「民間準拠・人勧尊重」にとどまる不満な回答

= 公務労組連絡会が「16年春闘統一要求」の実現求めて最終交渉 =

 公務労組連絡会は3月24日、16年春闘統一要求に対する内閣人事局と人事院との最終交渉をおこないました。今春闘では、「月額平均20,000円以上」の賃上げをはじめ、臨時・非常勤職員の均等待遇、最低時給の1000円以上への引き上げ、超過勤務縮減、公務職場の大幅増員などの要求の実現を求めてきましたが、最終交渉では「民間準拠・人勧尊重」など従来の域をでないきわめて不満な回答となりました。

 「アベノミクス」の破たんのもとで賃金改善はますます日本経済の重要課題となります。16年春闘で掲げた要求は、引き続き人事院勧告期にむけてその実現を追及していくこととなります。戦争法廃止や貧困と格差を解消する政治を実現する夏の参議院選挙のたたかいと一体で、また、最低賃金改善闘争とも結んで政府と人事院への追及を強めていく必要があります。

IMFも公務員賃上げを指摘、政府としてイニシアチブを発揮せよ

 内閣人事局との最終交渉には、蟹澤議長を先頭に猿橋副議長、川村事務局長、米田・杉本各事務局次長、伊吹幹事、松井事務局員が参加し、内閣人事局は折田総括参事官補佐のほか各担当参事官補佐が対応しました。

 蟹澤議長は、「安倍首相は、賃金改善の必要性を強調し、最低賃金の1000円への引き上げや『同一労働同一賃金』にも言及している。しかし、大手企業の回答は昨年を下回る低額回答となっている。こうした状況のもと、公務員賃金の改善や非常勤職員の賃金引き上げ、そして最低賃金の改善こそが必要だ。いま保育や介護職場での人材確保のために賃上げが社会的課題になっている。政府として公務員賃金改善でリードすべきだ。IMFも、公的部門の賃金引き上げを指摘している。使用者である内閣人事局として、公務労組連絡会の要求に応えるよう求める」とのべ、春闘統一要求についての最終回答を求めました。

 折田総括補佐は以下のような最終回答を行いました。
 ● 平成28年度の給与については、本年の人事院勧告も踏まえ、国政全般の観点から検討を行い、方針を決定してまいりたい。その際には、皆様とも十分に意見交換を行ってまいりたい。
 ● 非常勤職員の処遇改善については、制度の適正な運用について、各府省及び地方支分部局に対し引き続き十分に周知をはかっていくと同時に、人事院等と連携しつつ実態を把握し、皆さんのご意見も伺いながら、必要な対応を行ってまいりたい。
 ●女性活躍とワークライフバランスの推進については、超過勤務の縮減、フレックスタイム制やテレワークの活用を始めとした「働き方改革」にとりくむとともに、女性活躍推進法等への対応など、政府一丸となってとりくんでまいりたい。その際、皆さんのご意見も伺いつつ、実効ある施策を推進してまいりたい。
 ●雇用と年金の接続については、引き続き、平成25年の閣議決定に沿って、定年退職者の再任用を政府全体で着実に推進してまいりたい。その際、再任用者の能力と経験の一層の本格的活用に努めたい。なお、この閣議決定にもとづき、年金支給開始年齢の引上げの時期ごとに、改めて検討を行ってまいりたい。
 ● 自律的労使関係制度については、多岐にわたる課題があることから、皆さんと意見交換しつつ、慎重に検討してまいりたい。
 ● 最後になるが、今後とも公務能率の向上と適正な勤務条件の確保に努めるとともに、安定し労使関係を維持する観点から、職員団体とは誠意を持った話合いによる一層の意思疎通に努めてまいりたい。

安倍首相は公務で働く非常勤職員からヒアリングせよ

 以上の最終回答を受けて川村事務局長は、「政府として『経済の好循環』や『一億総活躍社会』などを掲げて、賃金改善や非正規労働者の処遇改善を打ちだしているもとで、従来の水準と変わらない回答は断じて認められない」として以下のような主張を行いました。

