No.661
2008年5月21日
公務員制度改革基本法案は徹底審議せよ
= 全労連闘争本部が緊急の国会議員要請行動・議面集会 =
 公務員制度改革基本法案をめぐって、与党と民主党との修正協議によって5月中にも法案の衆議院通過がねらわれています。こうしたもと、全労連「公務員制度改革」闘争本部は、公務労組連絡会と共同して21日の昼休みに衆議院議面集会を開きました。緊急な提起にこたえて約50名が参加しました。
 集会では、緊迫した情勢を意思統一するとともに、当面のたたかい強化にむけて決意を固め合いました。また、20日には衆議院内閣委員を対象とした議員要請行動にとりくみ、労働基本権の回復を先送りにせず、法案の徹底審議をはかり、民主的公務員制度の実現に全力をあげるよう各議員に求めました。

自民・民主による法案修正協議は断じて許さない

 国公労連秋山中執の司会で進行した昼休みの衆議院議員面会所集会は、はじめに主催者を代表して公務労組連絡会の大黒議長があいさつし、「法案は協約締結権付与を先送りし、財界の要望に応える公務員づくりをめざそうとしている。公務員は国民の基本的人権を守る任務を持ち、そのことに働きがいを感じている。国民と手を取り合って、人権が花開く世紀にするため、政府・財界の意向にそった改革を許さず奮闘しよう」と呼びかけました。
 内閣委員会での質問を終えて集会に駆けつけた日本共産党の塩川鉄也衆議院議員は、「法案は、労働基本権問題では、専門調査会の報告よりも後退し、官民交流の名のもとに財界はビジネスチャンスを拡大しようとしている。審議を通して問題点が次々と明らかになっている。なのに、30日に総理出席のもとで総括質問をおこない、採決をねらう動きが出てきている。民主党は自民党との修正協議に応じるかまえだが、修正で法案を通すことはできない。みなさんの願う改革を実現するため、大いに論戦したい」とのべ、参加者を激励しました。
 公務各単産からの決意表明では、「午前中の審議を傍聴したが、国民の求める公務・公共サービス拡充や労働基本権回復の議論が棚上げにされている。キャリア制度も温存し、財界の利益優先で、現場無視、職員無視の改革案を許さないためがんばる」(国公労連・工藤中執)、「労働基本権にかかわって、法案は、公務労働者の要求からも、国際的な要求からも不十分なものだ。公務員の安定的な労働条件をつくるためにも、労働基本権は不可欠だ」(国公労連全通信・蟹書記長)、「午前中の審議を傍聴していたが、民主党の質問は、与党との修正をさぐるようなやりとりがあった。人事管理の強化は、職場を混乱させるだけだ。基本権付与を後退させることは、消防職員の団結権付与を後景に追いやることになる。修正協議など許さないために奮闘したい」(自治労連・柴田書記次長)、「4月には、教員の新人事考課制度をめぐって、ILO・ユネスコ調査団が来日し、日本の公務労働者の権利に国際的な注目が集まっているなか、労働基本権問題を先送りした法案は認められない」(全教・蟹澤中執)など、たたかう決意がのべられました。
 最後に、公務労組連絡会の黒田事務局長(全労連闘争本部事務局次長)が行動提起し、「さまざまな報道があるが、民主党・自民党ともに、修正協議をめざしていることは事実だ。マスコミ報道にまどわされず、法案の徹底審議を最後まで求めていくことが重要だ。これからの私たちのたたかいが、法案の行方を左右することになる」とのべ、委員会傍聴行動や28日にふたたび配置する議面集会への参加、30日の中央行動で国会提出行動を計画している「公務・公共サービス拡充署名」の最後までの奮闘を全員で確認し、議面集会を終えました。

労働基本権めぐり委員会で修正論議が飛び出す一幕も

 5月21日の内閣委員会では、14日につづいて6時間の公務員制度改革基本法案の質疑がおこなわれ、のべ12名(国公労連7、全教2、自治労連2、事務局1名)が傍聴しました。
 内閣委員会は、木原誠二(自民)、枡屋敬悟(公明)、細野豪志、佐々木隆博、吉良州司、武正公一、川内博史(以上、民主)、塩川鉄也(共産)の各議員が質問に立ちました。
 民主党の細野議員は、官僚が退職後に6つの天下りを転々としている「わたり」の例を示し、「10月から新人材バンクができても各府省からの再就職あっせんは残る。わたりはなくならない」と指摘すると、渡辺行革担当大臣は、「5年後の見直し規定にもとづき、新人材バンクが必要かどうか大いに議論していけばいい。廃止も選択肢の一つだ」と答弁しました。さらに、佐々木議員からの「協約締結権は、『検討』にとどめずに、第2条の基本理念に明記すべき」との法案修正の求めに対しては、渡辺大臣が「前向きに検討する」とのべるなど、今後の修正協議を想わせるやりとりもありました。
 共産党の塩川哲也議員は、前回の質問に続いて官民人材交流の問題点を質問しました。そのなかで、内閣府の規制改革会議の事務局には民間企業から18人が非常勤で派遣され、給与は企業からの穴埋めでまかなわれていることなど、財界がビジネスチャンスととらえている官民交流の実態を明らかにしました。

衆議院内閣委員会委員に対して徹底審議を要請

 全労連闘争本部は5月20日、衆議院内閣委員30名への要請行動にとりくみました。
 当日は大雨と強風の吹き荒れる悪天候のなかでしたが、公務各単産などから8名が参加し、@国民の声に応えた改革が実現するよう「公務員制度改革基本法案」の徹底審議をはかること、A公正・中立で効率的な公務サービスを提供するため、民主的な公務員制度の確立にむけ、早期に労働基本権回復をはかられるよう要請しました。
 5月30日の中央行動でも、「公務・公共サービス拡充署名」の請願採択とあわせて、基本法案の徹底審議を求めて衆・参の全国会議員を対象に要請行動にとりみます。
以 上