NETニュースNO.978 公務部会・公務労組連絡会が定期総会開く(7/20)


被災者を支える行政の確立、公務労働者の要求実現へ決意新たに

= 公務部会・公務労組連絡会が定期総会を開催 =

 公務部会・公務労組連絡会は7月20日、全国教育文化会館で定期総会を開催し、賃金・労働条件の改善、公務・公共サービス拡充、労働基本権回復など民主的公務員制度確立、地方組織の結成・強化にむけた1年間の方針を確立しました。

 代議員・幹事会等81人が参加するもと、討論では、西日本豪雨災害での復旧・復興がリアルタイムで行われているなか、市町村合併の弊害や多くの非正規職員が超過勤務手当の支給がないまま、ただ働きで復旧・復興に全力を注いでいる状況が明らかにされ、長時間労働の是正、国民・住民の命とくらしを守る公務サービス拡充にむけた、職場・地域でのさまざまなとりくみが報告され、運動方針を豊かに補強しました。

憲法をいかし国民生活を守る公務サービスの実践を

定期総会 11時から始まった公務労組連絡会の第55回定期総会は、岡部勘市副議長(国公労連委員長)が開会にあたってあいさつし、自治労連の久保貴裕中央執行委員、全教の有馬理江子副委員長の2人の議長団が議事を進行しました。

  主催者あいさつで公務労組連絡会の猿橋均議長(自治労連委員長)は、「西日本豪雨災害に際してお見舞い申し上げ、救援に全力をあげている皆さんの尽力に心から敬意を表する。憲法をいかし国民生活を守る姿勢こそ求められている。安倍政権と対決する共同を広げ、国・地方で実践していこう」とのべました。

 来賓として駆けつけた全労連の橋口紀塩事務局長代行は、「最低賃金改善、『働き方改革』阻止、安倍9条改憲阻止3000万人署名の達成、ILO勧告に沿った労働基本権の確立は、公務労働者の奮闘にかかっている」と奮闘を訴えました。
 民間部会の澤村直幹事(福祉保育労書記長)は、「国民のいのちと暮らしを守れない安倍政権にノーをつきつけよう。公務部会と民間部会で共同し、社会的にアピールしてきた。ともにたたかおう」と呼びかけました。

 延長国会最終盤の与野党攻防がつづくなか、国会から駆けつけた日本共産党の吉良よし子参議院議員は、「豪雨災害の真っただなか、安倍首相らは高級料亭で宴会に興じていた。様々な悪法を阻止し、後世にツケを回してはならない。安倍内閣の責任を追及したたかいぬく」と決意を込めてあいさつしました。

 公務労組連絡会の運動方針案を米田雅幸事務局次長が提案し、議案は満場一致で採択されました。

軍拡よりもくらしを守れ、安倍改憲を許さない世論構築へ

  午後からは、全労連公務部会の第21回定期総会が開催されました。川村好伸事務局長が運動方針案等を一括して提案、討論では、7単産、13地方組織の20人から発言がありました。(別掲)

 総括答弁と討論のまとめを川村事務局長がおこない、「消費税増税反対も柱に据えて、軍拡よりくらし守れ、災害復興、安倍改憲NOの世論を構築するために奮闘しあおう」と呼びかけました。

 すべての議案は満場一致で採択され、秋山正臣(国公労連副委員長)新事務局長をはじめ役員体制を承認、総会宣言(別掲)が満場の拍手で採択されました。
 最後に、中村尚史代表委員(全教委員長)が閉会あいさつし、猿橋代表委員の団結ガンバロウで総会を閉じました。

公務員賃金改善、大幅増員、非正規職員の均等待遇へ活発な討論

北海道公務共闘
 シンポジウム「壊れゆく公務」に88人が参加。国公労連、自治労連、全大教などから、人手不足や航空管制官の安全業務の実態、道教組から工場のように生徒が扱われている現状など、公務労働者のやりがいで成り立っている現状が報告された。

愛媛公務員共闘
 西日本豪雨災害は県内で26人が死亡、5千棟余りが床上浸水した。今春闘で県知事と教育委員会あてに要求書を提出、県は初任給を2号俸引き上げた。災害時の公務労働者の対応、地域活性化なども追及した。組織拡大もすすめ、政治の転換に努力していく。

公務労組九州ブロック
 昨年の九州北部豪雨災害は、福岡の上空から見ると山が大きく崩れていた。復旧・復興はすすんでいない。第一線では、民間の労働者や生活関連公共事業者との連携も必要だ。今後も広域化する自然災害への対応も必要となってくる。公務にかかわる重要な課題だ。

