公務公
共業務の重要性、生活と労働の実態をふまえた勧告を求める
全人連
への申し入れには、公務労組連絡会からは、野村議長(自治労連委員長)、北村副議長(全教委員長)、黒田事務局長、関口・米田の各事務局次長、自治労連か
ら猿橋書記長、全教から今谷書記長が出席しました。 全人連側は、関谷会長(東京都人事委員会委員長)をはじめ、谷藤(北海道)、高
橋(宮城県)、林(長野県)、齋藤(愛知県)、栗原(大阪府)、林(広島県)、山本(高知県)、蓑田(福岡県)、岡部(横浜市)の各人事委員会代表ほかが
出席しました。 はじめに、野村議長は、別添の「要請書」を関谷会長に手交し、「賃下げ法」の附則で地方での「自主的かつ適切な対
応」が盛り込まれ、賃下げの地方への波及が懸念されるもとで、第一線で奮闘している職員の努力に応えるため、地方公務員・教員の給与改善にむけて全国の人
事委員会が尽力するよう申し入れました。 また、自治労連の猿橋書記長は、「臨時・非常勤職員の改善の勧告を出した人事委員会は、昨
年は4府県3政令市にとどまっている。処遇改善にむけて積極的な意見表明を求める。高齢雇用の確保はさしせまった課題だ。働き続けられる職場環境をはじめ
総合的な条件整備を求める」とのべ、全教の今谷書記長は、「人事委員会として、公務労働者の仕事や生活の実態をふまえた勧告を求める。とくに公務公共業務
の重要性をふまえて、賃金や雇用のあり方を検討すべきだ。非正規の割合が4割近い職場もある。臨時・非常勤職員の問題は多岐にわたっており、改善にむけて
引き続き努力を求める」と要請しました。 これに対して、関谷会長からは、以下のような回答が示されました。
【関谷全人連会長の回答】 ただいまのみなさんからの要請につきましては、確かに承りました。
さっそく役員府県市を通じて、全国の人事委員会にお伝えします。 さて、最近の経済情勢ですが、先週の12日に発表された4月の月例
経済報告で、政府は、景気について「東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるなかで、緩やかに持ち直している」とする一方、欧州政府債務危機
や原油高の影響を背景とした海外景気の下振れ等によって、景気が下押しされるリスクが存在する、としています。 民間賃金の状況です
が、厚生労働省が4月3日に発表した「毎月勤労統計調査」では、平成23年の冬の賞与は、従業員1人当たりの平均額で、前年比1.9%の減となり、3年連
続で減少したとの結果が示されております。 また、本年の春季労使交渉では、3月中旬の大手企業の一斉回答において、定期昇給は維持
とし、一時金は前年実績を下回るという回答が多く見受けられましたが、今後、中小企業における回答結果も含め、その動向を注視していく必要があると考えて
おります。 こうした民間における賃金の状況を的確に把握するため、毎年、各人事委員会は、人事院と共同で民間給与実態調査を
行っております。昨年は、東日本大震災の発生に伴い、調査の実施に大きな影響がございましたが、本年は、例年と同様の実施を予定しており、5月初旬からの
調査開始へ向け、現在、準備を進めているところです。 本日、要請をいただいた個々の内容は、各人事委員会において、その調査結果や
各自治体の実情等を踏まえながら、本年の勧告に向けて検討をしていくことになるものと思います。 公務員の給与を取り巻く環境が大変
に厳しい中、私ども人事委員会は、本年も中立かつ公正な第三者機関として、公務員の給与等の勤務条件について社会情勢に適応した水準となるよう、その使命
を果たしてまいります。 全人連といたしましては、今後も、各人事委員会の主体的な取組を支援するとともに、各人事委員会や人事院な
どと十分な意見交換に努めてまいります。 また、公務員制度改革や、高齢期における雇用問題など、公務員の人事給与制度に関する動向
につきましても、引き続き適切に対応していく考えです。
以 上
【全人連への要請書】
2012年4月18日
全
