No. 870
   2013年6月17日



高 齢層昇給ストップの給与法が成立

= 消費税増税の突破口、デフレ 脱却にも逆行 =

  高齢層職員の昇給抑制を内容とした国家公務員一般職の給与法「改正」法案は、17日午後に開かれた参議 院本会議で採決され、共産党・社民党をのぞく与野党の賛成多数で可決・成立しました。
 これによって、来年1月から55歳を超える職員は事実上の昇給停止となり、すでに実施されてきた高齢層に対する一律1.5%の給与減額措置をはじめ、 「賃下げ法」による平均7.8%の賃下げなどとあいまって、さらなる生活悪化は避けられません。
 安倍内閣がすすめる国・自治体に働く公務労働者の賃金削減・抑制は、デフレ脱却をめざす政府の経済対策とも逆行し、国会での十分な議論が求められていま したが、衆・参あわせてもわずか6時間程度の審議にとどまり、会期末まであと10日にせまるなかで成立が強行されました。
 実施が見送られた12年人事院勧告を、国に準じた賃下げを地方自治体に押しつけるために、一転して実施を閣議決定した自民・公明の与党はもとより、これ を容認した民主党、みんなの党、日本維新の会なども、公務員いじめを通して消費税増税などさらなる国民負担をせまる点で断じて認められません。
 夏季闘争のたたかいのさなか、13年人事院勧告にむけたとりくみを職場や地域からひろげるとともに、7月の参議院選挙など来るべき政治戦では、国民犠牲 をねらう勢力に厳しい審判をくだすことが求められています。


国家公務員給与法の成立にあたって(談話)

2013年6月17日
公 務 労 組 連 絡 会
事務局長 黒田 健司

1、第183回通常国会で審議されていた一般職国家公務員の給与法案は、本日開かれた参議院本会議で、共産・社民をのぞく各党の賛成多数で可決・成立し た。
 12年人事院勧告にもとづいて、55歳を超える職員の昇給を事実上停止する給与法は、能力・実績主義にもとづく人事評価制度とも矛盾し、年齢による賃金 差別に他ならない。何よりも、連年にわたって賃金削減・抑制が繰り返される高齢層の生活をさらに悪化させるばかりか、公務労働者の働きがいさえも失わせる 点で断じて認められるものではない。

2、高齢層への賃金抑制について人事院は、官民の給与格差が相当程度存在することを理由にあげてきた。しかし、中高年齢層では関連企業への出向・転籍など がおこなわれる民間企業にくらべ、長期雇用を基本とした公務の昇進・人事管理上の特性の違いを考慮しない単純な官民比較は、公務員総人件費削減を目的とし た高齢者いじめの口実に過ぎない。
 また、民主党政権では実施が見送られた12年人事院勧告を、政権交代したとたんに一転して今年度からの実施を決定したことは、公務員攻撃を通して国民犠 牲をねらう自公政権の姿勢をより鮮明にしたものである。

3、「賃下げ法」によって、昨年4月から国家公務員の賃金削減が強行されるもと、自公政権は、地方自治体にも国家公務員との同様の賃下げを押しつけ、地方 交付税削減の強行で、多くの自治体で賃金削減に踏み切らざるをえない状況となっている。
 さらに、新藤総務大臣は、国会審議のなかで、「賃下げ法」が終了したもとでも、財政再建や経済成長などを総合的に判断するとして、新たな賃金削減の可能 性にも言及した。そのことは、デフレ脱却をめざす政府の経済対策とも逆行し、公務員賃金削減を消費税増税の突破口に位置づけるものであり、国民的にも許さ れない。
 労働基本権を幾重にも踏みにじって強行した「賃下げ法」をただちに廃止するとともに、公務労働者の労働基本権のすみやかな回復を強く求めるものである。

4、最近の株価の乱高下を通して、「投機とバブル」によるアベノミクスの行き詰まりがすでに見えはじめている。一方で、自民・公明・ 民主など「オール与 党」による生活保護法の改悪をはじめ、安倍内閣による解雇自由化など労働法制の大改悪がねらわれている。過日閣議決定された「骨太の方針」でも、大企業奉 仕と国民犠牲の方向が貫かれている。そして、これらと一体で、憲法改悪がねらわれようとしている。
 公務労組連絡会は、公務労働者の生活改善、公務・公共サービス拡充をめざし、憲法改悪反対、消費税増税中止など国民的な課題と結びつけ、参議院選挙・都 議会議員選挙など重要な政治戦をひかえるなかで、当面する夏季闘争を全力でたたかう決意である。   

以 上