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ニュースNO.946 17春闘統一要求で政府・人事院と中間交渉
賃上げ・初任給改善、公務職場の最低賃金1,000円の実現を
=
17春闘統一要求の実現へ政府・人事院と中間交渉 =
全国から約800人の公務労働者が結集した「3・8中央行動」を力に、公務労組連絡会は3月13日に17年春闘要求の前進をめざして人事院、内閣人事局
との中間交渉を行いました。
交渉では、実質賃金が5年連続でマイナスとなっているもとで、生計費にもとづく賃金の改善、「給与見直し」に
よる地域間格差の是正や高齢層賃金抑制の中止、退職手当の改善、超過勤務の上限規制、定年延長の実現、非常勤職員等の最低時間額の千円以上への引き上げや
雇用の安定などを迫りました。
交渉をふまえて、さらに具体的な検討を政府と人事院に求め、3月24日に春闘期における最終回答を求めて交渉
を配置します。
(内閣人事局)残業の上限規制など公務の働き方の改善を
内閣人事局との交渉は、猿橋議長を先頭に、蟹沢副議長、川村事務局長、米田・杉本両事務
局次長、自治労連竹内中執、特殊法人労連矢野事務局長と国吉書記
の8人で行い、内閣人事局側は西水総括参事官補佐をはじめ各担当参事官補佐が対応しました。
交渉にあたって猿橋議長は、「すべての労働者の賃金改善がが景気回復と地域経済のカギを握っている。公務労組
連絡会の2万円以上の賃上げ要求の実現を求める。政府が『働き方改革』をめざしているもと、公務での働き方の改善に本腰を入れるよう求める」とのべ、統一
要求に対して現段階の検討状況について回答を求めました。
西水総括参事官補佐は、以下のような回答を示しました。
● 国家公務員の給与改定にあたっては、国家公務員の給与を社会一般の情勢に適応させるとの原則の下、人事院勧
告制度を尊重することが基本姿勢と考えている。
本年の給与改定については、人事院勧告も踏まえ、国政全般の観点に立って総合的に検討を行った上で方針を決定してまいりたいと考え
ている。その際には、皆様とも十分に意見交換を行ってまいりたい。
国家公務員の退職手当は、勤続報償的な性格が強いものであるが、職員一般の関心が高い事項であることから、人事院の調査結果および
見解が公表されれば、皆様方(職員団体)から十分に御意見をうかがってまいりたい。
● 非常勤職員については、その処遇について把握するため、(1)勤務時間や任期に関する事項、(2)募集・採用時における職務内容
や勤務条件の説明等に関する事項、(3)給与等に関する事項等の実態調査を行い、昨年9月にその調査結果を公表した。
なお、各府省等において、非常勤職員を採用する場合、採用予定者に対して、勤務条件等の内容を適切かつ明確に説明する旨、昨年末、
課長級の申合せを行ったところだ。
引き続き、民間の同一労働同一賃金の実現にむけた検討を含む「働き方改革」の動向等も注視しつつ、関係機関と連携し、今後の対応に
ついて検討してまいりたい。
● 「高齢期雇用・定年延長」に関して、雇用と年金の接続については、引き続き平成25年3月の閣議決定に沿っ
て、定年退職者の再任用を政府全体で着実に推進していく方針である。
なお、組織の活力を維持しつつ、再任用職員の能力や経験をより一層本格的に活用していくための方策について、各府省の協力を得なが
ら引き続き検討を進めているところだ。
また、昨年の人事院勧告時の報告において、再任用職員の給与について、民間企業の再雇用者の給与の動向、各府省における再任用制度
の運用状況等を踏まえ、引き続き、その在り方について必要な検討を行っていくこととされており、政府としても人事院における所要の検討を踏まえ、適切に対
応してまいりたい。
今後の雇用と年金の接続の在り方については、同閣議決定において、年金支給開始年齢の段階的な引き上げの時期
ごとに、再任用制度の活用状況や民間の高年齢者雇用確保措置の実施状況等を勘案しあらためて検討を行うこととされており、検討に際しては、皆様も含めた関
係者の意見も聞きつつ、進めてまいりたい。
● 「民主的公務員制度と労働基本権の確立」に関して、自律的労使関係制度については、「政府は、協約締結権を