 ○ 「給与制度の総合的見直し」による平均2%の賃下げの現給保障は2017年度末で終了となるが、現状では多数の公務員労働者が賃下げとなる。これでは、消費の喚起や需要の拡大にはつながらない。職務給原則を無視した地域手当による地域間格差の拡大や高齢層の賃金抑制も、公務員労働者の士気に水を差すとともに、民間の低賃金と地域間格差を固定化させ、地域経済を疲弊させることとなる。したがって、「給与制度の総合的見直し」は中止し、公務員賃金を改善せよ。
 ○ 中間交渉でも、いまの最終回答でも職場の切実な増員要求に対して一言もなかったことは、使用者としての責務を放棄するものであることをきびしく指摘する。自立的労使関係制度にかかわっては「意見交換し、慎重に検討」するとの回答があったが、労働基本権が制約されたもとでの公務労組連絡会の要求について回答することは政府としての当然の責務ではないのか。
 ○ 貧困と格差の拡大が社会問題となっているもとで、民間委託先での労働者の低賃金や劣悪な労働条件、そのもとでの行政サービスの劣化など、国民の基本的人権保障、安心・安全が確保できない事態が発生している。民間委託や派遣労働の導入ではなく、正規の公務員の増員によって公務・公共サービスを拡充することについて、あらためて回答するよう求める。
 ○ 労働時間短縮について、「働き方改革」にとりくむとの回答だが、安心して公務に専念できる働き方こそが求められる。行政の業務量は減るどころか増える一方のもとで、人員を減らせば長時間残業をせざるを得ない。「意見を聞いて、必要な対応を行う」というのであれば、長時間残業やメンタル不全の実態調査を行い、その要因を広く公表することが必要だ。内閣人事局としての対応を求める。
 ○ 4月から実施されるフレックスタイム制については、本人の意に反した勤務時間の変更(割振り)があってはならないことをあらためて指摘しておく。中間交渉では、そもそも人が足りなくて、恒常的な残業がある職場では育児や介護で活用したくてもできないケースを指摘し、非常勤職員の配置など必要な手立てを講じることを求めた。安心して普通に働ける職場体制の確立に努力するよう求める。また、「ゆう活」による朝型勤務は、フレックスタイム制に上乗せするものであり、中止するよう求める。中間交渉で指摘したように7~8月を定時退庁推進月間とすることでワークライフバランスの確保や夕刻における時間の有効活用は可能だ。
 ○ 高齢期雇用・定年延長について、政府は、賃金などの労働条件では民間準拠を声高に叫ぶが、再任用制度では短時間再任用が多数であり、フルタイム中心の民間とは大きく乖離している。今年の定年退職者の実態を早急に調査し、「義務的再任用」の実情を明らかにするよう求める。3年後には63歳支給となり、2025年度には65歳となるものであり、年金と雇用の確実な接続のためにも、あらためて2011年の人事院の意見申出による段階的な定年延長を実現するよう求める。
 ○ 雇用と年金の確実な接続は、再任用者の生活保障と一体でなければならない。退職時の所得の半分以下となるようでは使用者責任を果たしているとは言えない。民間では、雇用保険による高年齢雇用継続給付により60歳時賃金から75%未満となった場合に給付が行われる。この点もふまえて人事院は意見の申出で7割保障を打ちだしており、少なくともこの水準を確保するよう求める。
 ○ 非常勤職員の処遇改善について、時間給1,000円未満をなくすよう求めてきたが、内閣人事局としてまともな検討を行ったのか。安倍首相が最低賃金1,000円以上を公言したものであり、政府として行政で働く労働者の最低時給を1,000円以上に引き上げることは当然のことだ。
 ○ 非常勤職員が正規公務員と同じような業務を担って、経験を積み、専門性を高めても、画一的な公募要件や3年雇止めによって誇りや人権が損なわれていることも、この間再三指摘してきた。「公務能率の向上と適正な勤務条件の確保に努める」との回答があったが、非常勤職員の画一的な雇止めは、行政運営や国民にとっても大きな損失であり、公募要件は廃止し、業務の実態に応じて安定した雇用を確保するためにも無期雇用化とするよう求める。安倍首相は3月8日に非正規労働者のヒアリングを行ったと報じられているが、公務職場で働いている非常勤職員とのヒアリングこそ早急に実施するよう求める。
 ○男女平等・共同参画について、男性並みの働き方を押しつけるのではなく、女性が真に活躍できる条件整備を求める。男女共同参画における数値目標などのフォローアップへの労働組合の参加など、職場の意見が反映されるよう求める。

