No.625
2007年6月25日

公務員制度「改革」を許すな〜各地で学習会
= 公務労組連絡会などが主催して四国ブロック・北海道で開催 =
 全国各地で「公務員制度改革」問題の学習会が活発に開かれています。
 公務労組連絡会などの主催による学習会が、6月16日に松山市内で、また、20日には札幌市内で開かれ、多くの参加者が集まりました。
 また、京都総評は、国公労連岡部書記長を講師に招いた学習会を20日に開き、27日には、全労連闘争本部の学習会が名古屋市内で予定されています。

「官民人材交流センター」は公務リストラのツール

 公務労組連絡会は16日、松山市内で四国ブロック「公務員制度改革」問題学習会を開催しました。この学習会は国公労連労働学校(四国ブロック)の講座としても位置づけられ、約50人が参加しました。
 学習会では、はじめに自治労連弁護団の城塚弁護士が「公務員制度改革とは何か」というテーマで講演し、国家公務員法・地方公務員法について、現行法と改悪法案を対比し、その問題点を明らかにしました。
 採用にかかわって、「試験採用」のウエイトの低下と「選考採用」の要件が緩和され、政治的任用、官民の人材交流を拡大させる意図があり、石原都知事が猪瀬氏を副知事に選任したことを例に、これが一般職まで拡大される懸念があると指摘しました。
 また天下りについては、「天下り自由化」であり、とくに官民人材交流センターは、各府省の人事当局からの依頼も受け付けることから、リストラのツールになりうる危険性がのべられました。
 続いて、公務労組連絡会の若井事務局長が、「公務員制度改革攻撃の本質と問題点」のテーマで講演しました。
 「公務員制度改革」のねらいは、戦後レジームからの脱却=「美しい国」を創る担い手づくりであり、アメリカと一体となって戦争する国に相応しい「公務員制度」と「公務員」を作り上げようとするものと指摘しました。
 また、安倍政権は、国民世論を無視し、憲法改悪(新憲法制定)を視野に、国会での多数を背景に、教育基本法改悪、防衛省昇格、国民投票法など悪法を次々と成立させている危険な暴走内閣であることを見抜いてたたかうことが大切であり、参議院選挙で自公勢力を過半数割れに追い込む必要があると訴えました。また、国民投票法案を議員立法で提案し、実質的に成立に手を貸した民主党にも期待できないと述べました。
 若井事務局長は、最後に、「大義と正義のある運動が大きく前進している。いっそう官民共同、国民的共同の拡大を展開し、世論の形成をめざそう」と呼びかけました。

「改革」に隠された闇の部分を国民に伝えよう

 公務労組連絡会は20日、札幌市内で、全国で開催している公務員制度問題学習会の一環として、北海道公務共闘、国民大運動北海道実行委員会との共催による学習会「公務員制度改革にかくされている“闇”」を開催し、民間労働者をふくめ160人が参加しました。
 学習会は、公務労組連の熊谷幹事、北海道公務共闘の和賀議長がそれぞれあいさつし、和賀議長は、「公務公共サービスの切り捨てにより、国民の負担増、働くものの労働条件の切り下げがすすむなか、『公務員制度改革』という言葉に隠された本当の意味を学び、たたかいに生かそうと呼びかけました。
 盛永雅則公務労組連絡会幹事・国公労連副委員長が講演し、国会で審議中の国家公務員法改悪法案の内容を中心に、法案が、労働基本権を棚上げにしたまま、能力・実績主義の人事管理をすすめ、かつ評価を給与等に反映するという誤りを犯していること、さらに、「天下り」自由化法案であり、国民の期待に何ら応えていないことを明らかにしました。
 盛永氏は、改めてこの法案のねらいである“闇”の部分を広く国民に伝え、参議院選挙での与党の過半数割れや組織強化の前進に結びつけようと訴えました。
 続いて、北海道酪農学園大学の河合博司教授が、「行政切り捨てに抗して、公務・公共業務の今日的意義と役割を考える」と題して講演しました。河合教授は、みずから市民とともに運動にとりくんできた「夕張問題」に触れ、夕張の破綻が、石炭エネルギー政策・観光リゾート政策・金融政策という「国策」に加え、「三位一体改革」というダメ押しによって引き起こされたことを指摘しました。一方で、夕張市のトップダウンといわれる行政体質のもとで、議会や公務労働者がその役割を果たしえただろうかと鋭く問題提起しました。
 また、「公務員制度改革」は、戦前型官吏への回帰であり、それに対して、改めて公務労働の専門性と総合性を住民の目線で検証しながら、地域・自治体を単位とした公務労働の共闘をすすめることの必要性を強調しました。
 情勢報告と講演を受け、郵産労美唄支部の種市書記長から郵政公社における人事管理の実態について、また、道教組の大口書記長から教職員評価に関するILO・ユネスコ調査団への期待など、産別のとりくみを交流し、最後に和賀議長からの学習会の成果を組合員や地域に伝え、参議院選挙のとりくみに結びつけようとの訴えを確認して閉会しました。
以 上