No. 900
   2015年2月19日
切実な要求にもとづいて賃金・労働条件改善を

= 公務労組連絡会が人事院・内閣人事局に15年春闘統一要求書を提出 =

 公務労組連絡会は19 日、誰でも月額20,000円以上、臨時・非常勤職員の時給150円以上の賃上げ要求などの実現を求めて、人事院と内閣人事局に15年春闘統一要求書を提 出しました。
 要求書提出にあたって、物価上昇のもとで実質賃金が18か月連続でマイナスとなるなど生活が悪化しているもとで、生計費原則にもとづいた賃金改善などを 強く求めました。
 今後、3月4日の官民中央行動や地域でのたたかいなどを背景にして、3月下旬に誠意ある回答を引き出すため、交渉を積み上げていきます。

働く青年が自立でき る賃金の実現を求める

 人事院への要求書の提出には、公務労組連絡会から川村事務局長、米田・杉本両事務局次長、国公労連から中本中執が参加し、人事院側は職員福祉局の井上主 任職員団体調査官が対応しました。

 はじめに、川村事務局長が「15年春闘統一要求書」(別掲)を手渡し、「賃金が下がりつづけ、物価上昇のもとで公務労働者の生活は急速に悪化している。 景気回復の点からも、切実な生活実態を改善できる賃上げを求める」とのべました。また、非正規労働者が2000万人を超えるなど貧困と格差の拡大が社会問 題となっているとし、非常勤職員の処遇改善を求めました。

 参加者からは、「『給与制度の総合的見直し』による地域間格差の拡大が矛盾を広げている。地域手当のない自治体では職員採用への応募が激減している」 「学校は全国の市町村に存在しているが、賃金の地域格差は認められない」「非常勤職員からの労働相談が増えている。セクハラやパワハラ、雇止が中心だ。処 遇改善と雇用の安定が求められる」などとのべ、誠意をもって要求事項に回答するよう求めました。
 これに対して、井上調査官は「本日うかがった話とともに要求内容は、各部局の担当に伝え、検討をすすめたうえで回答したい」とのべました。

 その後、内閣人事局を訪問し、政府への要求書(別掲)を提出しました。内閣人事局側は西山参事官補佐と萩原課長補佐が対応しました。
 参加者は、政府の使用者責任を強調し、安倍首相が施政方針演説においても賃上げを強調しており、公務・民間のすべての労働者の賃金改善が必要であること を主張。また、地域間格差を広げる「給与制度見直し」は「地方創生」の地域活性化に逆行すると訴えました。その他、定員削減の中止や非常勤職員の処遇改善 を、各単産の実態にもとづいて追及しました。
 西山参事官補佐は、「本日、みなさんから要求をいただいた。誠意をもって検討し、しかるべき時期に回答したい」とのべました。

以  上

【人事院に提出した要求書】
2015 年2月19日
人事院総裁  一宮 なほみ 殿
公 務 労 組 連 絡 会
 議長  北村 佳久

公務労組連絡会2015年春闘統一要求
 
 この間、「給与臨時特例法(賃下げ法)」によって、国や地方自治体などで働く職員に平均7.8%もの賃金削減が押しつけられてきました。「給与臨時特例 法(賃下げ法)」は昨年3月に終了しましたが、本年4月からは「給与制度の総合的見直し」によって平均2%、高齢層では最大4%の賃下げが実施されようと しています。
 これでは、国と地方の公務労働者の生活悪化がすすむばかりか、憲法が定める「全体の奉仕者」としての公務労働者の誇りと働きがいさえも失わせてしまいま す。
 昨年4月からの消費税8%増税と「アベノミクス」による円安、物価の値上がりのもとで、労働者の実質賃金は18か月連続で前年比マイナスが続いていま す。安倍首相は、政労使会議などで賃上げの必要性を強調していますが、景気を立て直すためにもすべての労働者の賃上げが求められます。また、非正規労働者 が2000万人を超えるなど、雇用不安も広がっていますが、労働者派遣法の規制緩和ではなく安定した雇用の拡大こそが不可欠です。
 こうしたもと、「給与制度の総合的見直し」による公務員の賃下げと地域間格差の拡大は、民間労働者の賃金にも悪影響を与え、地域経済を冷え込ませること から、即刻中止すべきです。公務員賃金の社会的影響力をふまえて、積極的な賃金改善をはかり、すべての労働者の賃上げで内需を拡大し、景気を回復していく 機運を高めていくことこそ求められています。
 職場では、連年にわたって定員削減がつづくきびしい環境のもとでも、公務・公共サービスを後退させないために日夜奮闘しています。その奮闘に応えるため にも、人事院は、公務員の労働基本権制約の「代償機関」としての責務をふまえ、賃金・労働条件の改善にむけて積極的な役割を果たすべきです。
 私たちは、公務・民間、正規・非正規を問わず、すべての労働者の賃金・労働条件を求めます。春闘期の統一要求について、貴職が十分な検討を行い、誠意を もって回答するよう求めます。



