No. 891
   2014年7月25日

地域での運動のひろがりに確信、たたかう方針を確立

= 公務部会・公務労組連絡会が定期総会を開催 =

 全労連公務部会・公務 労組連絡会は7月24日、全労連会館ホールで定期総会を開催しました。賃金・労働条件の改善、公務・公共サービス拡充、労働基本権回復、地方組織の結成・ 強化にむけて熱心な議論がかわされ、たたかう方針を確立しました。
 討論では、単産・地方組織から18人が発言、とりわけ、14年人事院勧告をひかえて、「給与制度の総合的見直し」に反対して地域からのたたかいがひろが るなか、新たな賃下げ攻撃を許さないためにとりくみの強化を意思統一しました。
 定期総会には単産・地方組織などから83人が出席、1年間の運動方針とともに新役員を選出し、総会宣言を採択して閉会しました。

賃下げねらう人勧をひかえて、たたかいをしっかり意思統一

 午前11時から始まった公務労組連絡会の第47回定期総会は、九後健治事務局次長の司会で開始し、自治労連の松繁美和副委員長と国公労連の川村好伸副委 員長の2人の議長が議事を進行しました。
 主催者あいさつで野村幸裕議長は、「安倍内閣による様々な改悪で国民からの収奪を進めている。『給与制度の総合的見直し』に反対するたたかいを、全国一 律最賃確立のたたかいとも結合して、国民・住民とともに運動を広げることが重要だ。情勢は厳しいが、ねばり強くたたかおう」とのべました。

 3名の来賓から連帯のあいさつを受け、全労連の大黒作治議長は、「全労連は7月27日から第27回定期大会をむかえる。「全労連大運動」をすすめ、 150万組織への道筋をつける決意を固め合いたい。原発ゼロ、TPP反対、消費税引き上げ阻止など国民的課題でも、全労連がナショナルセンターとしての役 割を果たすためにも、本総会でも国民共同の発展にむけて議論を深めてほしい」と激励しました。

 全労連民間部会の今村天次代表幹事(自交総連書記長)は、「全面的な攻撃のもとで、公務・民間で『顔が見える関係』を築くことが重要だ。かつては、行革 規制緩和労組連絡会を官民の労働組合で結成し、安全・安心社会の実現をめざした。今後もこうした関係を持てるよう努力しよう」とのべ、また、日本共産党か らは赤嶺政賢衆議院議員が駆けつけ、「安倍内閣打倒」にむけて奮闘する決意がのべられました。

 公務労組連絡会の運動方針案・予算案・役員体制案を関口裕志事務局次長が提案し、運動方針案は午後からの公務部会総会で一体的に議論することとし、その 他の議案について一括して採決し、各議案は満場一致で採択されました。
 
 午後13時から開かれた全労連公務部会第13回定期総会では、宮垣忠代表委員(国公労連委員長)のあいさつの後、黒田健司事務局長が運動方針案・予算 案・役員体制案を提案し、午前中に提案された公務労組連絡会の方針と一体で討論しました。
 討論では、11地方、7単産から18人から以下のような発言がありました。

********************************

○ 自治労連 北海道・東北ブロック/岩手自治労連 高橋 昭博 副委員長
 岩手は農業や漁業が基幹産業であり大企業はない。町役場、市役所の賃金が下がれば、農協職員や都市改良区の職員の賃金も下がる。人事院勧告や県人事委員 会勧告が大きく影響する。7月10日には、東北公務関連労組で人事院東北地方事務局への包囲行動にとりくんだ。被災者は仮設住宅確保もできていない。被災地の復興をすすめ、地域経済を守るためにも給与制度の改悪はなんとしても阻 止する。
    
○ 千葉県公務労組連絡会 山谷 修 事務局長
 千葉県国公として、千葉自治労連へ相互交流を申し入れ、7月5日に開かれた自治研集会に参加し、地域の実情や意見を取り入れて運動をすすめる重要性を学 んだ。国土交通労組・千葉自治労連・千葉土建の間で協議をすすめている。全教では高校生を主体として、若年労働者の学習教育などもおこなっている。秋には公務 労組連絡会として県人事委員会へ要請したい。10月25日の「道州制シンポジウム」にも積極的に参加し、道州制・地方分権を主要課題として取り組む。

