No.637
2007年10月23日
地方格差の拡大にストップを
=07地方勧告の特徴と各地のたたかい=
 10月に入り、各都道府県人事委員会の勧告が次々と出されました。
 07人事院勧告では、8年ぶりとなる俸給表改善、子等の扶養手当500円アップ、一時金0.05月アップといった一定の賃金改善を勝ち取りましたが、この間、多くの地方が国に準じた改善勧告を行う一方、この程度の改善すら認めない改定の見送りや、一時金の引き下げなど「地方格差を拡大する」勧告が少なくない地方で強行されています。
今こそ、格差拡大を許さないたたかいの強化が求められています。

国なみ改定の一方で、表改定見送り、一時金引き下げの地方も

 公民較差は、疲弊する地方と言われる状況を背景に、官民比較企業規模100人未満の事業所の比率が増えた影響を受け、都道府県の4分の3が国以下の低い水準の較差となりました。特に、北海道、東北、さらに新潟、兵庫、島根、鳥取、沖縄ではマイナス較差となりました。また、東京では、他の地方に比べて規模100人未満の官民比較企業を昨年の3倍に増やしたためか、マイナス0.07%という理解しがたい公民較差となりました。
 この結果、大部分の府県が、国と同様に若年者に限定した給料表改定、子等の扶養手当改善にとどまり、07人勧において較差の4割を配分した地域手当改善のような、地域手当を含む地方独自の改善は見送られました。
 特にマイナス較差のところでは、兵庫と鳥取で給料表そのものの改定を見送った他、北海道では、10%もの道独自カット額との比較であれば、6.45%(23,874円)もの公民較差があるにもかかわらず、今年度改定分の値切り(来年度から国なみ改定)、国の「持ち家手当」の廃止検討を先取りするように住居手当の引き下げが強行されました。また東京では、地域手当を1.5%引き上げる一方で、ほぼ同率の月額給与引き下げという到底納得しがたい勧告となりました。
 そうした中、福島(公民較差0.49%)では、若年層に配慮するとしながら全ての級で引き上げ、静岡(公民較差0.37%)では、特定給料月額として、国なみ改定に加え、一定の率を加えた給与月額を支給する、という成果を勝ち取りました。
 また、大阪(公民較差0.97%)では、地域手当の引き上げ(10%から10.93%)を勧告した他、この間の一時金カット、地域手当10%据え置きなど太田知事のもとでの厳しい人件費削減に対し、府人事委員会として「将来への明確な展望を欠いたまま長期にわたり独自の給与抑制を継続するべきではない」などと苦言を呈し、「勧告に基づく適切な措置が講じられることを強く要請」するとしています。
 一時金については、民間の支給水準が低いとされる青森(0.05月)、秋田(0.1月)、島根(0.2月)、沖縄(0.1月)で引き下げ、新潟、高知、宮崎で据え置き、現在でも国公水準以下の鳥取では4.25月から4.05月という引き下げが勧告されました。また、山形(4.20月から4.25月)や福島(4.40月から4.45月)では、0.05月改善するもなお国公水準に追いつかないという地方格差を明確に現すものとなりました。

 京都府・鳥取県では、非常勤職員の適切な処遇について言及

 その他の意見や報告では、07人勧と同様に、人事評価制度や勤務実績の給与への反映、時間外勤務の縮減、勤務時間見直し等が共通して出されました。中でも、07人事院勧告で初めて言及された非常勤職員問題については、任用のあり方が異なることなどを理由に、各政令指定都市の勧告を含め言及する地方がほとんどないという状況でしたが、その中で、京都府と鳥取県が言及したことが注目されます。京都府は、「本府においても、これら(人事院)の検討状況を注視しつつ、今後、非常勤職員の適切な処遇を確保していくために必要とされる検討を行うことが求められる」としました。
 このように、今年度の地方勧告は、多くで8年ぶりの給料表改善や一時金改善を評価しつつも、地域経済に困難を抱える北海道、東北、山陰、沖縄に賃下げ勧告が集中していることにみられるように、政府・総務省が強く推し進めてきた地域の民間賃金反映の名による格差拡大の方向を如実に示したものとなりました。
 こうした勧告のもとでも、全国各地では、住民のいのちと暮らしを守る公務労働者として、格差と貧困をストップさせるたたかいとともに、生活悪化の続く公務労働者だけでなく、すべての労働者、疲弊する地域経済を打開するために、「賃下げ勧告は実施するな」「独自削減反対」「すべての公務関連労働者の生活改善を」などのスローガンを高く掲げ、民間労組や地域労連と共同して意気高いたたかいがすすめられています。
以 上