NETニュース934 人事院勧告をうけて全人連に要請(8/9)


地方公務員の賃金・労働条件改善を

= 16勧告後に公務労組連絡会が全人連に要請 =

 公務労組連絡会は8月9日、自治労連と全教とともに全国人事委員会連合会(全人連)に対して「地方人事委員会の勧告に関する要請書」を提出して、地方人事委員会での積極的な対応を要請しました。

要求をふまえてすべての職員の賃上げにつながる勧告を

 全人連に対しての要請は、公務労組連絡会からは蟹澤副議長、川村事務局長、米田事務局次長、松井書記、自治労連から中川書記長、全教から小畑書記長が参加しました。
 全人連は副会長の大阪府人事委員会の栗原委員長ほか9人の県と政令市の人事委員会代表が対応しました。

 蟹澤副議長が栗原副会長に「地方人事委員会の勧告に関する要請書」(別掲)を手交し、以下のように発言しました。
○ 昨日8月8日に人事院勧告がだされ、3年連続のベア勧告となったがその水準は0.17%、708円と昨年を下回り、一時金も0.1月改善にとどまっており、公務労働者の生活を改善するには程遠いものと感じている。政府として28兆円超の経済対策を講じようとしているが、真に景気回復を実現し、地方を活性化するためには、最低賃金の大幅な引き上げとともに公務員賃金の改善が不可欠だ。その点では、各県、政令市の人事委員会の今年の勧告は極めて重要である。住民本位の地方自治や教育の拡充のためにも、公務労働者の要求も踏まえた積極的な勧告を行うよう求める。

 これに対して、栗原副会長は以下のように回答しました。
● ただいまの皆様からの要請につきましては、確かに承りました。早速、全国の人事委員会にお伝えいたします。
 さて、ご存じのとおり、8月8日に人事院勧告が行われました。本年の官民較差は、民間における賃金の引上げを図る動きを反映して、民間給与が公務員給与を平均708円、率にして0.17%上回っており、この較差を埋めるため、初任給の引上げと若年層を中心とした俸給表水準の引上げを行うこととしております。

 特別給につきましても、民間における好調な支給状況を反映して、民間が公務を上回ったことから、支給月数を0.1月分引き上げることとし、引上げ分は勤勉手当に配分することとしております。

 また、配偶者に係る扶養手当の見直しとして、平成29年度から、段階的に配偶者に係る手当額を他の扶養親族に係る手当額と同額まで減額し、それにより生ずる原資を用いて子に係る手当額を引上げることとしております。
 加えて本年は、介護や育児にかかる民間労働法制の改正内容に即して、育児休業法改正の意見の申出及び勤務時間法改正の勧告として、介護休暇の分割取得、介護時間の新設、育児休業等に係る子の範囲の拡大等の改正を行うこととしております。
 このほか、公務員人事管理に関する報告では、人材の確保及び育成、働き方改革と勤務環境の整備、高齢層職員の能力及び経験の活用について意見が述べられております。

 詳細につきましては、これから人事院の説明を受けますが、国家公務員と地方公務員の立場の違いはありつつも、人事院の勧告は、各人事委員会が勧告作業を行う上で、参考となるものであることから、その内容については、十分に吟味する必要があると考えております。
 今後、各人事委員会は、皆様からの要請の趣旨も考慮しながら、それぞれの実情等を勘案し、主体性をもって対処していくことになるものと考えております。
 改めて申すまでもありませんが、各人事委員会といたしましては、本年も、中立かつ公正な人事行政の専門機関として、その使命を果たしてまいります。
 全人連といたしましても、各人事委員会の主体的な取組を支援するとともに、人事院、各人事委員会との意見交換に十分努めていきたいと考えております。

2016年8月9日

全国人事委員会連合会
 会 長  青山 佾 殿

公 務 労 組 連 絡 会    
   議 長 猿橋 均 
  全国自治体労働組合総連合 
中央執行委員長 猿橋 均 
全日本教職員組合     
中央執行委員長 蟹澤 昭三

