NETニュースNO.955 夏季重点要求を提出(6/16)


8月の人事院勧告にむけた交渉がスタート

= 「2017年夏季重点要求」を人事院・政府に提出 =

 公務労組連絡会は6月16日、人事院と内閣人事局に2017年夏季重点要求書(別紙)を提出し、賃金改善をはじめとする切実な要求の実現を求めました。
 要求書の提出交渉は、川村事務局長、米田・杉本両事務局次長で行い、人事院は事務総局の亀田順之調査職が、内閣人事局は福澤聡参事官補佐ほか1名が対応しました。
 

社会的にも賃金改善への期待が高まっている

 要求書の提出にあたって、公務労組連絡会は以下の点を主張しました。
〇 公務員の賃金は、民間労働者にも影響し、日本経済や地域に影響を及ぼす。この点から、民間準拠にとどまらず公務労働者の生活を改善するため、 初任給をはじめすべての階層での大幅賃上げの実現を求める。また、非常勤職員の最低時間額1,000円以上への引き上げ、再任用職員の賃金・一時金の改善 も重要な課題だ。

○ 同時に、公務員賃金の地域間格差を是正するよう求める。全労連が「最低生計費試算調査」を実施したが、25歳単身生活者の最低生計費は都市部 も地方も変わらず、月額で23万円以上必要との結果が得られている。最低賃金をはじめとする賃金格差が若者の都市部への流出など社会問題となっている。公 務での優秀な人材を確保する点からも、職務給原則に反する地域間格差は是正しなければならない。

○ 高齢層職員の賃上げについて、要求書では、「給与制度の総合的見直しによって賃下げとなる職員を生じさせない」よう求めているが、今の枠組みでは来年3月で現給保障は終了し、多数の者が来年4月に大幅な賃下げとなる。賃下げとならない対策を強く求める。

〇 次に非常勤職員の処遇改善について。5月14日に人事管理官運営協議会幹事会の「申合せ」が行われ、一歩前進することに期待が大きい。「申合 せ」の実効性を担保するよう求める。あわせて、一律的・一方的な「雇い止め」は禁止するなど雇用の安定化をはかることが必要。「期間業務職員」の公募要件 は、非常勤職員の人権を侵害するものであり、撤廃を求める。また、休暇制度については、民間との均衡重視ではなく、正規労働者との格差を是正するため抜本 的な改善に本腰を入れるよう求める。

 この他、政府がねらっている退職手当の見直し、労働時間の上限規制、定年延長、自治体職員や教職員の賃金改善などを強調しました。要求書を受け取った人事院と内閣人事局の対応者はそれぞれ、要求内容は担当部署に伝え、しかるべき時期に回答するとのべました。

以 上


【人事院あての要求書】
2017年 6月16日
人事院総裁 一宮 なほみ  殿

公 務 労 組 連 絡 会
 議長  猿橋  均

公務労組連絡会2017年夏季重点要求書

 物価の高騰や消費税の増税、社会保障の改悪などにより家計負担は増大し、消費支出が落ち込んでいます。また、非正規雇用が増加し、ワーキングプアが 1,000万人を超えて高止まりするなど国民生活は悪化をつづけています。この3年間、本俸は若干改善されましたが、物価上昇にも満たないものであり、多 くの職員が「給与制度の総合的見直し」によって、実質賃上げとはならず、生活はまったく改善されていません。

 2017年春闘では、人事院勧告が約770万人の労働者に影響することから、公務員労働者の最低限の生活改善要求として、月額20,000円(4.9%)以上の賃金引き上げを強く求めてきました。
 安倍首相も経済界に賃上げを要請し、消費拡大を通じた景気回復や同一労働同一賃金の実現に言及するなど、国をあげてデフレからの脱却をめざしているもとで、春闘期の人事院回答は、「情勢適応の原則に基づき、必要な勧告を行う」と従前の域を脱しない回答にとどまりました。

 今、求められているのは、生活改善できる大幅な賃上げと非正規労働者の処遇改善・均等待遇の実現を国の職場でも実践し、国民に範を示し、日本全体に波及させていくことです。
 人事院としても労働基本権制約の代償機関としての役割を果たし、公務労働者の生活を改善するとともに、公務労働に対する誇りと働きがいを持てる職場をつくるために全力をあげることが求められています。
 以上のことから、公務労組連絡会として下記のとおり夏季重点要求をとりまとめましたので、貴職が誠意ある回答を行うよう強く求めます。



