No. 875
   2013年8月10日

地 域に打って出るたたかう方針を決定

=全労連公務部会第11回定期総 会を開催=

  全労連公務 部会は7月26日、全労連会館で第11回定期総会を開催しました。賃金・労働条件の改善、公 務・公共サービス拡充、労働基本権回復など民主的公務員制度確立、地方組織の結成・強化に向けての方針を確定しました。
 代議員・幹事会等83人が参加し、討論では、単産・地方組織から20人が発言し、地方賃下げで地域における多彩なとりくみが語られました。
 全労連公務部会の総会に先立ち午前中には、公務労組連絡会第45回定期総会も開催し、2013年度の方針と新体制を確立しました。


【公 務労組連絡会第45 回定期総会】
 11時から始まった公務労組連絡会の第45回定期総会は、九後健治事務局次長の司会で開始し、全教の長尾ゆり副委員長と国公労連の國枝孝幸中央執行委員 の2人の議長団による議事が進行しました。

 主催者あいさつで野村幸裕議長は、「安倍首相は、公務員制度改革と道州制導入によって、国のあり方そのものを変える攻撃を強めている。そのために、労働 者と国民の分断をねらい、自己責任による競争社会を作り出そうとしている。公務労働者の1年間のたたかいも、ねばり強い取り組みのなかで数々の教訓を生み 出している。憲法改悪反対をはじめたたかうべき課題は多いが、国民共同をひろげ、働きがいのある職場作りをめざそう」とのべました。
 3名の来賓からあいさつを受け、全労連の大黒作治議長が「全労連は来週評議員会を開くが、地方における行動で奮闘し、職場から大きなたたかいを広げてほ しい。秋から憲法キャラバンを展開する。賃上げでこそデフレ打開だ。本格的な運動になるよう大きな世論をつくっていこう」と激励しました。

 民間公務部会の赤羽数幸幹事(建交労書記長)は、「参院選で共産党が躍進したのは政治の変化のあらわれだ。悪政に反対するたたかい も大きな力となってい る。公務労働者バッシングに対して、全組合員参加で憲法を活かし積極的に外に打ってでよう」とのべ、日本共産党の塩川哲也衆議院議員は、「参院選では日本 共産党が11議席を獲得しすべての委員会で委員の配置ができた。憲法改悪、税と社会保障の一体改革や公務員制度改革法案、公務員賃下げなど悪政を許さない たたかいを前進させる新たな条件ができた」とのべました。
 公務労組連絡会の議案提案を米田雅幸事務局次長がおこない、議案は満場一致で採択されました。
 
【全 労連公務部会第11回定期総会】
 昼食・休憩を挟んで、午後13時からは全労連公務部会の第11回定期総会を開会しました。宮垣忠代表委員のあいさつの後、引き 続き同議長団のもとで議事を進行しました。
 黒田健司事務局長が2013年度運動方針案と2012年度決算・剰余金処分案・2013年度予算案、2013年度役員体制案を、西村丈二会計監査から 2012年度会計監査報告をおこないました。
 
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  討論では、7単産、13地方組織の20人から発言がありました。

@ 青森県公務共闘 鳴海 進議長(青森県教組)
 青森県職員の賃下げ攻撃に反対し、県人事委員会へ5年ぶりとなる県教組・高教組・県職労・日教組青森・学校事務労働組合の5者共闘で要求書を提出した。
 青森県公務共闘の今後のたたかいとして、県内市長会との懇談や県内10市への要請訪問行動、県人事委員会との交渉、議会への要請行動、県知事への要望 書、リレートークや憲法署名活動など。みなさんとともにたたかいを盛り上げていく決意だ。

A 自治労連 北海道・東北ブロック協議会 高橋 昭博(岩手自治労連)
 復興予算で4月から3兆6千億が目的外流用された。会計検査は目的外流用は返還すべきということだが全額返還したところはない。被災地は、落ち着きを取 り戻しつつあるが、山高く積まれたがれき処理は3割程度しか進まず、仮設住宅で不便な毎日をおくっている。自宅を再建したくても、高台移転やかさ上げやか さ上げも進んでいない状況で、希望が持てず被災地の人口流出がとまらない。
 貧しい政治が進められることに怒り不安でいっぱいだ。共産党に期待しているが、政党まかせでは、公務員労働者・自治体労働者として失格。仲間を大いにふ やし職場づくりに奮闘する。

