No. 901
   2015年2月23日
官民共同の15春闘にむけて総決起の場となる

= 公務部会・公務労組連絡会が臨時総会を開催 =

 全労連公務部会・公務 労組連絡会は1月27日、全国教育文化会館で臨時総会を開催しました。臨時総会では、すべての労働者の賃上げと雇用改善を勝ち取り、労働条件改善、臨時・ 非常勤職員の均等待遇実現、「地方創生」による地方切り捨てに反対し、公務・公共サービスの拡充にむけて15春闘勝利に全力をあげる決意を全員で確認しま した。
 臨時総会には、6単産31人、18地方組織19人をはじめ、全体で72人が参加しました。

単産・地方の発言を通してたたかいの到達点を確認

 午前11時に始まった臨時総会では、公務労組連絡会の宮垣忠副議長(公務部会代表委員・国公労連委員長)が開会あいさつを行い、全教の浅田明日香中央執 行委員と国公労連の豊田勝利中央執行委員を総会議長に選出しました。

 主催者あいさつした北村佳久議長(公務部会代表委員・全教委員長)は、「すべての労働者の賃上げを勝ちとってこそ公務労働者も賃上げができる。官民共同 のたたかいを前進させ、15春闘を勝利しよう」と呼びかけました。その後、全労連の小田川義和議長、全労連民間部会を代表して三浦宜子日本医労連書記長、 日本共産党の池内沙織衆議院議員から激励のあいさつを受けました。

 続いて川村好伸事務局長が、2015年春闘方針案と統一要求案を提案しました。討論では、5単産から8人、13地方組織から13人の発言がありました (発言要旨は別掲)。討論をうけて川村事務局長がまとめをおこないました。
 2015年春闘方針案と統一要求案は一括して満場一致で採択され、その後、「2015春闘アピール」(別掲)を笠松鉄兵事務局次長が提案し、全体の拍手 で採択されました。
 最後に、猿橋均副議長(公務部会代表員・自治労連委員長代行)の閉会あいさつと団結がんばろうで決意を固めあい、臨時総会をしめくくりました。

【発言要旨】

愛知公務共闘・國枝 孝幸 事務局長(愛知国公)
 社会保険庁の不当解雇撤回で京都事案が結審し3月25日に判決が出される。現在6地裁での裁判が進んでいるが、先行する京都の事案は全国の裁判に影響す る。愛知では2人がたたかっているが、一人は育休中の免職であり真の解決を求める。
 公務・公共サービス拡充の問題では、14年11月の総会で各組織の状況を報告しあったが、お互いの業務を理解することが大事。2月18日に公務・公共 サービスでの業務交流集会を予定している。

高知県公務労組連絡会 中根 豊作 議長(高知県教組委員長)
 県高教組・国公・自治労連・学校生協・郵政ユニオンで組織し、月1回のディーセントワーク宣伝を欠かさず実施した。昨年の春闘では、具体的な要求を県人 事委員会に突きつけた。県は50歳台後半層も現行のまま据え置いた。少女の虐待死が発生したが、児童相談所の職員が少なすぎる。人減らし、低賃金を改善 し、臨時教員の増員を求め全国レベルに近づけるようがんばる。

愛媛県公務員共闘 堀川 孝行 事務局長(自治労連愛媛)
 「給与制度の総合的見直し」で、民間労組から128団体981筆の署名が集まった。「見直し」が行われれば地域手当のない愛媛県では賃下げになると、9 月17日に人事委員会に要請した。10月9日に国追随の人勧がだされたが、自治体当局に対しては「給与制度の見直し」見送りを求め、県議会にも要請した。 自民党など5つの会派も反対討論を行ってくれた。社保庁の愛媛事案では原告の意見陳述の傍聴など裁判を支援していく。

岩手県公務共闘 高橋 昭博 副議長(自治労連北海道・東北ブロック)
 岩手の人事委員会では国準拠で、賃金0.28%と一時金0.15月の改善と「見直し」を勧告。市町村では一時金3.90月などのところもある。一関当局 は1か月以上回答を引き延ばし越年交渉に。平泉町では、労使間の合意を議会が否決したが、町長が説明して合意をめざすとしている。労使交渉や人勧制度が否 定されている。岩手の被災地では、3万人もの人が不便で寒い仮設住宅で4度目の冬をむかえている。住宅の再建、災害に強い街づくりをめざす。