国人事委員会連合会 会 長 関谷 保夫 殿
公務労組連絡会 議 長 野村 幸裕
地方公務員の給与勧告に関わる要請書
日頃から自治体労働者・教
職員の賃金・労働条件の改善に向けてご尽力いただいていることに敬意を表します。 東日本大震災からすでに1年が経過しましたが、被
災地はもとより全国の自治体職員・教員は、引き続き被災地の復旧・復興のため奮闘しています。今後、長期化も想定され、あらためて公務労働者の賃金・労働
条件の改善が求められています。 2月29日、民主・自民・公明3党の議員共同提出による「賃下げ法」(国家公務員の給与の改定及び
臨時特例に関する法律)が参議院本会議で可決され、成立しました。 今回の「賃下げ法」は、人事院勧告に基づかず、平均7.8%もの
賃下げを押し付けるものです。同時に議員立法による賃下げは、使用者たる政府の責任の放棄であり、容認した政府の責任は重大です。さらに、当事者たる労働
組合の意見も聞くことなく、わずかな質疑を経て採決されたことは、公務労働者の労働基本権を保障する憲法を蹂躙するもので、断じて認めることはできませ
ん。 さらに、法の附則に「この法律の趣旨を踏まえ、地方公共団体において自主的かつ適切に対応されるものとする」との文言が追加さ
れ、国と同様に地方自治体の公務員の賃金引き下げが求められることも十分予測されます。 すでに一部自治体において議員提案による給
与条例「改正」案が議会に提案されています。 地方においては、給与の独自削減や手当の見直し、定員削減など国からの技術的「助言」
のもと、これまでも賃金・労働条件の改悪が行われており、これ以上の「賃下げ」は職員の働く士気にマイナスの影響を与えるものです。公務員の大幅な賃下げ
は、今春闘における民間の労使交渉にも否定的な影響を与え、「賃下げの悪循環」でデフレ不況をさらに悪化させることにつながり、地域経済への影響はより大
きく、地方の税収減にもつながります。 地方公務員の給与決定原則を逸脱することなく、住民の暮らしや子どもたちの教育のため、日夜
献身的に奮闘している自治体労働者・教職員を励まし、誇りと尊厳を持って公務公共業務に従事できるよう、貴職が第三者機関としての役割を発揮し、積極的な
立場に立ち、下記要請事項の実現に向け尽力されることを要請します。
記
1.
住民の暮らしや子どもたちの教育のため、日夜、献身的に奮闘している自治体労働者・教職員を励ますとともに、誇りを持って公務公共業務に従事できるよう
に、正規・非正規を問わずすべての公務労働者の賃金・労働条件を改善すること。
2.自治体労働者・教職員が「全
体の奉仕者」として誇りと尊厳を持って職務に専念できるようにするため、労働基本権制約の「代償機関」としての役割を発揮すること。
3.
民間給与実態調査にあたっては、単に民間の給与水準と機械的に比較するのではなく、地方自治や地方公共団体のあり方、公務・公共サービスのあり方と密接不
可分であることや、民間労働者の賃金や地域経済への影響を十分留意して作業を行うこと。とりわけ、比較対象企業規模を100人以上に戻すこと。
4.
住民に信頼される中立・公正な地方行政を確保する観点から、競争原理、「成果・業績」に基づく給与・人事管理制度実施などの勧告を行わないこと。
5.
公務員総人件費削減のもとで増加している臨時・非常勤職員について、人事院の「指針」等を踏まえつつ、給与をはじめ休暇制度など労働条件の改善、雇用の安
定・均等待遇の実現などに向けて必要な勧告を行うこと。
6.介護休暇制度について、取得期間の延長や対象者の拡
大、休業手当金の上限規制の撤廃、十分な所得補償など改善を行うこと。また、育児休業制度についても、無給規定の撤廃をはじめ、十分な所得補償を行うこ
と。 当面、育児休業手当金については、適用要件をなくし全期間にわたって支給すること。
7.
新たな高齢期の雇用施策の策定にあたっては、定年延長による「雇用と年金の接続」を大原則とし、制度設計にあたっては労使間での十分な協議を行うこと。
|