1、賃金・昇格等の改善について
(1)公務労働者の賃金を、月額平均20,000円以上(国公比較賃金ベースで4.9%)引き上げること。
(2)民間初任給との格差を是正するため、行政職(一)一般職高卒初任給(1級5号俸)を170,000円、一般職大卒初任給(1級25号俸)を 202,100円に引き上げること。
(3)55歳を超える職員の給与減額措置の即時廃止をはじめ、高齢層の給与抑制措置を取りやめること。
(4)官民給与の比較は、比較企業規模を1,000人以上に引き上げるなど、同種・同等比較を徹底した官民賃金比較方法に改善すること。
(5)俸給水準は、生計費や公務員としての専門性を反映した水準とすること。
(6)一時金の支給月数を引き上げ、改善部分をすべて期末手当にあてること。また、役職傾斜支給、管理職加算は廃止し、全職員の一時金改善にあてること。
(7)退職手当は、公務の特殊性に見合った制度・水準に改善すること。
(8)諸手当については、以下の要求を実現すること。
@ 地域間格差の縮小、支給地域の拡大など地域手当を改善すること。
A 扶養手当の支給範囲及び支給額を改善すること。
B 住居手当の全額支給限度額・最高支給限度額を引き上げること。
C 職員に自己負担を生じさせないよう通勤手当を改善すること。
D 単身赴任手当の支給要件・支給額を改善すること。
E 超過勤務手当の支給割合を150%に、深夜勤務及び休日給の支給割合を200%に引き上げること。また、正規の勤務時間を超えて移動に要した出張中の 時間に対しても支給すること。
F 寒冷地手当の級地区分や指定基準を改め、支給額等を改善すること。
G 特殊勤務手当の支給範囲や対象職員の拡大をはかるとともに、支給額を改善すること。
(9)昇格改善について、以下の要求を実現すること。
@ 級別標準職務表を抜本的に改正し、各職務の評価を引き上げること。
A 行(二)職員の部下数制限を撤廃し、職務の特性にふさわしい昇格基準を確立すること。
B 本省・地方の機関間格差や府省別、組織別、世代間、男女間の昇格格差を是正すること。

2、労働時間短縮、休暇制度など働くルールの確立について
(1)所定勤務時間を「1日7時間、週35時間」に短縮すること。
(2)交替制勤務者の連続勤務時間を短縮し、勤務間隔を11時間以上確保すること。
(3)勤務時間管理を徹底し、超過勤務の大幅な縮減と不払い残業を根絶すること。
(4)短時間勤務制度の拡充・改善をはかること。
(5)休暇制度は、以下の要求をはじめ改善をはかること。
@ 介護休暇の取得期間を延長し、取得方法、要介護期間の制限撤廃などの改善をはかること。
A 短期介護休暇における要介護家族の定義及び範囲を見直し、拡充すること。
B 子の看護休暇を子ども一人につき5日以上とし、対象年齢を引き上げること。
C 経済的措置を含めて長期勤続休暇(リフレッシュ休暇)を早期に制度化すること。
D 年次有給休暇、夏季休暇、結婚休暇を拡充すること。
(6)休暇・休業制度が取得しやすい環境を整備するよう各府省を指導すること。
(7)男性も育児参加しやすいよう職場環境を整備すること。
(8)育児休業や介護休暇中の所得保障を充実すること。
(9)国家公務員宿舎の廃止計画、宿舎使用料の値上げを中止・撤回するとともに、必要な公務員宿舎を確保すること。また、改善のための関連予算を大幅に増 額すること。
(10)配偶者同行休業は、配偶者の国内転勤の場合も対象とするとともに、期間も最大3年に限定しないこと。また、制度の実効性を確保するため、柔軟な運 用をはかること。

