公務員制度改革にかかわる資料
(経済財政諮問会議・有識者議員提出資料)
公務員制度改革について
平成18年12月7日
伊藤隆敏
丹羽宇一郎
御手洗冨士夫
八代尚宏
公務員制度についても、労働市場改革(労働ビッグバン)と整合的な改革が必要である。オープンな公務員制度を確立し、官民の優秀な人材が幅広く参加する新しい政府を、国、地方ともにつくっていく必要がある。
また、「天下り」や、過度の身分保障、年功賃金などを見直し、民間並みの合理化を実現しなければならない。他方、優れた国政には、優秀な行政官が必要である。メリハリの効いた給与体系を構築し、優秀な人材を確保・育成・処遇しなければならない。
公務員制度改革について、特に重要なのは、以下の点である。公務員制度改革担当大臣におかれては、これらの点を踏まえて検討を深め、来年早々にも経済財政諮問会議にご報告いただきたい。
なお、地方自治体についても、同様の取り組みが必要である。
1.「新たな公務員人事の方向性について」(「中馬プラン」参考)における官民間の人材移動を抜本的に拡大する、という方向性は重要である。
ただし、以下の点を修正して制度設計することが必要である。
(1)国家公務員制度全体をパッケージとして見直すことにより、国家公務員の再就職を「天下り」ではなく、その能力や技術を活かした通常の転職と
すべきである。特に、利益誘導や省益追求の背景となってきた各省庁による再就職斡旋を禁止すべきである。併せて円滑な転職を可能とする環境整備を行うこと
が重要である。
− 一定の再就職準備期間や、希望者は定年まで働けるスタッフ俸給表(年功賃金的性格の薄い給与制度)を創設する。
− 政府全体で一元化された窓口で、民間の再就職支援サービス等と連携して、公務員の希望と求人をマッチングさせることが必要である。現在の人材バンク機能を、2年間程度の移行期間内に強化すべきである。
− 若い時点から官と民の垣根を低くするキャリアシステムを構築し、大学・民間等でも活躍できるようにすべきである。
(2)現行の2年間の再就職規制の完全な撤廃には、2年程度の経過期間を設け、その間に新たに導入する行為規制を厳しく執行して、その定着を図るべきである。
(3)現在の「国と民間企業の間の人事交流に関する法律」は、一時的な交流を想定した法律となっている。これを抜本改正し、官民間の人材流動化の障害となっている諸制度(給与・年金・退職金など)を官民のイコールフッティング実現の観点から見直すべきである。
− 公務員の賃金や退職金の勤続年数に比例した上昇ペースを抑制し、民間への転出が著しく不利にならない状況を整える、民間の優秀な人材の受け入れの障害とならない給与制度など
2.国際比較も勘案しつつ、警察、自衛隊等を除く国家公務員、地方公務員に対して労働基本権を付与する方向で真剣に検討すべきである。
それに伴い、人事院、人事委員会もその存廃を含めて検討し、民間と同様の労使協議制を導入することを検討してはどうか。併せて、公務員の身分保障をなくすとともに、公務員を雇用保険の対象とすべきである。
また、現在、公務員の給与水準の決定に当たっては、国や自治体の財政事情を勘案することになっていないことから、その見直しを行うべきである。地域に勤務する公務員について、地域の民間の給与水準の反映が十分とは言えないことから、その見直しも必要であ
る。
3.多様化・高度化する国民のニーズに的確に対応する意欲溢れた公務員を育成するには、年功序列システムを壊し、能力・実績主義を重視して、年齢にかかわらず優秀な人材を登用・処遇する人事・給与制度へと移行すべきである。
その際、国際機関で活躍できる人材についても、積極的に育成し、適切に処遇すべきである。
(参考)
「新たな公務員人事の方向性について」(本年9月22日諮問会議報告、
「中馬プラン」)のポイント
@官民間の人材の活発な移動
・各府省の官民人事交流計画策定
・具体的目標の設定等
A定年まで勤務することも可能な人事の構築
・定年まで在職可能とするスタッフ俸給表の創設等
B国家公務員の再就職のあり方の変革
・公務の公正性に対する国民の信頼に疑念を生じる行為を禁止
(違反に対する罰則)
・公共調達の適正化
・民間の人材サービス会社を活用して、透明性ある再就職を支
援する人材バンクを抜本的に強化等
(関連資料)※別添PDFファイル
(1)公務員制度改革の推進について(菅総務大臣提出資料)
(2)公務員制度改革の方向性について(佐田公務員制度改革担当大臣提出資料)