静岡県公務共闘 林 克 副議長(自治労連東海・北信ブロック)
 静岡県の各自治体では、全体として官民較差と切り離して処理をされた。県人勧はほぼ終了、2政令は元々交渉になっていない。いくつかの市で2・3月議会 へむけての交渉に入っている。「見直し」は地方切り捨ての問題として市民団体・民間労働者とも連携してきた。官民較差にもとづく措置や条例の学習会で意思 統一もしている。6地方議会で最賃引き上げの意見書が採択されたが、すべての自治体での採択をめざす。公契約キャラバンは半分まできているが、対県交渉で 「検討したい」と前進している。

岡山県公務共闘 神宝(しんぽう) 秀雄 議長(岡山県国公・労働)
 「給与制度の総合的見直し」を持ち込まないよう県人事委員会に要請したが、「見直し」による平均1.7%引き下げの勧告が強行された。岡山市は、国や他 市を注視して検討するとしているが、県の影響が大きい。連合加盟の県職は労使合意したが、自治労連加盟の6単組では当局に不当性を明らかにして改善を求め ている。きびしいたたかいになっているが、次年度以降につながるきっかけにしたい。

青森県公務共闘 鳴海 進 議長(青森県教組)
 月例給0.33%、一時金については0.1月の改善勧告となったが、14年連続での月例給カットや据え置き、独自の抑制で押さえつけられており、とうて い納得がいかない。昨年は4者共闘で賃金の一点共闘をすすめてきたが、これからも必要。再任用職員の給与は、退職時の6〜7割近くに賃金が下がり、65歳 までがんばって働く意欲はなくなり、生活は苦しくなるばかりだ。運用も恣意的で、遠距離通勤を強いられるケースも。市町村は、財政事情を理由に来年はどう なるかわからないと無責任だ。青森は昨年も臨時・非常勤問題で人事委員会報告を出させるなど大きな足がかりをつくった。

福岡県公務共闘 玖村(くむら) 徳則 (福岡県国公)
 大企業には285兆円の内部留保金があるが、グローバルな大企業については世界各地の労働者の利益を溜めこんでいるのであり、日本の労働者と途上国の労 働者が国際連帯で団結すべきである。内部留保の活用で大企業の賃金は上がっても、地方は上がらない。地方の賃金を上げるためには公契約が重要であり、条例 制定を首長や地方議員に働きかけることが必要。労働基本権の回復について、労働協約の議論なしには進まない。

北海道公務共闘 山本 貴雄 事務局長(北海道国公)
 寒冷地手当の改善へ人事院北海道事務局に要請した。6年前から「越冬共闘」を結成して、自治体や政党、経済界に燃料などの生活支援・加算なども要請して いる。道職員には独自の削減が行われているが、「給与制度の総合的見直し」の削減でのダブルパンチは許さない。公務員宿舎値上げの問題もある。小中学校の 統廃合が進んでいるが、防災拠点と地域のよりどころとなる学校や郵便局を守っていく。KKR札幌医療センターの看護師の過労自殺問題もある。寒い北海道だ が熱くたたかう。

京都公務共闘 松下 卓充 事務局長(京都自治労連)
 産業連関表を使って公務員賃金が全体に及ぼす影響が大きいことを訴えてきた。国の「給与制度の総合的見直し」に追随させないよう京都府人事委員会に申し 入れ、地域経済を冷えこませないよう訴えた。地域総行動で労働法制のたたかいも強化しながら、地域の特性を活かした地域づくりをめざしていきたい。「ま ち・ひと・しごと法」のもとで地方自治体が総合戦略をつくることとなるが、地方を大企業優遇の成長戦略に組み入れるものだ。

大阪公務共闘 野満(のみつ)誠 事務局長(大阪国公)
 「地方創生」担当の石破大臣は、地方の総合戦略に交付金を出すといっているが、公共事業のばらまきだ。アベノミクスの地方再生は道州制を狙っている。京 都府知事は、「合併で栄えていないものが、道州制で栄えるとは言えない」とし、全国町村会も反対している。道州制、地方創生問題の学習会を2月22日に実 施する。御堂筋総行動実行委員会として、労動法制の改悪にたいして労動行政の専門家の全労働が講師をつとめ、2月12日に学習会を開く。大阪版ビクトリー マップもつくった。

山口県公務共闘 中野 敏彦 副議長(山口自治労連委員長)
 「給与制度の総合的見直し」が、現在、県下全自治体ですすんでいる。国追随の勧告を県が強行したが、連合・自治労の県職は県当局に服従し、県共闘の呼び かけも拒否している。高教組は200人で当局と交渉し、臨時教員の4月1日採用で一定の成果を出した。「給与制度見直し」反対で、県内13市6町自治体を キャラバンで回った。防府市ではラスパイレスが93.7%であることが単組の若い執行委員長に火をつけ、結局「見直し」は見送りを表明させた。
 
