No.658
2008年4月14日
第一線で奮闘する職員の努力に応える賃金を
= 公務労組連絡会が全国人事委員会連合会へ申し入れ =
 公務労組連絡会は14日、全国人事委員会連合会(全人連)に対して、地方公務員給与にかかわって申し入れをおこないました。
 格差と貧困がひろがるもと、地方公務員・教員の賃金の積極的な改善にむけて、各地の人事委員会が、中立・公正な第三者機関として、積極的な役割を果たすよう要請しました。

格差と貧困が広がるもと積極的な賃金改善への努力を求める


 全人連への申し入れには、公務労組連絡会からは、大黒議長を先頭に米浦副議長、黒田事務局長、熊谷・蟹沢両事務局次長、柴田・鈴木の各幹事、自治労連から野村書記長、全教から東森書記長が出席しました。全人連は、内田会長(東京都人事委員会委員長)をはじめ、中澤(北海道)、石附(宮城県)、齋藤(神奈川県)、井上(横浜市)、那須(愛知県)、帯野(大阪府)、高升(広島県)、起塚(高知県)、谷水(福岡県)の各人事委員会代表ほかが出席しました。
 はじめに、大黒議長は、内田会長に「要請書」(別掲)を手渡し、「春闘における民間の妥結状況はほぼ昨年並みのベースアップ1,000円程度であり、増税や物価上昇の中で生活改善にはほど遠い賃上げだ。格差と貧困が拡がるもとで、労働者の賃上げは国・自治体あげてとりくむべき課題であり、地域経済や民間賃金に影響する公務員給与の積極的な改善が求められる。住民サービスの向上をめざして、第一線で奮闘する職員の努力に応える賃金・労働条件にむけ尽力されることを強く要請する」と申し入れました。
 続いて、野村自治労連書記長は、「人事院は住居手当について廃止を含めた見直しを検討しているが、地域に暮らす地方公務員にとってはたいへん大きな問題だ。また、民間よりも低い賃金実態にある臨時・非常勤職員について、改善に向けた勧告を求める」と発言しました。
 さらに、米浦副議長・全教委員長は、「教員の長時間労働は深刻で、8,000人が長期休職、そのうちの6割が精神疾患という実態だ。こうした労働実態を踏まえ、教員を励ます給与水準の確保を」と強く要請しました。

 これに対して、内田会長は、以下のように回答しました。
(内田全人連会長回答)
 ただいまの皆様からの要請につきましては、確かに承りました。私から、全国の人事委員会にお伝えいたします。
 あらためて申すまでもありませんが、公務に従事する職員の勤務条件を適正に確保することは、人事委員会の重要な使命であると認識しており、本年も、中立かつ公正な第三者機関として、その使命を適切に果たしてまいりたいと考えております。
 さて、本年の民間給与実態調査を迎えるにあたりまして、現在の状況認識等について、一言、申し上げます。
 まず、最近の経済状況を見ますと、政府の3月の月例経済報告では、「景気回復は、このところ足踏み状態にある。」とし、景気の基調判断を2ヶ月連続で下方修正し、景気が踊り場的な状態にあることを表明しております。
 先行きについても、「輸出が増加基調で推移し、景気は緩やかに回復していくと期待される。」とする一方、「アメリカ経済の減速」等から、「景気の下振れリスクが高まっていることに留意する必要がある。」として、引き続き警戒感を示しております。
 また、日銀の3月の企業短期経済観測調査(短観)においても、景況感を示す業況判断指数は、日本経済をけん引してきた大企業製造業で8ポイント低下するなど、企業の景況感の大幅な悪化を示しております。
 このような中、賃上げを巡る本年の春季労使交渉では、要請にもありますように、3月中旬の大手企業の回答は、ほぼ前年と同水準となっており、今後の中小企業の回答を含め、本年の春季労使交渉結果に注目していきたいと考えております。
 現在、各人事委員会におきましては、5月初旬から、民間給与実態調査を人事院と共同で実施していくことを予定しており、民間の賃金水準の適切な把握に努めてまいります。
 要請いただいた個々の内容は、各人事委員会において、その調査結果や各自治体の実情等を踏まえながら、本年の勧告に向けて検討をしていくことになるものと思います。
 全人連といたしましても、必要な点については、人事院や各人事委員会と十分意見交換や連携ができるよう、努めてまいりたいと考えております。

以 上


【別掲:全人連への要請書】

地方公務員の給与勧告に関わる要請書

 日頃から地方公務員の勤務条件の向上にご努力いただいていることに敬意を表します。
 08春闘の賃金交渉をめぐっては、3月中旬に回答が示された民間大手の妥結状況を見ると、トヨタをはじめ各社ともに1,000円程度のベースアップとなっています。こうしたもと、マスコミ各社も、「賃上げ、遠い実感」(朝日)、「家計に恩恵少なく」(毎日)などと報道し、昨年並みにとどまった低額ベアに対して厳しい評価をあたえています。
 各地の人事委員会においては、今年の給与勧告にむけて、現在、民間給与の実態調査が準備されているものと承知しますが、公務員給与の決定にあたっては、民間給与水準を絶対視することなく、生計費原則、「同一労働・同一賃金」の原則を踏まえた検討が求められています。とくに、増税や物価高騰が家計を直撃するもと、生活改善につながる賃金水準の確保がますます重要となっています。
 今後、地方人事委員会の勧告作業をすすめるにあたって、住民福祉や教育の充実に日々奮闘している自治体・自治体関連職場で働く労働者の暮らしの改善にむけて、貴職が積極的な立場に立ち、下記の要求事項の実現にむけて、尽力されることを要請するものです。

1、民間給与実態調査にあたっては、単に民間の給与水準との機械的な比較にとどまらず、地方公務員の給与が、地方自治や地方公共団体のあり方、公務・公共サービスのあり方と密接不可分であることに十分留意して作業をおこなうこと。とりわけ、比較対象企業規模を「100人以上」に戻すこと。

2、教員給与について、義務教育等教員特別手当削減の動向を考慮に入れ、文部科学省が実施した勤務実態調査を踏まえた適切な給与水準を確保すること。また、級増設に伴い拡大している級間格差を1・2級の引き上げで是正するとともに、義務教育等教員特別手当の削減モデルを示さないこと。

3、国家公務員の自宅に係る住居手当について人事院が廃止を含む見直しを表明するもと、地方公務員においては、住宅費負担の実態にもとづき、自宅に係る住居手当の廃止はおこなわず、充実をはかること。

4、住民に信頼される中立・公正な地方行政を確保する観点から、競争原理、「成果・業績」にもとづく給与・人事管理制度実施などの勧告をおこなわないこと。

5、公務員総人件費削減のもとで増加している臨時・非常勤職員について、実態調査をはじめ、給与・労働条件の改善、均等待遇の実現などにむけて必要な対策をはかること。

6、人事院で所定勤務時間の短縮が検討されていることをふまえ、地方公務員の所定勤務時間の短縮をおこなうこと。

7、介護休暇制度について、日数の増加や対象者の拡大、休業手当金の上限規制の撤廃、十分な所得保障など改善を行うこと。また、育児休業制度についても、無給規定の撤廃をはじめ、十分な所得補償を行うこと。
  当面、育児休業手当金については、適用要件をなくし取得者全員に1才6カ月まで支給すること。
以 上