NETニュースNO.980 全人連へ要請(8/10)


生計費原則を踏まえて積極的な賃金改善を

= 18年人事院勧告をうけて全人連に要請 =

全人連へ要請  公務労組連絡会は8月10日、自治労連と全教とともに全国人事委員会連合会(全人連)への要請を行いました。
 要請には、公務労組連絡会の猿橋議長、中村副議長、西幹事、松井書記、全教から米田副委員長、自治労連から竹内書記次長が参加し、全人連は副会長の栗原大阪府人事委員会委員長ほか9人(北海道、宮城県、静岡県、愛知県、東京都、広島県、香川県、福岡県、横浜市)の人事委員会代表が対応しました。

 冒頭、猿橋議長が「地方人事委員会の勧告に関する要請書」(別掲)を栗原氏に手交し、「5年連続のベア勧告となったが、およそ公務労働者の生活を改善するには程遠い。生計費原則を踏まえた賃金改善が必要だ。西日本豪雨災害で週の半分は寝泊まりし、業務をこなしている自治体職員もいる。奮闘に応えるため、正規・非正規を問わずすべての公務労働者の賃金・労働条件を改善するよう求める」とのべました。
 また、自治労連の竹内書記次長、全教の米田副委員長が、それぞれの職場実態を踏まえて要請しました。

 これに対して、全人連側からは以下のような回答がありました。

《全人連の栗原副会長の回答》

 所要により全人連会長が不在のため、私から全国の人事委員会を代表してお答えいたします。
 ただいまの皆様からの要請につきましては、確かに承りました。
 早速、全国の人事委員会にお伝えいたします。

 さて、本日、人事院勧告が行われました。
 本年の官民較差は、民間における賃金の引上げを図る動きを反映して、民間給与が公務員給与を平均655円、率にして0.16%上回っており、この較差を埋めるため、初任給の引上げと若年層を中心とした俸給表水準の引上げを行うこととしております。
 特別給につきましても、民間事業所における好調な支給状況を反映して、民間が公務を上回ったことから、支給月数を0.05月分引き上げることとし、引上げ分は勤勉手当に配分することとしております。

 このほか、公務員人事管理に関する報告では、国民の信頼回復に向けた取組、人材の確保及び育成、働き方改革と勤務環境の整備について意見が述べられております。また同日、定年引上げについても意見の申出がされたところです。

 詳細につきましては、これから人事院の説明を受けますが、国家公務員と地方公務員の立場の違いはありつつも、人事院の勧告は、各人事委員会が勧告作業を行う上で、参考となるものであることから、その内容については、十分に吟味する必要があると考えております。

 今後、各人事委員会は、皆様からの要請の趣旨も考慮しながら、それぞれの実情等を勘案し、主体性をもって対処していくことになるものと考えております。
 改めて申すまでもありませんが、各人事委員会といたしましては、本年も、中立かつ公正な人事行政の専門機関として、その使命を果たしてまいります。

 全人連といたしましても、各人事委員会の主体的な取組を支援するとともに、人事院、各人事委員会との意見交換に十分努めていきたいと考えております。

以上

 (全人連への要請書)
2018年8月10日
全国人事委員会連合会
 会 長  青 山  佾 殿
公 務 労 組 連 絡 会    
議  長  猿 橋   均

日本自治体労働組合総連合
 中央執行委員長 猿橋  均

 全 日 本 教 職 員 組 合       
中央執行委員長 中村尚史

地方人事委員会の勧告に関する要請書

 日頃から地方公務員の労働条件の改善に努力されていることに敬意を表します。
 人事院は8月10日、国家公務員一般職の給与にかかわって、本年4月にさかのぼって月例給と一時金の引き上げなどの勧告と国家公務員への超過勤務上限規制の導入などの報告を内閣と国会に対しておこなうとともに、国家公務員の定年の引上げについて政府の検討要請に対する見解の表明をおこないました。

 人事院の勧告は、生活を改善するには程遠く、現給保障の廃止による高齢層と若年層の世代間格差や地域手当や本府省業務調整手当による地域間格差の是正を求める声に背をむけたものです。また、政府による非正規労働者の待遇改善方針にも反して、非常勤職員の抜本的な処遇改善にも及び腰となっており、労働基本権の代償機能を果たしたものとは到底言えないものです。

 非正規雇用、低賃金労働が増大し、実質賃金が減少・停滞するなか、生活を改善し、景気の回復や地方活性化のためにも地方公務員・教職員の賃金改善が強く求められます。また、定年引き上げに関わって、現行の賃金水準を引き下げることなく定年まで働き続けられる職場・仕事づくりが急務であり、人員増による長時間過重労働の解消は待ったなしの課題です。

 今後、各地の人事委員会においても、本年の勧告にむけた作業がおこなわれますが、住民の暮らしを支える公務労働者の労苦に応えるためにも、下記要求の実現に尽力されることを強く要請いたします。


1、公務員賃金の持つ社会的影響力を考慮し、賃金を改善する勧告をおこなうこと。特に、人事院勧告に追随することなく、地方における公民較差を的確に把握し、較差を解消する勧告をおこなうこと。
 また、民間よりも低い高卒初任給を大幅に引き上げること。

2、定年引き上げにあたっては、現行の賃金水準を引き下げることなく定年まで働き続けられるよう労働条件を改善すること。現行の再任用職員の賃金については、生活を維持するにふさわしく大幅に引き上げること。また、制度設計にあたっては、当該の労働組合との誠実な交渉・協議を行うこと。

3、地方公務員・関連労働者、臨時・非常勤職員の生活実態をふまえ、「全体の奉仕者」として誇りと尊厳を持って職務に専念できるよう、賃金・労働条件の改善・充実をはかる勧告をおこなうこと。

4、給料表については生計費原則に立った構造とし、職務による格差の拡大、中高年層の給与の抑制をやめるとともに、初任給改善、号給足伸ばしなど必要な措置を講じること。また、比較対象企業規模を「100人以上」にすること。

5、職員の誰もが意欲をもって働き、住民に信頼される中立・公正な地方行政を確保する観点から、人事評価制度は能力開発に限定し、評価結果を給与や手当に反映させないこと。

6、教員の給与勧告にあたっては、地方公務員法および人材確保法にもとづき、勤務実態に応じた適切な給与水準を確保すること。

7、誰もが定年まで働き続けられる職場づくりのため、定数増を含む実効ある超過勤務縮減措置を講じること。また、2017年1月20日に策定された「労働時間の適正な把握のための使用者向けの新たなガイドライン」にもとづき、労働時間を適正に把握し、時間外勤務手当等を適切に支払うよう任命権者を指導すること。

8、臨時・非常勤職員について、賃金をはじめ休暇制度など労働条件の改善、雇用の安定・均等待遇の実現などにむけて必要な対策をおこなうこと。2020年4月の会計年度任用職員制度導入にあたっては現行の臨時・非常勤職員の雇い止めが生じないよう配慮し、すべての人事委員会が実態把握をおこない、改善措置を勧告すること。

9、すべての人事委員会で適切な時期に労働組合の意見を聴き、誠意をもって勧告に反映させること。(以 上)