公 務員制度改革にかかわる資料


行政改革大綱(抜粋)

平成12年12月 1日 閣議決定
平成18年 6月16日 一部改正

 21 世紀の我が国経済社会を自律的な個人を基礎とした、より自由かつ公正なものとするため、これまでの国・地方を通ずる行政の組織・制度の在り方、行政と国民 との関係等を抜本的に見直し、新たな行政システムを構築する必要がある。
 このため、21世紀の開始とともに新たな府省体制を確立し、中央省庁等改革の成果をより確実なものとすることとし、21世紀の国・ 地方を通じた行政の在り方について、1)新たな時代の要請に対応する観点から、内閣機能の強化、省庁の大くくり編成等による総合性、機動性を備えた行政の 実現、2)国民の主体性と自己責任を尊重する観点から、民間能力の活用、事後監視型社会への移行等を図ることによる簡素かつ効率的な行政の実現、3)行政 情報の公開と国民への説明責任の徹底を図ることによる国民に開かれた透明性の高い行政の実現、4)行政事務の電子化、窓口の利便性の向上等を図ることによ る国民本位の質の高い行政サービスの実現、を目指し、今後、平成17年(2005年)までの間を一つの目途として各般の行政改革を集中的・計画的に実施す る。
 こうした見地に立って、今後の行政改革の重要課題として、1)新たな時代にふさわしい行政組織・制度への転換を目指す観点からの特 殊法人等の改革、公務員制度改革、行政評価システムの導入、公会計の見直し・改善、公益法人に対する行政の関与の在り方の改革、2)国と地方の関係を見直 し、地方公共団体の自主性・自立性を高める観点からの更なる地方分権の推進、3)行政と民間との新たな関係を構築する観点からの規制改革、4)その他、電 子政府の実現を始め、省庁再編に伴う運営・施策の融合化、行政の組織・事務の減量・効率化等を推進する。
 これら行政改革の推進に併せ、司法制度改革審議会の意見等を踏まえ、司法機能の充実強化を図るための司法制度改革を推進するものと する。

I 行政の組織・制度の抜本改革

(中略)

2 国家公務 員、地方公務員制度の抜本的改革

 平成13年1月6日を期して行われる中央省庁新体 制の発足に臨み、政治主導の下、公務員に対する国民の厳しい批判(組織への安住、押し付け型の天下り、国民への過度の介入、前例主義、サービス意識の欠如 等)に正面から応える一方、身分保障に安住することのないよう、公務員が持てる能力を最大限に発揮し、強い使命感を持って国・地方が抱える内外の諸課題に 挑戦することにより、公務員に対する国民の信頼を確保するため、公務員制度の抜本的改革を行う。

(1) 公務員への信賞必罰の人事制度の実現

i)年功序列的昇進や年齢給的な処遇を改め、成果主義・能力主義に基づく信賞必罰の人事制度の原則を明確にする など、国家公務員法、地方公務員法等の見直しを行う。その際、まず各主任大臣が労務管理も含めた管理責任を負い、人事院はあらかじめ定められた基準による 事後的チェック機能に当たる役割分担を確立する。

ii)人事評価システムの整備を進めるとともに、採用区分・試験区分に基づく硬直的な人材登用を改める。

iii)女性の積極的登用、中途採用及び社会奉仕活動を評価するなど、多様な人材の確保を可能とする。

(2) 再就職に関する合理的かつ厳格な規制

i)出身省庁の権限を背景とした押し付け型天下りとの疑いを持たれる再就職に関する合理的かつ厳格な規制を導入 する。省庁の関与により再就職する場合は、主任大臣の直接の承認を必要とし、主任大臣は直ちにこれを公表するほか、公務員退職後に行われる再就職の際の新 たな行為規制を導入する。また、公務員の海外研修直後の退職に関する規制措置を講ずる。

ii)特殊法人等を渡り歩くことにより、数次にわたる高額の役員退職金及び役員報酬を受け取ることがないよう、 これらの法人に役員定年制を設け、また、国との関係及び法人に従事する公務員の身分関係の整理を含め、これらの法人への役員出向制度の創設などによる適正 化のための所要の措置を講ずる。

iii)高齢化時代に則した定年延長及び早期退職勧奨の是正措置を考慮した上で、個人の人生設計の自由、絶えず 変化し得る人的資源の最適な配置という視点に立ち、長期勤続者が過度に有利となる退職手当制度を改め、あるいは官民の年金制度の相違を解消することを検討 する。

(3) 官官、官民間の人材交流の促進

 公務員が行政組織で培った専門的能力を民間で活かせるようにするとともに、民間の多様な人材を行政に受け入れ ることにより、行政の総合力を高める。そのため、企画立案に関わるポストを中心に、外部(民間、他省等)から一定数以上の任用を積極的に進めるとともに、 司法改革と連動しつつ、隣接領域との人材の流動性を確保するための改革を行う。

(4) 大臣スタッフの充実と政策目標の明示

 政府・与党が国民に示した公約・政策目標を達成するため、大臣政務官制度の運用を考慮しつつ、内閣の一員であ る国務大臣の企画立案を直接補佐するための官房審議官制の活用、任期付職員の採用等により、大臣はスタッフを当該行政機関外(他省、民間)からも実際に登 用することとする。

(5) 中央人事行政機関等による事前規制型組織・人事管理システムの抜本的転換

 中央人事行政機関等が、事前かつ個別・詳細に各組織の定数(給与)、機構・定員をチェックする仕組みを見直 し、各行政機関ごとに総人件費・総定員の枠内で各主任大臣が組織・人事制度を設計・運用するシステムとする。
 中央人事行政機関等は、あらかじめ明確な基準を設定するとともに、その遵守をチェックすることとする。

(6) 法令・予算の企画立案と執行の分離

i)中央省庁等改革基本法(平成10年法律第103号)の趣旨に沿い、組織・人事管理面での裁量の余地の拡大を 前提に、各主任大臣は権限と責任を明確にしつつ、組織としての能力を最大化するための最適な組織にするため、自主的に人事面、業務面、組織面における企画 立案と執行の分離を進める。

ii)執行事務については独立行政法人化を進め、公務員でなければ取り扱えない事務以外は外部委託等を活用す る。

(7) その他
 上記の内容に従い、「中央省庁等改革の推進に関する方針」(平成11年4月27日中央省庁等改革推進本部決定)の具体化を進める。

(中略)

VII 今後における行政改革の推進体制


 本大綱に定められた改革事項について今後平成17年(2005年)までの間を一つの目途として集中的な実施を図るため、内閣総理大 臣を本部長とする新たな行政改革推進本部を内閣に設置することとする。
 また、政府は、毎年度本大綱の実施状況に関するフォローアップを行うこととし、その結果を同本部に報告するとともに公表する。