大変な状況だからこそ人事委員会の役割発揮が重要
全人連への申し入れには、
公務労組連絡会からは黒田事務局長を先頭に、自治労連から鈴木常浩中執、全教から蟹澤昭三書記次長が参加、全人連側は、事務局の東京都人事委員会事務局任
用公平部任用給与課の田近隆課長補佐、柳清水篤史任用給与主査が対応しました。 はじめに、黒田事務局長は、別添の「要請書」を手渡
しながら、「東日本大震災の被災地では、多くの自治体労働者や教員が、地元はもとより全国から派遣されて、被災者救援・復旧作業の先頭に立って奮闘してい
る。こうした職員を励ますためにも、公務労働者の賃金・労働条件の改善が重要だ。また、政府がねらう賃下げは、地方公務員にも直接かかわる話だ。全人連と
しても政府に対して意見表明を要請する」とのべました。 自治労連の鈴木中執は、「地元の自治体労働者は、家族を亡くしても住民の救
援活動にあたっている。休みもなくメンタルになる職員も出てきている。公務労働者の献身的な姿が、国民の共感となってひろがっている。こんな状況だからこ
そ、人事委員会が職員の処遇改善にむけて果たすべき役割は大きい」とのべるとともに、計画停電にかかわる臨時・非常勤職員の休業補償などいっそうの処遇改
善を求めました。 全教の蟹澤書記次長は、「業務で派遣されている教職員も、ボランティアに参加している人も、震災を我がことと受け
とめ、気持ちを一つにしてがんばっている。その人たちをどれだけ励ますかは、人事委員会の役割だ。また、経済が疲弊しているなかで、公務員の賃下げは、さ
らに景気を悪化させることになる。加えて、国家公務員の賃下げは、地方公務員・教員の賃下げにつながり、交付金の削減で自治体財政にも連動する二重苦の措
置だ。この間、各地の人事委員会が地方自治体の独自カットに対して遺憾の意を表明しているが。国の賃下げに対しても意見表明を求めたい」と要請しました。
これに対して全人連側は、「みなさんの要請については、確かにうけたまわった。関谷会長をはじめ、地方の役員にも伝えたい」とのべました。
以 上
(別添:全人連への要請書)
全
国人事委員会連合会委員長 会 長 関谷 保夫 殿
公 務 労 組 連 絡 会 議 長 野村 幸裕
日
本自治体労働組合総連合 中央執行委員長 野村 幸裕
全 日 本 教 職 員 組 合 中
央執行委員長 北村 佳久
地方公務員の給与勧告に関わる要請書
日頃から地方公務員の勤務条件の向上にご努力いただいていることに敬意を表します。 3月11日に発生した東日本大震災は、地震と津
波による被害が東北・関東地方の広範な市町村に及び、史上例を見ない大災害となりました。幾多の住民が一瞬にして住居をなくし、今もなお十数万人が避難生
活を余儀なくされるなか、地元の自治体職員はもとより、全国から被災地に派遣された職員・教員が不眠不休で献身的な奮闘を続けています。
私たちは、住民の生活支援、被災地の1日も早い復旧・復興にむけて国や自治体による全面的な支援の強化を求めます。同時に、未曾有の災害に立ちむかい、住
民を守る公務公共業務の重要性があらためて明らかにされるなかで、それを支える公務労働者の賃金・労働条件の改善が求められています。
一方、今春闘では、震災によって回答が延期されたところを除いて、民間大手の回答が出そろってきていますが、一時金に若干の改善が見られるものの、総じて
ベアゼロの結果となっています。私たちは、「賃上げでこそ景気回復を」と呼びかけ、大企業の膨大な内部留保の還元を求めてきましたが、財界・大企業はこう
した要求に背をむけています。 そのうえ、政府は、被災地における公務労働者の奮闘に背をむけ、公務員総人件費の2割削減にむけて賃
金引き下げの「給与法案」を国会提出する構えを変えていません。公務員賃金の動向は、地場賃金や地域経済にも影響を与えることとなります。被災地の復興を
めざすとともに、労働者・国民の暮らしを守り、地域の中小企業や商工業者の営業を改善するうえでも、公務員賃金の積極的な改善が重要になっています。
このような問題意識に立ち、今年の人事委員勧告にむけて下記の要求を取りまとめました。貴職が積極的な立場に立ち、要求事項の実現にむけて尽力されること
を要請するものです。
記
1、
被災地や全国の避難所で、住民の暮らしや子どもたちの教育のため、日夜、献身的に奮闘している自治体労働者・教職員を励ますとともに、誇りを持って公務公
共業務に従事できるように、正規・非正規を問わずすべての公務労働者の賃金・労働条件を改善すること。
2、民間
給与実態調査にあたっては、単に民間の給与水準と機械的に比較するのではなく、地方自治や地方公共団体のあり方、公務・公共サービスのあり方と密接不可分
であることや、民間労働者の賃金や地域経済への影響を十分留意して作業をおこなうこと。とりわけ、比較対象企業規模を100人以上にすること。
3、
住民に信頼される中立・公正な地方行政を確保する観点から、競争原理、「成果・業績」にもとづく給与・人事管理制度実施などの勧告をおこなわないこと。
4、
公務員総人件費削減のもとで増加している臨時・非常勤職員について、人事院の「指針」等をふまえつつ、給与をはじめ休暇制度など労働条件の改善、雇用の安
定・均等待遇の実現などにむけて必要な対策をおこなうこと。
5、介護休暇制度について、日数の増加や対象者の拡
大、休業手当金の上限規制の撤廃、十分な所得保障など改善をおこなうこと。また、育児休業制度についても、無給規定の撤廃をはじめ、十分な所得補償をおこ
なうこと。 当面、育児休業手当金については、適用要件をなくし取得者全員に1歳6か月まで支給すること。
6、
新たな高齢期の雇用施策の基本方向について、「雇用と年金の接続」を大原則とし、制度設計にあたっては労使での十分な協議をおこなうこと。
7、
政府で検討されている国家公務員の給与引き下げにかかわって、憲法にも違反するという問題点や、自治体財政や地域経済への影響などについて、人事委員会と
しての意見表明をしていただくこと。
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