B 広島自治労連 大内 里枝 副議長(広島自治労連)
 広島市で嘱託職員をしている。今年度から徐々に廃止にむけ2年後には退職金がなくなる。30年以上働いても退職金が1円もなくなることになり、嘱託や非 常勤職員に手当をつくっていくことがいかに大事なことなのか実感した。
 広島市にはたくさんの外郭団体があり、指定管理者制度を受けると財団は賃金は3分の1になる。6月に市の職員が賃下げしたので賃下げするとの提案あり、 6つの単組で交渉したが理事者が本当に能力がないようだ。納得できないので6月から7月にかけて交渉を進めてきた。非正規の運動の前進をはかる。

C 自治労連 久保 貴裕 中央執行委員
 憲法キャラバンで47都道府県1,800自治体で懇談した。96条の改憲は姑息だ。岩手県陸前高田市では戦争に派遣することはしないと、岩手では市町村 長の9条の会を結成した。憲法を仕事とくらしに活かす。
 県と市町村で税金の徴収体制を強化し、公務員を住民と敵対させようとしている。北九州市の住民がおにぎりが食べたいと日記に残して餓死した事件があっ た。2人しかいなかった組合員が30人になるなど職場が変化している。真面目に仕事を考え悩んでいる職場の仲間と、憲法を仕事に活かす運動が各地で生まれ ている。住民と対立分断する攻撃に対して、住民のために、住民に顔の見える共同をすすめる。

D 自治労連 熊谷 守朗 中央執行委員
 大半の単組で減額を許さず、同時に組合員の拡大で例年のペースを上回る到達点を確認した。すべての労働者の賃下げをすすめ、消費税など国民負担増の露払 いとし、財界・大企業への追随、地方自治・労使自治を破壊する許されない行為だ。職場の怒りを総結集するとともに、労働組合との共同の立場で3月には本部 役員と地方組織で闘争本部を確立し、従来を超えるたたかいが進んでいる。
 露骨な地方自治・労使自治への干渉を許さないたたかいの強化が求められている。14春闘にむけて自治労連として全力をあげる。

E 北海道公務共闘 山本 貴雄 事務局長(道国公)
 高校現場では平成25年から無年金期間が生じるが、国は65歳までの期間を定年延長しないで現行の再任用制度で解消しようとしている。希望者の35%し か定員がない。北海道では遠く地方勤を務命じられると、やむなく辞退することになる。生徒数が減少するなかで高教組で試算したら、学級閉鎖により教職員定 数がへっているが、空席で再任用を保障できない。生徒数減の現状をふまえて文科省には特段の配慮がもとめられる。
 道職員も15年連続の賃下げで、道が賃下げになり民間の賃金もさがり、誰もが賃下げになるなかで、再任用職員が路頭に迷うことになる。賃上げこそ景気回 復の道だ。

F 国公労連・国土交通労組 澤田 一洋 副委員長
 国の出先機関廃止に反対して、国公労連の「総対話マップ」運動でたたかってきた。自治体との懇談では、北海道・九州などで自治体首長が理解を示してい る。東日本大震災や台風災害に建設運輸交通の公務の仲間が地域のために奮闘したことで理解が広がっている。
 生活関連公共事業の労働組合が共同して署名13万筆を集約し、30人が紹介議員になった。国民の行政が壊される地方が壊されることに対し、民間と共同し てたたかう。

G 山口県公務共闘 石田 高士 事務局長(山口高教組)
 退手削減・賃下げに反対し、学習会で意思統一し、地元国会議員要請にとりくんできた。11月には県労連自治体キャラバンにとりくみ、自治労県本部とも連 絡会議もちながら運動を進めてきた。これからのたたかいがきわめて重要。人事委員会要請や8月の末には商工会懇談と秋には自治体キャラバンでたたかう。

H 宮城公務関連共闘 野中 康浩 世話人・事務局(宮城高教組)
 3月9日に仙台でシンポジウムを開催した。宮城春闘共闘や国公労連と4人のパネラーから、震災から2年になり今後の課題などで発言があった。石巻市は6 つの町と石巻市の合併で、職員が2割ほど削減されていたことが被害をひろげた。震災を通して国の出先機関は必要であることが明らかとなり、被災地への救援 も全国の仲間がいたからこそできた。シンポジウムの報告集を作成するのでぜひ活用してほしい。

I 東北公務関連共闘 伊藤 勲 事務局長(国公東北ブロック)
 6月8日の「公務員バッシングをはね返そう秋田県民集会」は120名が参加した。初めての企画としては成功した。民間との共闘なくして公務員バッシング をはね返すのは難しい。外に足を出して、民間のみなさんと一緒に運動をしていくことが求められる、役割を発揮したい。

