「公務員制度改革」闘争ニュースNO.10【2001年11月21日】
《全商連との懇談》
業者を苦しめる者と公務員差別をする者は同じ
〜共通の理解の上に共同の輪を拡げよう〜
全労連対策本部は21日、全国商工団体連合会(全商連)との懇談をおこない、「公務員制度改革」に対するたたかいへの率直な意見・感想を語ってもらいました。
全商連本部で行われた懇談には、堀口副本部長(国公労連委員長)、浜島事務局次長(公務労組連絡会事務局長)、三宅委員(自治労連書記長)が出向き、全商連からは佐伯事務局次長、谷常任理事、谷野運動・政策次長が出席しました。
懇談は、公務員と業者との関係が深い税務部門の職員との対応など具体的な経験などから業者が求める公務員について話がすすみ、いのちとくらしを支える公務労働に対する現場実態への共通の理解の必要性を確認することができました。
「エリート官僚のための改革だ」と指摘(堀口氏)
はじめに、堀口副本部長より「公務員制度改革」の現段階について資料をもとに説明しました。とくに、12月にも策定される「大綱」にむけ出さ
れた「行政職に関する新人事制度の原案」が、公務員制度改革を「人事管理」制度に押し込め、それも超エリート官僚の育成を中心にする改革であるとともに、
一般職員を「能力等級制度」で分断支配することにあることなどを挙げて、「公務員制度改革」のねらいを明らかにしました。
また、三宅委員、浜島次長より自治体や教育現場における先取りとも言える成績主義による人事管理制度の導入が広がっていることや厳しい教員批判などを指
摘し、我々の運動と公務員制度に対する率直な意見を求めました。
地域の実態で共通理解を(佐伯氏)
こうした対策本部参加者からの説明と懇談の趣旨に対し、佐伯事務局次長は、「いきなり公務員制度について聞かれても言いようがな
い」としながらも、全商連事務局員の賃金は公務員賃金をベースに地域の労働者の賃金実態をふまえて決定していることを紹介し、複雑な公務員賃金を「誰にも
判りやすいものにしてもらいたい」と実践的立場から要望が出されました。
また、現在問題となっている「不良債権処理」について、地域で必要な商店や事業者まで倒産に追い込むやり方は許せないと指摘。地域経済の再生にむけた「地
域経済回復ビジョン」をもって商工会議所など広範な団体と懇談を行っていることを紹介し、「実態から交流してゆくと普段対抗関係にある団体でも解り合え
る。地域経済の実態について行政とも共通の理解が進んだ墨田区や東大阪、岸和田などでは自治体との共同がすすんでいることを教訓とすべきではないか」と経
験が語られました。
公務員批判には事実と仕組みの解明が(谷氏)
谷常任理事は、「公務員への不満が住民から出る時は必
ず景気が悪い時である。経験から『公務員は好い』と言う人には『あなたはなぜ公務員にならなかったのか』と問うとその種の批判は出なくなる。また、公務員
賃金についても、各種の補助金や給付制度が公務員賃金を基礎にしている。『基準が切り下げられても良いのか』と質せば切り下げに賛成する人はいない」など
と公務員賃金の果たしている役割を明快に示しました。
宣伝に対する意見として、「公務労働の実態が見えない」ことをあげ、例えば、「霞ヶ関の官庁はなぜ遅くまで明かりを点けて仕
事をやっているのか判らない。職員が夜遅くまで『やらされている』職場実態を知らすこと。エイズ問題でも『組合は何をやっていたのか』という疑問がある。
組合が本庁には少なく知れる部署にいないことも後から知った。もっと職場実態をリアルに知らせることが必要だ。みんな真実を知りたがっている」と話まし
た。
そして、「こんな公務員にされてしまう」という前に「こんなひどいことをやっています」「そんな公務員が増えてもよいのか」
と一般の人に判るようにしてもらえれば、お互い仕事と労働についての理解と信頼関係がうまれ、「悪い公務員はいらない」とういう要求で一致できるのではな
いかと意見が述べられました。
地方・地域で懇談の場を
こうした全商連側の率直な問題意識と提起に対し、堀口副本部長は、「信頼される公務員をめざして「役人体質」を脱脚するためにそれぞれ努力を
しているが、内向きの議論であり地域に出て職場実態を話し、要求を共有できるとりくみが遅れている。各地・地域で各層のみなさんと率直な話し合いの場が持
てるようにしていきたい。そうしたなかで、直面している『公務員制度改革』と小泉『改革』が同一の攻撃であり、共同してたたかうことができるよう手だてを
つくしたい」と述べ、懇談の機会をもって戴いたことに感謝し、懇談を終えました。
以 上