○ 山口県公務共闘 高見 英夫 副議長
 県庁前で定例で早朝宣伝にとりくみ、県庁の職員は連合自治労だが、受け取りは良い。自治体キャラバンも年3回とりくみ、副市長や総務部長とも顔見知りに なった。県人事委員会への要請も年3回にわたり要請してきた。とりくみが反映し、08年以降、国とは違う独自の給与表をつくるようになった。「給与制度の総合的見直し」に反対し、改善勧告を出させるためたたかう。
  
○ 愛媛県公務員共闘 堀川 孝行 事務局長
 県内人口の減少で自治体消滅が予想されるなか、市町が半減するとの調査報告もある。愛媛労連の自治体キャラバンでは、公務が自治体を守ることによって地 域が守られているのとの声も聞かれた。7市町で臨時・非常勤職員が4割を占めるなか、処遇改善が求められている。7月4日に出された非常勤職員に対する総 務省通知は、改善部分もあり、活用しながら非正規職員を組合にむかえていくことが大事だ。組織拡大なくして労働条件の改善もない。

○ 愛知公務共闘 國枝 孝幸 事務局長
 社保庁の分限免職にかかわる人事院判定で、全厚生10人、全体で25人が処分取り消しを勝ち取った。この間の支援に対して感謝する。引き続き支援をお 願いしたい。愛知公務共闘では、「給与制度の総合的見直し」で人事院中部地方事務局と交渉し、現場の生の声を伝えてきた。人事院包囲行動にとりくみ、愛労連の最賃改善のとりくみで は、早朝宣伝を民間の労働者とも連携しながらやっている。

○ 滋賀公務共闘 清水 庄次 事務局長
 滋賀県知事選挙での物心両面の支援に感謝する。自民党の候補と民主党候補、明るい会の推す候補でたたかったが、国の将来を左右する安倍暴走政治を滋賀か ら止められるかどうかが焦点と強く訴えた。集団的自衛権の行使容認の閣議決定直後の大津駅前の宣伝には、70人もの人がビラを配るために集まり、1,000枚 のビラを配った。潮目が変わる時を実感体験した。結果として自民党候補が落選し、安倍政権に打撃を与えることになった。
    
○ 宮城公務関連共闘 野中 康浩 事務局長
 「給与制度の総合的見直し」は、地域経済を疲弊させる。宮城の公務員はがんばっている。地域経済でもやる気の問題でも、二重の意味で「見直し」をやらせ てはならない。05年の「給与構造改革」のたたかいの経験を生かしたい。7月10日に東北総行動を展開し、東北6県から200人が参加、台風のなかデモや 人事院要請、学習会などで奮闘した。

○ 北海道公務共闘 山本 貴雄 事務局長
  再任用では、教員は退職後30%の採用しかできず、少子化等で採用枠が狭まって遠隔地しか再任用の枠がない厳しい状況だ。北海道は16年連続給与が削減さ れている。運輸局でも全道各地に広がる公務員の賃金が毎年引き下げられると与える影響が大きい。民間地場賃金にも影響を あたえると共同した取り組みを強めていく。

○ 京都公務共闘 松下 卓充 事務局長
 「給与制度の総合的見直し」の問題は地方公務員へ影響を与える。賃下げが地域経済に与える影響を示すため、「産業連関表」を使って街頭宣伝した。日銀の 支店にも懇談に訪れ、GDPへの影響を与えることなどを意見交換した。中小企業同友会や商工会とも懇談しながら、賃下げにストップをかけるたたかいに全力 をあげる。京都公務共闘は9月2日に学習会を開いて意思統一し、思い切って外に出る決意だ。