3、高齢期雇用・定年延長について
(1)「天下り」や早期退職慣行を廃止し、定年年齢までの雇用を保障するとともに、雇用と年金の確実な接続をはかるため、定年年齢を65歳とすること。
(2)65歳までの定年延長が完成するまでの間は再任用制度を併置することとし、以下の要求を実現すること。
@ 政府の責任で必要な定数を確保し、希望者全員の雇用を保障すること。
A 給与水準は退職前の給与水準を基本とし、少なくとも定年退職時給与の7割の水準を確保するとともに、生活関連手当を支給すること。
B 再任用後のポストや処遇に著しい格差を生じさせないようにすること。また、ポストや処遇の設定などについて、任命権者による恣意的な運用が行われない ようガイドラインを示すなど政府として責任ある対応をとること。

4、非常勤職員の雇用の安定・処遇改善について
(1)非常勤職員制度を抜本的に見直し、雇用の安定、均等待遇などをはかる法制度を整備すること。
(2)非常勤職員の時給を150円以上引き上げること。
(3)非常勤職員をはじめ、公務職場で働く労働者の最低賃金を「時給1,000円」「日額8,000円」「月額170,000円」以上に引き上げること。
(4)非常勤職員の賃金は行政職(一)1級5号俸を基礎として、学歴、経験年数及び職務内容等の要素を考慮して決定すること。また、諸手当については、期 末手当及び通勤手当の支給額を改善するなど充実すること。
(5)非常勤職員の更新にあたっては、勤務年数や更新回数を理由とした雇い止めを行わないこと。また、公募要件を撤廃すること。
(6)非常勤職員の休暇を常勤職員と同等の制度とするとともに、以下の事項について早急に改善すること。
@ 無給とされている休暇を有給とすること。
A 非常勤職員の忌引休暇、病気休暇、子の看護休暇について、6か月以上任用の制限を撤廃すること。また、年次有給休暇を採用時から取得できるようにする こと。
B 非常勤職員に対しても、結婚休暇、夏季休暇を制度化すること。

5、民主的公務員制度と労働基本権の確立について
(1)憲法28条の原則に立った基本的人権として、ILO勧告など国際基準にそった労働基本権の全面的な回復を実現すること。
(2)職員団体のための職員の行為の制限(国公法第108条の6)を廃止すること。
(3)「特定秘密保護法」による公務労働者の基本的人権侵害を防止すること。
(4)公務員の政治的行為の制限を撤廃し、市民的権利を十全に保障すること。
(5)公務における団結権の保護及び雇用条件決定手続に関するILO第151号条約を批准すること。
(6)労働組合の団結と自治を破壊する組織介入、不当労働行為は一切行わないこと。
(7)中立・公正な行政を確立するために、公務員の身分保障を形骸化させないこと。
(8)採用試験区分にもとづく人事運用での差別を撤廃すること。
(9)評価制度について、導入の目的に照らして問題点を検証するとともに、以下のとおり改善すること。
@ 評価結果は全面開示とすること。
A 短期の評価結果を給与等の決定に直接反映しないこと。
B 苦情処理システムに労働組合の関与を保障すること。

6、男女平等・共同参画について
(1)雇用の全ステージにおける男女差別を禁止すること。
(2)女性の採用を拡大するとともに、数値目標を設定して大幅な登用をはかること。
(3)役職段階別に占める女性の割合を男女の職員構成比に応じたものとすること。

7、健康・安全確保、母性保護等について
(1)職員の健康・安全を確保するため、以下の対策を講じること。
@ 労使協議で超勤規制、夜勤制限、勤務時間帯等の実効ある基準を策定すること。
A 心の健康づくり対策を強化すること。
B パワーハラスメントに対する指針を策定し、具体的な対策を講じること。
C 看護師の夜勤は、3人以上・月6日以内に制限すること。
D 行政対象暴力に対する安全対策を確保すること。
(2)産前休暇を8週間、産後休暇を10週間とし、産前6週間の就業禁止期間を設けるとともに、代替要員を確保すること。
(3)妊産婦の負担を軽減するため、軽易な業務への転換、勤務時間短縮などを行うこと。
(4)生理休暇を特別休暇に戻すこと。
(5)更年期障害に関わる措置等を制度化すること。
(6)一般健康診断・特別健康診断を充実させること。
(7)国家公務員災害補償の認定を速やかに行うこと。
(8)公務・通勤災害の各種給付水準を引き上げること。

8、東日本大震災、東京電力福島第一原発事故に伴う労働条件改善について
(1)震災にともなって遠距離通勤を強いられている職員に対し、通勤緩和措置を講ずること。
(2)福島県の各官署に勤務する職員の放射線量管理を徹底させるとともに、定期的に特別健康診断を行うこと。また、被災後、福島県の官署に勤務した職員に ついても、同様に対応すること。
(3)自主避難等している職員に対しては、自己都合とせず通勤手当を満額支給するなど特例措置を講ずること。また、家族のみが自主避難している場合は、単 身赴任手当を支給すること。
以  上


