No. 851
   2012年10月18日
各地の地方公務産別組織が人事委員会に要請行動

= 地方確定闘争が本格化へ、賃金改 善にむけてたたかいの強化を =

 地方公務員・教職員の給与改定にむけて、10月16日 現在で、38都道府県、21政令市の人事委員会から勧告が出されています。
 公民較差は各地方でさまざまですが、全体としては、人事 院勧告が月例給・一時金ともに改善を見送るなかで、各人事委員会の勧告も同様の傾向を示しています。また、昇給・昇格制度の改悪が「国公準拠」で勧告され ていることも特徴です。
 非常勤職員の賃金・労働条件改善にかかわっては、「勤務条件の在り方を絶えず検討し、適切な制度運用を図 る」(京都市)、「引き続き適正な勤務条件が整えられるように要望する」(堺市)など9地方人事委員会で言及しているなかで、今後、臨時・非常勤職員の処 遇改善のとりくみ強化が求められます。
 こうしたもと、各地方公務産別組織では、地方労連とも共同しながら、地方人事委員会への要請 を強めてきました。各地方でのとりくみを紹介します。

【愛 媛】12年人勧にむけて過去最高の団体・個人署名を提出

 愛媛県公 務員共闘は9月14日、愛媛労連と共同して、県人事委員会への賃金改善署名提出・要請行動にとりくみ、県公務員共闘から新川議長(県教組)、海田副議長 (県国公)、堀川事務局長(自治労連)、愛媛労連から田福議長・竹下事務局長が参加しました。
 また、10月2日にも署名提出・要請 行動を配置し、合計して団体署名が259団体、個人署名1,012筆を提出し、過去最高の集約数となりました。
 要請行動では、初任 給・若年層の給与について、「公務をめぐる状況、大震災の教訓を生かす安心安全の地域づくりのために、公務の人材確保が求められている。県の初任給改善が 市町からも注目されている」として、積極的な給与改善を要請しました。
 また、高齢層の給与削減では、「国勧告では3年連続でベテラ ン職員の給与改悪となる。民間比較や情勢適応の原則が強調されるが、職務が変わらないのに給与引き下げはおかしい」と厳しく追及しました。
  その他、非正規職員の待遇改善を求めましたが、県人事委員会側は、「特別職の非常勤職員は、人事委員会の権限外だ」などとして消極的な態度に終始しまし た。
 これに対して、組合側は、「権限外だとしても、非常勤・臨時職員の待遇・処遇は人事委員会が所管すべきだ。近年は他県の勧告で も触れられている。検討を要請する」とかさねて強く求めました。

【宮 城】被災地として復興に資する内容となる勧告を強く要求

 宮城公 務・公務関連共闘は9月19日、県人事委員会に対して12勧告にむけて要請行動にとりくみました。
 要請には、公務関連共闘から昆野 代表(県国公)、瀬成田世話人(宮教組)、手塚世話人(県国公)、野中世話人(事務局長、高教組)、宮教組から2名、高教組から1名の7名が参加しまし た。
 要請では、以下のように訴え、人事院勧告に追随することなく賃金の引上げ・労働条件の改善・充実をはかる県人事委員会勧告を行 うことを強く要求しました。
○ 公務員賃金がこの10年間で大幅に削減され職員の生活実態はかなり苦しい。この実態に見合う賃金・労 働条件改善の勧告を行うこと。
○ 公務員準拠の民間労働者へも影響することや、さらに復興へ向け徐々に回復しつつある地域経済にも大 きく影響することを考慮し、勧告が被災地として復興に資する内容となるよう勧告を行うこと。
○ 高齢層職員は、給与増構造「改革」の 導入、一昨年には民間より高いことを口実にした給与削減などの実態があり、これ以上の削減は士気にも影響することから、人事院勧告に追随した高齢層の賃金 削減勧告を行わないこと。
 この要請に対し、人事委員会側は「要請内容は各人事委員に伝える。人事院勧告の報告の中で、国家公務員の 制度改革がしめされ、高齢層職員の考え方が出された。昨年は民間調査をできない中で勧告を行った。本年は、沿岸部でも民間調査ができ、一昨年より多くの民 間企業から協力を得た。現在、これらの結果を分析しているところだ。公民較差、人事院勧告などを踏まえながら作業を行っている。今回の要請内容を踏まえ、 地公法の趣旨をしっかり踏まえとりくんでいきたい」と回答しました。