地方人事委員会の勧告に関する要請書

 日頃から地方公務員の労働条件の改善に努力されていることに敬意を表します。
 人事院は8月8日、国家公務員一般職の給与にかかわって、本年4月にさかのぼって月例給および一時金の引き上げ、本府省業務手当の支給率の引き上げと、配偶者にかかる扶養手当の削減を含む見直し勧告を内閣と国会に対して行いました。

 この勧告は、霞が関に働く国家公務員と他の国家公務員および地方公務員との間の賃金格差をひろげるものです。また、扶養手当の見直しは、政府の要請を一方的に受け入れ、労働組合に対する説明・協議も十分に行われないもとでの勧告であり、労働基本権の代償機能の役割を人事院が投げ捨てた暴挙と言わざるを得ません。いうまでもなく、地域に働く公務員の賃金や諸手当は、地場賃金にも連動して地域経済に影響を及ぼすものであり、扶養手当の改悪は断じて認められません。

 あわせて、育児休業や介護休暇など両立支援に係る勤務時間法等の改正を勧告しています。この勧告は、民間に適用される育児介護休業法の改正を受けたものであり、その内容は一定評価されるものの、育児・介護を取り巻く現在の状況からすれば、不十分と言わざるを得ません。

 非正規雇用や低賃金労働が増大し実質賃金が減少・停滞するなか、生活改善をはかるうえで、地方公務員・教職員の賃金改善が強く求められます。また、報酬比例部分年金の支給開始年齢が今年4月から62歳に引き上げられたことから、雇用と年金の確実な接続と賃金の改善は喫緊の課題となっています。

 今後、各地の人事委員会において、本年の勧告にむけた作業がおこなわれますが、住民の暮らしを支える公務労働者の労苦に応えるためにも、下記要求の実現に尽力されることを強く要請いたします。

              記

1、公務員賃金の持つ社会的影響力を考慮し、賃金を改善する勧告を行うこと。特に、人事院勧告に追随することなく、地方における公民較差を的確に把握し、較差を解消する勧告を行うこと。
 最低賃金以下の水準となっている高卒初任給と再任用職員の賃金を大幅に引き上げ、初任給については在職者調整を行うこと。また、地域経済を冷え込ませ、高齢者の生活を破壊する「給与制度の総合的見直し」は中止すること。

2、配偶者に係る扶養手当について、削減や見直しは行わないこと。

3、地方公務員や関連労働者、臨時・非常勤職員の生活実態をふまえ、「全体の奉仕者」として誇りと尊厳を持って職務に専念できるよう、賃金・労働条件の改善・充実をはかる勧告を行うこと。

4、給料表については生計費原則に立った構造とし、職務による格差の拡大、中高年層の給与の抑制をやめるとともに、初任給改善、号給足伸ばしなど必要な措置を講じること。また、比較対象企業規模を「100人以上」にすること。

5、職員の誰もが意欲をもって働き、住民に信頼される中立・公正な地方行政を確保する観点から、人事評価を給与や手当に反映させないこと。

6、教員の給与勧告にあたっては、地方公務員法および人材確保法にもとづき、勤務実態に応じた適切な給与水準を確保すること。

7、誰もが定年まで働き続けられる条件整備として、正規職員を増員することをはじめ実効ある超過勤務縮減にむけた具体的措置を講じること。

8、臨時・非常勤職員について、パート労働法・改正労働契約法の趣旨もふまえつつ、賃金をはじめ休暇制度など労働条件の改善、雇用の安定・均等待遇の実現などにむけて必要な対策を行うこと。すべての人事委員会で臨時・非常勤職員の実態を把握し、改善措置を勧告すること。

9、確実な「雇用と年金の接続」のため、定年延長により希望するすべての職員の雇用を保障すること。現行の再任用職員の賃金については、生活を維持するにふさわしい水準に引き上げること。

10、勧告にあたっては、適切な時期に労働組合の意見を聴く場をすべての人事委員会が設けるとともに、勧告に反映させるなど誠意をもって対応すること。

以上

  • はてなブックマークに追加