公務員制度改革にかかわる 資料



公務員制度改革に係る「工程表」について


平成21年2月3日
国家公務員制度改革推進本部決定

 今般の公務員制度改革は、「国民全体の奉仕者である国家公務員について、一人一人の 職員が、その能力を高めつつ、国民の立場に立ち、責任を自覚 し、誇りを持って職務を遂行すること」(国家公務員制度改革基本法(平成20年法律第68号。以下、「基本法」という)第1条)を目的とし、これを達成す るため、以下の7つの改革の基本理念に則った改革を進めることとしている。
 
 1 議院内閣制の下、国家公務員がその役割を適切に果たすこと
 2 多様な能力及び経験を持つ人材を登用し、及び育成すること
 3 官民の人材交流を推進するとともに、官民の人材の流動性を高めること
 4 国際社会の中で国益を全うし得る高い能力を有する人材を確保し、及び育成すること
 5 国民全体の奉仕者としての職業倫理を確立するとともに、能力及び実績に基づく適正な評価を行うこと
 6 能力及び実績に応じた処遇を徹底するとともに、仕事と生活の調和を図ることができる環境を整備し、及び男女共同参画社会の形成 に資すること
 7 政府全体を通ずる国家公務員の人事管理について、国民に説明する責任を負う体制を確立すること

 この改革を大胆かつ着実に推進するためには、まず、基本法に掲げる改革事項全体について、何をいつまでに実現 するかという改革の全体像につき、 予め政府として決定することが重要である。このような観点から、内閣人事・行政管理局(仮称)の設置等を定める「国家公務員法等の一部を改正する法律案」 の今通常国会への提出に先駆け、別紙のとおり、「工程表」を策定する。


(別 紙1)

公務員制度 改革に係る「工程表」

 (目次)
 
Ⅰ 工程表策定にあたっての基本的考え方
 
Ⅱ 幹部職員等の一元管理の導入と内閣人事・行政管理局(仮称)の設置
 
Ⅲ 国家戦略スタッフ、政務スタッフ
 
Ⅳ 多様で優秀な人材の確保と能力・実績に応じた人事の徹底
 1 新たな採用試験制度
 2 幹部候補育成課程
 3 公募・官民人材交流の推進
 4 能力・実績主義の徹底
 5 定年まで勤務できる環境の整備、定年延長等の検討-「天下り」の根絶に対応した人事制度の構築
 6 その他の課題
 
Ⅴ 労働基本権の検討
 
Ⅵ 今後における公務員制度改革の進め方



Ⅰ 工程表策 定にあたっての基本的考え方

 本工程表 においては、改革の①措置や検討の方向性、②検討の結論を得る時期や関係法律案の提出時期、③実施時期等をできる限り明らかに示すこととする。その際、基 本法が定める
 1 内閣人事局設置のために必要な法制上の措置については1年以内、
 2 その他の法制上の措置については3年以内、
 3 改革全体の実施については5年以内
 というスケジュールに関し、本工程表では、できる限り改革を前倒しし、改革全体の実施については、「5年以内」を「4年以内」に短 縮することとする。このため、「その他の法制上の措置」についても、可能な限り2年以内に前倒しすることを目指す。

 具体的には、
① 平成21年においては、新たな人事評価制度の導入と政府全体を通ずる採用昇任等基本方針(職員の採用、昇任、降任及び転任に関す る制度の適切 かつ効果的な運用を確保するための基本的な方針)の策定により、能力・実績主義の人事管理を推進する。特に、幹部職員等について、一元管理実施の際の基礎 となる適切な人事評価を徹底する。また、幹部職員等の一元管理、内閣人事・行政管理局(仮称)の設置のための法整備を行うほか、幹部職員賞与の傾斜配分化 を実施するための法整備を行うこととする。
② 平成22年においては、内閣人事・行政管理局(仮称)の設置により、幹部職員等の一元管理等を開始するとともに、政府全体を通ず る国家公務 員の人事管理に関する説明責任を果たす体制を整備する。また、一般職給与法等の改正により、能力・実績主義の更なる徹底のための法整備、定年まで勤務でき る環境整備のための法整備を行う。加えて、新たな人事評価の運用状況を評価し、必要に応じて改善を行うこととする。
③ 平成23年においては、定年延長の検討など、検討に時間を要する課題についての結論を得るとともに、順次、新たな人事制度への移 行を図り、全体として、平成24年までに新たな人事制度に移行し、基本法に基づく措置を全て実施する。