○ 自治労連東海北陸ブロック/自治労連愛知県本部 鈴木 常浩 
 賃下げの押しつけが強まるなか、愛知では3市2町の5つの自治体に賃下げがとどまった。賃金格差をひろげる「給与制度の総合的見直し」は、秋の地方人事 委員会勧告とその後のたたかいがいかに大事であり、最後まで公務産別一体で奮闘する必要がある。自治労連では6月に沖縄での青年交流集会を開いた。数は力 であり、次世代を担う青年の育成にも力を入れていく。

○ 大阪公務共闘 野満 誠 事務局長(近畿公務共闘事務局長)
 近畿公務共闘では3月17日に総会を開催し、人事院近畿地方事務局を包囲する大衆行動を実施することを確認した。6月4日に合同で学習会を開き、7月 10日には人事院交渉、午後には人事委員会包囲行動にとりくみ、のべ106人が参加した。今後ともすべての労動者の賃下げを許さず、地域経済に影響を与えるあらゆる賃下げ攻撃を許さないため奮闘する。

○ 郵政ユニオン 上平 光男 副委員長
 日本郵政の株式上場が来年にひかえるなか、国民のための郵政ネットワークの維持をめざしていきたい。公務部会に郵政対策委員会を設置し、利用者の立場か ら運動を発展させる。
 非正規職員が毎年3月、郵政本社前で集会を実施、ストライキでもたちあがっている。数次にわたるILOへの要請は正式に受理されている。広いたたかいの 輪を広げていきたい。民間となったが公務・公共サービスの輪をひろげてゆく。

○ 特殊法人労連 花島 進 副議長
 独立行政法人通則法の改正案が6月に通過した。大臣が勝手に統廃合することが可能になり、職員が免職になる恐れがある。賃金・労働条件の問題では、独法 には国の賃下げが遅れてやってくる。原子力機構は、安全神話の推進に寄与してきたが、隠してしていることも多く、職員がだれでも批判的なことも含めて自由にものが言えるべきだ。改善の要求 を出してたたかう。
 
○ 全教 小畑 雅子 中央執行委員
 OECDの報告では、日本の中学校の教員では1週間の勤務時間が53.9時間で、34カ国平均は38.3時間だった。全教の勤務実態調査と合致するとこ ろだ。全教は国際機関に対して教員の地位勧告と非正規職員の申し立てをおこない、7月にILへ追加情報を提出した。長時間過密労動は、世界の非常識でまったなしだ。父母や国民とも共同したとりくみを進めていく。

○ 自治労連 杉本 高 中央執行委員
 「給与制度の総合的見直し」では、地元国会議員への要請活動、全教と共同で総務大臣あての署名にとりくんだ。現実には総務省による地方押しつけは許さな い。夏から秋にかけて昇給・昇格善・地域手当の改善を求めてたたかう。人事評価制度に対するたたかいでは、住民福祉の向上から相容れないものであると、昨年学習会交流集会を開催し、単産からアンケートをとり、現地で聞き取 り調査を進めていることころだ。住民の幸せなくして公務員の幸せはないことを念頭に運動を進めていく。

○ 国公労連 柊 建治 中央執行委員
 独立行政法人通則法「改正」法が成立したが、職員の雇用継承の付帯決議が採択された。社会保険庁職員の解雇撤回では裁判でたたかい、京都事案では12月 には結審して年度内にも判決が出る見通しだ。「賃下げ違憲訴訟」は12回の口頭弁論ののち結審し、10月30日に判決が下される。国公労連の裁判の取り組みのなか、国立病院機構や国立高度医療センター の一般職員の賃下げをやらせなかったことは大きく、全医労は3年連続の組合員拡大につなげている。

○ 自治労連 猿橋 均 書記長
 公共施設使用不許可など、さいたま市の公民館では「梅雨空に『9条守れ』の女性デモ」という市民の俳句の月報への掲載を拒否した。住民の権利を抑制する 役割を、自治体労働者に負わせようとしている。改憲手続き法では、公務労働組合の組織的運動の制限が検討されている。公務労働者と住民との分断は認められ ない。11月にポルトガルの労働組合と交流したが、公務交通関係のストライキを国民が支持をしている。何かあれば頼りになる労働組合にしたい。憲法をいかし政 治を変えるたたかいを。 