1、賃金の改善等について

(1)公務員賃金を大幅に引き上げ、職員の生活と労働の実態にふさわしい水準に改善すること。また、「給与制度の総合的見直し」によって賃下げとなる職員を生じさせないための対策を講じること。
(2)「給与構造改革・給与制度の総合的見直し」による地域間格差と世代間格差を解消すること
(3)非常勤職員の学歴、経験年数及び職務内容等を踏まえ、常勤職員との均等待遇に向け、当面、以下の改善をはかること。
1) 賃金の時間額を最低1,000円以上に引き上げること。
2) 期末手当および通勤手当の支給額を改善するなど諸手当を充実すること。
(4)再任用職員の賃金・一時金について、年金支給開始までの生活維持にふさわしい水準に引き上げるとともに、現在支給されていない生活関連手当等を支給すること。
(5)一時金(ボーナス)について、比較対象職種を行政職(一)相当職種に見直すなど現行比較方法を改め、年間支給月数を改善すること。勤勉手当の割合は縮小すること。特別給の上下格差縮小の観点から管理職加算制度、役職傾斜支給を見直すこと。
(6)俸給と手当の配分に当たっては、以下の点を踏まえるとともに、労働組合との十分な交渉・協議の上で行うこと。
① 俸給表改定は、初任給近辺の官民較差解消を重視するとともに、すべての級号俸で改善すること。
  ② 諸手当について、次の事項を実現すること。
1) 地域間格差の縮小、支給地域の拡大など地域手当を改善すること。
2) 住居手当の全額支給限度額・最高支給限度額を引き上げること。
3) 職員に自己負担を生じさせないよう通勤手当の支給要件・支給額を改善すること。
4) 扶養手当の支給範囲及び支給額を改善すること。
5) 単身赴任手当の支給要件を改善するとともに支給額を引き上げること。
6) 超過勤務手当の支給割合を150%に、深夜勤務及び休日給の支給割合を200%に引き上げること。また、正規の勤務時間を超えて移動に要した出張中の時間に対しても支給すること。
7) 寒冷地手当の級地区分や指定基準を改め、支給額等を改善すること。
8) 業務の実態に見合うよう、特殊勤務手当を改善すること。
9) 特地勤務手当の支給対象の拡大をはかるとともに、勤務や生活の実態に見合うよう、支給率等を改善すること。
③ 生活改善や意欲向上につながるよう、高齢層の賃金抑制を是正すること。
(7)初任給決定における経験年数調整について改善し、正当に評価すること。
(8)行(二)職員の賃金は、特殊性・専門性に見合った水準に改善すること。また、昇格の抜本改善をはかること。

2、非常勤職員の処遇改善について
 
(1)非常勤職員制度を抜本的に見直し、雇用の安定、均等待遇などをはかる法制度を整備すること。また、そのために必要な予算措置を行うこと。
(2)非常勤職員の労働条件の決定にあたっては、公正・中立な第三者機関として人事院が、勧告権の行使等、労働基本権制約の「代償機能」を十全に果たすこと。
(3)非常勤職員の任用について、公正な人事管理を行うための法整備を行うこと。また、労働契約法の解雇権濫用法理や無期転換制度と同様の制度を整備すること。
(4)任命権者に原則任用更新の義務を課すこと。また、一律的・一方的な「雇い止め」は禁止すること。
(5)非常勤職員の身分保障を常勤職員と同様に実効あるものとするための法整備を行うこと。
(6)期間業務職員の更新に係る公募要件は、専門性維持を困難にし、深刻な精神的負担をもたらすことから撤廃すること。
(7)職務給の原則、同一価値労働同一賃金を基本とする均等待遇を確立すること。
(8)非常勤職員の処遇は各府省任せにせず、公正な職務評価による待遇改善を行うよう法制度を整備するとともに、労働契約法の不合理な労働条件相違の禁止を適用すること。
(9)職務内容、職務経験等に応じた賃金の引き上げを行うとともに、昇給制度を設けること。
(10)休暇制度について、不合理な相違を解消して、常勤職員と同等の制度とすること。そのためにも以下を早急に実現すること。
① 無給とされている休暇を有給とすること。
② 非常勤職員の忌引休暇、病気休暇、子の看護休暇について、6か月以上任用の制限を撤廃すること。また、年次有給休暇を採用時から取得できるようにすること。
③ 非常勤職員に対しても、結婚休暇、夏季休暇を制度化すること。

3、労働時間短縮、休暇制度改善等について

(1)労働時間の短縮にむけ以下のとおり改善すること。
① 所定勤務時間を「1日7時間、週35時間」に短縮すること。
② 厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」をふまえ、勤務時間管理を徹底し、超過勤務の大幅な縮減と不払い残業を根絶すること。
③ 超過勤務時間の上限規制を行うこと。また、全府省共通の窓口時間の設定を行うこと。
④ 交替制勤務者をはじめとするすべての職員について、連続勤務時間を短縮し、勤務間隔を11時間以上確保すること。
(2)休暇制度を以下のとおり改善すること。
① 年次有給休暇、夏季休暇、結婚休暇を拡充すること。
② 不妊治療のための通院休暇を制度化すること。また不妊治療費の助成を行うこと。
(3)休暇・休業制度が取得しやすい環境を整備すること。
(4)労働時間短縮をはじめとした労働条件を確保するため、必要な要員を確保するよう、政府へ強力に働きかけること。
(5)育児時間・育児短時間勤務の適用対象年齢を、中学校入学前の子まで引き上げること。