宮城公務関連共闘 野中 康浩 事務局長(宮城高教組副委員長)
 震災から4年となるが、宮城では仮設住宅に4〜5万人が住んでいる。県人事委員会は「給与制度の総合的見直し」を勧告したが、一方今年の勧告は 0.29%、一時金0.05月の引き上げ、仙台市の人事委員会は0.30%、0.15月だった。通勤手当は遡及せず今年1月実施だ。12月1日に「見直 し」で交渉したが、「他市がやっているから」との回答。「実態に即して18県の賃金は下がる」と県が示したこと、「民間調査を含めて県職員が納得するもの を示す」など、今後にむけた前向きな回答も引き出した。

自治労連 久保 貴宏 中央執行委員
 「地方再生」といいながら、その原因をつくった責任は政府にある。構造改革で地方を衰退させているが、地方にがんばれと自己責任を押しつけている。公立 病院の再編や小中高の統廃合や農政改革など、一つひとつの課題に対して、バラバラではなく地方で一体となってお互いに協力・共同していくことが大事。15 年春闘の焦点は、「地方創生」など国による押しつけを転換させ、共同のたたかいを自治体当局にも広げていくこと。全国市長会も国の責任を求めており、国の 誘導や圧力に屈することなく、住民本位で、悪いものはつくらせないとりくみが重要。

全教 小畑 雅子 中央執行委員
 教職員の離職年齢の低さが問題視されているが、高校では男性54.4才、女性45.5才となっている。47都道府県中45の人事委員会が両立支援制度に ふれている。全教女性部では子どもの看護休暇制度や声をタペストリーなどにして視覚に訴えている。子どもの看護休暇の拡大、子の年齢も拡大させる。育児時 間を3歳に、妊娠や不妊治療制度、制度があっても使いづらい、知らない人もいる。休みが取得しづらい。夢を持って働き続けられる職場にするため、権利を行 使してこそ前進がある。青年の状況にかみ合った運動が必要だ。

全教 中村 尚史 副委員長
 教育再生会議の桜井よし子氏は、教育改革を強行して愛国心などを子どもたちに押し付けようとしている。1956年に学校の配置や距離基準が制定された が、教育予算削減や三位一体の改革でいまでも町や村から学校がなくなっている。北海道では170自治体すべてとの懇談にとりくむ。30人学級にもどせと 11月の中央行動では財務省前の要求行動にとりくんだ。長年のたたかいを職場から積み上げていきたい。

日本医労連 原 英彦 副委員長
 30代や20代後半の看護師が中心になっており、若い看護師をゆっくり育てられず、離職に歯止めがかからなくなっている。「うばわれたいのち」(ミニ冊 子)は過労自殺に追い込まれたKKR北海道での看護師の遺稿だが、普及して運動をすすめたい。あさって考えるつどいを開く。日本医労連では、3月の回答指 定日に全力をあげる。また人勧に対する闘争強化を位置づけ、地方人事委員会に対して要請を強化する。社会保障の削減と一体で人件費を削減する攻撃を許さ ず、抜本的な賃上げ要求をかかげて、すべての医療労働者が団結する。

国公労連 青柳 亨 中央執行委員
 四国4県でビクトリーマップをつくり、とりくみの準備を進めている。公務・公共サービスにかかわって国の職場の定員削減反対を訴えていく。キャラバンで は定員の実態や要員の確保を求める。新規増員を求めているが、人は減る一方で仕事は増える。労働基準監督官は増えているが、監督署の体制としては減ってい る。総定員法の最大の問題は、定員の上限を決めてとにかく削減ありきで進めていること。14年7月に新たな定員削減計画を策定し、今年は1093人の純 減。内閣人事局とも交渉してきているが、1人でも増員を実現し、公務・公共サービスは拡充が必要であることを訴える。

特殊法人労連 岡村 稔 事務局次長
 15春闘は「給与制度の総合的見直し」に反対するたたかいが中心となる。政労協としてストライキを背景に理事者側と交渉してきたが、その後、理事者側が 政法連となり特法連で交渉してきた。しかし、政法連は各法人に具体的な賃上げ額を示せなくなり、交渉自体に意味がなくなった。特殊法人労連として交渉終結 宣言するとともに、政府との交渉に重点を置きたい。過半数の学生が奨学金を利用しているが、返還に苦しんでいる。奨学金のローン化とともに職員の半減化で サラ金よりもひどい現実がある。教育の無償化をもとめる請願署名の協力をお願いする。