付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする」
(基本法12条)とされている。
自律的労使関係制度については、多岐にわたる課題があり、引き続き慎重に検討する必要があると考えている。皆様とは、引き続き意見
交換をさせていただきたい。
人事評価制度については、評語区分のレベル感の整理・徹底及び所見欄の充実など、評語区分の趣旨の徹底をは
かっているところである。
また、人材育成等への一層の活用として、職員の能力開発やスキルアップ、さらには組織のパフォーマンスの向上につながるように指
導・助言を行うなど面談での対応の仕方等、被評価者への指導に役立つ評価者訓練の充実等をはかっているところである。
今後とも、皆様とも十分意見交換し、御理解をいただきつつ、円滑かつ効果的に制度を運用していきたいと考えている。
● 「労働時間短縮、休暇制度など働くルールの確立」および「両立支援制度の拡充、男女平等・共同参画の推進」
に関して、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」や「霞が関の働き方改革を加速するための重点取組方針」等にそって、働き
方改革、育児・介護等と両立して活躍できるための改革、女性の活躍推進のための改革にとりくんでいるところ。
内閣人事局としても、各府省のとりくみを毎年度フォローアップするとともに、その中から優良事例となるものを選定し、各府省と共有
することで、男女全ての職員のワークライフバランスの実現と女性職員の採用・登用の拡大にむけ、取組を推進してまいりたい。
超過勤務の縮減や休暇等の取得促進については、7月・8月に「ワークライフバランス推進強化月間」と「ゆう
活」を実施したところ。フォローアップ調査結果から、「ゆう活」のとりくみが着実に浸透し、ワークライフバランス推進に一定の成果があったと考えている。
「ゆう活」の成果を今後の具体的とりくみにつなげていくことが重要であり、「働き方改革」をさらに進めてまいりたい。
加えて、フレックスタイム制が昨年4月から原則としてすべての職員を対象に拡充されたところ。また、本年1月
より、育児休業等の対象となる子の範囲の拡大、介護休暇を請求できる期間の分割可能化、介護時間の新設がはかられたところ。職員がより柔軟な働き方ができ
るよう、制度の円滑な運用にむけて適切に対応してまいりたい。
職員の皆さんが、その能力を存分に発揮できるよう、皆様のご意見もうかがいながら、超過勤務の縮減等に政府一丸となってとりくんで
まいりたい。
● 健康・安全確保、母性保護等」に関して、職員の勤務能率の発揮および増進をはかるため、昨年3月に改正した
「国家公務員健康増進等基本計画」にもとづき、職員の心身の健康の保持増進等に努めて参りたい。
この中で、心の健康づくり対策については、ストレスチェック制度を適正実施するとともに、管理監督者の職場マネジメント業務の一部
であることから、管理職員、課長補佐および係長等に昇任した際に、e-ラーニング講習の活用により、心の健康づくりやハラスメント防止に関する研修の受講
を必修化するなど、管理監督者を対象とした研修を強化することとしたところである。
また、本府省、地方支分部局等を問わず、必要とする職員が専門家に相談できる体制の整備に努めることとしている。
計画の的確な実施のため、具体的目標を定め、フォローアップを行っていくこととしており、福利厚生施策の効率的かつ効果的な推進に
努めてまいりたい。
「退職手当は賃金の後払い」、十分な労使交渉・協議を行え
以上の中間回答に対して、川村事務局長は「いま、中間回答が示されたが、昨年、あるいは一昨年の回答とどこが違うのか、まったく不満な回答にとどまって
いる。この回答を全国で働いている公務労働者がどう受け止めるのか、使用者機関として今一度考える必要があるのではないか」と指摘し、主に以下のような点
を中心に追及しました。
◯ 公務員賃金は600万人を超える労働者に影響することを踏まえ、公務労働者の生活を改善するためにも月額2