岡山県公務共闘
 倉敷の小田川氾濫で60人余りの死者がでた。土日だったが、職場の一部に避難指示がでた。災害時対応を示す必要がある。災害時にはあらためて人材確保の必要性を感じた。秋と春に県人事委員会に要請。人手不足や非常勤職員の処遇改善を求めている。

静岡県公務共闘
 今月、人事院中部事務局と県人事委員会への要請にとりくんだ。県人事委員会は、定年延長は国に準ずるものであり、人事院の見解を注視していると回答。人員の確保と総労働時間の抑制を求めていく。

青森県公務共闘
 市民に呼びかける憲法街頭宣伝を、真冬の氷点下でも毎月1回つづけ、200回を達成した。臨時講師の問題で、人事委員会に繰り返し訴えるなか、年休の繰り越しで要求が前進した。非正規職員問題では雇用継続を求めて署名にとりくみ、人事委員会、県当局との交渉で追及する。

大阪公務共闘
 憲法15条で公務員は全体の奉仕者と明記されているが、不正があいつぐもとキャリア公務員は全体の奉仕者ではない。総務省は自治体の評価制度を問題視している。評価制度のもと、大阪市では職員2人が分限解雇されている。

自治労連北海道・東北ブロック
 人事評価制度は公務労働者の誇りと働きがいを奪う。東日本大震災から7年以上が経過するなか、被災地では6千人以上の人がいまだに仮設住宅での生活を強いられている。発生から10年で復興庁が廃止される。まともな政治に変えていこう。

愛知県公務共闘
 3月と7月に人事院中部事務局と要求交渉を実施。2月に公務・公共業務交流集会を開催した。公務共闘のニュースで、奨学金制度の問題、名古屋市内の高校閉校撤回、社保庁不当解雇撤回のたたかいをしらせてきた。ニュースの発行で、横のつながりが広がっていることを実感した。

高知県公務労組連絡会
 住民の命と暮らしを守る自治体労働者のあり方を考える自治研集会を、10月に高知で開催する。初任給は民間と3万円ほどの差があり、保健師・技術者の人材確保ができない。災害が起きたら住民の命とくらしを守れるのか不安だ。春闘では学習にむけたビラをつくっている。

神奈川県公務共闘
 鎌倉市の不当労働行為事件は、17年10月からいきなり賃金を17.9%引き下げられたことが発端。自治労連と県労連で「鎌倉市政を市民と働く仲間に取り戻す会」を発足させ、7月に中労委で和解を勝ち取った。3年余りのたたかいに勝利した。

広島県公務労組連絡会
 西日本豪雨災害で、1日5時間勤務の嘱託職員が往復で通勤に10時間かかったり、タクシー勤務やホテルに宿泊して勤務をつづけている。非正規ではなく正規の増員を。任期の定めのない常勤職員が重要。議員要請などで非正規の実態を伝えるとりくみをすすめていく。

京都公務共闘
 京都知事選では、福山氏が善戦し、最高の得票率を獲得した。2年後には市長選挙もたたかわれる。京都総評が最低生計費試算調査にとりくむ。地域間格差を是正する積極的なとりくみだ。会計年度任用職員問題について、公務大産別として国に対して財源確保を要求してほしい。

国公労連 中本 邦彦 中央執行委員
 社保庁の分限免職取り消しのたたかいは10年目の闘争となるが、広島、愛知、高松、仙台など各地で裁判闘争をたたかっている。公務の公平性や平等の原則、整理解雇の4要件では、人員削減の必要性がなかったのは明らかだ。引き続く支援をお願いする。

全教 山本 乃里子 中央執行委員
 教職員の働き方について昨年5月にアンケートを実施し、独自の提言を発表した。ゆとりある働き方、子どもたちを大切にする働き方につながるよう、概算要求期での「えがお署名」に続き、7月から「ゆき届いた教育全国署名」をすすめる。

国公労連 西口 想 書記
 国家公務員の定年延長は、人件費削減を前提にした制度設計で60歳超で賃金の切り下げとなる。国公労連は7月に非常勤職員集会を開いた。雇用の継続、休暇制度の均等待遇を求める声が多くだされた。業務は増えており、定員増が必要。増員を次年度のたたかいの柱にすえる。

特殊法人労連 出口 潔 幹事
 「奨学金の会」は52,000人の署名を集め、十分とは言えないが給付制奨学金ができた。10年間の運動の成果だ。社会保険診療報酬支払基金は、カルテからレセプトを作成する地味な仕事だが、東日本大震災で被災3県のデーターを大阪まで運んだ。支払基金が各県ごとにあることが重要だ。