J 大阪公務共闘 中町 裕一 事務局次長(大阪自治労連)
 橋下大阪市長とのたたかいが最大限の重点として、毎月9の日宣伝にとりくみ、以前は99%の電話が市労組批判だったが、今では7割近くが、「橋下なんと かならんかい」など共感の電話に変わった。
 賃下げは衛星都市では許していない。42自治体で実質やられたこところは今のところない。賃下げ攻撃を住民と一緒に跳ね返す。橋下市長の攻撃の息の根を とめるためにがんばる。

K 愛知公務共闘 阿部 歳信 事務局長(愛知国公)
 7月17日に人事院中部事務局へ要請を行った。職員の減少と残業の恒常化、非正規職員の処遇改善や労働基本権について追及したが、回答は「意見を承る」 のみで、人事院事務局としての存在意義を見せろといいたい。
 公務員賃下げ違憲訴訟では、裁判所職員が裁判闘争をやるのはいかがなものかとの意見があったが、ことの深刻化と適正な裁判を求め立ち上がった。愛知は組 織や地域で「やるなら今でしょ」とたたかう。

L 秋田県公務共闘 大塚 久司 事務局長(秋田高教組)
 「公務員バッシングを跳ね返し暮らしと福祉・教育を守る集会」を開いた。東北国公ブロックの松木議長や日本医労連の西村中執から、国の出先機関、自治体 の職場から行政改革による人減らしなどを題にした。120人が参加したが、県公務共闘の集会で100人超えたのは初めてだ。フロアー発言では公務員攻撃 は、公務・公共サービスの切り捨ては、地域や住民へのバッシングであり、民間への賃下げにつながる。ことなどがのべられた。

M 郵政産業ユニオン 上平 光男 書記次長
 郵政産業ユニオンへの組織統一から1年がたち、6月に第2回定期大会を開催した。ナショナルセンターの違いを超えて、地方では統一メーデーも生まれてき た。下からの運動の積み重ねが必要だと強く感じた。
 裁判闘争では岡山や高知での雇い止めのたたかいで職場復帰してきている。勇気と希望をもらった。期間社員 で道労働委員会救済命令出させた。広島では、 地裁高裁でも勝利し職場復帰をかちとっている。会社が謝罪文を出した。
 JP労組ではたたかえないとして現役の役員が郵政産業ユニオンに加盟し、要求にもとづいて組織化がすすんでいる。非正規社員の均等待遇化にむけて組織を 増やしながら奮闘する。

N 公務労組九州ブロック 四郎丸 治 (国公九州ブロック)
 道州制の問題では、2月14・15日に九州経済団体連合会と同友会に要請・懇談した。道州制が一気呵成にすすむことになるのではないかと学習会をすすめ ている。
 国立大学の賃下げ問題では、大学がこの秋に提訴する準備を進めている。学問の自由・大学の自治を破壊する。負のスパイラルをくいとめるため、ともににた たかっていこう。

O 京都公務共闘 新田 昌之 事務局長(京都自治労連)
 賃下げ反対のたたかいでは、京都公務共闘として4月から月1回の宣伝にとりくみ、労働者の賃上げにむけて5000枚のビラも配布した。5月10日には全 大教の先生をパネラーに招き、地域からの共同が大切だと実感した。団体署名も40団体に回った。
 全厚生闘争団が15人いる。労働法制改悪を先取りしているのが社保庁だ。全厚生のたたかいを京都総評をはじめと引き続き支援する。

P 自治労連東海・北信越ブロック 鈴木 常浩(愛知自治労連)
 未組織の組合も含めて2回にわたり早朝ビラや宣伝にとりくみ、5月の自治体キャラバンでも自治体当局の懇談の中で取り上げてきた。3月には地元国会議員 や政党を回り考え方を示してきた。7月下旬に当局に対して交付税問題もからめて要請した。
 春の自治体キャラバンでは、公務共闘含めて自治体の臨時非常勤職員の実態や公契約のあり方を中心に位置づけてきた。生活保護の改悪で怒りが窓口に向けら れる。住民の皆さんと一緒に運動ができるような具体化が求められる。

Q 特殊法人労連 岡村 稔 事務局次長
 独法は国の出先機関ではなく、職員の労働条件は団交で決める。国家公務員の退職金がひきさげられたからといいう理由には道理はない。交渉を続けている。
 6月に101独法の改革の方向性だされたが、省庁を超えた統合、地方自治体への移管や特殊会社化など整理解雇がうまれかれかねない。安倍首相は組織みな おしをなしはじめるよう指示しているので、年内に整理合理化案がまとめる。雇用問題が発生しないよう国の責任で雇用継承することを要求する。

