「公務員制度改革」闘争ニュース【2003年3月5日】

民間では労使対等が常識

= 民間単産代表が行革推進事務局に要請 =


 7000人の労働者が参加した3・4中央総決起集会は、4兆円の国民負担増をはかる予算案が衆議院で強行されようとしている緊迫した国会にむけてのデモに先立って開催されました。

 集会では、イラク攻撃反対の特別決議などと共に、ILO勧告にもとづく民主的公務員制度改革を求める決議を採択し、全労連・単産代表が行政改革推進事務局を訪ねて決議の執行と要請をおこないました。

 要請には、全労連岩田事務局次長、中山常任幹事を先頭に岩崎通信労組委員長、中沢全農協労連委員長、江沢建交労書記長、盛本生協労連書記次長、全信労尾崎中執、山口県労連吉野さんがおこないました。これに対して推進事務局側は、渡辺参事官補佐、佐藤係長が対応しました。

 はじめに、岩田全労連事務局次長から決議を手渡すとともに政府の「公務員制度改革」の進捗状況とILO勧告に対する対応を質しました。これに対して渡辺 参事官補佐は、公務員制度改革を盛り込んだ国家公務員法と地方公務員法「改正」法案が今国会の検討法案とされており、法案作成に向けての検討作業中である ことを示した。したがって、3月14日の「法案提出期限」にこだわらず法案提出に向けて作業を行っていることを明らかにしました。また、ILO勧告につい ては承知していることを表明するとともに、政府としてILO勧告にとらわれることなく「大綱」による改革法案提出を考えていることも明らかにました。

 さらにILO勧告が「ILO条約を実現するための意味のある労使交渉・協議を求めている」ことや各民間単産代表から「民間で は労使対等の交渉で賃金・労働条件を決定し、労働協約としてまとめている」ことを具体的事例を交えて丁寧に説明し、労使対等が世界の常識であることを主張 しました。そのうえで、公務における労働基本権制約の役割と必要性について政府の見解を求め、占領軍の指令で剥奪した基本権を50年以上も放置してきた政 府の責任を追求しました。

 これに対して事務局側は、「公務の継続・安定確保」を理由に労働基本権の制約を続ける「公務員制度改革」をすすめるとし、労使対等の労働条件決定の確立についてはコメントがありませんでした。

以 上

特別決議 

ILO勧告にもとづく民主的公務員制度改革を求める決議

 日本の公務員労働者は、50余年にわたり労働基本権(団結権、団体交渉権、争 議権)が厳しく制約されてきました。とくに、消防職員や警察官などは団結権、交渉権、争議権の労働基本権すべてが剥奪されており、一般職員や教員は団結権 があるものの交渉権は厳しく規制されるとともに争議は全面禁止されるなど、国際的にも極めて異常な状態に置かれています。したがって、働く者にとって最も 重要な賃金・労働条件が労使対等の交渉で決定されることなく、人事院勧告と政府・国会の判断で決められてきました。

 こうした公務員労働者の労働基本権制約は、民間・公務一体のたたかいを困難にするとともに、政府・財界の労働者支配の基盤となってきました。とくに昨年のマイナス人勧による公務労働者の賃金切り下げは、民間労働者の要求とたたかいを抑制する役割を一層鮮明にしています。

 公務員制度を見直すならば、永年つづけられてきた公務員労働者の働く権利抑圧の制度を見直すべきです。ところが政府は、公務員 制度改革大綱策定にあたって、公務員労働者の労働基本権回復要求を無視し、一方的に労働基本権制約の継続を閣議決定し、人事院機能の縮小と能力等級制度な ど労働条件改悪の「改革」作業をすすめてきました。

 こうした政府の不当な対応に対し、全労連と連合は、日本の公務員制度改革の不当性を示し、ILOに公正な判断を求めて提訴を おこなってきました。提訴をうけてILOは、現行公務員制度とともに「改革」の内容・進め方にわたりILO条約に違反しているとして、日本政府に労働基本 権回復と「意味のある交渉」の実現を勧告しました。

 しかし、政府はこのILO勧告を無視して、国公法・地公法改悪法案の国家提出を強行する企てをおこなっています。政府は、ILO勧告を真摯にうけとめ、ILO条約を充たす公務員制度の確立にむけ、公務員労働組合などと内実のある交渉・協議を求めるものです。

 「天下り」の禁止、政・官・財の癒着根絶、清潔な行政の実現が国民的に求められるなかで、日々公務労働を担って働いている労働 者に労働基本権があるかどうかは公正・民主的な行政を実現するためにも欠くことのできない条件です。公務でも民間でも働く人が人間として扱われ、その活動 の自由が保障されてこそ、国民と社会から与えられた使命と役割を果たすことができます。「能力等級」制度では、職場の連帯が失われ、目は国民から離れ、汚 職と腐敗の土壌をつくり出してしまいます。

 改めて憲法が求める「全体の奉仕者」たる公務員を確保するには、労働基本権が保障された公務員労働者、不正と腐敗を生み出さ ない民主的な職場と国民に開かれた行政が求められています。そのために、政府がILO勧告に従い、労働組合と交渉・協議を尽くし、国民的議論を経て、国民 のための民主的な公務員制度を確立するために尽力することを強く求めるものです。

2003年3月4日
雇用、くらし、いのち、平和を守れ!3・4中央総決集会