NET ニュースNO.956 定期総会を開催(7/20)


賃金の地域格差をなくし、長時間過密労働の是正を

= 公務労組連絡会・全労連公務部会が定期総会を開催=

 全労連公務部会は7月20日、全労連会館で第19回定期総会を開催しました。賃金・労働条件の改善、公務・公共サービス拡充、労働基本権回復など民主的公務員制度確立、地方組織の結成・強化に向けての方針を確定しました。

 代議員・幹事会等82人が参加し、討論では、単産・地方組織から16人が発言、地域手当の見直しや、長時間労働の是正など多彩なとりくみが語られました。

 午前中には、公務労組連絡会第53回定期総会を開催し、2017年度の方針と新体制を確立しました。

【公務労組連絡会第53回定期総会】

 11時から始まった公務労組連絡会の第53回定期総会は、全教の阿部のぞみ代議員と国公労連の豊田勝利代議員の2人の議長団によって議事を進行しました。

 中村尚史副議長(全教委員長)が開会のあいさつをのべ、猿橋均議長(自治労連委員長)が主催者あいさつしました。
 猿橋議長は、「安倍暴走政治に対する国民の怒りが持続している。安倍政権は憲法をないがしろにして、公務・公共サービス務サービスを壊している。『アベ働き方改革』を許さず、抜本的な政策転換を追求しよう」と呼びかけました。

 来賓あいさつでは、全労連の岩橋祐治副議長が「安倍改憲を許さず1日も早い退陣へと国民と労働者で追いこもう。公務労働者のみなさんは、地域でも常々先見性をもち先頭に立ってがんばっている」と激励しました。

 民間部会を代表してJMITUの笠瀬隆司書記長は、「粘り強いたたかいで3万円の引き上げを勝ちとった組織もある。1年間のとりくみの前進をい かし秋闘では『アベ働き方改革』を持ちこませない。アベ政権退陣にむけ、官民一体でたたかおう」とあいさつし、日本共産党の島津幸弘衆議院議員は、「アベ 政権のウソとごまかしは真実の光が当たれば壊れる。夏から来年にかけて大きなたたかいへ広げよう。政治を変えて安倍政権を退陣させよう」と呼びかけまし た。

 公務労組連絡会の議案提案を秋山正臣事務局次長がおこない、議案は満場一致で採択されました。

【公務部会第19回定期総会】

 昼食・休憩を挟んで、午後13時からは全労連公務部会の第19回定期総会を開会しました。
 川村好伸事務局長が、2017年度運動方針案など諸議案を提案し、討論では、5単産、8地方組織の16人から発言がありました(別記)。

新役員一同  総括答弁と討論のまとめを川村事務局長がおこない、「みなさんの討論で現場の実態が明らかになった。憲法を守るたたかいの強化。定員削減の阻止、増員によ る公務・公共サービスの拡充。非常勤職員の待遇改善。組織拡大を強化し、秋から来年にかけて運動をひろげよう」と呼びかけました。

 満場一致ですべての議案を採択し、2017年度の新役員を選出しました。総会宣言(別記)を市塚絢子幹事が提案し、拍手で採択されました。

 最後に日巻直映代表委員(郵政ユニオン委員長)の閉会あいさつと猿橋均代表委員議長の団結ガンバロウで総会を閉じました。

【討論概要】

(1) 公務労組九州ブロック
 人事院九州地方事務局は、地域間格差の是正にむけた地域手当の廃止と本俸繰り入れは、地方の要求として受け止めると回答した。地方では地域間格 差が非常に大きい。東京はアップし地方は下がるのはおかしい。九州北部豪雨大災害が発生し大きな被害がでている。安倍首相の現場視察は、現場の労働者に大 きな負担がかかっており問題だ。

(2) 北海道公務共闘
 北海道公務共闘として7月5日に「壊れゆく公務」市民集会を開催し、新聞にも掲載された。最低生計費試算調査結果をもとにして、人事院北海道地 方事務局に、25歳独身では22万円は必要だと訴えてきた。非正規課題では、7月15日に初めて全道集会を開き、官製ワーキングプアや旭川の公契約条例に ついても語った。

