公務員制度改革にかかわる資料


第289期ILO理事会・結社の自由委員会への「追加情報」

2004年2月17日
全国労働組合総連合(全労連)

1. 2001年12月に日本政府が閣議決定した「公務員制度改革大綱」は、現在の公務員の労働基本権制約を維持し続ける一方で、政府・各省当局の賃金・労働条 件決定の権限を強化しようとする不当な内容であり、労働組合との十分な交渉・協議も尽くされていないことから、全労連は2002年3月15日、ILO結社 の自由委員会にたいして「公務員制度改革に関連した日本政府の結社の自由違反に関する提訴」を行なった。(事件番号2183)

2.2002年11月21日、第285期ILO理事会・結社の自由委員会は、全労連などの提訴にたいし、「日本政府は、公務員の労働基本権にたい する現行の制約を維持するという言明された意図を再考すべきである」「日本の法令および勧告がILO87号、98号条約に違反している」とし、「すべての 関係者と、全面的で率直かつ意味のある交渉・協議を速やかに行なえ」という「中間報告・勧告」を行なった。さらに、2003年6月20日第287期ILO 理事会・結社の自由委員会は、「結社の自由原則に合致した公務員制度改革および法改正に関して速やかに合意に達する努力を行なえ」という趣旨で再度の勧告 をおこなった。

3.全労連は、これまで政府にたいし、担当大臣との交渉を再三にわたって粘り強く要求してきた。その結果、遺憾ながら大臣交渉には至らなかったも のの、1年11ヶ月ぶりに公務員制度改革を担当する「行政改革推進事務局」の事務局長との交渉が2003年4月15日に行なわれた。全労連の要求にたい し、行政改革推進事務局長は、①全労連と誠実に話合い、一致点を見出す努力をする②問答無用で強行しない③労働基本権問題もふくめて議論する場をつくる④ 担当大臣との交渉実現に努力する、との回答を行なった。また同年5月29日にも担当者と交渉し、担当大臣との交渉実現に努力するよう求めたが何ら具体的な 回答はなかった。

4.その後、この交渉から約9ヶ月がすぎた現在に至るも、依然として事務局長の回答は全く実行されず、反故にされている。担当大臣はおろか行政改 革推進事務局長との交渉も含め交渉は拒否されている。日本では、昨年11月に総選挙が行なわれ、結果として担当大臣が交代し事務局体制にも変更があったこ とから、この総選挙後も引続き交渉をもとめているが、現時点では全く進展がなく、誠意ある対応がなされていない。なお、政府・官房長官、担当大臣と日本労 働組合総連合会(連合)との協議・交渉は、頻繁に行なわれている。日本政府の全労連に対する交渉拒否は、ILO結社の自由委員会の二度にわたる「報告・勧 告」を全く無視しているという点で、また労働組合間の差別的取扱いという点で、二重、三重に不当・不法な対応といわざるを得ない。

5.以上、この間の公務員制度改革をめぐる日本政府の対応を「追加情報」として報告し、ILOがあらためて日本政府にたいしてその態度を改めるように働きかけることを強く期待する。

以 上