NETニュースNO.969 18春闘要求で政府・人事院と最終交渉



切実な要求にきわめて不満な回答に終始

= 18春闘統一要求をめぐって政府・人事院と最終交渉 =


 公務労組連絡会は、2月に政府・人事院に提出した「18春闘統一要求」にかかわって最終交渉にのぞみました。
 人事院との交渉は3月23日、内閣人事局との交渉は26日におこなわれ、最終回答は、「情勢適応の原則にもとづき、必要な勧告を行う」(人事院)、「人勧制度を尊重する」(内閣人事局)など、職場からの切実な要求に何ら答えない不満なものでした。
 最終回答をうけて、幹 事会声明を発表、引き続き春闘をたたかっている民間の仲間を支援するとともに、職場からのたたかいの継続を呼びかけました。
 

人事院交渉(3/23)

定年の引き上げへ人事管理諸制度の具体的な設計をすすめる


人事院  人事院との交渉には、猿橋議長と中村副議長、川村事務局長、米田・杉本の各事務局次長、中本中執(国公労連)、松井書記の7人でのぞみ、人事院側は給与局 第一課の森谷明浩課長補佐と職員福祉局職員福祉課の伊藤弘巳勤務条件調査官ほかが対応しました。

 交渉にあたって猿橋議長は、「3月16日の中間交渉では、組合員の切実な生活実態や将来に向けた不安、職場での長時間労働の蔓延など、切実な実態と改善すべき課題について訴えてきた。公務労働者の生活や労働のきびしい実態の改善にむけて、『労働基本権制約の代償機関』としての人事院の責任発揮を求める」と最終回答をせまりました。

【人事院最終回答】

 本年の民間の春闘については、今月14日の集中回答日以降、順次回答が行われており、ここまでの状況をみると、月例賃金については、自動車、電機等の大手企業を中心に昨年を上回るベースアップを行う企業が多くなっているものの、横ばいや昨年を下回る企業も見られる。また、一時金については、昨年と比べ増額とした企業が多いものの、減額や業績連動としている企業もあるのが現状。
 人事院としては、引き続き中小企業を含めた民間の動向を注視してまいりたいと考えている。本日は、皆さんからの要求等に対する現段階における人事院の考え方等について、回答させていただく。

1.賃金の改善について

 人事院としては、労働基本権制約の代償措置としての勧告制度の意義および役割を踏まえ、情勢適応の原則にもとづき、必要な勧告を行うことを基本に臨むこととしている。
 俸給および一時金については、国家公務員の給与と民間企業の給与の実態を精緻に調査したうえで、その精確な比較を行い、適切に対処してまいりたい。
 諸手当については、民間の状況、官民較差の状況等を踏まえ、必要となる検討を行ってまいりたい。

2.労働時間の短縮、休暇等について

 人事院としては、職員の健康保持や仕事と家庭生活の両立に加え、魅力ある公務職場の実現のため、長時間労働の是正の重要性はかつてなく高まっていると認識している。
 昨年の勧告時報告で述べたとおり、長時間労働の是正のため、職場におけるマネジメントの強化をはかるとともに、組織全体として業務の削減・合理化にとりくむこと等が必要であり、また、職員の健康管理の観点からは、適切な方法により職員の勤務実態を把握することが重要であると考えている。

 長時間労働の是正のための制度等については、今後、各府省のとりくみや、国会における民間労働法制の議論等をふまえ、各府省や職員団体の皆さんの意見を聴きながら、実効性ある措置を検討することとしている。
 人事院としては、引き続き関係機関とも連携しつつ、長時間労働の是正にむけたとりくみを強力に推進してまいりたい。

 両立支援制度を含む職員の休暇、休業等については、これまで民間の普及状況等を見ながら改善を行ってきたところであり、引き続き、職員団体の皆さんの意見も聴きながら必要な検討を行ってまいりたい。

3.非常勤職員の処遇改善について

 非常勤職員の給与については、昨年7月に改正した指針の内容にそった適切な処遇がはかられるようとりくんでまいりたい。
 非常勤職員の休暇については、「同一労働同一賃金」についての国会における議論等をふまえて、慶弔にかかる休暇等について、必要な検討を進めてまいりた い。

4.高齢期雇用施策について

 質の高い行政サービスを維持していくためには、高齢層職員を戦力として、その能力および経験を本格的に活用することが不可欠と考え ている。そのために は、公務員の高齢期雇用について、65歳までの定年の引き上げによって対応することが適当であると考えており、昨年の勧告時報告でもその旨を述べ、論点整 理を進めてきたところである。

 今般の政府からの検討要請もふまえつつ、今後、定年の引き上げにかかる人事管理諸制度の具体的な設計を行うにあたり、平成23年以 降の諸状況の変化に加 え、民間の諸情勢を参考とするとともに、各府省や職員団体の皆さんの意見、行政現場の実態も聴きながら、鋭意検討してまいりたい。

