公 務員制度改革にかかわる資料


行政改革推進本部中間とりまとめ

~ 地に足のついた真の行政改革の ために ~

平成25年5月28日(火)
自民党行政改革推進本部
本部長  望月 義夫

は じめに~責任与党としての取り組み~

 責任与党であるわが党としては、地に足のついた行政改革の取り組みを不断に行っていくことが必要と考える。民主党政権のようにバラマキ政策の尻拭いのた めの財源の捻出や増税の言い訳の道具にしか過ぎない見せかけのものであってはならない。

1.国民のた めの行政改革という視点

○国民に とってのわかりやすさ
 行政改革は国民のためにあるということを忘れてはならない。そのためにも、国民にとってのわかりやすさが重要であり、行政のコンプ ライアンスとして国民にしっかりと理解される行政改革としなければならない。
 行政改革の担当部局が外部の有識者の参加を通じて国民の視点を積極的に取り入れるとともに、事業官庁とも十分に連携して国民のニー ズにしっかりと応えていく必要がある。

○行政サービス向上の視点
 事業や組織の政策目的を最大限発揮させることが重要であるとともに、行政サービスの質的向上にも努めなければならない。

○官と民・国と地方の役割分担のあり方を念頭に
 小泉改革など従来の改革においても官と民・国と地方の役割分担のあり方を念頭に改革の検討が進められてきたところ、今後の検討にお いても将来の国の姿を見据えつつ、行政改革を進めなければならないことは当然である。

○機械的なカットの発想でない実態に即したきめ細やかな対応
 機械的なカットといった、乱暴な発想で行政改革を行うことは、「角を矯めて牛を殺す」ことにもなりかねない。あくまでも、実態に即 し、きめ細やかに検討を進め、結論を得ていくという手法が求められる。

2.本中間と りまとめの位置づけ

○宿題と なっている事項から順次検討
 行政改革には、中央省庁改革を含め多くの課題があるが、これらについて、全て同時並行で取り組むことは現実的でない。本中間とりま とめにおいては、民主党政権下における改革案を白紙とした上で早急に見直すべき課題、自公政権下で方針が定まっていたものの具体的な制度設計が行われてい ない課題等を取り上げることとし、早急に成案を得るべく、順次検討を進める。

(中略)

第4公務員制度改革

1.従来の経緯と丁寧な検討の必要性

 国家公務 員制度改革は平成20年に国家公務員制度改革基本法が成立し、それを具体化するため、自公政権下では21年法案、政権交代後の民主党政権下では22年法 案、23年法案と、政府から3度提出されたが、内容もまちまちで、いずれも廃案となっている。その過程では、国民受けを狙ったパフォーマンスによる政治に 翻弄されてきた側面が否めない。
 わが党としては、行政サービスを担う公務員が誇りとやる気を持って職務を遂行し、また、国民全体の奉仕者として国民からの信頼を確 保できるような真の公務員制度改革にしっかりと取り組んでいくことが極めて重要と考える。思いつきの乱暴な議論が横行し、公務員の士気が低下するようなこ とがあれば、優秀な人材を確保することが困難となり、国家にとっても大きな損失となる。
 こうした経緯等を踏まえ、公務員制度改革については、もう一度改革の原点に立ち返って、スピード感を持ちつつも、地に足のついた丁 寧な検討を行っていくことが重要である。
 その際、個々の職員についての改革(人事評価制度等)と公務組織についての改革(新陳代謝の促進等)を一体的に進めていく必要があ る。

2.内閣人事 局のあり方の早急な検討

 国家公務 員制度改革基本法においては、内閣人事局の早期の設置が規定されているが、未だ設置に向けた検討は具体化していない。政治に対する不信が増幅されないよう にするためにも、内閣人事局のあり方については、早急かつ丁寧に検討を進めていく必要がある。

3.新たな評 価制度の効果的運用

○評価の実 態把握の徹底とブラッシュアップ
 能力・実績に基づき、真に頑張る者が報われる人事・処遇を実現するとともに、組織マネジメントを効果的に行う観点からも、人事評価 は厳正に行われる必要がある。制度導入後4年目に入った人事評価制度については、外部有識者の参画を得て、各府省における人事評価結果の分布状況をはじめ とする運用実態の把握・検証を早急に行った上で、民間企業における先進事例も参考に、一層の制度・運用の改善・向上を図る。
 その際、具体的にどのような職員が下位評価に該当するかということについての基準の明確化により評価の客観性を確保し、最下位の評 価となった職員に対して成績向上のための措置を講ずるとともに、今後も運用実態の定期的な把握を行い、常に制度・運用の改善・向上を目指す。