【内閣人事局に提出した要求書】
2015 年2月19日

内閣総理大臣 安倍 普三 殿
総務大臣   高市 早苗 殿
内閣官房長官 菅  義偉 殿

公 務 労 組 連 絡 会
 議長  北村 佳久

公務労組連絡会 2015年春闘統一要求

 この間、「給与臨時特例法(賃下げ法)」によって、国や地方自治体などで働く職員に平均7.8%もの賃金削減が押しつけられてきました。「給与臨時特例 法(賃下げ法)」は昨年3月に終了しましたが、本年4月からは「給与制度の総合的見直し」によって平均2%、高齢層では最大4%の賃下げが実施されようと しています。これでは、国と地方の公務労働者の生活悪化がすすむばかりか、憲法が定める「全体の奉仕者」としての公務労働者の誇りと働きがいさえも失わせ てしまいます。
 昨年4月からの消費税8%増税と「アベノミクス」による円安、物価の値上がりのもとで、労働者の実質賃金は18か月連続で前年比マイナスが続いていま す。安倍首相は、政労使会議などで賃上げの必要性を強調していますが、景気を立て直すためにもすべての労働者の賃上げが求められます。また、非正規労働者 が2000万人を超えるなど、雇用不安も広がっていますが、労働者派遣法の規制緩和ではなく安定した雇用の拡大こそが不可欠です。
 こうしたもと、「給与制度の総合的見直し」による公務員の賃下げと地域間格差の拡大は、民間労働者の賃金にも悪影響を与え、地域経済を冷え込ませること から、即刻中止すべきです。政府は、公務員賃金の社会的影響力をふまえて、積極的な賃金改善をはかり、すべての労働者の賃上げで内需を拡大し、景気を回復 していく機運を高めていくことこそ求められています。
 職場では、連年にわたって定員削減がつづくきびしい環境のもとでも、公務・公共サービスを後退させないために日夜奮闘しています。その奮闘に応えるため にも、政府は、賃金・労働条件の積極的な改善にむけて使用者としての責任を果たすべきです。
 私たちは、公務・民間、正規・非正規を問わず、すべての労働者の賃金・労働条件を求めます。春闘期の統一要求について、貴職が十分な検討を行い、誠意を もって回答するよう求めます。



1、賃金・昇格等の改善について
(1)公務労働者の賃金を、月額平均20,000円以上(国公比較賃金ベースで4.9%)引き上げること。
(2)民間初任給との格差を是正するため、行政職(一)一般職高卒初任給(1級5号俸)を170,000円、一般職大卒初任給(1級25号俸)を 202,100円に引き上げること。
(3)55歳を超える職員の給与減額措置の即時廃止をはじめ、高齢層の給与抑制措置を取りやめること。
(4)官民給与の比較は、比較企業規模を1,000人以上に引き上げるなど、同種・同等比較を徹底した官民賃金比較方法に改善すること。
(5)俸給水準は、生計費や公務員としての専門性を反映した水準とすること。
(6)一時金の支給月数を引き上げ、改善部分をすべて期末手当にあてること。また、役職傾斜支給、管理職加算は廃止し、全職員の一時金改善にあてること。
(7)退職手当は、公務の特殊性に見合った制度・水準に改善すること。
(8)諸手当については、以下の要求を実現すること。
@ 地域間格差の縮小、支給地域の拡大など地域手当を改善すること。
A 扶養手当の支給範囲及び支給額を改善すること。
B 住居手当の全額支給限度額・最高支給限度額を引き上げること。
C 職員に自己負担を生じさせないよう通勤手当を改善すること。
D 単身赴任手当の支給要件・支給額を改善すること。
E 超過勤務手当の支給割合を150%に、深夜勤務及び休日給の支給割合を200%に引き上げること。また、正規の勤務時間を超えて移動に要した出張中の 時間に対しても支給すること。
F 寒冷地手当の級地区分や指定基準を改め、支給額等を改善すること。
G 特殊勤務手当の支給範囲や対象職員の拡大をはかるとともに、支給額を改善すること。
(9)昇格改善について、以下の要求を実現すること。
@ 級別標準職務表を抜本的に改正し、各職務の評価を引き上げること。
A 行(二)職員の部下数制限を撤廃し、職務の特性にふさわしい昇格基準を確立すること。
B 本省・地方の機関間格差や府省別、組織別、世代間、男女間の昇格格差を是正すること。
(10)経済財政諮問会議が行った、配偶者にかかる扶養手当の引き下げにむけた、人事院への検討要請は直ちに撤回すること。

