No.626
2007年6月27日
「新人材バンク」には与党からも疑問の声
= 参議院で「公務員制度改革」関連法案の審議再開 =
 参議院内閣委員会は27日、「公務員制度改革」関連法案を5時間にわたって審議しました。この日は、委員会の定例日ではありませんでしたが、前日の国会対策委員長による協議などで、急きょ内閣委員会の午前9時30分からの開会が決まりました。
 定例日以外の委員会開催は異例であるばかりか、与党が今週中の採決をねらって審議再開を求めるもと、これに同調した民主党の姿勢も問われます。
 こうしたもと、昼休みの6団体の共同による国会前行動には200人が駆けつけ、また、公務労組連絡会が緊急に呼びかけた傍聴行動は、5名(国公労連3、自治労連・事務局各1)の参加で審議を監視しました。

新人材バンクは「ガラス張りのろ過装置」と渡辺大臣

 内閣委員会では、秋元司(自民)、風間昶(公明)、小川敏夫、高嶋良充(以上、民主)、長谷川憲正(国民)の各議員が質問に立ちました。
 自民党の秋元議員は、「官民人材交流センターは、官僚のための特製ハローワークの声があるが」と指摘すると、渡辺行政改革担当大臣は、「府省の押しつけ的なあっせん人事を許さず、中立性が確保される官民人材交流センターは、ガラス張りのろ過装置だ。これを否定すれば、役所に残る職員を減らせない。行政のメタボリックをくい止めるためにセンターが必要だ」などと声を高めました。
 公明党の風間議員は、経済財政諮問会議の場で官民人材交流センター構想が出てきたことなどを指摘し、「政治主導の政策決定が必要であり、経済界の意見に全面的に従うことは疑問だ」と批判しましたが、塩崎内閣官房長官は、「新人材バンクは、与党の中からも意見が出ていた。経済界からも意見があったのは間違いないが、政治主導で決まったものだ」と主張、さらに、「公務員は憲法15条で定める『全体の奉仕者』であり、透明・中立な公務員制度が必要だ。かつての公務員制度調査会のような議論の場が必要ではないか」と質しましたが、林内閣府副大臣は、「今後設置される有識者懇談会は、内容的には公務員制度調査会とほぼ同じ」とのべ、塩崎官房長官も、「有識者懇談会を設け、指摘のあったような議論ができる場にしていきたい」との答弁にとどまりました。

労働基本権問題は改革の方向で検討する

 午後からの審議で民主党の小川議員は、法案が、求職活動の規制はあるが、本人が求職活動をしなくとも、企業の誘いがあれば再就職ができ、また、官民人材交流センターを通さない「天下り」は禁止していないことなどを指摘し、法案は、抜け穴だらけの「ザル法」だと批判しました。
 これに対して、渡辺大臣は、「企業から乞われて再就職する場合でも、法案上は求職活動にあたる」と答弁しましたが、在職中の求職活動を禁止しつつも、刑事罰の規定から除外されていることから、「罰則がなければ、天下りをしてしまえば懲戒処分もできない」と指摘されると、渡辺大臣は、「各省の人事当局の押しつけ人事そのものに規制をかけるのが法案の目的だ」などと的外れの答弁を繰り返しました。
 民主党の高嶋議員は、労働基本権問題にかかわって、「民間並みに権利を保障すべきであり、ILO勧告をふまえて、労働基本権付与にむけた努力を求める。労使関係の改革が必要だ」と迫ると、渡辺大臣は、「専門調査会に対して、10月をめどにして最終結論を出すように要請している。私からは、協約権と争議権は一定の範囲で付与すべきではないかと意見をのべている」とのべ、塩崎官房長官も、「政府としては、専門調査会の結論を尊重しつつ、労働基本権問題も改革の方向で見直したい」と答弁しました。
 また、能力・実績主義の人事管理制度にかかわって、高嶋議員は、「労使協議制度の整備も必要であり、今後、労使間で十分に協議し、合意の上で実施すべき」と求めると、林内閣府副大臣は、「職員団体と十分に話し合い、理解と納得がえられるよう最大限に努力する。労使協議制度は、専門調査会の議論をふまえて、政府としてすみやかにとりくみたい」とのべました。一方、高嶋議員は、「公務員にも能力・実績主義は当然のことだ。政府案も、天下りに関わる部分以外は、民主党も賛成できる」と主張するなど、能力・実績主義の強化にかかわっては、与党と同じ立場を示しました。
 最後に質問した国民新党の長谷川議員は、「諸外国では、政府が再就職をあっせんする例はない。自分で努力している。官民人材交流センターをつくっても、役所への不信感はなくならない。納得もえられない」と批判、さらに、勧奨退職がT種採用者に偏っていることを指摘し、「T種採用者の早期退職は禁止すべきだ」と主張、渡辺大臣は、「能力・実績の人事管理がすすめば、早期勧奨退職は自然になくなっていく。年功序列の岩盤が崩れ、従来の慣行はなくなる」と答弁するなど能力重視の人事管理を強調しました。

昼休み国会行動〜国会延長など暴走続ける自公政権に怒りの声

 内閣委員会での審議が続くなか、12時すぎからは国会前行動がとりくまれ、約200人が参加しました。引き続き、公務労組連絡会をはじめ、国民大運動実行委員会、労働法制中央連絡会など6者の共同開催です。
 行動では、国公労連の河村書記次長、全厚生の飯塚書記長、郵産労の日巻書記次長、全教の東森書記長ら公務各単産の代表がつぎつぎと決意表明し、社保庁「解体・民営化」法、公務員制度改悪法の成立をねらって、会期延長まで強行した自民・公明両党への怒りと、最後まで廃案にむけてたたかう決意がのべられました。
以 上