 ことを基本とし、Ⅱ以下に掲げるスケジュールの下、逐次具体化を図る。その際、職員の職務の特殊性に十分に配 慮するものとする。
 
Ⅱ 幹部職員等の一元管理の導入と 内閣人事・行政管理局(仮称)の設置

 政治主導 により、いわゆる「縦割り行政の弊害」を排除し、各省の立場を超えて、政府全体の立場に立った視野を持つ人材を官民から積極的に登用す ること等が可能となるよう、基本法に沿って内閣の人事管理機能を強化する。併せて人事管理機能と組織管理機能の有機的な連携を図ることにより、行政需要に 応じた組織・人材の府省横断的な再配置や総人件費管理、行政運営とそのための人事管理の総合的な改革等を進め、行政改革全般を内閣主導で継続的に推進する こと等を可能とする。このため、内閣官房に両機能を一体的に担う内閣人事・行政管理局(仮称)を、平成22年4月を目途に設置する。

(1)一元管理の導入

 内閣人事・行政管理局(仮称)の担うべき幹部職員等の一元管理を実現するため、「国家公務員法等の一部を改正 する法律案」(別紙2に沿って立案する。)を今通常国会に提出する。
 
(2)内閣人事・行政管理局(仮称)の設置

 内閣人事・行政管理局(仮称)の設置等のため、「国家公務員法等の一部を改正する法律案」(別紙2に沿って立 案する。)を今通常国会に提出する。
 内閣人事・行政管理局(仮称)は、人事管理機能と組織管理機能のシナジー効果をあげるとともに、人事の都合で機構・定員査定が行わ れ、行政組織 の肥大化を招くといった問題が生じないよう、効果的なファイアー・ウォールを設けるなど人事管理機能と組織管理機能との間で連携と緊張を確保できるような 組織・運営とする。
 内閣人事・行政管理局(仮称)の設置に際しては、組織が肥大化することのないよう留意する。
 
Ⅲ 国家戦略スタッフ、政務スタッ フ

 議院内閣 制の下、政治主導を強化し、国家公務員が内閣、内閣総理大臣及び各大臣を補佐する役割を適切に果たすこととするため、内閣官房に国家戦略スタッフ(仮称) を、各府省に政務スタッフ(仮称)を置くことができるものとする。
 このため、「国家公務員法等の一部を改正する法律案」(別紙2に沿って立案する。)を今通常国会に提出し、平成22年度中に国家戦 略スタッフ・政務スタッフの設置を可能とするための措置を講ずることとする。
 
Ⅳ 多様で優秀な人材の確保と能 力・実績に応じた人事の徹底

1 新たな 採用試験制度

 Ⅰ種試験合格者が身分固定的に幹部候補となり、横並びで昇進するいわゆる「キャリアシステム」を廃止するた め、現行のⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種等の採用 試験の種類を見直し、重視する能力に着目した総合職試験、一般職試験、専門職試験を設け ることとする。また、多様な能力を持った人材を公務員として採用 するため、中途採用試験を新設するなどの措置を講ずるほか、国際対応に重点を置いた採用を行うための措置について、併せて講ずることとする。
 真に能力ある多様な人材を能力と実績の評価に基づいて幹部候補として育成し、幹部へと登用する仕組みを実現するため、採用試験制度 の改革は、 できる限り早期に実現することが重要であるが、一方で、受験者等への周知期間として2年程度を確保することが必要であることを踏まえ、以下のようなスケ ジュールで推進することとする。まず、平成21年度中に新たな採用試験の方向性を決定し、平成22年度初頭に、受験資格、試験科目等受験者の準備に必要な 情報を公表する。次いで、平成23年度初頭までに試験実施の詳細について検討し、新試験の実施に必要な細目を公表した上で、平成24年度前半より新試験を 実施する。
 