4、民主的な公務員制度と労働基本権の確立について

(1)中立・公正な行政を確立するために、公務員の身分保障を形骸化させる動きに対しては、専門・中立的な人事行政機関の責務として毅然と対処すること。
(2)公務員の市民的・政治的自由を保障する観点から、国公法を改正し、人事院規則14-7(政治的行為)を廃止すること。

5、健康・安全確保・母性保護等について

(1)心の病の発生を予防するため、「心の健康づくり」に向けた対策を充実・強化すること。
(2)パワーハラスメントに対する指針を策定し、具体的な対策を講じること。
(3)産前休暇を8週間、産後休暇を10週間とし、産前6週間の就業禁止期間を設けるとともに、代替要員を確保すること。
(4)妊産婦の負担を軽減するため、軽易な業務への転換、勤務時間短縮などを行うこと。

以 上


【政府あての要求書】
2017年 6月16日
内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
内閣官房長官 菅  義偉 殿

公 務 労 組 連 絡 会
 議長  猿橋  均

公務労組連絡会2017年夏季重点要求書

 物価の高騰や消費税の増税、社会保障の改悪などにより家計負担は増大し、消費支出が落ち込んでいます。また、非正規雇用が増加し、ワーキングプアが 1,000万人を超えて高止まりするなど、国民生活は悪化をつづけています。国公労働者もこの3年間、本俸は若干改善されましたが、物価上昇にも満たない もので、多くの職員が「給与制度の総合的見直し」によって、実質賃上げとはならず、生活はまったく改善されていません。

 2017年春闘では、人事院勧告が約770万人の労働者に影響することから、公務員労働者の最低限の生活改善要求として、月額20,000円(4.9%)以上の賃金引き上げを強く求めてきました。

 安倍首相も経済界に賃上げを要請し、消費拡大を通じた景気回復や同一労働同一賃金の実現に言及するなど、国をあげてデフレからの脱却をめざして いるもとで、春闘期の政府回答は、「人事院勧告もふまえ、国政全般の観点から検討」という、私たちの要求に正面から向き合わない従前どおりの回答にとどま りました。
今、政府がなすべきことは、生活改善できる大幅な賃上げと非正規労働者の処遇改善・均等待遇の実現を国の職場でも実践し、国民に範を示し、日本全体に波及させていくことです。

 また、多発する災害にくわえ、行き過ぎた規制緩和が招いた大事故や雇用不安などから、国民の権利保障や安心・安全を保障する公務・公共サービス拡充への期待が高まるなかで、そうした国民の声に応える体制の充実をはじめとする予算の確保は待ったなしの課題です。
 以上のことから、公務労組連絡会として下記のとおり夏季重点要求をとりまとめましたので、貴職が誠意ある回答を行うよう強く求めます。



1、賃金の改善等について

(1)公務員賃金を大幅に引き上げ、職員の生活と労働の実態にふさわしい水準に改善すること。また、「給与制度の総合的見直し」によって賃下げとなる職員を生じさせないための対策を講じること。
(2)地方自治体・独立行政法人に対して賃金削減を押しつけないこと。
(3)「給与構造改革・給与制度の総合的見直し」による地域間格差と世代間格差を解消すること。
(4)官民比較を唯一の根拠とした退職手当の引き下げは行わないこと。見直し検討にあたっては、労働条件性を明確にして公務労組連絡会との合意を前提に交渉・協議をつくすこと。「調整額」は廃止し、退職時の俸給と勤続年数を基礎とする算定方式にあらためること。