 続いて、参加者からも以下のような追及を行いました。
 ○ 人事院規則の改正によって、4月から「1か月以下の育児休業取得期間」は期末・勤勉手当の算定から除算しないこととなったが、総務省はこの改正を地方自治体に通知していない。条例改正が必要な自治体の場合、6月の一時金支給に間に合わなくなる。男女共同参画を所管する内閣府としての対応を求める。
 ○ 10月から短時間再任用者も社会保険適用となり得るが、本人への通知と財政措置の有無を明らかにされたい。地方自治体での過労自死事件で、当局が安全配慮義務違反やサービス残業を認め、定員増の必要性を明らかにした。国としても職場の実態を把握し、定員増の措置を行うよう求める。
 ○ 軽井沢でのスキーバス事故が起こったが、監督官庁の人員増が必要。定数増を真剣に検討すべき。人材確保については民間も意識しており、JALは全員を正規雇用に切り替え、ホンダは定年延長を打ちだし熟練労働者を確保した。働き続けられる環境整備を求める。
 ○ 国家公務員の賃金は、地方公務員、独立行政法人、医療労働者、福祉労働者など650万人に影響を与える。内閣人事局はこの点の認識をもって賃金引き上げや雇用安定の課題について使用者責任を果たすよう求める。安倍首相が民間に賃上げを求めても、公務員賃金を引き下げて、人員も削減していては企業はなびかない。政府としてイニシアチブを発揮せよ。
 ○ 女性の活躍推進のもとで、希望しない昇格試験を受けさせられるが、転勤があるため管理職登用を希望しない人もいる。育児と仕事の両立の選択肢は広がったが、昇任を諦めざるをえない状況がある。「産前休暇に入るまで妊娠を公表するな」と上司に言われたとの相談があった。管理職の認識も問題だが、働きやすい職場環境が必要だ。
 ○ 非常勤職員は、雇止めの不安を抱え、正規職員との処遇の違いを我慢しながら働いているが、常勤職員に対してきびしい目を持っている。このことが双方の壁をつくり、チームワークを阻害しており、処遇の改善と無期雇用への転換を求める。

 これらの追及に対して折田総括補佐は、以下の通り補足的に述べました。
 ● 話をうかがって大変勉強になった。共通の課題として、長時間労働は認識している。行政への期待から業務量が多くなっているが、定員が増やせないなかで公務員への批判が起こるというギャップの中で、対応の難しさを実感している。長時間労働の問題が社会全体にひろがり、公務でも改善が課題となった点は大きな変化だと感じている。
 ● 働き方改革は介護・育児の問題が中心だが、妊娠を職場で口に出せないことなど、あってはならないことだ。それぞれの条件にあった働き方ができるようにしなければいけない。長時間労働は、短時間では解決できないが、削れない業務もあるが本来やらなくてもいいものなど、一つづつ解きほぐしていくことが必要。これまでの行政改革とは異なる働き方改革を全員がとりくみ公務の生産性をあげていかなければならない。

 最後に、蟹澤議長が「定員問題についてぜひ切り込んでほしい。内閣人事局のイニシアチブなしにはできない。『経済の好循環』をめざす日本社会における公務員賃金のもつ意義は大きい。政府として非常勤職員の最低時給を1,000円以上に引き上げるよう重ねて求める。今日の回答は不満であり、人事院勧告期にむけてあらためて公務労組連絡会として要求書を提出する。その際は、誠意ある対応を求める」と述べて交渉を終わりました。