2 幹部候補育成課程

 新たに導入される幹部職員等の一元管理機能をより実効あらしめるものとするためには、幅広い視野から政策を企 画立案し、適切に業務を管理するこ とができる能力を持つ人材を育成することが重要である。このため、管理職員の職責を担うにふさわしい能力及び経験を有する職員を政府全体として総合的かつ 計画的に育成する仕組みとして幹部候補育成課程を設ける。
 このような幹部職員及び管理職員にふさわしい職員の育成はできる限り早期に始める必要があることから、当該課程は、内閣人事・行政 管理局(仮 称)が作成した統一的基準に基づき、必要な研修等を含め平成22年度より実施する。このため、「国家公務員法等の一部を改正する法律案」(別紙2に沿って 立案する。)を今通常国会に提出する。
 
3 公募・官民人材交流の推進

 多様かつ優秀な人材の登用のためには、1及び2のような公務内における人材育成に加え、公務内外からの公募及 び官民人材交流を一層推進する必要がある。平成23年度より新たな仕組みの下で公募及び官民人材交流を推進するため、以下のような方策を講ずることとす る。

① まず、国家公務員法において、公募に係るプロセスや公募に付する幹部職等についての数値目標を定めること等 を明記することにより、公募をより 一層推進する必要がある。このため、「国家公務員法等の一部を改正する法律案」(別紙2に沿って立案する。)を今通常国会に提出し、平成22年度よりこれ に基づく公募を実施する。
② 次いで、官民の人材交流をより一層推進するため、「国と民間企業との間の人事交流に関する法律」に基づく人事交流につき、手続き の簡素化、 対象の拡大等(所管業種との交流に関する規制の見直しを含む)を図るとともに、国と企業の間における人事交流のみならず、個人に着目した官民の人材交流を 促進するために、必要な法制等につき検討し、平成22年に所要の法制上の措置を講ずることを目指す。人事院の勧告等が必要な事項については、平成21年中 可能な限り早期に人事院に対し勧告等の要請を行うこととする。
③ このほか、更なる官民の人材交流を推進するとともに官民の人材の流動性を高めるため、給与、退職手当、年金等の制度改正の必要性 について検 討した上、平成22年に所要の法制上の措置を講ずることを目指す。人事院の勧告等が必要な事項については、平成21年中可能な限り早期に人事院に対し勧告 等の要請を行うこととする。
 
4 能力・実績主義の徹底

(1)新たな人事評価制度及び採用昇任等基本方針の導入

 1~3の方策により公務内に確保された様々な人材をその能力・実績に基づき活用し、処遇していくためには、ま ず、平成19年の国家公務員法改正で新たに設けられた人事評価制度及び採用昇任等基本方針の仕組みを確実に施行していくことが必要となる。
 基本法においては、人事評価について、「国民の立場に立ち職務を遂行する態度その他の職業倫理を評価の基準として定めること」、 「業績評価に係 る目標の設定は、所属する組織の目標を踏まえて行わなければならないものとすること」、「職員の超過勤務の状況を管理者の人事評価に反映させるための措置 を講ずること」等が定められていることを踏まえ、これらに対応できる新たな人事評価制度を平成21年4月から導入することとし、必要な政令等の整備を行 う。当該評価制度については、平成22年にその運用状況を評価し、必要に応じて改善を行うこととする。
 採用昇任等基本方針については、採用年次、採用試験の種類にとらわれないこと等能力・実績に基づく任用の徹底、特に本省課長級以上 の官職への 昇任等について厳格に運用すること及び男女共同参画基本計画(第2次)(平成17年12月27日閣議決定)に沿って女性の採用及び登用の拡大等を行うこと について規定することとし、平成21年3月までに閣議決定し、各任命権者においては、同方針に沿った人事運用を徹底することとする。
 