2、国民本位の行財政・司法の確立と要員確保等について
(1)国民の安全・安心の確保に資する国民本位の行財政・司法を確立すること。
(2)公務員の総人件費削減は行わないこと。また、行政需要に見合うよう大幅な増員を確保すること。
(3)総定員法を廃止するとともに、「国の行政機関の機構・定員管理に関する方針」を撤回すること。
(4)行(二)職の不補充政策を撤廃すること。
(5)社会保険庁職員の分限免職を撤回し、安定した雇用を確保すること。
(6)「道州制」、「地方分権改革」による事務・権限の移譲や国の地方出先機関の廃止は行わないこと。
(7)公共サービスの劣化につながる「市場化テスト法」を廃止すること。
(8)公共サービス基本法に基づき、国が委託する事業で働く労働者の適正な労働条件を確保するため「公契約法」を制定すること。

3、民主的公務員制度と労働基本権の確立について
(1)憲法28条の原則に立った基本的人権として、ILO勧告など国際基準にそった労働基本権の全面的な回復を実現すること。
(2)職員団体のための職員の行為の制限(国公法第108条の6)を廃止すること。
(3)国民の目、耳、口をふさぎ、公務労働者の基本的人権を侵害する「特定秘密保護法」を直ちに廃止すること。
(4)公務員の政治的行為の制限を撤廃し、市民的権利を十全に保障すること。
(5)公務における団結権の保護及び雇用条件決定手続に関するILO第151号条約を批准すること。
(6)労働組合の団結と自治を破壊する組織介入、不当労働行為は一切行わないこと。
(7)中立・公正な行政を確立するために、公務員の身分保障を形骸化させないこと。
(8)採用試験区分にもとづく人事運用での差別を撤廃すること。
(9)評価制度について、導入の目的に照らして問題点を検証するとともに、以下のとおり改善すること。
@ 評価結果は全面開示とすること。
A 短期の評価結果を給与等の決定に直接反映しないこと。
B 苦情処理システムに労働組合の関与を保障すること。

4、労働時間短縮、休暇制度など働くルールの確立について
(1)所定勤務時間を「1日7時間、週35時間」に短縮すること。
(2)交替制勤務者の連続勤務時間を短縮し、勤務間隔を11時間以上確保すること。
(3)勤務時間管理を徹底し、超過勤務の大幅な縮減と不払い残業を根絶すること。
(4)短時間勤務制度の拡充・改善をはかること。
(5)休暇制度は、以下の要求をはじめ改善をはかること。
@ 介護休暇の取得期間を延長し、取得方法、要介護期間の制限撤廃などの改善をはかること。
A 短期介護休暇における要介護家族の定義及び範囲を見直し、拡充すること。
B 子の看護休暇を子ども一人につき5日以上とし、対象年齢を引き上げること。
C 経済的措置を含めて長期勤続休暇(リフレッシュ休暇)を早期に制度化すること。
D 年次有給休暇、夏季休暇、結婚休暇を拡充すること。
(6)休暇・休業制度が取得しやすい環境を整備するよう各府省を指導すること。
(7)男性も育児参加しやすいよう職場環境を整備すること。
(8)育児休業や介護休暇中の所得保障を充実すること。
(9)国家公務員宿舎の廃止計画、宿舎使用料の値上げを中止・撤回するとともに、必要な公務員宿舎を確保すること。また、改善のための関連予算を大幅に増 額すること。
(10)配偶者同行休業は、配偶者の国内転勤の場合も対象とするとともに、期間も最大3年に限定しないこと。また、制度の実効性を確保するため、柔軟な運 用をはかること。

5、高齢期雇用・定年延長について
(1)「天下り」や早期退職慣行を廃止し、定年年齢までの雇用を保障するとともに、雇用と年金の確実な接続をはかるため、定年年齢を65歳とすること。
(2)65歳までの定年延長が完成するまでの間は再任用制度を併置することとし、以下の要求を実現すること。
@ 政府の責任で必要な定数を確保し、希望者全員の雇用を保障すること。
A 給与水準は退職前の給与水準を基本とし、少なくとも定年退職時給与の7割の水準を確保するとともに、生活関連手当を支給すること。
B 再任用後のポストや処遇に著しい格差を生じさせないようにすること。また、ポストや処遇の設定などについて、任命権者による恣意的な運用が行われない ようガイドラインを示すなど政府として責任ある対応をとること。

