No.628
2007年7月25日
「最賃・人勧」ヤマ場の行動に2千人結集
= 参議院選挙を目前に控え、政治の民主的転換を誓い合う =
 人事院勧告前の重要段階をむかえて、公務労組連絡会は25日、全労連・国民春闘共闘と共同して、夏季闘争の第2次中央行動にとりくみました。
 「最賃・人勧」のたたかいを一体にした中央行動では、人事院・厚生労働省前の行動、財務省・総務省など各省への要求行動、総決起集会、銀座デモなどを展開、公務・民間あわせて2,000人が参加し、最低賃金の大幅引き上げ、公務員の賃金・労働条件の改善、国政の民主的転換を求めて奮闘しました。

政治の力関係を変えて要求前進を勝ち取ろう

 今年の地域最低賃金の目安額を決めるため、この日の午前中に中央最低賃金審議会の小委員会が開催されるなか、早朝から厚労省前で宣伝行動や座り込みがとりくまれました。
 この行動を引き継いで、正午過ぎからは、日比谷野外音楽堂で「公務員賃金改善・最低賃金改善7・25総決起集会」が開催されました。梅雨明けを感じさせる夏の日差しが照りつけるもと、会場には、全国各地から集まった色とりどりの組合旗が並びました。
 主催者あいさつした坂内全労連議長は、「格差と貧困なくせの世論がひろがり、民間は前年を上回る賃上げとなった。公務員がベアゼロとなる理由はどこにもない。参議院選挙が間近にせまるなか、政治の力関係を変えて要求前進を勝ち取ろう」と呼びかけました。
 若井事務局長が、政府・人事院との交渉の現状など公務員賃金をめぐる情勢を中心に情勢報告し、参議院選挙の結果は、人事院勧告や最低賃金の行方にも影響を与えることからも、政治の民主的転換にむけた奮闘が訴えられました。
 その後、各単産による決意表明・パフォーマンスに移りました。はじめに演壇に立った全労連全国一般の大木委員長は、「2人で働いても年収わずか230万円という非正規労働者のカップルもいる。せめて時給1,000円は当然の要求であり、世論のひろがりで、生活保護を考慮した最低賃金を認めさせるところまできた。公務と民間が力を合わせてたたかおう」と決意表明しました。

自治労連・全教のパフォーマンスに会場が沸く

 自治労連のパフォーマンスは、おなじみの「自治労連黄門」。老中(高士中執)と悪徳商人(柴田書記次長)が、消費税増税の悪だくみをこっそりと相談していると、そこに、自治労連黄門(林中執)があらわれて懲らしめるという、いつもながらのわかりやすいストーリーで会場を沸かせました。
 つづく全教の「学園ドラマ」では、「こうじまち美しい国小学校」の校長(北村書記次長)や教頭(高橋中執)にゴマをする東森(書記長)先生と、子どもたちための教育を考え校長にハッキリとものを言う本田(副委員長)先生が登場。校長が、本田先生を「不適切教師」にしようとたくらむと、父母の反対の声であえなく断念。「住民と父母を見方につけるとかなわない」と、校長・教頭が退散していくという寸劇が熱演されました。
 郵産労の砂山副委員長は、完全民営化を10月にひかえた郵政職場の状況を報告しながら、「月収8万から10万という非常勤職員などワーキングプアが、郵政職場でも増えている。国民に十分なサービスができないなかで、民営化の6か月延長を当局に要求している。地域から共同して全力でたたかう」と決意を表明しました。
 最後は、国公労連の岡部書記長が、特製の「お神輿」や各単組・県国公のノボリ旗をバックにして登壇し、「安倍内閣のまやかしを明らかにして、参議院選挙で審判を下すため全力をあげる。人事院勧告にむけて、賃金・時短・非常勤職員の3つの重点の前進にむけた奮闘を約束する」と力強く決意表明しました。
 国公労連酒井中執によるシュプレヒコールのあと、最後に、米浦議長が閉会あいさつし、全員で団結ガンバロウを三唱して集会を閉じました。