万円以上の要求に真摯にむき合うよう求める。初任給は、優秀な人材確保の点、公務サービスを維持向上させる点からも大きな問題だ。
地域手当による公務員賃金の格差も、行政運営に支障をきたしている。職務給原則にもとづき、地域間格差は是正するよう求める。ま
た、高齢層賃金の抑制も、職務給原則に反するとともに、高齢層職員の誇りややる気に水を差し公務能率を阻害している。現給保障の継続など、賃下げとならな
い対応を求める。
○ 退職手当は、「労働基準法第11条にいう『労働の対償』としての賃金に該当する」との最高裁判例があり、民
間同様に賃金の後払いであることを共通認識とするよう求める。公務員は、定年退職後の再任用制度も不十分で、再就職にも大きな制限があることから、退職後
の生活に対する不安は倍増している。また、若年層を含め将来不安から職場での働きがいを失わせている点も看過できない。
官民比較を唯一の根拠とした一律の引き下げは行わないよう求める。
○ 国に雇用されている非常勤職員は7万人を超えており、行政や公共サービスはその人たちを抜きには成り立たな
い。「働き方改革」として政府が非正規労働者の処遇改善を提起しており、国民のための公務・公共サービスを担って奮闘している非常勤職員の雇用の安定化と
賃金や労働条件の改善を行うよう求める。
非常勤職員の一律公募要件は公務の実情に合わない。能力と経験を生かし、公務の安定性を確保するためにも雇用の無期化を求める。
○ 「公的サービスの産業化」のもと、財界の要望にもとづいて、さらなる規制緩和も狙われているが、労働者の低
賃金や劣悪な労働条件、行政サービスの劣化など、国民の基本的人権保障、安心・安全が確保できない事態が発生している。民間委託や派遣労働の導入ではな
く、正規の公務員の増員によって公務・公共サービスを拡充するよう求める。
○ 現行の再任用制度は、雇用と年金の確実な接続となっていない。人事院が指摘するように再任用職員の能力と経
験の活用ができない。民間企業でのフルタイム勤務や処遇からも乖離しており、民間との均衡や法の下の平等にも反する。5年後には65歳支給となるものであ
り、定年延長の実現を求める。
○ 来年度の国家公務員の定員は650人の純減。業務量は減るどころか増える一方だ。長時間残業を抜本的に解決
するためには、定員増が必要だ。「長時間残業の是正」は、公務職場においても喫緊の課題。公務員の命と健康を守るため、メンタルヘルス対策とともに、超過
勤務時間の上限規制、勤務時間インターバル11時間を確保するよう求める。
○ 少しでも安心して子育てができる環境をつくることは政府・当局の責任である。子の看護休暇や育児時間・育児
短時間勤務の適用対象年齢を中学入学前の子までとするよう求める。また、男女雇用機会均等法の政令改正が行われ、合理的な理由のない転勤要件は「間接差
別」として禁止されている。各省の運用任せにするのではなく、女性の活躍を阻害する要因をなくすため内閣人事局としての役割発揮を求める。
長時間労働なくせ、地域手当による賃金格差は是正せよ
続いて、参加者から以下のような発言がありました。
○ ある自治体では上限100時間の時間外協定を結んでいるが、それすら守られず、労基署から是正勧告がだされた。滋賀県人事委員会
が全職員アンケートを行ったが、多数が「業務量に見合った人員配置が行われていない」と回答。これを受けて人員増を決断した。長時間労働は人員を増やさな
いと解決しない。国も実態を調査すべきだ。
○ 地域手当の導入により、保育士や保健師、土木技師、消防職員などの専門・技術職が地域手当の高い自治体に流
出している。君津市の地域手当は3%だが、採用した消防職員が消防学校卒業後に地域手当16%の隣市の採用試験を受けて去っていった。地域手当は廃止し
て、本給に組みいるよう求める。
○ 非常勤職員の年次休暇について、君津市では1か月目から取得できる。政府は、総務省の研究会報告にもとづい
て非常勤職員にかかる地公法等の改正案を提出した。国の基幹業務職員との均衡が言われており、地方の非常勤職員や民間労働者をはじめ、地域経済にもかか
わっており、非常勤職員の処遇改善を求める。
○ 全教の春闘アンケートでは20代の35.9%が「生活が苦しい」と回答し、奨学金の返済も負担になってい