(2)幹部職員、管理職員の任用・給与の弾力化

 政府がその時々の課題に的確に対応するためには、特に幹部職員・管理職員の配置について弾力的に行えるように することが重要であり、「新たな制 度」を設ける必要がある。このため、まず、「国家公務員法等の一部を改正する法律案」(別紙2に沿って立案する。)を今通常国会に提出し、適格性審査等特 別な任用手続が導入される幹部職員について適材適所の人事を行うため、勤務実績等を勘案した上で、幹部職員の範囲内で弾力的に降任することができるような 措置を講ずることとする。
 また、幹部職員賞与の傾斜配分化を実施するため、平成21年中可能な限り早期に一般職給与法の改正を行うことを目指し、速やかに人 事院に対し勧告の要請を行うこととする。
 加えて、幹部職員、管理職員の任用・給与その他の処遇のあり方全般について、職務の特性や能力及び実績に応じた弾力的なものとする ため、平成 23年度から、管理職員の任用弾力化、管理職手当(特別調整額)の傾斜配分の強化等を可能とするため、平成22年に所要の法制上の措置を講ずることを目指 す。人事院の勧告等が必要な事項については、平成21年中可能な限り早期に人事院に対し勧告等の要請を行うこととする。
 
5 定年まで勤務できる環境の整備、定年延長等の検討-「天下り」の根絶に対応した人事制度の構築

 平成19年の国家公務員法改正により、法の定める暫定期間経過後、各府省等職員による再就職のあっせんは全面 禁止される。また、暫定期間中も、予算と権限を背景にした押しつけ的あっせんは禁止されている。これらの法改正を厳正に施行する。
 これに加え、平成21年以降、以下のとおり定年まで勤務できる環境の整備、定年延長等の検討といった人事制度の再構築を目指した取 組を進めることで、早期退職慣行について更なる是正を図り、平成23年から、いわゆる「天下り」の根絶に対応した新たな人事制度を実現する。

(1)定年まで勤務できる環境の整備

 早期退職慣行の是正に伴う職員の在職期間の長期化による人事の停滞を防ぎ、組織の新陳代謝を確保するため、能 力・実績主義に基づき適材適所の人 事を進める一方、総人件費の抑制を図りながら、高齢職員の能力を活かすための任用・給与制度の運用を可能とする必要がある。このため、専門スタッフ職制度 の拡充を含む高齢職員の任用・給与制度について全般的な検討を行い、平成22年までに所要の法制上の措置を講ずることを目指す。人事院の勧告等が必要な事 項については、平成21年中可能な限り早期に人事院に対し勧告等の要請を行うこととする。また、職員の価値観の多様化等に対応し、生涯にわたる自己実現の 観点から、民間における取組も踏まえつつ、自らの能力を活かした高齢職員等の自発的な退職を支援するための退職準備プログラムの拡充に向けた見直しを行 い、平成22年度から実施する。
 
(2)再任用の原則化に向けた取組

 雇用と年金の連携を図ることにより職員が高齢期の生活に不安を覚えることなく、職務に専念できる環境を整備し ていく必要がある。また、高齢職員 がこれまでに培ってきた知識や経験、技術を活用して、より質の高い行政サービスを国民に提供できるようにしていくことは、重要な課題である。定年延長の制 度化に先駆けて、当面、意欲と能力のある希望者について、原則再任用できるようにする必要がある。このため、再任用職員の担う業務や組織のあり方、定員・ 定数管理のあり方等を見直すとともに、必要な措置について検討を行い、平成21年中に結論を得ることとする。また、平成25年度から60歳定年退職後に年 金受給までの空白期間が生じることを踏まえ、再任用職員の給与等について所要の措置を講じた上で、平成24年度から、意欲と能力のある希望者についての再 任用の原則化を実施することとする。なお、その際、人事院の勧告等が必要な事項については、人事院に対し勧告等の要請を行うこととする。
 