自治労連 水谷 文 中央執行委員
 自治体の集中改革プランで職員が減らされるもと、西日本豪雨災害の救援、復旧で人員不足が指摘されている。「働き方改革」では、36協定を結ばずに超過勤務を行っている病院職場もある。自治労連は昨年からリーフレットを2種類つくり、職場訪問活動をしている。

自治労連 小泉 治 中央執行委員
 安倍首相が9条改憲に執念を燃やすなか、3千万人署名を広げていくことが重要。自治労連は独自のハガキリーフを作成し、全国各地で活用してきた。励ましの電話もある。憲法をいかし、住民生活を守るためキャラバン行動を単組から実施する。

全教 小畑 雅子 書記長
 不正入学を見返りに求めた文科省の局長が、受託収賄罪で逮捕された。安倍政権の大学政策が根本にある。教育の無償化を実現するため、世論と運動をひろげて奨学金制度のさらなる拡充を求めてきた。子どもの権利を守り、9条改憲を許さないたたかいに全力をあげる決意だ。

以 上


総 会 宣 言


 全労連公務部会・公務労組連絡会は、東京都内において全労連公務部会第21回定期総会、公務労組連絡会第55回定期総会を開催し、この一年間のたたかいを総括するとともに、2018年度方針を確立した。総会では、憲法尊重・擁護の義務を負う公務労働者として、憲法改悪を許さず、国民犠牲の政治を転換させるため、幅広い国民との共同を拡大して、全国の職場と地域から全力でたたかう決意を固めあった。

 大規模な自然災害が次々と発生している。6月18日、大阪府内を震源とする震度6の地震が発生し、死者4名、約28,000棟におよぶ大規模な家屋被害が発生した。また、7月5日から8日にかけて西日本を中心に襲った豪雨は、23府県で600万人を超える人々に避難指示・勧告がだされるものとなった。死者と行方不明者は220名を超え、浸水や土砂災害による被害は広範囲かつ甚大なものとなっている。いま、多くの公務労働者が、被災者の救援をはじめ、被災地の復旧・復興にむけて昼夜を問わず奮闘している。国民・住民のいのちとくらしを守るためにも、これ以上の定員削減を許さず、公務・公共サービスの拡充を求めて奮闘しよう。

 18年の人事院勧告や最低賃金改善をはじめとする夏季闘争が山場を迎えている。公務員賃金は、多数の労働者に影響するとともに、地域経済にも大きくかかわっている。「給与の総合的見直し」によって、地方で地道に働いてきた高齢層の公務労働者が賃下げとなる大打撃を受け、扶養手当の改悪による賃下げも重なっている。政府は、定年の引き上げを検討しているが、安心して働き続けることができる制度を実現しなければならない。

 不安定雇用労働者の生活に直結している最低賃金は、低すぎてダブルワーク、トリプルワークを余儀なくされている。国際的にみても日本だけ労働者の実質賃金が下がっている。低迷する個人消費を活性化するためにも、最低賃金と公務労働者の賃金の大幅な引き上げを求めていこう。

 ILOは、公務員への労働基本権の付与、消防職員と監獄職員に対する団結権保障などをはじめとする2つの勧告を日本政府に対して行った。労働基本権の回復は、国民・住民本位の行政、子どもが主人公の教育を実現するために必須の課題であり、政府は憲法と国際労働基準に沿った公務員労働者の権利回復に向け、早急に協議を開始すべきだ。同時に、職場での学習をはじめとするとりくみを強めよう。

 安倍政権は、改憲にむけた姿勢を崩していない。また、行政の私物化、文書改ざん、隠ぺいなどにみられるように政権の長期化のもとで行政を歪め、公務員を一部の奉仕者へと変質させてきた。それだけでなくごまかしやすり替えなど、国会を軽視して審議を形骸化させ、「働き方改革」関連法、TPP11、参院定数増、カジノ実施法などの悪法を強行成立させてきた。

 日本はいま、民主主義の危機にある。立憲主義の回復と主権者たる国民を主人公とする民主主義を取りもどすため、安倍政治を転換させる広範な市民と野党の共闘をさらに大きく発展させよう。

 全労連公務部会・公務労組連絡会は、中央・地方での奮闘によって切り開いてきた要求の前進面や官民共同の広がりなど、この間の運動の到達点を確信にして、安倍政権の暴走・憲法改悪を阻止し、公務・公共サービス、教育を拡充するために職場・地域から全力をあげて奮闘するものである。

 以上、宣言する。

2018年7月20日
全労連公務部会第21回・公務労組連絡会第55回定期総会