る。国家公務員でも地方公務員でも経済的自立をどうつくるかは政府の課題であり、政府の使用者責任を果たすよう求める。政府はよく「長時間労働の慣行」と
いうが、「慣行」というものは職場にはない。学校現場では、教員採用試験に不合格となった人を臨時講師に採用して働かせている。非常勤職員の処遇改善とも
に、正規採用を増やすべきだ。
〇 独立行政法人の職場では賃金・労働条件は自主決着できるとされているが、実際には国公準拠を強いられてい
る。公共サービスを担って全国転勤など多くの苦労があるが、賃金水準は地方公務員なみであり、地方公務員に転職する人もいる。このままでは行政サービスを
維持できないのではと懸念している。
これらの追及に対する西水補佐の再回答をうけ、最後に猿橋議長は、「内容は不十分で不満である。最終回答にむ
けて、一つでも前進回答ができるよう政府として真摯に検討するよう求める」とのべ交渉を閉じました。
(人事院交渉)公務の安定的遂行と非常勤職員の人権を確保せよ
人事院との交渉では、給与第一課の森谷課長補佐と職員福祉課の西課長補佐が対応しまし
た。冒頭、猿橋議長が、安倍首相が賃金改善の必要性を強調している
ことを指摘し、公務員賃金改善が必要であること、また、公務での働き方の改善として、臨時・非常勤職員の最低時間額1千円以上への引き上げとともに、公務
の安定的遂行と非常勤職員の人権を確保するためにも雇用の無期化、公募要件の撤廃などを強調し、統一要求に対する中間回答を求めました。
人事院の中間回答は以下のとおりです。
● 国家公務員の給与について、本年も情勢適応の原則にもとづき、民間給与の実態を精緻に調査した上で、民間給与との精確な比較を行
い、必要な勧告を行うという基本的スタンスに変わりはない。民間の春闘においては、3月中旬以降、経営側からの回答・妥結が順次行われるので、その動向を
注視しているところである。
● 国家公務員の退職給付については、平成26年7月に閣議決定された「国家公務員の総人件費に関する基本方
針」において、官民比較にもとづき、概ね5年ごとに退職手当支給水準の見直しを行うことを通じて、官民均衡を確保することとされており、平成28年8月1
日、内閣総理大臣および財務大臣から人事院に対し、民間の退職金及び企業年金の実態調査の実施と見解の表明についての要請があった。
これを受け、10月1日から11月30日まで民間の退職金および企業年金の実態調査を実施し、現在、調査の集計を行っているところ
である。見解の表明にむけては、職員団体の皆さん等の意見もうかがいながら適切に対処してまいりたい。
● 諸手当については、民間の状況、公務の実態等を踏まえ、職員団体の皆さんの意見も聴きながら、総合的に検討
してまいりたい。住居手当について、民間の状況に加えて、公務員宿舎の縮減や宿舎料金の引上げ等の影響を含めた公務の実態等を踏まえて検討する。
● 非常勤職員については、適切な処遇等を確保するため、その任用、給与、休暇等について、職員団体や各府省等
関係方面の意見等も聴きながら、民間の状況等を踏まえ、法律、人事院規則等を必要に応じて改正し対応してきたところである。今後とも同様の考え方を基本に
必要な見直しを行ってまいりたい。
● 国家公務員法の平等取扱原則および任免の根本基準に照らし、非常勤職員を含む職員の採用・再採用にあたって
は、国民に広く平等に官職を公開し、最も能力・適性の面から優れた者を公正に任用することが求められることから、原則として公募を経ることが必要であると
考えており、公募要件を撤廃することは適当でないとの従来からの考え方に変わりはない。
なお、非常勤職員である者が、新たな非常勤職員の官職の公募に応募し、能力実証の結果任用されることも可能であり、勤務年数等を理
由とした「雇い止め」を行うしくみとはなっていない。
期間業務職員制度については、各府省において、本制度を設けた趣旨に則った適切な運用がなされるよう、制度の周知徹底や助言指導を
行うなどしてとりくんでいるところであり、引き続き適切な運用がはかられるよう努めてまいりたい。