 再任用職員制度については、民間企業の再雇用者の給与の動向や各府省における再任用制度の運用状況等をふまえつつ、定年の引上げに むけた具体的な検討と の整合性にも留意し、引き続き再任用職員の給与のあり方について必要な検討を行ってまいりたい。

5.女性の活躍推進について

 人事院としては、女性の活躍推進を人事行政における重要な課題の一つと認識しており、女性の採用・登用の拡大や両立支援策の拡充な ど様々な施策を行って きているところである。
 引き続き、女性を対象とした人材確保活動や女性職員の登用にむけた研修、両立支援施策等により、各府省のとりくみが進むよう支援してまいりたい。

6.健康・安全確保等について

 心の健康づくりをはじめとした健康管理対策やハラスメント対策の推進については、公務全体の共通の課題として、各職場においてきめ 細かい対応が重要であ るとの認識に基づき、これまでも各府省と協力して積極的にとりくんできたところである。
 引き続き、各府省と連携して健康安全対策のとりくみを進めてまいりたい。

定年延長にかかわって、あらためて要求書を提出

 以上の回答に対して川村事務局長は、「切実な要求に応える具体的なものは何もなく、たいへん不満である。様々な制約はあるにして も、公務労組連絡会の要 求について、現行制度等についての見直しや検討を行うことが人事院には求められるのではないか」とのべ、賃金要求や労働時間の短縮、臨時・非常勤職員の処 遇改善にかわって、夏の勧告まで引き続く改善にむけた努力を求めました。
 また、定年延長にかかわっては、あらためて要求書を提出して意見をのべていくことを人事院に伝えました。

 最後に猿橋議長は、「春闘統一要求にかかわっての交渉は本日で終了することとなる。夏にむけた展望を示す回答を求めていたが、残念 ながら課題を解決する 方向性は示されなかった。定年延長にかかわっては、働き方の前提を変えるものであり、夏の勧告にむけての人事院の役割発揮と公務労組連絡会との十分な交 渉・協議を求める」とのべて交渉を終えました。

内閣人事局交渉(3/26)

森友文書改ざんは民主的公務員制度の実現にかかわる問題


内閣人事局  内閣人事局との交渉には、猿橋議長と中村副議長、川村事務局長、米田・杉本の各事務局次長、中本中執(国公労連)、松井書記の7人で のぞみ、内閣人事局側 は西水徹総括参事官補佐と西山賢司参事官補佐官ほかが対応しました。

 猿橋議長が最終回答を求めると、西水総括参事官補佐は、「本日は、大変申し訳ないが、大臣が御多忙のため、私から、これまでの検討 結果を踏まえた大臣の 最終回答をさせていただく」とのべ、以下のような回答を示しました。

【内閣人事局最終回答】

 平成30年度の給与については、本年の人事院勧告も踏まえ、国政全般の観点から検討を行い、方針を決定してまいりたい。その際に は、皆様とも十分に意見 交換を行ってまいりたい。

 非常勤職員の処遇改善については、民間における同一労働同一賃金の実現にむけたとりくみなども踏まえながら、皆様のご意見も伺いつ つ、昨年の各府省申合 せにそった処遇改善が着実に進むよう、関係機関とも連携して、必要なとりくみを進めてまいりたい。

 女性活躍とワークライフバランスの推進については、長時間労働を是正するためにも「働き方改革」をいっそう着実に進めていくことが 重要であり、政府一丸 となってとりくんでまいりたい。あわせて、両立支援制度がいっそう活用されるよう、引き続き、皆様のご意見もうかがいつつ、実効ある施策を推進してまいり たい。

 国家公務員の定年の引き上げについては、その論点を整理し、人事院に検討を要請したところであり、人事院における検討を踏まえたう えで、皆様の意見も伺 いつつ、具体的な制度設計を行い、結論を得てまいりたい。
 また、定年退職者の再任用については、引き続き、平成25年の閣議決定にそって政府全体で着実に推進してまいりたい。

 自律的労使関係制度については、多岐にわたる課題があることから、皆様と意見交換しつつ、慎重に検討してまいりたい。
 最後になるが、今後とも公務能率の向上と適正な勤務条件の確保に努めるとともに、安定した労使関係を維持する観点から、職員団体とは誠意を持った話合い によるいっそうの意思疎通に努めてまいりたい。

 猿橋議長は、「公文書改ざんが政治問題に発展しているが、幹部人事の一元化や内閣人事局の創設を問題点に指摘する声もある。使用者 の暴走を許さないため にも、公務労働者の労働基本権の回復は重要課題だ。多岐にわたる課題があるが、一つ一つをあいまいにするのではなく、公務労組連絡会との十分な交渉・協議 を求める」とのべて交渉を閉じました。

以 上