公務員制度改革にかかわる資料



(経済財政諮問会議・有識者議員提出資料)

公務員制度 の更なる改革への論点


平成19年5月28日
伊藤隆敏
丹羽宇一郎
御手洗冨士夫
八代尚宏
 
 今回の公務員制度改革は、国民と国家の繁栄のために、国家運営の担い手として、高い気概、使命感及び倫理観を持ち、国民から信頼さ れる公務員像を実現するための改革である。そのような21世紀にふさわしい行政システムを支える公務員像の実現を図り、質の高い人物が公務の世界に入り、 能力を高め、国民から信頼され、誇りを持って職務に専念できる仕組みを構築しなければならない。
 そのような改革の第一弾として総理の強いリーダーシップの下、年功序列の打破と天下りの根絶を目的とした国家公務員法等改正法案が 迅速に閣議決定され、国会に提出されたことを高く評価したい。同法案を皮切りに、さらに制度全般にわたる改革を進めていかなければならない。総理の下に早 期に有識者会議を設置し、全体をパッケージとした議論に着手すべきであり、下記1.及び2.は、その際に論点とすべき事項である。これらを『骨太 2007』に盛り込み、本格的検討を速やかに開始していただきたい。

1.国益を第 一とする公務員像の実現

 公務員 が、各省のためでなく、国家と国民のために持てる能力を最大限に発揮するためには、各省ごとの縦割り人事と年功序列の打破が必要である。今回の「能力・実 績評価の導入」と「退職管理の一元化」を重要な一歩として、以下の事項に取り組むべきである

@ 幹部公務員について人事管理を一元化し、各省の垣根を越えた適材適所の配置がなされるようにすべきではない か(例えば、指定職以上は政治任用・年俸制とすることを含めて検討してはどうか)
A 幹部ポストについて、他省庁や民間からの公募枠を設定すべきではないか(20年春の人事異動に際しての目標を設定してはどうか)
B 採用試験による区分ではなく、幹部候補職員と一般職員等の新たな区分を設け、高度な国家戦略を担うようにすべきではないか。ただ し、幹部候補職員への切り替えの機会は何度でも与えられるべきである
C 国際機関の幹部職員として派遣しうる公務員を増やすための育成プログラムが必要ではないか
D 定年まで安心して働けるよう、スタッフ職制の制度設計を早急に進めて、計画的に移行を進めるべきである

2.官民、 国・地方間の人材流動化の促進

 環境変化 に対応して優れた国家戦略を立案していくには、官民、国・地方間の垣根を越えた人材流動化を促進し、有為な人材を政府に集めるべきである

@ 官民間の人材流動化の障害となっている雇用制度上の要因(採用年齢、給与、年金等)を検証し、徹底除去すべ きではないか
A 公務員の円滑な再就職を促すため、資格取得や大学等での研究がより柔軟に出来るような環境整備が必要ではないか
B 労働基本権については、行政改革推進本部専門調査会(佐々木毅座長)において、警察・消防等以外の現業と非現業の一般職公務員に 対し一定範囲で協約締結権と争議権を付与する方向で、引き続き検討すべきである
C 道州制への将来的な移行を念頭に、ブロック単位で準備組織を設け、中央省庁、地方出先機関、都道府県、市町村から人材を派遣し て、これらの間の人材の流動化を進めるべきではないか

3.改革先行 プログラム

 今回の法 案の成立・施行までの間も、国民の目から見て押し付け的との疑念を招くような各省庁による再就職斡旋が行われないようにすべきである

@ 監視委員会の準備室を早急に立ち上げ、監視機能を強化すべきである
A 今後完全民営化する政府関係機関(例:日本政策投資銀行、商工組合中央金庫)のトップには、官民を問わず、経営経験の豊富な人材 を起用すべきである
B 独立行政法人のトップ人事について、官民を問わず、公募制を導入すべきである