「公務員制度改革」闘争ニュースNO.18【2002年11月5日】

全労連ILO要請団が元気に帰国

= 結社の自由委員会への要請、労働組合との交流などで奮闘 =

 10月26日に日本を出発した全労連ILO要請団(団長:岩田全労連事務局次長・国際局長)は、ロンドン・ジュネーブを回り、予定されたすべての日程を順調にやりとげ、11月3日に帰国しました。

 ILO本部では、結社の自由委員会事務局担当のパトリック・キャリエール氏と意見交換し、11月7日から始まる同委員会において、日本の「公務員制度改革」にかかわって、日本政府への勧告の実現を強く要請しました。

 なお、25名の団員のうち、岩田団長、山瀬副団長(国公労連副委員長)、加藤要請団事務局次長(全労連国際部長)は、引き続きジュネーブに滞在し、結社の自由委員会への対応をはかることとなっています。

ILO結社の自由委員会への要請

みなさんの報告はILOの情報を証拠だてるものだ

 今回のILO要請行動は、岩田事務局次長を先頭に、団長代理として若井自治労連副委員長、副団長を山瀬国公労連副委員長がつとめ、その他、自治労連15名、国公労連4名、全教1名など全体で25名が参加しました。

 一行は、ロンドンにおいて各単産独自の調査・視察行動にとりくみ、その後、ジュネーブに移動して、ILO本部への要請行動などにのぞみました。  メインの行動となった11月1日午前10時からの結社の自由委員会への要請では、全労連などが提出した「公務員制度改革」にかかわる提訴を担当している 事務局のパトリック・キャリエール氏に面会し、岩田団長を中心にして、公務労働者の権利を後退させる「公務員制度改革」の重大性、労働組合との交渉・協議 を無視して一方的に作業をすすめる日本政府の「木で鼻をくくるような」不当な態度をあらためて指摘しました。

 そのうえで、「公務員制度改革大綱」の撤回、検討作業の中止、公務労働者の労働基本権回復を求めつつ、今回の結社の自由委員会で討議をすすめ、日本政府への勧告など必要な措置を要請しました。

 5月に公務3単産書記長が訪問した際にも対応したキャリエール氏は、一行を歓迎しながら、全労連が提出している「訴状」が、今 後、結社の自由委員会や理事会、12月の条約勧告適用専門家委員会、さらに来年6月の総会などの場で十分に審議され、問題が解決するまでILOの監視活動 がつづくことを明らかにしました。

 11月の結社の自由委員会で勧告が出されるかどうかは、キャリエール氏自身から言明はありませんでしたが、こちらからの要請 を受けて、「みなさんが報告されたことは、ILOが集めた情報を証拠だてるものである。私たちが認識していることと一致する。結社の自由委員会での検討の 中身としてとりあげたい」とのべるなど、結社の自由委員会で何らかの結論が示される感触もつかむことができました。

 要請団からは、「マイナス勧告」が強行されるもとでの人事院勧告制度の「代償性」にかかわる重大な問題、議会決議などで一方 的に賃金カットが強行されている地方自治体の実態など、公務員の権利をめぐるこの間の新たな状況を報告しつつ、結社の自由委員会では、これまでILOの指 摘に理屈をつけて逃げ回ってきた日本政府が、あれこれと言い訳できないような勧告が出されるよう求めました。

 キャリエール氏は、「日本の『公務員制度改革』は広範囲におよぶ問題をふくんでいる。今後、これらの問題について、労働組合 など関係する人たちの間で、社会的対話がすすめられることを希望する」として、「誠実な交渉・協議」の必要性を強調しました。また、最後に、「大勢のみな さんが、はるばるジュネーブに来てもらったことに感謝したい。みなさんからの情報は大いに役立つものだった。委員会開催ギリギリまで情報を集めたい」との べ、今回の要請をふまえた努力がのべられました。

 キャリエール氏は、約1時間20分にわたって、日本からの要請をメモしながら、きわめて誠実かつ真剣に耳をかたむけていました。数日後にせまった結社の自由委員会での結果に期待がふくらむなかで、要請行動を終えました。

