増加す
る非常勤職員・教員の処遇改善は急務
全人連への申し入れには、公
務労組連絡会からは、野村議長(自治労連委員長)、北村副議長(全教委員長)、黒田事務局長、関口・米田の各事務局次長、自治労連から猿橋書記長、全教か
ら今谷書記長が出席しました。 全人連側は、関谷会長(東京都人事委員会委員長)をはじめ、谷藤(北海道)、高橋(宮城県)、小室
(栃木県)、福間(愛知県)、栗原(大阪府)、森信(広島県)、元木(徳島県)、福田(福岡県)、小高(横浜市)の各人事委員会代表ほかが出席しました。
はじめに、野村議長は、別添の「要請書」を関谷会長に手交し、「昨日、人事院勧告が出さたれが、賃下げ法による国家公務員給与の引き下げで、人事院の調査
でも7.67%の官民較差が実際にあったにもかかわらず、改善勧告が出されなかったことは、労働基本権制約の代償措置として勧告制度があるもとで、きわめ
て重大だ。また、7日には国家公務員の退職手当を400万円以上削減することが閣議決定されたが、これに準じた引き下げを、総務省が地方自治体に要請する
など不当な介入をおこなっている。このようななかで、各地の人事委員会で今年の勧告にむけた作業がすすめられるが、地方公務員の生活改善、地域経済の活性
化にむけた積極的な立場で、給与・労働条件改善にむけて尽力いただきたい」と申し入れました。 自治労連の猿橋書記長は、「現実に官
民較差があるのに勧告しなければ、勧告制度が代償措置たりえるのか疑問だ。また、臨時・非常勤職員の処遇改善がすすんでおらず、常勤職員との均等待遇に
は、はるかに遠い。積極的な賃金改善を求める」とのべ、全教の今谷書記長は、「ベテラン層への給与抑制に職場では落胆の声が上がっている。それに加えて
400万円以上の退職手当削減もねらわれている。安心して働くことのできる労働条件確保を求める。人事委員会の承認で採用される非常勤教員は10万人に達
する。県によっては3割を占めるところもあるが、教育に対する願いに応えられるような処遇にはなっていない。真剣な検討を求めたい」と要請しました。
これに対して、関谷会長からは、以下のような回答が示されました。
【関谷全人連会長の回答】 ただいまの皆様からの要請につきましては、確かに承りました。早速、役
員府県市を通じて、全国の人事委員会にお伝えいたします。 8月8日に、人事院勧告が行われましたので、改めてその概要について申し
上げます。国家公務員について、特例による給与減額支給措置が講じられている中での勧告となりましたが、本年の民間給与との較差は、減額前の給与額を基準
とした場合で273円、率にして0.07%、公務員給与が民間給与を上回るとしております。特別給につきましては、公務の支給月数は民間の支給実績と均衡
しているとしております。 こうした較差等の状況を踏まえ、人事院は、月例給、特別給ともに改定は行わないとしております。また、本
年は、50歳台後半層を対象とした昇給・昇格制度の改正について勧告が行われております。 このほか、公務員制度改革等に関する報告
が行われ、協約締結権付与や人事行政の公正の確保に関する論点が提示されているほか、新たな再任用に関する課題と取組など、高齢期における職員の雇用問題
に関して、人事院の基本的な認識が示されております。 人事院勧告につきましては、必ずしも、これに従うべきものではございません
が、今後、各人事委員会が勧告作業を行う上で、参考となるものであることから、その内容については、十分に吟味する必要があると考えております。
現在、各人事委員会では、勧告へ向け、鋭意作業を進めているところです。今後は、皆様からの要請の趣旨も考慮しながら、それぞれの人事委員会が、地域の実
情を踏まえつつ、主体性をもって対処していくことになるものと考えております。 公務員の給与を取り巻く環境は、厳しい状況にありま
すが、人事委員会といたしましては、本年も、中立かつ公正な人事行政の専門機関として、その使命を果たしてまいります。 全人連といた