(3)定年延長の検討

 定年延長の制度化により雇用と年金の接続が可能となる一方で、高齢職員層の人員が大幅に増加し、総人件費の増 大の要因となる。そのため、総人件 費の抑制という観点にも留意して、役職定年制、高齢職員の給与の引下げ、高齢職員の処遇のあり方等の全般的な事項について検討を行い、平成23年中に一定 の結論を得ることとする。また、人事院の勧告等が必要な事項については、人事院に対し勧告等の要請を行うこととする。なお、定年延長を制度化する時期につ いては、民間における定年延長の導入状況等を踏まえて検討することとする。 
 なお、上記(1)から(3)までの検討に際しては、民間企業において、定年制度の廃止、定年延長又は継続雇用制度の導入が義務付け られている ことを踏まえるとともに、総人件費の抑制を念頭に置きつつ、総合的な対策を講じていく必要がある。このため、職員の在職期間の長期化、高齢職員の増加に対 応して高齢職員の知識や経験、技術を活かすにふさわしい職務のあり方や勤務形態を検討するとともに、組織のフラット化やスタッフ職の増加への対応を含む組 織のあり方や業務実施体制についても併せて検討する必要がある。また、高齢職員の給与水準及び給与体系のあり方、退職給付のあり方、定員・定数管理のあり 方等について抜本的に見直す。加えて、優秀な人材を公務部内に確保する観点からも、給与カーブの更なるフラット化や、民間における取組も踏まえた、職員の モラールや組織活力を維持向上するための方策、職員のキャリアアップ・生涯設計に対する支援策などについても併せて検討していく必要がある。また、(1) 及び(3)の検討に際しては、役職定年制等の導入や、行政組織の見直しや定員削減を円滑に実施するための希望退職等の新たな制度を設ける必要性等について も検討する。このため、政府部内に関係府省からなる検討体制を整備し、必要な措置について検討を進めることとする。

6 その他の課題

(1)政官接触に関する記録の管理等

 政策の立案、決定及び実施の各段階における国家公務員としての責任の所在をより明確化するため、以下の措置を 講ずる。
① 職員が国会議員と接触した場合における記録の作成、保存その他の管理及び当該情報を適切に公開するための措置について、関係者と 調整の上、平成21年中にルールの策定を行うこととする。
② このほか、各般の行政過程に係る記録の作成、保存その他の管理が適切に行われるよう、今通常国会に提出を予定している公文書の管 理等に関する法律案(仮称)により、公文書の管理等に関する基本的事項を定めるなどの措置を講ずる。
 
(2)懲戒処分の適正かつ厳格な実施、求償権の適正かつ厳格な行使

 懲戒処分の適正かつ厳格な実施、求償権の適正かつ厳格な行使については、必要な基準、手続等の整備を図ること とし、平成21年中に必要な措置を講ずる。
 
(3)業務の簡素化

 超過勤務の縮減のため、平成21年から、各府省における取組を確認しつつ、業務の簡素化のための計画の検討、 職員の超過勤務の状況を管理者の人事評価に反映させることに対応できる新たな人事評価制度の導入等の取組を政府全体として推進する。
 
Ⅴ 労働基本権の検討

 級別定数 管理に関する事務をはじめ、人事院から内閣人事・行政管理局(仮称)に事務の移管を行うことを踏まえ、また、国家公務員の使用者たる政 府が、主体的かつ柔軟に勤務条件に関する企画立案を行い、コストパフォーマンスの高い行政を実現していく観点からも、自律的労使関係制度への改革は重要か つ必要不可欠な課題である。
 国民に開かれた自律的労使関係制度の措置へ向け、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大等に関する具体的制度設計について、平成 21年中に国 家公務員制度改革推進本部労使関係制度検討委員会の結論を得る。その上で、平成22年中に所要の法律案を国会に提出し、準備期間を経て平成24年までに施 行する。
 
Ⅵ 今後における公務員制度改革の 進め方

 上記の改 革の実施にあたっては、国家公務員制度改革推進本部事務局は、人事院、関係府省等と連携しつつ、改革の推進に関する企画及び立案並びに総合調整にあたる。
 また、本工程表は必要に応じ改訂されるものとするが、国家公務員制度改革推進本部事務局は、本工程表の実施状況につきフォローアッ プを行い、少なくとも毎年1回、国家公務員制度改革推進本部にその結果を報告することとする。
 これらの改革工程においては、国家公務員制度改革推進本部顧問会議に対し重要事項についての審議を求めることとする。


