとづく労使合意がない法案は国会に提出しないこと。

以 上