公務員制度改革にかかわる資料



(経済財政諮問会議・有識者議員提出資料)

公務員制度改革について

平成19年3月16日
伊藤隆敏
丹羽宇一郎
御手洗冨士夫
八代尚宏

 公務員制度改革なくして、戦後レジームからの脱却はない。専門性が必要とされるこ れからの政府は、年功序列を打破してオープンに優秀な人材を活かす仕組みとすべきである。また、押しつけ的再就職斡旋など国民の信頼を損なう不透明さを排 除し、公務員が自信と誇りをもって能力形成し、再就職に際しても専門性を活かして活躍できる仕組みを構築しなければならない。公務員制度改革を突破口とし て省庁の縦割りを打破し、21世紀にふさわしい行政システムを構築すべきである。制度改革にあたっては、とくに以下の点が重要であると考える。

1.押しつけ的な再就職斡旋は、早急に根絶すべきである。その際、何が「押しつけ」かは、各省庁の眼から見てではなく、国民の眼から見て判断されなければならない

2.予算や権限を有する各省庁が、企業や団体に対して再就職斡旋を行う場合、企業や団体の側では断りにくく(注)、何らかの見返りを期待させる可 能性が高い。官製談合等の不正や不透明性の温床となりがちである。したがって、「押しつけ的再就職斡旋」を根絶するには、早期勧奨退職を行わずに定年まで 勤められる環境づくりなど、全体をパッケージとした改革を進め、各省庁による再就職斡旋ではなく、省庁横断的で透明な「新・人材バンク(仮称)」による仕 組みへと完全に移行すべきである。

 注:各省庁が企業や団体に対して天下りの受け入れを要請した上で、企業や団体の側が人材の派遣を要請したという文書を提出するよう依頼しているとの声がある。

3.全体パッケージの検討を精力的に行い、「新・人材バンク(仮称)」による仕組みへの5年以内の移行を目指すべきである。

4.「新・人材バンク(仮称)」が有効に機能するには、求人開拓営業、キャリアコンサルティングの実施等を抜本的に強化することが必要と考える。

5.「新・人材バンク(仮称)」は、各省庁の人事当局ではなく、個々の公務員が主たるユーザーとなる仕組みとすべきである

6.ルールの遵守状況を厳格に監視するため、公正・中立な外部監視機関を設置すべきである。

7.年功序列を打破し、採用試験や年次に関係なく、人事評価をポストと給与にリンクさせる制度を導入すべきである。また、給与水準の民間準拠をよりきめ細かに行い、徹底すべきである。

8.国家公務員が、職業能力を磨きつつ誇りをもって働き、かつ天下りではない通常の転職として再就職ができるよう、さまざまな制度の整備が必要で ある。例えば、能力を活かした再就職ができるよう資格取得や民間企業での勤務経験などを促進してはどうか。また、再就職先の開拓にあたっては、国際機関で の活躍の場の拡大や道州制への移行に伴う新行政組織の設置等も視野に入れ、専門性を活かし得る国内外の場を検討すべきではないか。

9.平成16年度から府省間人事交流が行われており、3年間で1割の目標を達成している。これをさらに発展させ、民間や省庁間を含めた公募制度と してはどうか。安倍内閣において行われた官邸スタッフの公募を参考に、省内や他省庁から、人事当局に知られずに応募できる仕組みを導入すべきである。ま た、省庁横断的に人事を行う機
能が必要である。

(添付資料)※別添PDFファイル
公務員制度改革について(渡辺公務員制度改革担当大臣提出資料)