「公務員制度改革」闘争ニュースNO.19【2002年11月19日】

公務員制度改革は「再考すべき」とILO勧告

= 団体交渉権・ストライキ権の付与などで画期的な内容 =

 11月7日からジュネーブで開催されていたILO結社の自由委員会では、すべての審議が終了し、「中間報告」がILOのオフィシャルホームページで公開されました。  その内容は、全労連などが提訴していた「公務員制度改革」にかかわって、日本政府は「再考すべき」などとし、かつてなく踏み込んだ画期的なものとなっています。

 「中間報告」は、22日まで開かれているILO理事会の承認手続きを経て、正式に日本政府への勧告が出されることとなります。  全労連では、21日に開催される「ILO緊急報告集会」で、歴史的とも言える今回の勧告の内容や評価を明らかにしつつ、「公務員制度改革」に対するたたかいにむけた新たな決意を固め合います。

労働組合との「全面的で率直かつ意味のある協議」を強く要請

 結社の自由委員会の「中間報告」は、全労連などが今年3月にILOに提訴していた案件にかかわる委員会での審議の経過、委員会としての結論を明らかにし、その上で日本政府への勧告のILO理事会での承認を求めています。  勧告は、その冒頭で、「労働基本権に対する現在の制約を維持すると言明された意図を再考すべき」とし、昨年12月に出された「公務員制度改革大綱」の再検討を日本政府に求めています。

 その上で、労働基本権の保障にかかわっては、ILO87号・98号条約に照らして、@消防職員・監獄職員が労働組合をつくる権利を認めること、A現行の 登録制度を改めること、B「国家の施政に直接従事しない公務員」には団体交渉権・ストライキ権を与えること、Cストライキに対して刑事罰を課す現行法を改 正することなどについて、労働組合をふくめた「すべての関係者」との「全面的で率直かつ意味のある協議」がただちに行われるよう強く求めています。

 勧告はさらに、「公務員制度改革」にかかわって、政府・行革推進事務局が、来年の通常国会での関連法案の提出にむけて検討作 業をすすめていることに関連して、「引き続き情報提供するとともに、提出される法案文書の写しを提供するよう要請する」として、結社の自由委員会への法案 提出を求めています。  さらに、「日本政府が希望するならば」としつつ、行革推進事務局に対する「技術的援助」にまで言及し、「大綱」そのものの「再考」とあわせて、作業面か らも「公務員制度改革」の是正を求めるなど、内容・手続きともに日本政府の「公務員制度改革」を断罪しています。

国際世論を追い風に「200万署名」の目標達成を

 ILO勧告は、全労連などの提訴内容を受けいれ、労働基本権制約にかかわる「日本の個別事情」との主張や、「労働組合とは誠実に交渉・協議してきた」などとする日本政府の見解を全面的にしりぞけた点で、たたかいの新たな局面をきりひらくものとなっています。

 一方、日本政府は、国際社会の一員として、こうした世界的な批判に誠実に応えることがせまられます。  全労連では、こうした勧告が出される新たな情勢をふまえ、その画期的な内容を幅広く明らかにしていくため、21日午後5時から日本教育会館で「ILO緊急報告集会」を開催します。

 多くの参加で集会を成功させ、ILO勧告を確信にするとともに、当面する「200万署名」の目標達成など、民主的公務員制度を求めるたたかいをさらに前進させていくことが求められています。

以 上