6、非常勤職員の雇用の安定・処遇改善について
(1)非常勤職員制度を抜本的に見直し、雇用の安定、均等待遇などをはかる法制度を整備すること。
(2)非常勤職員の時給を150円以上引き上げること。
(3)非常勤職員をはじめ、公務職場で働く労働者の最低賃金を「時給1,000円」「日額8,000円」「月額170,000円」以上に引き上げること。
(4)非常勤職員の賃金は行政職(一)1級5号俸を基礎として、学歴、経験年数及び職務内容等の要素を考慮して決定すること。また、諸手当については、期 末手当及び通勤手当の支給額を改善するなど充実すること。
(5)非常勤職員の更新にあたっては、勤務年数や更新回数を理由とした雇い止めを行わないこと。また、公募要件を撤廃すること。
(6)非常勤職員の休暇を常勤職員と同等の制度とするとともに、以下の事項について早急に改善すること。
@ 無給とされている休暇を有給とすること。
A 非常勤職員の忌引休暇、病気休暇、子の看護休暇について、6か月以上任用の制限を撤廃すること。また、年次有給休暇を採用時から取得できるようにする こと。
B 非常勤職員に対しても、結婚休暇、夏季休暇を制度化すること。

7、男女平等・共同参画について
(1)雇用の全ステージにおける男女差別を禁止すること。
(2)女性の採用を拡大するとともに、数値目標を設定して大幅な登用をはかること。
(3)役職段階別に占める女性の割合を男女の職員構成比に応じたものとすること。

8、健康・安全確保、母性保護等について
(1)職員の健康・安全を確保するため、以下の対策を講じること。
@ 労使協議で超勤規制、夜勤制限、勤務時間帯等の実効ある基準を策定すること。
A 心の健康づくり対策を強化すること。
B パワーハラスメントに対する指針を策定し、具体的な対策を講じること。
C 看護師の夜勤は、3人以上・月6日以内に制限すること。
D 行政対象暴力に対する安全対策を確保すること。
(2)産前休暇を8週間、産後休暇を10週間とし、産前6週間の就業禁止期間を設けるとともに、代替要員を確保すること。
(3)妊産婦の負担を軽減するため、軽易な業務への転換、勤務時間短縮などを行うこと。
(4)生理休暇を特別休暇に戻すこと。
(5)更年期障害に関わる措置等を制度化すること。
(6)一般健康診断・特別健康診断を充実させること。
(7)国家公務員災害補償の認定を速やかに行うこと。
(8)公務・通勤災害の各種給付水準を引き上げること。

9、独立行政法人の制度等について
(1)独立行政法人の抜本的見直しにあたっては、以下の要求を実現すること。
@ 国民生活と社会経済の安定向上に資する独立行政法人の事務・事業については、国の責任で財源措置をはじめとして存続・拡充させることを前提とするこ と。また、国として直接運営した方がより効率的・効果的で、高い公共的見地から貢献できる事務・事業については、国の行政機関に戻すこと。
A 職員の身分・雇用、労働条件に関わっては、当該労働組合との誠意ある交渉・協議を行い、雇用確保に責任を持つこと。
(2)独立行政法人制度について、以下の要求を実現すること。
@ 自主性・自律性が発揮できる独立行政法人制度の運用を保障すること。
A 中期目標・計画等の策定権限を独立行政法人に付与し、各独立行政法人が策定する際に、労働組合との協議を行い、職員の意見を反映させること。
(3)事業の安定性と継続性を保障する財政的措置を講じること。
(4)必要な人員確保を保障し、総人件費抑制は行わないこと。
(5)労使自治による賃金・労働条件決定を保障し、政府は直接・間接的に不当な介入を行わないこと。

10、東日本大震災、東京電力福島第一原発事故に伴う労働条件改善について
(1)震災にともなって遠距離通勤を強いられている職員に対し、通勤緩和措置を講ずること。
(2)福島県の各官署に勤務する職員の放射線量管理を徹底させるとともに、定期的に特別健康診断を行うこと。また、被災後、福島県の官署に勤務した職員に ついても、同様に対応すること。
(3)自主避難等している職員に対しては、自己都合とせず通勤手当を満額支給するなど特例措置を講ずること。また、家族のみが自主避難している場合は、単 身赴任手当を支給すること。

以 上