(別 紙2)

国家公務員 法等の一部改正の基本方向

 
Ⅰ 幹部職員等の一元管理等関係

(1)幹部 職への任用等に係る特例

 ①適格性審査及び幹部候補者名簿

 内閣総理大臣は、幹部職員、任命権者が推薦した者、幹部職の公募に応募した者等について、幹部職に必要な標準 職務遂行能力の有無を判定する適格 性審査を行うとともに、当該審査に合格した者について、定期的に、及び任命権者の求めがある場合その他必要がある場合は随時、幹部候補者名簿を作成し、任 命権者に提示するものとする。
 内閣総理大臣は、上記権限を内閣官房長官に委任するものとする。

 ②幹部職への任用

 職員の幹部職への任用は、幹部候補者名簿に記載された者であって、選考又は人事評価に基づき、当該官職への適 性を有すると認められる者の中から任命権者が行うものとする。
 幹部職員の任免を行う場合には、あらかじめ内閣総理大臣及び内閣官房長官に協議した上で、当該協議に基づいて行うものとする。内閣 総理大臣及び内閣官房長官は、必要と認めるときは、任命権者に対し、幹部職員の任免について協議を求めることができることとする。

 ③幹部職に係る公募

 幹部職に係る公募(官職の候補者の募集)は、内閣総理大臣が、任命権者の通知を受けて、又は任命権者との協議 に基づき、行うこととする。

 ④幹部職等の職務明細書

 任命権者は、内閣総理大臣の同意を得て、任用及び人事評価の基礎とするために、幹部職等の職務の具体的な内容 及び当該官職に求められる能力・経験を記載した職務明細書を幹部職に係るものから段階的に作成するものとする。

 ⑤幹部職員及び管理職員についての定数の設定・改定

 機構・定員管理機能、級別定数管理機能(指定職については号俸格付機能)、柔軟化定数に関する機能を一体的に 発揮することにより、幹部職及び管理職の府省横断的な再配置を行うこととする。

 ⑥その他、任命権者を異にする官職への昇任・転任の調整、人事情報の管理、職務の特殊性を有する職員の取扱等 に関する規定を整備する。

(2)採用昇任等基本方針の記載事項の追加等

 ①採用昇任等基本方針中に、管理職の任用に関する基準、任命権者を異にする官職への昇任・転任の指針、官民の 人材交流の指針、公募に付する幹部職等の数の目標等の公募の指針を定めることとする。
 ②内閣総理大臣は、採用昇任等基本方針に沿った職員の採用等を確保するため、任命権者に必要な措置を講じさせることができることと する。
 
(3)公募

 公募(外部公募、部内公募、内外公募)に付された官職への任命については、公募に応募した者であって、当該者 に共通して用いることのできる能力の実証により、当該官職に必要な標準職務遂行能力及び適性を有すると認められる者の中から行うことを原則とする。
 
(4)幹部候補育成課程

 ①任命権者は、管理職員の職責を担うにふさわしい能力及び経験を有する職員を総合的かつ計画的に育成するため の課程を設けるものとする。
 ②内閣総理大臣は、課程の運用に当たって遵守すべき基準を定めるとともに、基準に照らして必要がある場合には、任命権者に対し必要 な措置をとることを求めることができることとする。
 ③内閣総理大臣は、課程対象職員を対象として、政府全体を通じて行うべき研修を実施するものとする。
 ④課程対象職員の、任命権者を異にする官職への昇任・転任の調整に関する規定を整備する。
 