2、非常勤職員の雇用の安定・処遇改善について
 
(1)非常勤職員制度を抜本的に見直し、雇用の安定、均等待遇などをはかる法制度を整備すること。また、そのために必要な予算措置を行うこと。
(2)恒常的・専門的・継続的業務に従事する非常勤職員は、常勤化・定員化すること。そのため、総定員法の廃止や定員合理化計画の中止・撤回、行政体制の整備・拡充をはかること。
(3)非常勤職員の任用について、公正な人事管理を行うための法整備を行うこと。また、労働契約法の解雇権濫用法理や無期転換制度と同様の制度を整備すること。
(4)任命権者に原則任用更新の義務を課すこと。また、一律的・一方的な「雇い止め」は禁止すること。
(5)非常勤職員の身分保障を常勤職員と同様に実効あるものとするための法整備を行うこと。
(6)期間業務職員の更新に係る公募要件は、専門性維持を困難にし、深刻な精神的負担をもたらすことから撤廃すること。
(7)職務給の原則、同一価値労働同一賃金を基本とする均等待遇を確立すること。
(8)非常勤職員の処遇は各府省任せにせず、公正な職務評価による待遇改善を行うよう法制度を整備するとともに、労働契約法の不合理な労働条件相違の禁止を適用すること。
(9)職務内容、職務経験等に応じた賃金の引き上げを行うとともに、昇給制度を設けること。
(10)休暇制度について、不合理な相違を解消して、常勤職員と同等の制度とすること。そのためにも以下を早急に実現すること。
① 無給とされている休暇を有給とすること。
② 非常勤職員の忌引休暇、病気休暇、子の看護休暇について、6か月以上任用の制限を撤廃すること。また、年次有給休暇を採用時から取得できるようにすること。
③ 非常勤職員に対しても、結婚休暇、夏季休暇を制度化すること。

3、国の責任による公務・公共サービス拡充について

(1)公務員の総人件費削減は行わないこと。また、行政需要に見合う大幅増員を行うこと。
(2)総定員法を廃止するとともに、「国の行政機関の機構・定員管理に関する方針」を撤回すること。当面、定員管理の柔軟な運用により、職場実態に見合った要員等を確保すること。
(3)行(二)職の不補充政策を撤廃すること。
(4)「道州制」「地方分権改革」による事務・権限の移譲や国の地方出先機関の廃止は行わないこと。
(5)職員の雇用・労働条件を無視した国の機関や独立行政法人等の地方移転は行わないこと。
(6)地方交付税の「行革努力の反映」や「トップランナー方式」をあらため、住民本位の自治体運営に必要な地方交付税を確保・配分すること。
(7)公共サービスの劣化につながる指定管理者制度や「市場化テスト法」の廃止をはじめ、労働基準監督官の業務を一部委託させるなどの公務の民営化・民間委託を行わないこと。
(8)公共サービス基本法に基づき、国・自治体が委託・発注する事業で働く労働者の適正な労働条件を確保するため「公契約法」を制定すること。
(9)社会保険庁職員の分限免職を撤回し、安定した雇用を確保すること。
(10)独立行政法人について各法人の自主性・自律性を尊重するとともに、運営費交付金を拡充すること。また、組織の統合・改廃は行わないこと。

4、高齢期雇用・定年延長について

(1)雇用と年金の確実な接続をはかるため、定年年齢を段階的に65歳に引き上げること。再任用は暫定措置と位置づけるとともに、定員・定数の確保をはじめ希望者全員のフルタイム任用を保障すること。
(2)再任用後のポストや処遇に著しい格差を生じさせないようにすること。また、ポストや処遇の設定などについて、任命権者による恣意的な運用が行われないようガイドラインを示すなど政府として責任ある対応を行うこと。

5、民主的公務員制度と労働基本権の確立について

(1)憲法28条の原則に立った基本的人権として、ILO勧告など国際基準にそって労働基本権の全面的な回復を実現すること。
(2)公正・中立・民主的な公務員制度を確立すること。当面、国民的な議論を保障し、自律的労使関係制度の早期確立にむけ検討を行うこと。
(3)労働組合の団結と自治を破壊する組織介入、不当労働行為は一切おこなわないこと。また、所属労働組合による人事・給与、交渉、組合活動などへの差別的取り扱いをおこなわないこと。
(4)職員団体のための職員の行為の制限(国公法第108条の6)を廃止すること。
(5)公務員の政治的行為の制限を撤廃し、市民的権利を十全に保障すること。

6、労働時間短縮、休暇制度など働くルールの確立について
 
(1)労働時間の短縮にむけ以下のとおり改善すること。
① 所定勤務時間を「1日7時間、週35時間」に短縮すること。
② 厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」をふまえ、勤務時間管理を徹底し、超過勤務の大幅な縮減と不払い残業を根絶すること。
③ 超過勤務時間の上限規制を行うこと。また、全府省共通の窓口時間の設定を行うこと。
④ 交替制勤務者をはじめとするすべての職員について、連続勤務時間を短縮し、勤務間隔を11時間以上確保すること。
(2)マイナンバー制度は直ちに廃止すること。また、個人番号カードのICカード身分証との一体化は中止すること。

7、健康・安全確保、母性保護等について

(1)心の病の発生を予防するため、「心の健康づくり」に向けた対策を充実・強化すること。
(2)パワーハラスメントに対する指針を策定し、具体的な対策を講じること。
以 上