最低賃金ギリギリの公務員初任給はただちに改善を

 決起集会終了後、参加者は、人事院・厚生労働省前、行革推進本部事務局前の2か所にわかれて、要求行動にとりくみました。
 並んで建つ人事院と厚生労働省の庁舎前の歩道を参加者が埋め尽くし、車道を隔てた日比谷公園側にもたくさんの組合旗が立ちました。人事院の前には、貸切バスで駆けつけた宮城県国公が集めた463人分の「要求タペストリー」も掲げられました。
 福田副議長が主催者あいさつし、国家公務員の高卒初任給は、時給にすれば800円に満たないことなどを指摘し、「時給1,000円」を求める最賃のたたかいへの結集の重要性とともに、公務職場の勤務時間短縮や劣悪な環境で働く非常勤職員の労働条件改善へたたかう決意がのべられました。
 連帯あいさつでは、「反貧困ネットワーク」の代表をつとめる宇都宮健児弁護士が駆けつけ、「年間7千から8千人が、借金など生活苦を理由にして自殺している。こうした状況をなくすためにも、先進国でも最低水準にある日本の最低賃金の引き上げは最重要課題だ。生存権と人間の尊厳を守るたたかいであり、みなさんとともにがんばる」と激励しました。
 人勧を中心に、浅野賃金・労働条件専門委員長が情勢報告し、勤務時間短縮や非常勤職員問題では、一定前進的な回答を引き出してはいるが、人事院は、改善にむけた明確な姿勢を示しておらず、これからのねばり強いたたかいが重要であることが強調されました。
 公務・民間の組合代表による発言では、「最賃改正法案を見送った安倍内閣を糾弾する。最賃引き上げでは、大企業が『時給1,000円では、中小企業が持たない』などと反対している。中小の下請けをいじめておいて、何事か!」(生協労連・桑田委員長)、「監督官の応募人数が3割以上減り、失意のうちに辞めていく人も増えている。労働条件の悪化が背景にある。人事院は、せめて官民比較規模をもとにもどせ」(国公労連全労働・青木中執)、「週刊誌に南山城村の労組委員長が登場し、サービス残業漬けの実態が報道された。交付金削減を強行する財務省は、村の仕事を職員に代わってやってみろ!」(京都自治労連・新田執行委員)、「文部科学省の調査で、教職員の超過勤務が過労死ラインを超えていることが明らかとなった。それを逆手に、給与に格差を持ち込もうとしている。職場でしっかり奮闘したい」(山口県教組・吹上書記長)など、怒りやたたかう決意がのべられました。

◆総計23万2千筆の「賃金改善署名」を人事院に提出
 13時過ぎからは、人事院へ賃金・労働条件改善署名165,316筆を提出しました。07人勧へむけて、「賃下げの悪循環」阻止、非常勤職員の処遇改善、所定内勤務時間の短縮などを求めた署名は、総計で232,568筆を人事院に提出しました。

民主的公務員制度確立、独立行政法人「合理化」やめよ!

 人事院・厚生労働省前の行動と並行して、公務労組連絡会と全労連「公務員制度改革」闘争本部と共催で、行革推進本部事務局前で要求行動にとりくみました。
 小田川闘争本部本部長・全労連事務局長が主催者あいさつし、連帯あいさつには自交総連小林書記次長がかけつけました。
 公務員制度や独立行政法人の「合理化」をめぐる情勢報告を盛永幹事からうけ、国公労連全運輸・小池副委員長、岩手自治労連・高橋副委員長、特殊法人労連・竹内事務局長の3人がそれぞ決意表明しました。
 行動に先立ち、寺間闘争本部事務局長が、この間とりくんできた「ILO勧告にそった民主的公務員制度の確立を求める団体署名」1,181団体(合計4,450)を最終提出しました。