(5)幹部職員の任用の弾力化等

 ①勤務実績等を勘案した上で、幹部職員の範囲内における降任を弾力的にできる規定を整備する。
 ②適格性審査に合格しなかった幹部職員の降任等を可能とする。
 
Ⅱ 内閣人事・行政管理局(仮称) 設置関係

(1)内閣 人事・行政管理局(仮称)の機能

 ①内閣人事・行政管理局(仮称)は、(ア)政府全体を通ずる国家公務員の人事管理について、国民に説明する責 任を果たすための機能、(イ)基本 法第5条第4項に掲げる幹部職員等の一元管理に関する機能及びこれらに関連する機能、(ウ)行政管理に関する機能等を担うこととする。
 ②上記①の機能を実効的に発揮することができるよう、関係行政機関が担っている機能について内閣官房への移管等を行う。
 (ア)国家公務員制度の企画・立案、中央人事行政機関たる内閣総理大臣を補佐する事務(人事管理の方針・計画等の総合調整、標準職 務遂行能力・  採用昇任等基本方針・人事評価・能率・厚生・服務・退職管理等)、退職手当、特別職の給与等(総務省人事・恩給局関係)
 (イ)行政制度一般の基本的事項、行政機関の機構・定員・運営、機構・定員の審査、行政情報システム、独立行政法人制度、独立行政 法人等の審査等(総務省行政管理局関係)
 (ウ)級別定数の設定及び改定(指定職については号俸の格付)、任用に関する企画立案、方針決定、基準策定、目標設定等(以下「企 画立案等」とい う。)、研修に関する企画立案等、試験に関する企画立案等、人事院が行う勧告・意見の申出・人事院規則の制定改廃に関する要請、人事院が人事院規則を制定 改廃しようとする場合における事前の意見申出(人事院関係)

 ※これらの機能移管に併せ、人事行政の公正確保等の観点から、人事院による意見の申出等必要な措置を講ずる。

 (エ)内閣の庶務のうち人事行政に関する事項(事務次官・局長等の任免の内閣承認等)(内閣官房内閣総務官室関係)
 (オ)総人件費の基本方針、人件費予算の配分方針の企画・立案・総合調整、人事行政の観点からの職員旅費の制度・運用への関与、福 利厚生の観点からの国家公務員宿舎の企画立案への関与等(財務省主計局・理財局関係)
 (カ)官民人材交流センターの運営の指針等(内閣府官民人材交流センター関係)
 
(2)内閣人事・行政管理局(仮称)の組織

 ①内閣官房に内閣人事・行政管理局(仮称)を置く。
 ②内閣人事・行政管理局(仮称)に、内閣人事・行政管理局長(仮称)を置く。
 
Ⅲ 国家戦略スタッフ・政務スタッ フ関係

(1)国家 戦略スタッフの設置

 ①内閣官房に、内閣総理大臣の命を受け、内閣の重要政策のうち特定のものに係る企画立案に関し、内閣総理大臣 を補佐する職(以下「国家戦略スタッフ」という。)を置くことができるものとする。
 ②国家戦略スタッフの任免は、内閣総理大臣の申出により、内閣において行うものとする。
 ③国家戦略スタッフは、非常勤とすることができるものとする。
 ④国家戦略スタッフの給与は、次官級から課長級の幅を持たせた給与体系とする。
 ⑤国家戦略スタッフの服務は、内閣危機管理監に準じたものとする。
 ⑥国会議員は、国家戦略スタッフを兼ねることができるものとする。
 ⑦内閣総理大臣補佐官は廃止する。
 
(2)政務スタッフの設置

 ①各府省に、大臣の命を受け、特定の政策の企画立案及び政務に関し、大臣を補佐する職(以下「政務スタッフ」 という。)を置くことができるものとする。
 ②政務スタッフの任免は、大臣の申出により、内閣において行うものとする。
 ③政務スタッフは、非常勤とすることができるものとする。
 ④政務スタッフの給与は、次官級から課長級の幅を持たせた給与体系とする。
 ⑤政務スタッフの服務は、大臣政務官に準じたものとする。
 ⑥国会議員は、政務スタッフを兼ねることができるものとする。

※その他、関連法において上記に掲げる措置に準じた措置を講ずる。


(添付:工程表のイメージ図)