【第1回ILO勧告:2002年11月20日】


ILO結社の自由委員会中間報告(勧告部分のみ)


委員会の勧告

652. 上記(省略)の中間的な結論に照らし、委員会は理事会が以下の勧告を承認するよう要請する。

(a) 政府は公務員の労働基本権にたいする現在の制約を維持するという言明された意図を再考すべきである。

(b) 委員会は、公務員制度改革の理論的根拠及び内容に関して、この問題についてのより広い合意を得るために、また、法律を改正しそれを結社の自由原則に合致さ せるようにすることを目的として、すべての関係者との全面的で率直かつ意味のある協議が速やかに行なわれるべきことを強く勧告する。これらの協議は、日本 の法令及び慣行またはいずれか一方が条約第87号及び第98号の条項に違反していることについての、以下の問題にとくに焦点をあてるべきである。

 (@) 消防職員及び監獄職員にみずからが選択する団体を設立する権利を認めること;

 (A) 公務員が当局の事前の許可に等しい措置を受けることなくみずからの選択による団体を設立することができるよう地方レベルでの登録制度を改めること

 (B) 公務員組合に専従組合役員の任期をみずから定めることを認めること

 (C) 国家の施政に直接従事しない公務員に結社の自由原則に従って団体交渉権及びストライキ権を付与すること

 (D) 団体交渉権及びストライキ権またはそのどちらか一方が結社の自由原則のもとで正当に制限または禁止されうる労働者に関しては、みずからの利益を守る根本的手段を与えられないこれら職員を適切に補償するために国及び地方レベルで適切な手続及び機関を確立すること

 (E) みずからのストライキ権を正当に行使する公務員が民事上または刑事上の重い刑罰を受けることのないように法律を改正すること

(c) 委員会は政府及び連合にたいし独立行政法人に移行した1万8千人の公務員が当局の事前の許可なしにみずからの選択する団体を設立または加入することができたか否かについて委員会に情報提供することを要請する。

(d) 委員会は政府にたいし大宇陀町(奈良県)の事案に関する裁判所の判決を委員会に提供することを求める。

(e) 委員会はまた、政府が公務員における交渉事項の範囲について労働組合との意味のある対話にとりかかるよう要請する。

(f) 委員会は政府および提訴団体にたいし不当労働行為の救済措置手続に関して基調となっている法と慣行についてさらに情報提供をおこなうよう要請する。

(g) 委員会は政府に対し上記のすべての問題に関する進展についてひきつづき情報提供するとともに、提出される法案文書の写しを提供するよう要請する。

(h) 委員会は政府にたいし、希望するならば事務局の技術的援助が利用できることを想起してもらう。

(i) 委員会は本事案の立法的側面について条約勧告適用専門家委員会の注意を喚起する。
以 上