要求にまともに答えない使用者責任はきわめて重大

 人事院・厚生労働省前、行革事務局前での行動のあと、14時すぎからは、総務省、財務省への要求行動にとりくみました。
 総務省要求行動で、主催者を代表して駒場副議長は、「人事院勧告を前に使用者に要求を突きつけるとともに、この中央行動を、参議院選挙にむけ、政治転換へ決意を固め合う場にしよう。最低賃金の目安額が8月初めにも答申が出されるもと、民間労働者と団結して最後までがんばろう」とあいさつしました。
 連帯あいさつで建交労の藤好副委員長は、「自公政権は、ますます時代錯誤の政策を打ち出してきている。パート・派遣・偽装請負が増え、国民の安全・安心はおびやかされている。今こそ私たちの闘争に正義がある。ともにがんばろう」と激励しました。
 情勢報告にたった蟹澤公務員制度・権利専門委員長は、「骨太の方針2007」は行革推進法を具体化するものであることや、使用者としての政府の責任追及、労働基本権回復など民主的公務員制度確立などの重要課題が報告されました。
 3人から決意表明をうけ、「全法務の増員署名が28年連続で請願採択された。請願採択をバックに増員を勝ち取り、より良い公務・公共サービスの拡充にむけてたたかう」(国公労連全法務・田中九州地本書記長)、「総人件費削減攻撃が、指定管理者制度となり自治体の職場にも入り込んできている。マイナス人勧許さず、住民全体の奉仕者として奮闘する」(自治労連鳥取県本部・植谷委員長)、「国会の附帯決議に反して、集配郵便局、ATMの撤去などがすでにおこなわれている。郵政民営化の見直しへむけてがんばる」(郵産労東京地本・吉澤書記長)と決意表明しました。

増税をねらう自公政権にきっぱりと審判を下そう

 財務省前の行動では、主催者を代表して米浦議長は、「政府は、『骨太の方針』を見直して、国民本位の予算を策定すべきだ。安心して暮らせる予算、公共サービスと教育を充実させる予算を求めてたたかおう」とあいさつしました。
 連帯あいさつでは、NTTの不当配転とたたかっている通信労組の笹原さんから、賃金カットか配転かの二者択一を迫り、リストラを強行するNTTの実態が紹介され、公務・公共サービスの拡充へともにたたかう決意がのべられました。
 黒田事務局次長の情勢報告では、8月末の概算要求取りまとめにむけて、来年度予算をめぐる情勢がのべられ、消費税増税にかかわって「参議院選挙で争点隠しをはかり、選挙後に消費税引き上げをねらう自公政権にきっぱりと審判を下そう」と強調しました。
 各単産の決意表明では、「独立行政法人の運営費交付金が削減され、研究機関では、まともな研究もできず、土日に出勤しても超過勤務手当も出ない。独立行政法人への不当な攻撃をはね返すためがんばる」(国公労連全経済・森中執)、「文科省が強行した学力テストなどを通して、大人の競争に巻き込まれて子どもが傷ついていく。身を引き裂かれる思いだ。子どもたちのための教育実現へ全力で奮闘する」(都教組・山崎副委員長)、「101の独立行政法人のすべてが業務見直しの対象となっている。そのなかで、奨学金が教育ローン化し、公団住宅の大幅削減がねらわれている。公的サービスの必要性を訴えていきたい」(特殊法人労連・南副議長)など、国民本位の公務・公共事業実現にむけた決意がのべられました。
 この後、参加者は、ふたたび日比谷公園に集合し、銀座へのデモに出発しました。多くの人たちが行き交う銀座の目抜き通りでは、「憲法改悪反対!」「国民の声を国会に届けよう!」などのシュプレヒコールを響かせて元気よく行進しました。
 通行人からも注目を浴び、なかには、歩道を歩いていた人から「声が小さい!」と逆に激励される場面もありました。
以 上