労働基本権制約の「代償機関」としての役割を果たせ

 人事院との最終交渉では、奈良間室長と西課長補佐が対応し、以下のとおり最終回答を行いました。
 ● 本年の民間の春闘については、今月16日の集中回答日以降、順次回答が行われており、ここまでの状況をみると、月例賃金については、自動車、電機等の大手企業を中心にベースアップが行われているものの、その水準をみると、昨年の実績を下回る企業が大半となっているところである。また、一時金については、増額するとした企業がある一方、減額とした企業や業績連動としている企業もあるところである。人事院としても引き続き民間の動向を注視してまいりたいと考えている。
 本日は、皆さんからの要求等に対する現段階における人事院の考え方等について、回答させていただく。
 ● 人事院としては、労働基本権制約の代償措置としての勧告制度の意義および役割を踏まえ、情勢適応の原則にもとづき、必要な勧告を行うことを基本に臨むこととしている。
 ● 俸給および一時金については、国家公務員の給与と民間企業の給与の実態を精緻に調査した上で、その精確な比較を行い、適切に対処してまいりたい。
 ● 諸手当については、民間の状況、官民較差の状況等を踏まえながら対応してまいりたい。
 扶養手当については、昨年夏の給与勧告時の報告において、今後、民間企業における家族手当の見直しの動向や、税制及び社会保障制度に係る見直しの動向等を注視しつつ、扶養手当の支給要件等について引き続き必要な検討を行って行く旨報告したところであり、本年の勧告にむけ、皆さんの意見も聞きながら引き続き必要な検討を行ってまいりたい。
 ● 超過勤務の適正な管理および超過勤務の縮減については、事前の超過勤務命令等の管理職員による厳正な勤務時間管理を徹底するとともに、管理職員の意識改革を含めた業務の合理化・効率化などのとりくみを推進することが重要であると考えている。
 平成26年に実施した民間企業の勤務条件制度等調査における総労働時間短縮にむけたとりくみの調査や「超過勤務に関する職員の意識調査」を踏まえ、今後とも関係機関と連携しながら、より実効性のある超過勤務の縮減策について検討を進めてまいりたい。
 ● 職員の休暇、休業等については、これまで民間の普及状況等をみながら、改善を行ってきたところであり、皆さんの意見も聞きながら引き続き必要な検討を行ってまいりたい。
 ● また、平成28年4月からのフレックスタイム制の拡充について、フレックスタイム制は、希望する職員に対し適用するものであるため、適用を希望していない職員に申告をさせ、適用を強制するような運用はあってはならず、この旨各府省にも周知しているところである。
 ● 非常勤職員の給与については、昨年3月に行ったフォローアップ調査の結果、おおむね指針の内容に沿った運用が確保されていることが確認できたところである。今後も、指針の内容に沿った運用の確保がはかられるようとりくんでまいりたい。
 また、非常勤職員の休暇等については、従来より民間の状況等を考慮し、措置してきたところであり、今後ともこうした考え方を基本に必要な検討を行って参りたい。
 ● 国家公務員の雇用と年金の接続について、年金支給開始年齢の62歳への引上げにあたっては、引き続き、平成25年の閣議決定にもとづき定年退職する職員を再任用することにより対応する方針が政府より示されたところである。
 閣議決定においては、再任用希望者を原則フルタイム官職に再任用するものとされているが、現在の公務の再任用は引き続き短時間勤務が中心であり、フルタイム中心の勤務となっている民間企業の状況とは大きく異なっている。
 今後、再任用希望者の増加が見込まれるなか、このような再任用の運用が続くと、公務能率や職員の士気の低下、生活に必要な収入が得られないなどの問題が深刻化するおそれがあることから、人事院としては、公務においても民間企業と同様にフルタイム中心の勤務を実現することを通じて、再任用職員の能力及び経験を本格的に活用していくことが必要と考えており、引き続き必要な対応を行ってまいりたい。
 ● 人事院としては、男女共同参画社会の実現を人事行政における重要施策の一つと位置づけ、国家公務員法に定める平等取扱の原則、成績主義の原則の枠組みを前提とした女性の参画のための採用・登用の拡大、両立支援など様々な施策を行ってきているところである。
 女性職員の採用・登用の拡大については、平成27年12月に第4次男女共同参画基本計画が閣議決定され、また、「女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会」において、具体的な施策を盛り込んだ「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」にもとづき、政府全体でとりくみが進められているところである。
 人事院としては、今後も引き続き、女性職員の登用にむけた研修や両立支援等により、各府省の取組を支援するとともに、男女ともに働きやすい勤務環境の整備について、所要の検討を進めてまいりたい。
 ● 心の健康づくりをはじめとした健康管理対策やハラスメント対策の推進については、公務全体の共通の課題として、各職場においてきめ細かい対応が重要であるとの認識にもとづき、これまでも各府省と協力して、人事院として積極的に取り組んできたところである。
 いわゆるパワハラについては、昨年7月に、パワハラ防止ハンドブックを作成、配布したところであり、これを活用してもらうことにより、パワハラ防止に関する意識啓発をよりいっそう推進してまいりたい。
 また、昨年12月には、ストレスチェック制度を導入したところであり、各府省と連携し、同制度の着実な実施に努めて参りたい。

