NETニュースNO.954 退職手当改悪に反対して要求書提出(5/31)


労働条件の一方的な不利益変更は許せない!

= 退職手当の引き下げに反対して、内閣人事局に要求書を提出 =

 公務労組連絡会は5月31日、内閣人事局に対して「退職手当の引き下げに反対する要求書」(別掲)を提出し、労働条件の不利益変更は許されないなどの主 張を行いました。要求書の提出は、川村事務局長と米田事務局次長で行い、内閣人事局は福澤参事官補佐ほかが対応しました。
 

検討作業に公務労組連絡会の要求を反映せよ

 要求提出にあたって、川村事務局長は以下のように発言しました。

〇 人事院は、国家公務員の退職手当が民間を78万1千円(3.08%)上回っているとし、退職手当水準の引き下げを求めているが、5年前に402万6千円もの引き下げが行われ、さらに、今回も引き下げることについて、公務労組連絡会は、以下の点から、断固反対する。

〇 一つは、退職手当の引き下げは、労働条件の不利益変更であり、一方的な変更は許されない。最高裁の判例でも公務員の退職手当は「賃金」とさ れ、人事院の見解においても「国家公務員の退職給付は退職後の生活設計を支える勤務条件的な性格を有して」いるとしている。公務労組連絡会との交渉・協議 を尽くすことは当然のことだ。

〇 二つは、民間の調査結果による官民均衡を唯一の根拠としているが、見直しのたびに引き下げとなるような制度では、公務の安定性が確保できな い。来年定年退職を迎える職員は大きな打撃を受け、若い職員にとっても将来設計が立てられず、働きがいを失わせてしまう。長期勤続を大前提にした公務員制 度にふさわしい制度とすることが求められる。

〇 三つは、定年後の生活設計が成り立たない点だ。定年後の生活は、退職金と年金、そして働いて得られる賃金で支えられるものである。しかし、年 金は、来年4月から63歳支給となり、再任用は賃金が大幅に下がる短時間再任用というもとで、退職金が引き下げられれば老後の生活はなりたたない。定年延 長の実施と一体での検討こそ必要だ。

〇 以上の点から、官民比較を唯一の根拠とした一律の国家公務員の退職手当引き下げをおこなわず、同時に、政府として地方自治体や独立行政法人な どに対して退職手当見直しを押しつけないよう求める。公務と民間の退職金や関連制度の違いをふまえ、公務労組連絡会との十分な交渉・協議を行い、合意を前 提に見直しのルールなどを整備するよう求める。その際、定年の段階的引き上げと一体的な検討を行うよう求める。

 福澤参事官補佐は、「要求の趣旨は承った。現在、人事院の調査結果及び見解を踏まえて検討を行っているところだ。国家公務員の退職手当は、勤続 報償的な性格が強いが、職員一般の関心が高い事項であることから、皆様方と真摯に話し合いを行い、しかるべき時期に回答を行う」と、従来どおりの考え方を くり返しました。

 これに対して、「勤続報奨的性格というが、定年後の生活を支えるものであり、明確に労働条件だ。人材確保や全体の奉仕者としての役割発揮のため にも、使用者として慎重な対応こそ求められる」とのべ、公務労組連絡会の要求を踏まえて検討作業を行うよう求めて提出交渉を終わりました。
以 上


(別紙)

2017年5月31日

内閣総理大臣     安倍 晋三 殿
公務員制度担当大臣  山本 幸三 殿
公 務 労 組 連 絡 会
議 長  猿橋 均


退職手当の引き下げに反対する要求書


 政府は、人事院の官民比較調査と見解ふまえて、国家公務員の退職手当の見直しにむけた検討をすすめています。

 2012年見直しでは、400万円を超える大幅な引き下げと年金支給方式の導入等の改定が行われ、国や地方自治体など多くの職場に混乱をもたら しました。年金支給開始年齢の引き上げともあいまって、将来への不安を増大させ、若年層をふくめて働きがいを失わせる点できわめて重大であり、退職手当の 引き下げには断固反対するものです。

 また、今回の見直しにおいても人事院の調査結果による官民均衡が唯一の根拠にされ、公務員としてふさわしい退職給付のあり方などについては十分 な議論がなされていません。見直しをするのであれば、政府は、使用者責任にもとづき、官民比較調査結果の十分な検証をはじめ、雇用慣行・退職慣行の民間と の違いや公務としての特殊性などをふまえた検討を行うことこそが求められています。

 少なくとも、今年度の定年退職者の年金支給開始年齢が63歳となること、義務的再任用といいつつフルタイム再任用が確保されず、生活が成り立たないことなど、これまでの定年時とは状況が大きく異なっていることをふまえる必要があります。

 加えて、国家公務員の退職手当見直しは、地方自治体や独立行政法人などで働く多数の公務関係労働者などに多大な影響を及ぼすことも見逃せません。

 以上の点から、退職手当の見直しにあたって下記事項について貴職に要求します。



1、官民比較を唯一の根拠とした一律の国家公務員の退職手当引き下げをおこなわないこと。また、地方自治体や独立行政法人などに対して退職手当見直しを押しつけないこと。

2、公務と民間の退職金や関連制度の違いをふまえ、公務労組連絡会との十分な交渉・協議を行い、合意を前提に見直しのルールなどを整備すること。その際、定年の段階的引き上げと一体的な検討を行うこと。

以 上