世界労連・国際自由労連の役員ともなごやかに懇談

 要請団は、同日午後に、ILO理事会の労働者グループ責任者であり、国際自由労連ジュネーブ事務所の責任者をつとめるダン・クニヤ氏と面会し、約1時間30分にわたって懇談・交流しました。

 岩田団長が、面会に感謝したうえ、今回の訪問の趣旨や「公務員制度改革」の現状を報告しながら、ILO結社の自由委員会にむけ た協力を求めました。  クニヤ氏からは、全労連からの要請団を歓迎しつつ、全世界で1億5700万人が加盟する国際自由労連の組織実態、ILO理事会における活動状況などが説 明され、「公務員制度改革」については、「日本政府の態度は間違っており、現在、法案策定にむけた作業がすすんでいるが、そのまますすめば事態はますます 悪くなるだろう。みなさんからの説明に感謝したい」と見解が示されました。

 また、これらの行動に先立ち、要請団は、10月31日に世界労連ジュネーブ事務所を訪問し、5月につづいてラモン・カルドナ 事務所長(世界労連書記次長)となごやかに懇談しました。わずか9か月前にはるばるキューバから赴任したばかりのカルドナ氏は、たった一人で奮闘してきた 苦労も感じさせないような笑顔で要請団をむかえ、「経済のグローバリゼーションのなかで、新自由主義とのたたかいが世界労連の最大の課題だ。政治や経済の 流れと正面からたたかわなければ、労働者の権利も前進しない」とのべ、「みなさんも日本でたたかっている。私たちもいっしょにたたかいたい」と要請団を激 励しました。

 カルドナ氏からは、ラテンアメリカでの民営化反対のたたかいなどが報告されるとともに、アメリカのイラク攻撃に対して全世界で反対運動がひろがっており、ジュネーブでも2千人の集会が開かれたことなども紹介されました。  国公労連の参加者は、「公務員制度改革署名(200万署名)」をカルドナ氏に手渡し、さっそくサインしてもらうなど、国際的な「対話と共同」も実現しました。  25名の要請団全員が座るだけの椅子もない簡素な事務所でしたが、終始、なごやかな雰囲気の中で交流・懇談をおこなうことができました。

ロンドンの国際労働者権利センター本部などを訪問

 今回の要請行動では、ロンドンに立ち寄り、自治労連と国公労連の参加者がそれぞれ独 自の調査・視察行動にとりくみました。そのなかで、自治労連は民営化された老人ホームの視察、国公労連がイギリス公務庁への聞き取り調査など、2日間にわ たって精力的な活動をくりひろげました。また、国公労連は、イギリスのナショナルセンターであるTUC本部を訪問し、交流・懇談しました。

 さらに、全労連要請団としては、国際労働者権利センター本部を訪れ、労働者の権利問題や、各国の公共業務の民営化の状況、それに対する労働者のたたかい、日本の「公務員制度改革」などを相互に報告し、参加者が質問や意見を出し合い交流を深めました。

「国際署名行動」で7人から署名を獲得

= 目標達成へ決意を新たにジュネーブ繁華街で「200万署名」を訴える =

 10月31日午後には、要請・交流の合間をぬって、要請団一同は、ノボリ旗・横断幕を持参してきた国公労連代表団のリードで、ジュネーブの繁華街で「国際街頭宣伝・署名行動」にとりくみました。

 それぞれが英語で書かれた説明文を手にしながら、日本政府の「公務員制度改革」に反対する署名であることを手振り身振りで苦労して説明し、そうした悪戦苦闘のすえ、スイス人7名から署名を獲得するという画期的な成果をあげました。

 署名行動を終えた参加者は、この成果を日本に持ち帰り、職場の仲間にも伝え、何としても200万人の目標を達成させるとの決意を固め合いました。  今週末の結社の自由委員会では、ILO条約もふみにじる日本政府の態度がきびしく糾弾されることが予想されます。こうした国際世論を背景にして、日本国内の世論を急速に盛り上げていくことがいよいよ重要となっています。

以 上