No. 909
   2015年6月12日
道州制は「戦争する国」づくりと密接に関連

= 「地方創生と地域再生を考える6・11院内集会」を開催 =

 安倍政権は「地方創 生」の名のもと、さらなる市町村の再編と「道州制」の導入をねらっています。全労連公務部会と「道州制・地方分権改革を考える懇談会」は6月11日、「憲 法をいかし、安心して住み続けられる地域に〜道州制反対、『地方創生』と地域再生を考える院内集会」を開催し、8団体から42人が参加しました。 
 集会では、「戦争法案」が国会提出され、安倍内閣が「戦争をする国」づくりをねらう緊迫した情勢ともむすびつけて、「この国のかたち」を変える道州制を めぐる現局面をあらためて確認し、今後のたたかいの方向を意思統一しました。

憲法と地方自治をいか す共同をひろげよう

 主催者を代表して道州制・地方分権を考える懇談会の永山利和座長があいさつし、「自民党がねらう道州制基本法案の基本理念を見ても、国の役割を防衛・外 交などに特化させ、戦時体制下での地方づくりにあることを指摘できる。戦争法案にもつながる危険な本質を見ておく必要がある」とのべました。

 日本共産党の田村貴昭衆議院議員が駆けつけ、戦争法案における国会情勢を報告するとともに、「安倍内閣のめざす地方創生は、大企業の儲けを中心にしたも のだ。道州制も財界の要望であり、今後も引き続き警戒が必要だ」と強調しました。
 滋賀県日野町の藤澤直広町長からは、「地方創生とは、住民が集まって議論をしながら合意をつくり政治をすすめていくという地方自治の本旨のこと。世界で 一番、国民が暮らしやすい国をつくるために、国、都道府県、市町村が力を発揮する国をつくりましょう」とメッセージをよせられました。

 特別報告として、大阪市を廃止・解体する「大阪都構想」住民投票をめぐって、自治労連の久保貴裕中央執行委員(公務部会「道州制・地方分権対策委員会」 委員)が報告し、「僅差ではあったが道州制を先取りするとしていた、維新の会の野望を打ち破り、住民犠牲、市職員へのいじめなど7年半にわたる維新政治を 退場させる展望を開いた。大阪市をなくさないでほしいというオール大阪の力を発揮した。勝利を確信にして、改憲、道州制を許さず、憲法と地方自治をいかす ため奮闘したい」とのべました。

地方切り捨てが公務職場を破壊している実態が明らかに

 各団体からの報告では、「道州制になれば裁判所や議会や役所が遠くなる。反対する動きは保守層にも多く、市町村は特に反対している。法案を3度提出させ なかった大きな共同に深く確信をもち、共同をひろげよう」(自由法曹団・尾林芳匡弁護士)、「安倍『農政改革』は、郵政改革と同様に農業協同組合を解体し て株式会社化し、農協の資産を自由に使うことにある。7団体で食料・農業・地域を守る大運動連絡会議を結成して、運動をすすめていく」(全農協労連・坂口 正明農業・農協問題対策部長)、「小規模家族経営のなかで田舎は人が住めなくなり、事業の基盤がなくなる。住宅リフォーム助成制度が前進し、5県623市 町村で実施されている。仕事おこし運動で、地元業者が地域の地域循環型社会にむけてがんばっている」(全商連・勝部志郎常任理事)など実態がのべられまし た。

 また、公務労働組合からは、「労働行政にたずさわる国家公務員の削減をやめさせ、地方で支える公務員をつくっていくことが大事。そうしないことには地 方、社会の発展は望めない。経済の効率化だけ追求され、人間をないがしろにすることにストップをかけ、雇用と労働や人間社会に必要な施策を」(全労働・秋 山正臣副委員長)、「地方建設局では100人の職場で50人が公務員、50人が派遣・請負など民間労働者の職場もある。気象庁では測候所が廃止され、関心 があつまっている火山観測にも支障をきたしている。定員削減で不利益をこうむるのは国民だ。国民が安心して暮らすため、国土交通労組として請願署名に取り 組んでいる」(国土交通労組・伊藤英敏副委員長)、「悪政がつづくもとで地域は疲弊している。憲法をいかし、安心して住み続けられる地域づくりをめざし て、安倍『地方創生』ではなく、住民が主人公の地域再生をと提言(素案)を発表した」(自治労連・江花新中央執行委員)、「市町村合併で学校の統廃合もす すみ、10年間で4千校もへっている。ねらいは究極の構造改革にある。教職員のなかでも世論を高めていく」(全教・中村尚史副委員長)など発言が続きまし た。

 まとめと行動提起を全労連公務部会の川村好伸事務局長がのべ、全労連公務部会で作成したリーフを活用し学習をすすめ、問題の告発や地域活性化にむけたシ ンポジウムの開催を呼びかけました。
 最後に閉会あいさつした全労連公務部会の猿橋均代表委員は、「この国が赤字財政で戦争ができるのか。戦争する国づくりと道州制との関連について議論が必 要。このような取り組みを地方でも広げ、公務・公共サービスの役割を具体的な政策を掲げてがんばろう」としめくくりました。
以 上