R 全教・日高教 藤田 新一 書記長
 奨学金は労働者の課題として重要だ。文科大臣は記者会見の冒頭に高校無償化法の改悪に言及した。所得制限を持ち込むことは、許さない。長崎県議会は7月 11日に無償化を求める県議会決議あげている。
 どのように所得制限をいれるのか300万人いる高校生から証明とる人件費作業は膨大なもの。学校現場は大きな混乱を生む。

S 全教 今谷 賢二 書記長
 雇用と年金の接続に関って文科省交渉をしてきた。子どもが減り教職員の定数が減少し、再任用するような余地もない県が生まれてきている。こうした状況を 受け止め概算要求期にいかしてほしいと求めた。
 勤務実態調査では全国平均の時間外労働は月に90時間を超える。平均で過労死ラインをこえるのに定年まで働きつづけることができるのか切実な課題。定年 まで働き続けることが出来る職場を求める。

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 総括答弁と討論のまとめを黒田事務局長がおこない、「賃下げについては、とりわけ自治体の賃下げで跳 ね返した経験をはっきしていくことが、豊かな教訓と して語りあえた。公務・公共サービスの拡充、道州制反対ではこの秋から強化が必要になる。憲法を職場と地域に活かし、地方の公務労働者が主体となって議論 をすすめてほしい。国民運動を大きく広げるチャンスが来ている。変化を示した参院選の結果に改めて確信をもち、秋から来年にかけて今後の運動に反映しよ う」と呼びかけました。
 満場一致ですべての議案を採択し、2013年度の新役員を選出しました。今総会で、郵政産業ユニオンの廣岡元穂代表委員と自治労連の松尾泰宏・特殊法人 労連の西村丈二会計監査が退任しました。
 総会宣言(別掲)を関口裕志事務局次長が提案し拍手で採択されました。最後に北村佳久代表委員の閉会あいさつと団結ガンバロウで総会を閉じました。

以 上

総  会 宣 言

 私たちは本日、定期総会を開催し、 公務員総人件費削減攻撃に対するたたかいなど1年間の運動の到達点を確認するとともに、すべての労 働者の賃上げや憲法 にもとづく公務・公共サービスの実現にむけて、国民犠牲の「構造改革」と対決してたたかう方針を確立した。

 参議院選挙では、自民党が大幅に議席を増やし、自民・公明の与党が参議院でも過半数の議席を獲得した。これによって衆参の「ねじ れ」は解消されることと なったが、憲法9条改悪による「国防軍」の設置、暮らしと経済を壊すTPP参加、原発の再稼働などを公約にかかげ、増税と社会保障制度改悪、財界・大企業 奉仕のアベノミクスによる暴走をつづける安倍自公政権と国民の間でのねじれは一層深刻となっている。
 公務労働者には、消費税増税など国民負担増の突破口として、憲法違反の「賃下げ法」が強行されるもと、安倍内閣は、地方交付税等の削減を通して、地方公 務員や教員に賃下げを押しつけてきた。人事院は、政府の賃下げ攻撃に迎合・荷担し、「賃下げ法」を容認するなど、労働基本権制約の「代償措置」としての人 事院勧告制度の役割さえも投げ捨てるまでになっている。こうしたもと、あらためて労働基本権のすみやかな回復を要求する。
 総会では、「賃上げで景気回復」「国民生活を支えるための公務公共の拡充」「憲法・地方自治・教育を守る」などの課題で、幅広い共同と職場での共感をひ ろげる取り組みが情勢を切り開き、政府による攻撃を押し返していることが確認された。また、臨時・非常勤職員の均等待遇の実現をはじめ、職場の要求にもと づくたたかいが、組織と運動を着実に前進させていることが明らかにされた。
 いま、安倍自公政権は、憲法9条改悪による「戦争をする国」づくりと一体で、公務員を「全体の奉仕者」から「時の権力への奉仕者」へと変質させる「公務 員制度改革」をねらっている。「地方分権改革」や道州制導入をねらい、憲法にもとづく国の責任を放棄しようとしている。これらは断じて認められず、憲法改 悪反対の草の根からの運動ともしっかりと結びつき、国民的な共同をひろげて全面的にたたかう決意である。
 憲法でも原発でも国民の声に向き合わない安倍内閣は、急速に求心力を失うことは明らかである。安倍自公政権による暴走を許さず、真に国民のための国政と 地方政治の実現、住民に安全と安心を保障する公務・公共サービスの拡充で、東日本大震災からの復興、憲法が職場と暮らしにいかされる社会を実現するため、 すべての労働者・国民と手を結び、ともにたたかうことを呼びかける。
 以上、宣言する。

2013年7月26日

全 労連公務部会第11回・公務労組連絡会第45回定期総会

以  上