(3) 大阪公務共闘
 地域手当は近隣の市で金額が異なっており、制度の廃止を人事院近畿地方事務局に求めている。臨時・非常勤職員については、どの職場も常勤職員と 同数か、それ以上の非常勤職員が働いており、正規と同様の待遇改善を実施すべきだ。公務労働者の要求を実現するため近畿からも訴えていく。

(4) 自治労連北海道・東北ブロック
 岩手では非正規職員が半数を占め、年度末に雇用がどうなるのかビクビクしている。非常勤職員問題では、単組の執行部が学習し、当事者に知らせて組合加入を呼びかけている。平泉町では非正規職員と交流し、組合加入を呼びかけ、8人が参加して1人加入した。

(5) 愛知県公務共闘
 昨年の12月12日に総会を開き、前段には弁護士を講師に1時間TPPの学習会を開いた。3月9日には公共業務交流集会を開催した。年に一度実 施している。3月9日(春闘統一要求)と7月10日(夏季重点要求)に中部人事院事務局交渉にとりくみ、この行動を5年続けてきた。

(6) 神奈川公務共闘
 神奈川は、鎌倉市による組合事務所問題や私教連問題など多くの争議をかかえているが、公務産別だけでなく民間にも呼びかけ、支援行動には毎回 50~80人が参加している。鎌倉市では、労使合意を市議会が一方的に否定し、一方的に17%賃金カットした。泣き寝入りできない。市民と一緒に反撃して いきたい。

(7) 山口県公務共闘
 8月には配偶者手当の削減反対で団体要請を実施。16年の県人事委員会勧告は、給料表は国なみで、配偶者手当は見直しを勧告しなかった。一定の成果が現れた。山口県は安倍首相の「足下の県」であり、アベノミクスの地方版が実施され、「忖度」で行政が行われている。

(8) 福岡県公務共闘
 豪雨大災害で34人の死亡と7人の不明者がでている。東日本大震災以降、度重なる大災害に自治体労働者は24時間、1週間も通しで対応に追われる。大阪、広島、山口、長崎、佐賀からも応援にきている。勤務管理をする人もなく過酷な現場、一般職も特別職も関係ない。

(9) 自治労連・久保中央執行委員
 自治労連は長時間労働の是正と予算・人員増を求めるため、3年間ですべての組合が要求書を提出し交渉を行うよう提起した。5~6月に「全国いっ せい職場訪問活動」を実施した。各地から組織拡大に結びついた事例がそれぞれの特色をもって報告されている。自治体当局に労基法33条3項の厳格な運用を 求めるとともに、国にも改善を要求していく。

(10) 特殊法人労連・小松﨑幹事
 旧動燃差別是正を求める裁判の原告としてたたかっている。安全や開発の進め方に批判的な発言をする者に対して、ひどい嫌がらせや差別をおこなっ てきた。動燃は核燃料サイクル開発機構、原研と統合され原子力機構と法人名や組織形態を変えた今でも差別は残されている。裁判闘争への支援をお願いする。

(11) 自治労連・熊谷中央執行委員
 地公法と地方自治法の「改正」は、正規職員を安上がりの非正規職員に置き換え、「働き方改革」の地方への具体化をはかることがねらいだ。総務省 のマニュアルには、制度改革の本音があらわれている。自治労連は国会議員要請を強め、法案の審議に影響を与えた。今後、非正規職員への置き換えを許さず、 労働条件改善を求めていく。

(12) 全教・佐竹中央執行委員
 障害児は10年間で3万人増加し1.4倍となっている。だが人員不足で教室不足が常態化している。薄いカーテンで仕切る、特別教室の普通教室へ の転用、身障者用トイレが足りないなど、命と健康を脅かす状況が起きている。文科省は、障害児学校に金をかけたくないという姿勢がみてとれる。毎年6万筆 の署名を集めている。粘り強くたたかう。

(13) 全教・土方副委員長
 安倍政権許は、自衛隊の教育への介入や教育勅語の押しつけなど、戦争する国のための人づくりを着々と進めている。全教で26万枚のチラシを作成 し、職場での対話活動に使っていく。全国各地で憲法カフェなど開いて対話を広げている。憲法が輝く未来を職場・地域の共同を広げる決意だ。

(14) 国公労連・門田中央執行委員
 昨年12月に東京高裁は、公務員の賃下げは妥当、合憲であるという不当判決をだした。公務労働者の人権侵害であり、最高裁に上告して公正な裁判 を求めてたたかいを続ける。社保庁の分限免職撤回裁判では、6月に東京地裁で、東京事案3人のち1人の分限免職を取り消す画期的な判決があった。これをバ ネに裁判闘争勝利にむけてがんばる。

