No.629
2007年7月31日
誠意が見られないきわめて不満な回答
= 人事院勧告を前に「夏季重点要求」で総務省と最終交渉 =
 公務労組連絡会は31日、6月8日に政府に提出した「夏季重点要求」にかかわって、総務省との最終交渉に臨みました。
 人事院勧告を目前にひかえた交渉では、総務省に対して、使用者としての責任ある回答を求めましたが、「勧告が出ていない段階での見解表明は適当ではない」などときわめて不誠実な対応に終始、交渉団からは怒りの声があがりました。

「給与改善にむけては国民の理解が必要だ」と強弁

 総務省との最終交渉は、公務労組連絡会からは米浦議長を先頭に、若井事務局長、黒田事務局次長、柴田・蟹沢の各幹事が出席、総務省側は人事・恩給局総務課の津村総括課長補佐、相米課長補佐ほかが対応しました。
 はじめに、米浦議長は、「住民のために日頃から第一線でがんばっている公務労働者が、意欲を持って仕事ができるように、誠意ある回答を示してもらいたい」とし、「夏季重点要求書」に対する最終的な回答を求めました。
 津村総括課長補佐は、「総務省として、職員のみなさんが安んじて職務に精励できる環境の整備へ努力するとの姿勢には変わりない」とのべ、以下のような回答を示しました。
●(賃金改善にかかわって) 勧告にむけて人事院で作業がすすめられており、勧告制度の趣旨に照らして、現段階で総務省として見解を表明することは適当ではない。勧告が出れば、労働基本権制約の代償措置として根幹をなす人事院勧告制度を尊重することが政府の基本姿勢だ。国政全般との関係を考慮したうえ、適切に対処していきたいが、公務員給与改善は、国民の理解が必要と考える。
●(超過勤務縮減・労働時間短縮にむけて) 総務省として、超過勤務縮減や年休取得促進などにつとめてきた。幹部職員のコスト意識を持った勤務時間管理の徹底、早出遅出の活用など各府省のとりくみがすすんでいるが、政府一体となってとりくんでいきたい。
●(家庭生活との両立支援について) 育児のための短時間勤務制度、自己啓発のための休暇制度が8月1日から施行される。人事院と連携を取り、制度の円滑な実施をはかる。
●(非常勤職員について) 公務の職場には多種多様な雇用・勤務形態があり、一律に管理することは困難だ。人事院で、非常勤職員への適切な配慮が検討されているところだ。
●(男女平等について) 女性の登用・採用の促進にむけて、政府の「男女共同参画基本計画」などをふまえ、総務省としてフォローアップの調査などを実施している。各省に対して、さらなる促進を要請してきたところであり、今後とも必要なとりくみをすすめる。また、男性の育児休業の取得促進へ各省へ要請している。
●(健康・安全の管理) 「国家公務員福利厚生基本計画」にもとづき、各府省と連携して健康管理の推進につとめているところであり、今後ともこれを着実にすすめる。
●(再任用制度) 雇用と年金の連携にむけて、再任用制度は基本的な方策であり、各府省ともに制度の拡充にむけて努力している。総務省としては、関係機関との密接な連携を取りながら、実態を把握しつつ、高齢国家公務員の雇用促進をはかりたい。
●みなさんにとっては不満もあるとは思うが、以上をもって最終的な回答としたい。なお、今後とも、安定した労使関係の確立へ、みなさんとも誠意を持って話し合いをすすめ、意思疎通につとめたい。

「要求実現を本当に真剣に考えているのか」と怒りの声

 回答をうけて、若井事務局長は、「国民の理解が必要だと言うが、公務員バッシングで票を取ろうとした自民・公明が選挙で惨敗した。国民は、賃下げなどの公務員バッシングを望まなかった。それが国民の声だ」と指摘すると、津村総括課長補佐は、「立場として、国民の理解が必要と言わざるをえない」などとのべたことから、「使用者として、真剣な認識に立っていない。安んじて職務に精励できる環境にしたいという回答は、口先だけか。わずかでもプラスの勧告が予想されるもとで、値切りや凍結などは決してしないと約束するのが、使用者としての責任ある態度だ」と迫りました。
 津村総括課長補佐が、「人事院からは何も聞いていない」などと無責任な発言を繰り返したことから、交渉団は、「勧告の動向に関心がないのか!マイナス勧告がつづくなかで、職場の仲間は賃上げを心から願っている。その期待に応えるのが使用者としての責任だ。今までの発言からは、要求実現にむけて真剣に考えているように感じられない。この回答では、働く意欲も出てこない!」と怒りが爆発しました。
 交渉参加者からは、「自治体職員は、地方財政悪化のもと、賃金が上がらない状況が続いている。選挙では、地域格差を招いてきた自公政権の施策への批判も集中した。国民の理解を考えるよりも、使用者としての努力こそ必要だ」「総務省は、国・地方を問わずすべての公務員を激励する立場でモノを言うべきだ。また、育児のための短時間勤務制度は、地方公務員では現状がさまざまであり、円滑な実施のうえで、代替要員が課題となる。実態に即した柔軟な対応を求める」などの意見が出され、津村総括課長補佐は、「要望については受けとめたい。短時間勤務制度は、円滑な導入をはかりたい」とかさねて回答しました。
 その他、所定勤務時間短縮や、初任給の改善などについて、使用者としての検討を求めましたが、「人事院の検討を見守りたい」などとの消極的な姿勢に終始しました。
 こうした回答をふまえ、米浦議長は、最後に、「賃上げにしても時短にしても、政府から人事院へ改善を申し入れてもおかしくない問題であり、勧告が出なくとも、総務省みずからが、まず、アクションを起こすべきだ。使用者としての責任がまったく感じられず、現場でがんばっている職員の労働条件を改善する気迫が見られないきわめて不満な回答だ。使用者責任を果たすことをあらためて強く求める」とのべ、交渉を閉じました。
以 上