No. 798
    2011年7月28日
被災地の復旧・復興、原発ゼロ、最賃引き上げを

= 公務員賃金改善など求めて全国か ら1500人が結集 =

 朝方からの雨も上がり、蒸し暑さのなか全国から駆けつ けた1500人の参加者は、日比谷野外音楽堂での総決起集会、厚生労働省・人事院前の要求行動をはじめ、財務・文科省農水省、総務省要求行動で奮闘しまし た。
 行動を通して、全国加重平均6円と極めて低い最低賃金目安額答申に怒りを示し、9月下旬にのびた人事院勧告にむけて、職場・地 域からさらに運動を前進させ、被災地の復興、原発ゼロをめざす決意を固め合いました。

東日本大震災から4か月半、住民本位の被災地の復興、
原発ゼロの流れを強め、国民要求実現に向けて夏のたたかいを交流
〜  日比谷野外音楽堂の総決起集会で決意固め合う 〜

 12時すぎから、日比谷野外音楽堂 で「被災地の復旧・復興を!原発ゼロ、最賃引き上げ、公務員賃金改善、国民本位の財政実現 国民要求実現7・28総決起集会」を開催しました。官・民さま ざまな組合旗が林立し、夏季闘争勝利へ決意を固める集会となりました。
 主催者あいさつした大黒全労連議長は、「大震災から4か月半 が経過した。被災住民の生活再建や、福島原発事故から世界がフクシマを注目している。原発推進勢力に未来を託すわけにはいかない。震災を口実に財界など、 構造改革の流れではなく、国民生活を立て直す政治に転換し、最賃引き上げ、公務員賃金引き下げ反対の運動を粘り強くたたかおう」と呼びかけました。
  日本共産党山下よしき参議院議員が駆けつけ、被災地宮城の調査を通じて、「中小企業の社長が雇用を守って絆を作ろうと努力しているのに、大企業ソニーが期 間労働者の雇いどめを平気ですることは許されない」と雇用を守ってこそ復興につながるとあいさつしました。
 全労連小田川事務局長が 夏季闘争をめぐって情勢報告し、「国会は1カ月延長して二次補正予算を成立させたが、いまだ被災地のがれき撤去は3割あまりの処理にとどまり、義援金はい まだ被災者の手に届いていない。福島原発事故の責任をとるべき東京電力への税金投入を先行して決め、避難を余儀なくされた人々への支援や対策こそ急ぐべき だ。原発からの撤退を求める国民世論は高まっている。くらしと営業の改善をめざし、労働者・中小企業経営者・農漁民など切実な要求を声にだしてたたかいを 強めよう」と訴えました。
 続いて、官民の労働組合・民主団体の代表がたたかいの交流を報告しました。最初に国公労連・全法務実川 (じつかわ)中央執行委員長が、「被災後ただちに現地へ駆けつけ、救援のために国道の復旧など民間建設労働者とともに奮闘してきた。安心・安全な社会を実 現することが公務の役割であることが明らかとなった。地域経済を冷え込ませる公務員の賃金引き下げ法案を廃案に追い込むまでたたかう」と報告し、公務・民 間共同のたたかいで公務・公共サービスの拡充の世論を広げていることを紹介しました。
 全労連・全国一般青池(あおいけ)書記次長 は、宮城のなかまの要求タペストリーとともに登壇し、「27日に中央最賃審議会の目安額答申が、岩手、宮城、福島などの地域でわずか1円の引き上げにとど まっている。」と怒りを表明し、「被災者の生活再建には何よりも最低賃金の大幅な引き上げが必要だ」と訴えました。
 被災地を代表し て、福島県労連斎藤議長は、「6月下旬に南相馬市のお年寄りが『お墓に避難します』と遺書を残して自殺した。小中学生も夏休みに疎開を開始し、これまでに 1万2千人の子どもたちが転校を余儀なくされた。復興県民センターを6月に立ち上げ、42万枚のアンケートチラシを配布してきたが、5000枚のアンケー トが寄せられ、8割を超えて原発廃炉の声となっている。県議会も原発からの脱却の道を歩もうとしている。放射能から子どもを守る取り組みを強め、行動記録 運動を始めている。11月初めに全国集会を準備している。全国の仲間の支援を呼びかけたい」と、原発ゼロの運動を全国に訴えました。
  全商連の西村副会長は、漁船を贈る支援の取り組みが始まっていることや全国漁業連との懇談を行ってきたことを紹介し、「港を早く整備して、漁業の再開や水 揚げできる港を取り戻し、製造・加工業を復興させ雇用確保を進め、商売できるための復興が求められている」と力強く発言しました。
  最後に、閉会のあいさつに立った農民連白石会長は「震災からの復興を国の責任で行わせ、構造改革の流れを断ち切り、国民生活の改善を前進させよう」との べ、団結ガンバローを三唱して閉会しました。