● 非常勤職員の給与については、平成20年8月に指針を発出し、当該指針にもとづき各府省において適正な給与
の支給が行われるよう必要な指導を行ってきており、今後とも、各府省において適正な給与の支給が行われるようとりくんでまいりたい。
非常勤職員の勤務条件については、民間の状況との均衡や常勤職員の状況を考慮し、基準の設定等の必要な措置を行ってきているところ
である。
現在政府において進められている同一労働同一賃金の実現に向けた議論の動向等を注視しつつ、引き続き非常勤職員の勤務環境の整備に
ついて検討を進めてまいりたい。
なお、民間労働者の育児休業について、保育所に入れない場合には例外的に2歳に達するまで休業できるよう改正する法案が今国会に提
出されたところであり、非常勤職員の育児休業についても、民間法制と一体的に同一の改正を行う必要があるとして、国家公務員の育児休業等に関する法律の一
部改正を、民間の改正法案の附則において行うこととなっている。
● 国家公務員の雇用と年金の接続については、閣議決定において、当面の措置として、再任用希望者を原則フルタ
イム官職に再任用するものとされているとともに、年金支給開始年齢の段階的な引き上げの時期ごとに雇用と年金の接続の在り方についてあらためて検討を行う
とされている。
人事院としては、雇用と年金を適切に接続させるためには、60歳を超える職員が60歳以前と同様の能力を発揮
し、意欲を持って勤務できるような人事制度を確立していく必要があると考えている。そのためには、平成23年の意見の申出を踏まえ、60歳を超える職員の
勤務形態に対する多様なニーズも踏まえた定年延長にむけたしくみを具体化していくことが必要と考えるが、当面、定員問題等を考慮しつつ、公務においても民
間企業と同様にフルタイム中心の勤務を実現することを通じて、各府省において再任用職員の能力及び経験の一層の活用がはかられるようにすることが必要と考
えている。
このため、高齢層職員の能力及び経験の一層の活用にむけて、関係機関に働きかけを行うなど引き続き必要なとり
くみを行うとともに、当面は、フルタイム中心の再任用勤務が実現できるよう、再任用の運用実態や参考事例の収集・分析、情報提供を行うなどにより、各府省
のとりくみを支援していくこととしている。
● 再任用職員の給与については、平成27年4月から単身赴任手当を支給することとし、また、広域異動手当およ
び新幹線鉄道等にかかる通勤手当についても、再任用職員にかかる措置を講じたところである。
引き続き、再任用職員の増加や在職期間の長期化等の状況を注視しつつ、各府省における円滑な人事管理をはかる観点から、民間企業の
再雇用者の給与の動向や各府省における再任用制度の運用状況等を踏まえ、職員団体の皆さんの意見も聴きながら、必要な検討を行ってまいりたい。
● 超過勤務の適正な管理および超過勤務の縮減については、本年度の勧告時報告で述べたとおり、まず各府省の
トップが長時間労働の是正にむけた強いとりくみ姿勢を持ち、組織全体の業務量削減・合理化にとりくむことが重要であり、その上で、現場の管理職員による超
過勤務予定の事前確認や具体的指示等のとりくみを徹底することが有効と考えている。
今後とも、関係機関と連携しながら、より実効性のある超過勤務の縮減策について検討を進めてまいりたい。
● 職員の休暇、休業制度については、従来より情勢適応の原則の下、民間における普及状況に合わせることを基本
に、適宜見直しを行ってきており、引き続き、民間の動向等を注視してまいりたい。本年1月1日から介護休暇等の改正も施行されたところ。
● 人事評価は、職員の能力・実績等を的確に把握し、人事管理の基礎とするものであり、各府省において人事評価
が厳格に実施されるように、実情把握に努めることが重要と考えている。評価結果の活用については、国公法において人事評価が「任用、給与、分限その他の人
事管理の基礎」となるものとして位置づけられており、人事院規則等において、能力・実績にもとづく人事管理を推進する観点から、評価結果を任免や給与の決
定に活用する基準を定めているところである。
● 職員の休暇については、従来より情勢適応の原則の下、民間における普及状況にあわせることを基本に、官民均
