No.635
2007年10月19日
各党が勧告の早期実施をせまる
= 衆議院総務委員会で08人勧にかかわって質疑 =
 10月18日午後に行われた衆議院総務委員会では、谷人事院総裁の出席のもと、08人勧について与野党による質疑が行われました。例年、勧告後の8月下旬頃に開かれる「国会閉会中審査」が、自公政治が混迷するもとで、2ヶ月近く遅れて開かれたものです。
一方、この日(18日)の午前中には、8月10日以来となる第2回目の給与関係閣僚会議が開かれましたが、厳しい財政事情などを口実に結論が先送りされたという結果を受け、各党がそろって08人勧の早期実施を政府・増田総務大臣に迫る委員会審議となりました。

給与関係閣議では人勧取り扱いの結論を先送り

 午後3時30分すぎから行われた質疑では、与党から桝屋敬悟(公明)、野党から森本哲生、福田昭夫(以上、民主)、塩川鉄也(共産)、重野安正(社民)の各議員が質問に立ちました。
 公明党の桝屋議員は、「昨年から比較企業規模を下げたが、引き上げ勧告となった。第三者機関からの勧告の趣旨を尊重し、一日も早い結論を」と質問、これに対し増田総務大臣は、「今日午前、第2回給与関係閣僚会議を行なった。一方で厳しい財政状況にあり、そこでは結論が出ず、引き続き慎重に検討することとなった。総務省として、労働基本権の代償措置の根幹である勧告を尊重することが基本姿勢であり、早急に結論を出したい」と答弁しました。
 民主党の森本議員は、「9年ぶりの年収増に公務員からの期待がある。代償措置として当然完全実施すべき」と政府を追及しました。増田総務大臣は、「政府としての結論は出ていない。ただ、早急に出さなければならないことは確認している」と明確な答弁を避けました。増田大臣は、この後質問にたった福田議員(民主)に対しても、「人事院勧告の意味は理解しており、勧告を尊重するという立場。国民の理解が必要という意見もあって政府としての結論は出ていないということ」とあくまで完全実施は明言しませんでした。
 また、「比較企業規模引き下げで、今後はどうするのか。また、影響は」(民主・森本議員)との質問に対して、谷人事院総裁は、「国会からの求めもあり、有識者も含め検討した。50人以上であれば公務との比較が可能であり、正確性も保てる。特段のことがない限り変更する考えはない。影響については、今年は当初から企業規模50人以上と決めて調査したため、100人以上で比較したデータはない」としました。
 さらに福田議員(民主)は、専門スタッフ職について言及。谷総裁が、「各省庁から80人くらいのポスト要求が出ている」としつつ、「早期退職慣行に対応する重要な改革」と回答すると、「とても天下り対策にはならない。早期退職慣行は禁止するしかない」と述べました。

公務の非常勤職員の処遇改善をはかれ

 共産党の塩川議員は、「初任給は、勧告が実施されても、まだ民間よりも低い。本来なら、較差の配分を俸給に回すべきなのに、なぜ地域手当に4割も回すのか」と追求すると、谷総裁は、「逆転を避けるために相当の年齢まで引き上げる必要がある。給与構造改革で給与のフラット化をすすめており、原資も限られた中での総合的な判断だ」と強弁しました。
 これに対して塩川議員は、「地域手当の原資は、全体の給与を4.8%引き下げた中から充てるということだったのではないか。人事院の対応は、とても誠実なものとはいえない」と批判しました。
 さらに非常勤職員問題についても、「非常勤職員への言及は前進だ」として、具体的な改善等の強化を求めました。
 谷総裁は、「各省庁のヒアリングで省庁ごとに処遇が異なる事実があった。さらに調査し、関係者の意見も聞き検討する。勤務条件のほか、位置付け、役割、雇い止めや任期、定員などの課題があるが、人事院の所管外の事項もあり各省庁含め検討する」と答弁しました。また、公務職場の派遣や請負について、人事院の出合給与局長は、「間接雇用を調査する状況にはなく、まず非常勤職員から」と回答しました。
 社民党の重野議員は、「実際に給与が引き上げになる人数・比率は。その結果をどうみるか」と質問しました。出合給与局長は、行(一)適用者で引き上げがわずか24.9%にとどまるという数値を示しつつも、「少ない原資の中では結果としては妥当だ」などとし、中高年層をはじめ多くの公務員労働者の気持ちを逆なでするような答弁をしました。重野議員は最後に、「地域経済や多くの労働者に影響するものであり、総務大臣がリードして引き上げを」と述べ、質疑を締めくくりました。
以 上