最賃目安のりこえるとりくみと公務員賃金の改善を

  最賃引き上げ、雇用と暮らし守れ、公務員賃金改善を求めた人事院・厚生労働省前要求行動では、全労連・岩永千秋常任幹事司会進行のもと春闘共闘・伊藤潤一 代表委員が主催者あいさつを行い、情勢報告では、最低賃金をめぐって全労連伊藤圭一常幹・調査局長が、公務賃金については国公労連上田宗一中執・調査部長 が、人勧期に向けて「55歳を超える職員の給与抑制中止と給与構造改革に伴う経過措置の継続の2点を重点に取り組む」と述べました。職場からの実態と要求 として、神奈川自治労連の蓮池書記長は、最低賃金の引き上げを求めて裁判闘争に立ち上がったことを報告し、「時給1000円のたたかいをめざす」こと、ま た「川崎市で公契約条例が制定され、時給が893円に大幅に引きあがった。」と報告しました。京都総評・梶川事務局長、生協労連・桑田委員長の報告のあ と、シュプレヒコールを全労連・高島牧子事務局員が行いました。 

被災地で奮闘する公務員にこそ国民栄誉賞を

  総務省前の要求行動では、公務部会の鈴木事務局次長の司会進行のもと、主催あいさつで宮垣代表員は、公務員賃金の引き下げ、公務員の労働基本権確立、郵政 民化を中心に情勢を報告し、「改めて安心・安全を守ることが、公務労働者の役割であることがはっきりしてきた。国の出先機関の原則廃止、官から民への規制 緩和を許さず公務員賃金改善、労働基本権の回復、公務・公共サービスの拡充にむけて奮闘しようと」呼びかけました。
 続いて職場・地 域からの要求アピールとして5人が発言しました。「大阪の橋下知事は2年半で10%の給与削減をおこない、終了するはずが3年に延長になり、給与制度改悪 も同時並行で行なうことになった。秋年闘争にむけて大阪市長・県知事選のダブル選挙で夏の陣が始まろうとしている。明るい職場づくりに全力をあげる」(大 教組・末光章浩副委員長)、 「ワールドカップのなでしこジャパンに国民栄誉商を授与しようとしているが、被災地で危険な作業もかえりみず尽力を注いだ公 務員にこそ、栄誉賞を与えられるべきだ」(国公労連・全港建・下元委員長)、「構造改革路・市町村合併・集中改革プランで人員減であえいでいる。直接市民 と接する部署が非正規職員では市民への対応が十分にできない場合もある。地方財源を確保すべきだ。」(自治労連岡山県本部・清水一成書記長)、「監督官を 15年勤めてきた。総務省は新規採用者抑制方針を明らかにしている。ベテランだけが増えても未来は明るくない。労働行政が抑制するのは残念。機能の低下は 断じて許さない。職場環境の改善、国が責任を持ち拡充をはかるべきだ。」(国公労連・全労働・岩國中央執行委員)、「3・17の被害後郵政関係者は、61 名の行方不明・171ヶ所の被害を受けたががんばってきた。分社化の弊害が明らかになってきている。5分社化を3分社化へ、また21万人の非正規労働者の 正規化と均等待遇もとめて全力をあげる」(郵産労・日巻直映書記長)と各分野から切実な要求が述べられました。
 最後に国公労連・全 司法出口副委員長のシュプレヒコールで総務省前を締めくくりました。

子どもやくらしのための予算を勝ちとろう!

  財務・文部科学省前での行動で、主催者あいさつに立った全労連柴田副議長は、東日本大震災から4か月以上経った今でも復旧・復興が進んでおらず、国による 早急な対応が求められること、福島原発の事故が多くの国民に怒りと不安を広げていることなどにふれ、被災地の復旧復興は住民参加のまちづくり仕事と雇用の 確保など生活再建と地方自治を基本に行われるべきであり、憲法を生かした復旧・復興を実現しようと呼びかけました。
 続いて行われた 職場・地域からのアピールでは、国公労連・全建労の恵藤委員長が「震災直後から、地域の民間労働者と協力して国道の復旧にあたってきた。7月からは本格復 旧に移るが、極めて不十分な体制で仕事を進めなければいけない。これだけ第一線の公務員労働者ががんばっているのになぜ賃金の引き下げを行うのか」と職場 の怒りを代弁しました。
 続いて滋賀県自治労連の松本委員長は、「原発銀座の福井県で今回のような事故が起これば近畿1400万人の 飲み水がなくなる。福井原発の再稼働は中止すべき。原発建設を促進する電源立地交付金は見直すなど、財政の根本的なあり方を問う運動が必要」と発言しまし た。
 また、全教の浪岡中執は、概算要求に向け30人学級実現や教育の無償化、教職員の定数増を求めてとりくんでいる「えがお署名」 が8万筆を超えて集約されていることを紹介し、子どもたちの権利を守るためにも教育予算の確保が必要だと訴えました。
 特殊法人労連 の岡村事務局次長は、被災地を中心に奨学金返済の猶予や免債の相談が多いことなどを紹介しながら、教育を受ける権利を保障するためにも、学費不安の解消と 無利子・給付型の奨学金が必要だと強調しました。
 最後にアピールに立った新日本婦人の会の玉田副会長は、子供を持つ母親として、被 災地の子どもたちへの補償を行うことが重要だと訴えるとともに、子どもの6人に1人が貧困状態にある深刻な状況の解消が必要であることを強調し、「子ども やくらしのための予算を勝ちとろう」と呼びかけました。
 参加者は再び日比谷公園に集合し銀座へむけてパレードに出発しました。

以 上