(15) 郵政ユニオン・中村書記長
 17春闘では3・23ストライキ、郵政非正規社員の均等待遇と正社員化を求め署名提出と3・6本社前行動を行った。公務の仲間の支援をえて 200人規模の集会となり、会社へ圧力をかけることができた。労働契約法20条をめぐる裁判が、東京と大阪で結審・判決を迎える。ディーセントワークの実 現と貧困と格差の解消、組織拡大をめざす。

(16) 自治労連・中川書記長
 憲法をいかし、貧困と格差の解消するため、定員削減や民営化に反対し、公務・公共サービス、教育の拡充を求める公務大産別運動を提起する。国民 の安全・安心に直結する課題だ。森友・加計問題では行政のあり様が問われているが。憲法15条にもとづいて、「全体の奉仕者」として運動を大きく発展させ ることを呼びかける。
以 上


総 会 宣 言


   7月2日に投開票が行われた東京都議会議員選挙で自民党は、57議席から23議席へと大幅に議席を減らし歴史的惨敗を喫した。これは、森友学園と加計学 園の疑惑に対してまともな答弁を行わないばかりか、共謀罪法の強行採決や稲田防衛大臣による「防衛省として、自衛隊として」投票支援を呼びかける発言な ど、暴走し続ける安倍政権批判の表れであった。同時に、歴代の知事とオール与党による都政の闇への不信感の表れでもある。全労連公務部会・公務労組連絡会 は、この情勢の大激動のもとで総会を開催した。

 安倍政権は、安保関連法(戦争法)だけでなく、昨年の臨時国会でTPP承認関連法やカジノ法、今年の通常国会では共謀罪法などを強行採決した。 また、森友・加計問題では、野党の追及をはぐらかし続けてきたが、都議選の審判や世論調査での支持率の急落などにより、閉会中審査を開かざるを得なくなっ た。与党は、安倍首相をはじめ疑惑の中心人物は招致せず、疑惑解明も行わないまま、野党の臨時国会の開会要求にも背をむけているが、内閣不支持率が5割を 超えた世論調査に示されているように、市民と野党の共闘が安倍政権を追い詰めている。

 安倍政権は、憲法改悪案の年内提案、来年通常国会での発議を強行する姿勢を強めている。この間、戦争法強行をはじめ「戦争する国づくり」が強行 されてきたが、世論と憲法の力が自衛隊の海外での戦争参加を封じてきた。海外での際限のない武力行使を可能にする憲法9条への自衛隊の加憲は絶対に許して はならない。また、核抑止論にしがみつく安倍政権は、国際世論と122か国の賛成によって採択された核兵器禁止条約にも背をむけている。安倍政権による9 条改憲反対、核兵器禁止条約批准の圧倒的な国民世論を構築するために組織の総力をあげよう。

 17年人事院勧告や最低賃金改善をはじめとする夏季闘争が山場を迎えている。消費の低迷を打ち破るためにも公務労働者の賃金改善が不可欠であ る。政府は、公務員の退職手当が民間を78.1万円上回っているとして引き下げを強行しようとしているが、真剣に景気回復や地域経済の活性化をすすめるの であれば、多くの労働者に影響する公務労働者の賃金と労働条件は改善しなければならない。同時に、臨時・非常勤職員の処遇改善や来年度予算での大幅増員に よる公務・公共サービスの拡充も重要な課題であり、要求を前進させるために全力をあげる。

 全労連公務部会・公務労組連絡会は、憲法尊重・擁護の義務を負い、全体の奉仕者である公務労働者として、行政や教育、国政の私物化を許さず、憲法改悪を阻止するために全力をあげてたたかうことを表明する。
この間の中央・地方での奮闘によって切り開いてきた要求の前進や官民共同を広げてきた運動の到達点を確信にして、安倍政権の暴走政治を阻止し、憲 法を守り・いかす政治の実現とともに、公務・公共サービス、教育を拡充するために職場・地域から全力をあげて奮闘するものである。以上、宣言する。

2017年7月20日 
全労連公務部会第19回・公務労組連絡会第53回定期総会