○人事評価を賞与、昇格、分限等に確実に結び付けるシステムの確立
 真に頑張る者が報われるよう、人事評価の結果を昇給、勤勉手当等に適切に反映させるとともに、職員の昇任については、人事評価の結 果に基づき優秀と認められる者の中から厳格に選抜を行い、最適任者を昇任させることとする。
 また、人事評価の結果、勤務実績が不良である者に対しては注意・指導などの措置を確実に行い、改善がみられない者については、分限 (降任、免職)処分を行うこととする。さらに、連続3年間最下位の評価の場合には、分限免職処分とする。
 また、地方公務員についても、能力・実績主義による人事評価の導入など、国家公務員の制度改革と同様の改革を実施する。

4.65歳ま で働くことができる制度の導入に対応した組織の活性化

○給与カー ブの見直し等
 今後、雇用と年金の接続等により高齢層公務員の大幅な増加が見込まれる中、民間給与の実態を踏まえつつ、給与カーブを見直すなど、 若い公務員が意欲を持って職務に取り組むとともに、65歳まで安心して働くことができるよう環境整備を行う。

○新陳代謝の促進
 職員の高齢化が進む中で、行政組織の活力を維持・向上させるためには、組織の新陳代謝を促進することが求められている。
 具体的には、新たに設けられた早期退職募集制度の活用と民間再就職支援会社を活用した再就職支援の導入により、職員の自発的な早期 退職を促進し、
 これらの実施状況に応じ、退職手当の見直しを含む早期退職を促進するための施策の強化を検討する。
 なお、雇用と年金の接続に伴う再任用制度の運用については、組織全体としてのやる気を確保しつつ、職員の適正配置を進める。
 また、組織活力を一層引き出していくためには、何よりも若者が公務員を志望し、職員が誇りを持って働けるようにすることが重要であ る。そのため、採用については、既に極端な新規採用抑制方針を改めたところであるが、今後も中途採用を含めて多様な人材の確保に配慮する。また、個々の職 員がキャリアアップを図りつつ組織全体の能力を向上させていくため、官民人事交流や職員の現役出向などによる公務経験の内外での活用、専門スタッフ職の活 用等を通じた複線型の人事管理などを推進し、キャリアパスの多様化を図る。

5.給与等

 適正な給 与を確保する機能を有し、国家公務員が憲法上の労働基本権を制約されていることの代償措置である人事院勧告制度を尊重する。
 なお、国家公務員制度改革基本法に国民の理解を前提とした労働基本権の規定はあるが、現状において未だ国民の理解が得られていない という意見が強かった。
 公務員の給与体系については、国・地方を通じた抜本的な改革を行うこととし、特に50代でも誰もが給与が上がる公務員特有の給与構 造を大胆に見直す。その際、3及び4で述べた能力・実績の反映や給与カーブの見直しを進め、給与体系を能力・実績に応じてより差がつく仕組みとし、公務員 のやる気を引き出し、国民のためにその力を最大限に発揮させる。また、地域における公務員給与について、民間給与との比較が適正に行われるよう、地域の民 間給与の実態をより適切に把握しつつ、地域の実態に合わせることとする。
 宿舎については、現在、必要な改革を進めているところであるが、緊急時の対応など公務サービスの円滑な遂行の確保や国民への説明等 の観点から、その実施状況について点検・検証する。

6.今後の進 め方

○委員会の 設置
 公務員制度改革については、今後、検証を行って結論を得なければならない多岐に渡る課題がある。まずは、評価の実態把握の徹底な ど、しっかりと現状を掌握した上で、丁寧な検討を行うことが必要である。このため、行政改革推進本部では、公務員制度改革についてきめ細かな検証と改革の あり方を検討するべく、公務員制度改革に関する委員会を設置し、夏以降ヒアリングを行うなど、精力的な検討を進めていく。

○スケジュール
 公務員制度改革について政府に不断の改革を求め、政府の取り組みを加速させる意味から、行政改革推進本部としても改革をリードして いくため、この中間とりまとめにおいて政府に取り組みを求めた提言内容について、進捗状況を本年後半に集中的に点検・検証しながら、今後の公務員制度改革 のあり方について可能なものから順次、早急に結論を得ていくこととする。

(以下略)