衡の観点から必要があれば適宜見直しを行ってきたところである。引き続き民間の動向等を注視してまいりたい。
● 人事院としては、男女共同参画社会の実現を人事行政における重要施策の一つと位置づけ、国家公務員法に定め
る平等取扱の原則、成績主義の原則の枠組みを前提とした女性の参画のための採用・登用の拡大、両立支援など様々な施策を行ってきている。
女性職員の採用・登用の拡大については、平成27年12月に第4次男女共同参画基本計画が閣議決定され、また、「女性職員活躍・
ワークライフバランス推進協議会」において、具体的な施策を盛り込んだ「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」にもとづき、
政府全体でとりくみが進められている。
人事院としても、今後とも、女性を対象とした人材確保活動や女性職員の登用にむけた研修、両立支援策等により、各府省のとりくみを
支援してまいりたい。
● 心の健康づくりをはじめとした健康管理対策やハラスメント対策の推進については、公務全体の共通の課題とし
て、各職場においてきめ細かい対応が重要であるとの認識にもとづき、これまでも各府省と協力して、人事院として積極的にとりくんできたところである。各府
省においてもこうしたとりくみの必要性の認識は高まっており、人事院としても引き続き、各府省と連携しつつ、適切に対応してまいりたい。
また、平成27年12月に導入されたストレスチェック制度が各府省において適切に実施されるよう、実施状況のフォローアップをする
などして現場の実情や運用上の課題等を丁寧に把握した上で、必要な措置を講じるとともに、職場環境改善の積極的なとりくみを促してまいりたい。
● いわゆるパワハラについては、平成27年7月にはパワハラの概念、なり得る言動、相談例等を紹介した「パ
ワー・ハラスメント防止ハンドブック」を作成して各府省に周知し、さらに、昨年12月には、各府省の幹部職員や人事担当部局の職員等に役立つよう、専門家
や企業の実務家等によるシンポジウムを開催したところであり、パワハラの防止にむけてとりくみを行ってきている。
また、今般、人事院規則10―15(妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントの防止等)を制定し、職員に対する妊娠・出産等
に関する言動により、当該職員の勤務環境が害されることを防止するための措置を定めたところであり、各省各庁の長には、その周知・啓発や相談の内容や状況
に応じた適切な対応等を義務づけており、今後、「仕事と育児・介護の両立に関する連絡協議会」などの機会を活用して、各府省に対し、妊娠、出産、育児また
は介護に関するハラスメントの防止等に関する所属職員への周知・徹底を求めてまいりたい。
「初任給は切実な課題と認識している」(人事院)
この回答を受けて、川村事務局長は、「きわめて不満な回答にとどまっている。労働基本権制約の代償機関というのであれば、人事院として今一度考える必要
があるのではないか」と述べたうえで、賃金改善をはじめ、初任給や退職手当問題、非常勤職員の処遇改善、定年延長、長時間残業の是正、両立支援制度の拡充
などについて、内閣人事局との交渉と同様の観点から問題点をのべ、要求の実現を求めました。
また、参加者からは、「総務省が、労働時間の管理・監督にかかわる通達を地方自治体にだした。国でも職員の勤
務時間や健康管理の責任を明確にすべきだ」「地公法・自治法の改正は、国家公務員が水準になり、地方自治体の非常勤職員64万人に影響する。しっかり国で
改善するよう求める」「再任用は原則フルタイムというが、実際には短時間にさせられている。フルタイム再任用であっても、同じ仕事をしているのに給与は半
減する。同一労働同一賃金と言うのなら改善を求める」などと人事院を追及しました。
最後に、猿橋議長が「中間回答ではあるが、要求に応えたものとはいえず、不十分であり不満だ。公務労働者の労
働基本権制約の代償機関としての人事院の責任を発揮することと、最終回答にむけて要求実現に向けた最大限の努力を求める」と述べて交渉を終わりました。
以 上