しましても、各人事委員会の主体的な取組を支援するとともに、人事院、各人事委員会との意見交換に十分努めていきたいと考えております。
以 上
2012年8月9日
全
国人事委員会連合会 会 長 関谷 保夫 殿
公 務 労 組 連 絡 会 議 長 野村 幸裕
日
本自治体労働組合総連合 中央執行委員長 野村幸裕
全 日 本 教 職 員 組 合 中
央執行委員長 北村佳久
地方人事委員会の勧告に関する要請書
貴職の地方公務員の賃金・労働条件の改善に向けた努力に敬意を表します。 人事院は8月8日、内閣と国会に対して、国家公務員一般職
の俸給表上の給与額にもとづく官民較差が僅少であるとして、月例給・一時金の改定を見送るとともに、55歳を超える職員の昇給・昇格抑制措置などを求める
勧告・報告をおこないました。 「給与臨時特例法(賃下げ法)」にもとづいて、今年4月から平均7.8%もの国家公務員給与の引き下
げが強行されています。賃下げ法では「この法律の趣旨を踏まえ、地方公共団体において自主的かつ適切に対応されるものとする」との附則が盛り込まれ、国と
連動した地方自治体の公務員の賃金引き下げを求める政府の圧力も強まることが予想されます。 しかし、賃下げ法そのものは、「自律的
労使関係制度の先取り」との主張にもとづいて強行されたものですが、いまだに協約締結権回復の公務員制度改革関連法案は成立せず、地方公務員制度改革にか
かわっては法案提出の見通しさえたっておらず、「先取り」としてきた法律の根拠はすでに完全に破綻しています。 また、8月7日には
国家公務員の400万円を超える退職手当削減が閣議決定されましたが、消費税増税の露払いとして野田内閣が強行した理不尽で法外な手当削減に対して、職場
では管理職もふくめて怒りが急速にひろがり、地方公務員や教員への連動を許すなとの声が大きくなっています。 今後、各地の人事委員
会においても、本年の勧告にむけた作業がおこなわれますが、人事委員会勧告にあたり、下記事項をふまえた努力を強く要請いたします。
記
1、
地方公務員・関連労働者の暮らしを守り、「全体の奉仕者」として誇りと尊厳を持って職務に専念できるよう、人事院勧告に追随することなく、賃金・労働条件
の改善・充実をはかる勧告をおこなうこと。
2、労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告制度を踏みにじり、
議員立法によって強行した「給与臨時特例法」を廃止するよう政府に求めること。
3、消費拡大による景気の回復、
地域経済の活性化などをめざして、公務員賃金の持つ社会的影響力を考慮して賃上げをはかり、そのため、比較対象企業規模を「100人以上」にするなど積極
的な改善を行うこと。
4、人事委員会の勧告と関わりなく行われている「賃金カット」などの労働条件の切り下げに
対しては、即時中止を求めるなど毅然とした対応を行うこと。また、独自に「賃金カット」を行っている自治体では、実態賃金との比較で公民較差に基づく賃金
改善を行うこと。
5、給料表については、職務による格差の拡大、中高年層の給与の抑制をやめ、生計費原則に立っ
た構造とし、号給足伸ばしなど必要な措置を講じること。査定昇給及び勤勉手当の格差拡大の導入は、人事評価制度の未確立の状況を踏まえ、当該労働組合との
交渉経過等を尊重し、慎重に対処すること。
6、教員の給与勧告にあたっては、義務教育費国庫負担金の見直しなど
の動向に影響されず、地方公務員法および教員人材確保法にもとづき、勤務実態に応じた適切な給与水準を確保すること。
7、
超過勤務縮減へ向けた具体的措置を講じること。
8、非常勤職員等非正規職員の雇用の安定をはかるとともに、賃金
及び労働条件の改善を行うよう勧告すること。
9、憲法とILO勧告に基づき公務員労働者の労働基本権を保障する
など、民主的公務員制度確立にむけ積極的に政府に働きかけること。
10、新たな高齢期の雇用施策の策定にあたっ
ては、定年延長による「雇用と年金の接続」を大原則とし、制度設計にあたっては労使間での十分な協議を行うこと。 |