郵政ユニオン 上平 光男 副委員長
 スローガンに非正規春闘で大幅賃上げをかかげ、1月31日と2月1日に中央委員会をひらく。全労連の春闘アンケートをもとに全国で7,500人分を集約 し、正規1万円、非正規時給200円の引き上げを要求。3月11日を回答指定日とし、ストを背景に交渉を強化する。労契法20条をめぐる裁判で郵政非正規 労働者19万人の格差是正をめざす。2,012万人といわれる非正規労働者全体に影響を与える。「支える会」を結成し、会への加入を広げたい。国会のなか で非正規議員連盟ができている。公務・公共サービスを拡充し、国民のための金融とユニバーサルサービスを守る。

自治労連 熊谷 守朗 中央執行委員
 7年ぶりの賃上げで、差額支給に組合の先輩が若手執行部に説明する場面も見られた。共同のたたかいがあったからこそ2年間の賃下げをやめさせ、改定では 若年層に重点をおいたからだ。高齢層は改善なしとされたが、100円改善を実現した単組もある。早めにとりくんだ春闘アンケートがたたかいの追い風にも なっている。20政令中17市が見送り、勧告を受けた自治体との交渉では、秋田、高知など40自治体が見送った。春闘アンケートを約45,000筆集約し ている。生活への不安は大きくなっており情勢の厳しさを反映しているなか、春闘と結合しながら、賃上げの流れを公務が止めてはならない。

以  上


《2015 年春闘アピール》

 「守ろう憲法と暮らし ストップ暴走政治 実現しよう!大幅賃上げと雇用の安定」をスローガンに、安倍政権の大企業中心、国民生活破壊の政治と対決し、 すべての労働者・国民の生活と雇用の改善をめざす15国民春闘のたたかいが始まっている。

 消費税の8%増税と円安、物価高が労働者と国民のくらしを直撃し、「アベノミクス」による景気悪化が深刻になっている。景気を回復させ、地域を活性化す るためにも、すべての労働者の大幅な賃金引き上げは不可欠であり、労働組合の役割は重大である。
 公務労組連絡会・公務部会は、政府と人事院による「給与制度総合的見直し」による公務員賃下げが地域間格差を拡大し、地域経済を疲弊させる問題を明らか にして、官民一体でこの一年間たたかってきた。「見直し」の給与法は強行されたものの、春闘のベースアップを反映した7年ぶりの改善勧告を実現させたこと と合わせて、地方への「見直し」押し付けをはね返す成果も生みだした。地方3団体が公務員賃下げによる地域間格差の拡大に懸念を表明しているが、この間の 職場と地域からのたたかいを確信に、すべての労働者の大幅賃上げ、最低賃金の改善と全国一律制をめざして奮闘しよう。民間労働者との共同を広げ2月の地域 総行動をはじめ3月12・13日の山場の「50万人総行動」を大きく成功させよう。

 15春闘は、国民との共同を大きく広げ、安倍「暴走」政治をストップさせるたたかいでもある。総選挙で「国民の信任を得た」とする安倍首相は、大企業減 税や軍事費を突出させる一方で、医療や介護などの社会保障費を削減する予算案を強行しようとしている。戦後70年の節目を迎えたが、集団的自衛権行使にむ けた自衛隊法の改悪や辺野古への米軍新基地建設推進、さらに憲法改悪など「戦争する国づくり」に猛進している。しかし、自民党の比例選挙の絶対得票率は 17%でしかなく、国民に犠牲と負担を押し付ける政治の強行は国民との矛盾をいっそう激しくするものである。原発の再稼働やTPP参加、農業・農協つぶし 反対などの課題ともあわせ、国民的共同を発展させるために奮闘し、安倍政権の暴走政治ノーの声を全国に轟かせよう。

 4月のいっせい地方選挙を安倍「暴走」政治をストップさせる春闘のたたかいと結びつけ、生存権をはじめとする基本的人権を保障し、平和で安心・安全に暮 らせる社会と、憲法をいかした地域をつくるとりくみをすすめよう。
 国民・住民の命と暮らしを守る責任を負う公務労働者として、憲法を守りいかすたたかいを強めるとともに、公務・公共サービスの拡充、すべての労働者の大 幅賃上げをめざし職場と地域から15春闘に決起しよう。

 2015年1月27日
全 労連公務部会第14回・公務労組連絡会第48回臨時総会
以 上