【高 知】臨時・非常勤職員の雇用中断の解消を強く要求

 高知県公務労組 連絡会は9月25日、12勧告にむけて高知県人事委員会への要請行動にとりくみました。要請行動には西山議長はじめ県教組、自治労連、県国公、県労連から 6名が参加しました。
 人事委員会は今年、高齢層職員の賃金について民間との比較を行っています。国は55歳を超える職員の賃金を 1.5%削減したり、給与構造の見直しに伴う差額支給の廃止を進めています。今年の勧告には、55歳を超えると昇給を停止する内容が盛り込まれています。 高知県でも国の動向に対応して検討をすすめており、そのことを理由に、通常なら9月県議会最終日におこなわれる勧告がずれ込む可能性もあるとの見通が示さ れました。
 こうしたもと、そもそも55歳という年齢に何の根拠もなく、高齢層職員に対する賃金削減を許さない取り組みが重要になっ ています。
 年金との接続問題で人事委員会は、再任用で対応する方向で検討しているようです。なお給与水準については、国も来年の勧 告まで決められないのでは、との見通しを示しました。
 初任給基準は、四国の中で高知を除く3県が引き上げています。他県の状況も示 し、改善を求めましたが、否定的な回答でした。高知県は最低賃金でも全国最下位となっており、他県に追いつくことを当面の目標に、引き続き初任給基準の改 善を求めていく必要があります。
 非正規問題では、雇用中断の解消を求めましたが、事務局側は、「正規職員との区別がつかなくなる」 と雇用中断は必要との姿勢でした。不当な雇い止め、雇用不安解消のために、引き続き要求していく必要があります。

【山 口】昨年を上回る111団体分の署名を人事委員会に提出・要請

 山 口県公務共闘は9月27日、山口県人事委員会に県人勧前の重点要求書を提出しました。要求書提出行動には、河済議長、石田事務局長、河野事務局次長、岡村 自治労連書記が参加しました。また、あわせて「賃下げの地方波及、ベテラン層の賃下げ、退職手当削減に反対し、地域経済の活性化につながる改善勧告を求め る要請」(団体署名)を昨年の89団体を大きく上まわる111団体分を提出し、国に追随せず、労働基本権制約の「代償機関」として主体的な改善勧告を行う よう要請しました。
 現給保障等について、県人事委員会は人事委員会は国や他県の状況は「無視できない」と厳しい姿勢を示していま す。こうしたもとで、県公務共闘は、市町では国人勧ではなく県人勧を適用する動きもあり、県人勧の果たす役割と影響力はますます大きくなっていると指摘。 また、111団体の署名は、県人事委員会への期待の表れだと述べ、要請事項の実現にむけての努力を求めました。
 対応した久保人事委 員長は「労働基本権の代償機関として法の下に適切な勧告を出す。意見を聞いて委員会で参考にしたい」と答えました。
 なお、団体署名 は、県教組各支部や高教組各分会はもちろん、県国公共闘や自治労連・市職労や現業評議会、福祉関係や幼稚園など関連職員労組をはじめ、各地域労連、農協 労、郵産労、私教連などから寄せられました。県人勧は例年通り10月中旬に予定されています。
 10月21日には秋季年末闘争学習決 起集会を開催します。山口県公務共闘は、公務と民間ともに力を合わせ、多数の参加で情勢を切り開くため奮闘する決意です。

以 上