○ 全教 長尾 ゆり 副委員長
 憲法を教育にいかすためがんばりたい。「安倍教育再生反対3・29決起集会」では、人生はじめての集会やパレードを体験したとの感想が多かった。集団的 自衛権行使の閣議決定で、「教え子を再び戦場に送るな」が、リアルなスローガンになってきている。若者は、戦争に行くことになるのかと心配している。組織 拡大では、声をかけると話が繋がる。「いい先生になりたい」「あなたをひとりにさせない」と、青年が青年にさわやかな言葉で語りかけはじめている。

 討論を受けて、総括答弁と討論のまとめを黒田事務局長がおこない、すべての議案は満場一致で採択されました。
 総会宣言(別掲)を採択し、最後に北村佳久代表委員(全教委員長)の閉会あいさつと団結ガンバロウ三唱で総会を閉じました。


総 会 宣 言

 消費税増税の強行、社会保障制度改悪、TPP交渉への参加、さらには、原発の再稼働など、安倍内閣は、あらゆる面で民意とはかけ離れて暴走を続けてい る。
 海外で戦争ができる国に変えるために集団的自衛権行使を容認する閣議決定は、まさに暴走政治を象徴している。憲法解釈をねじ曲げ、立憲主義を踏みにじる 歴史的暴挙に、憲法を尊重し、擁護する責務を持つ公務労働者として、満身の怒りを込めて抗議する。

 公務労働者に対しては、「全体の奉仕者」としての役割をゆがめ、政権党言いなりの公務員づくりにむけた「公務員制度改革」が、公務労働者の労働基本権を 制約しながら強行されている。また、「骨太の方針」は国家公務員定員の5年間10%以上の「合理化」を示し、その一方、臨時・非常勤職員を増やし、劣悪な 賃金・労働条件のままで放置している。
 国・地方の公務員総人件費削減にむけて、憲法違反の「賃下げ法」に代わって、「給与体系の抜本的改革」と称する新たな賃下げ攻撃を強め、そして、こうし た政府方針のもと、いま、人事院が「給与制度の総合的見直し」にもとづく「賃下げ勧告」を強行しようとしている。格差拡大で地域経済を冷え込ませる給与制 度の改悪に反対し、間近に迫った勧告で不当な「見直し」を断固阻止するため、全力をあげてたたかい抜く決意である。

 この1年間、国民犠牲の突破口としての公務員攻撃と対決し、仲間たちが地域に足を出して「対話と共同」をひろげるなかで、要求と運動を着実に前進させて きている。
 「賃下げ法」廃止を求めるたたかいでは、賃下げ措置の延長さえもうかがう政府のたくらみを打ち破った。政府が財界に賃上げを要請し、内部留保の活用に言 及せざるを得なくなっていることも、大企業の社会的責任を追及してきたねばり強い運動の反映である。
 さらに、「公務員制度改革」の不当性を国際世論に訴えるなかで、今年6月に9度目のILO勧告が出されたことも、長年にわたるたたかいに勇気と励ましを 与えている。

 いま、解釈改憲を強行した安倍内閣に対して、「憲法を壊すな」の世論と運動がひろがり、政治の転換を求める声へと発展しつつある。暮らしを壊し、改憲へ とひた走る安倍内閣の悪政は、国民との間でいっそう矛盾を深めることは明らかである。
 こうした情勢に確信を持ち、安倍内閣の暴走にストップをかけ、憲法改悪を許さない国民的な共同を大きくひろげていこう。憲法にもとづいて、暮らしと命を 守る公務・公共サービス、教育の拡充にむけて運動を前進させよう。公務労働者の労働基本権回復にむけて、新たなたたかいへ足を踏み出そう。1年間の運動の 到達点を全体で確認し、たたかいのさらなる発展にむけて力強く奮闘するものである。

 2014年7月24日
全労連公務部会第13回・公務労組連絡会第47回定期総会

以 上