今年の再任用の実態を早急に把握し公表せよ

 川村事務局長は、「従来の回答と何ら変わるものではなく、全国で奮闘している公務労働者の期待を裏切るもの」と述べたうえで以下の主張を行いました。
 ○ 景気回復にむけて、公務員の賃上げが必要であり、人事院としても比較企業規模の引き上げなどを決断すべきだ。500人を境にした対象企業の割合は少なくとも5対5とするよう求める。
 ○ 「給与制度の総合的見直し」による平均2%の賃下げの現給保障は2017年度末で終了となるが、現状では多数の公務員労働者が賃下げとなる。これでは、消費の喚起や需要の拡大にはつながらない。職務給原則を無視した地域手当による地域間格差の拡大や高齢層の賃金抑制も、公務員労働者の士気に水を差すとともに、民間の低賃金と地域間格差を固定化させ、地域経済を疲弊させることとなる。したがって、「給与制度の総合的見直し」は中止し、公務員賃金を改善するよう求める。
 ○ 扶養手当については、引き下げなどを前提にした検討は認められない。私たちの要求は拡充・改善であり、あらためて中止するよう求める。
 ○ 人事院として、行政機関の実態調査も行って、残業規制とそのための対策に本腰を入れるよう求める。安心して公務に専念できる働き方こそが求められる。業務量が減るどころか増える一方のもとでの定員削減の押しつけにより長時間残業が蔓延している。長時間残業やメンタル不全の実態調査を行い、その要因を広く公表するなど人事院としての対応を求める。
 ○ 高齢期雇用・定年延長について、今年の定年退職者の実態を早急に調査し、意に反した短時間再任用の状況を明らかにするよう求める。人事院は、民間準拠をタテに公務労組連絡会の要求を拒んでいるが、フルタイム中心の民間と大きく乖離している実態は人事院も指摘している。回答にあった「必要な対応」は何を意味しているのか、定年延長の意見の申出からの後退は許されない。3年後には63歳支給となり、2025年度には65歳となるものであり、年金と雇用の確実な接続のためにも、あらためて段階的な定年延長を実現にむけた対応を求める。
 ○ 非常勤職員の時間給1,000円未満をなくすよう人事院としての対応を強く求める。非常勤職員が正規公務員と同じような業務を担って、経験を積み、専門性を高めても、画一的な公募要件や3年雇止めによって誇りや人権が損なわれていることも、この間再三指摘してきた。非常勤職員の画一的な雇止めは、行政運営や国民にとっても大きな損失であり、公務能率の確保からも問題だ。公募要件は廃止し、業務の実態に応じて安定した雇用を確保するためにも無期雇用化とするよう求める。
 ○ 女性の活躍推進のもとで、男性並みに働くことを求めても矛盾が広がるだけだ。これまで述べたような職場と労働条件の改善が不可欠だ。管理職登用などの目標にかかるフォローアップにおいて労働組合との話し合いの場を求める。

 参加者からも以下の追及を行いました。
 ○ 社会保険の適用拡大により10月から短時間再任用者や非常勤職員も対象となる。自治体では予算措置ができていないなどの問題も生じている。本人への通知とともに、非常勤職員の負担が増えることに配慮せよ。
 ○ 長時間労働は、メンタル不全と裏腹の関係であり健康問題だ。雇用と年金の接続問題も含めて定員増が必要。人事院としてのその考え方を示す必要がある。
 ○ 非常勤職員は、1年任期で雇用不安を抱え、正規職員との処遇格差などで職場のチームワークが損なわれている。公務の非常勤職員の劣悪な処遇が民間に波及し、3年雇止めは民間の無期雇用転換制度にも悪影響を与える。公募要件の廃止と無期雇用化、処遇改善を求める。非常勤職員も労働基本権は制約されており、人事院としての手立てと改善が必要だ。視野の外に置くことは許されない。
 ○ 女性の登用拡大は研修だけでは改善できない。せっかく作った制度が活用されるよう人事院としての対応を求める。

 これらの追及に対して奈良間室長は、「賃金改善については今後の中小企業の動向を注視していく。情勢適応の原則にもとづき、必要な勧告を行う」など、当初の回答を繰り返すとともに、定年退職者の再任用状況の把握などについては「担当課に伝える」と述べるにとどまりました。

 最後に蟹澤議長が「公務労組連絡会は、労働基本権の『代償機関』としての人事院の役割を指摘し、全国で奮闘している仲間の切実な要求を真摯に受け止めるよう求めてきた。本日の最終回答は、従来からの回答を繰り返したものであり、到底納得できるものではない。すべての要求課題は、引き続き本年の人事院勧告にむけた課題として追及する」と述べて交渉を終わりました。

以 上

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