No.619
2007年6月8日

人事院勧告にむけてたたかいがスタート
= 「夏季重点要求書」を人事院・政府に提出 =
 公務労組連絡会は8日、07年人事院勧告にむけた「夏季重点要求書」を人事院・政府に提出しました。
 要求書提出にあたっては、政府による「公務員制度改革」がねらわれ、経済財政諮問会議の「骨太の方針」では、いっそうの公務員総人件費削減が議論されているもと、使用者や第三者機関としての役割を発揮し、公務員労働者の生活改善、労働条件改善にむけた努力を強く求めました。

厳しい公務員攻撃のもと、使用者・第三者機関としての役割発揮を

 人事院・総務省への要求書提出には、公務労組連絡会から、米浦議長を先頭に、若井事務局長、黒田事務局次長、熊谷・蟹沢の各幹事が出席しました。
 午前10時30分から会見室でおこなわれた人事院への要求書提出では、職員福祉局の小林主任職員団体調査官が対応しました。
 米浦議長は、要求書を小林調査官に手交したうえで、「一昨年の給与構造の見直しや、昨年の官民比較方法の見直しなど、公務員賃金が引き下げられるなかで、労働基本権の『代償措置』としての人事院に対する疑問の声も職場ではあがっている。人事院勧告は、地方公務員に直接連動し、人勧に準拠している民間労働者など広範な影響を与える。地域経済にも影響することから、そのことをふまえた勧告作業を求める」とのべ、公務労組連絡会の要求への誠意ある検討を求めました。
 また、若井事務局長は、「毎月勤労統計が昨年比でマイナスになっている。大企業の妥結額はプラスだが、中小企業など労働組合もないところは厳しい状況だ。そうした状況からも、官民比較の対象を『100人以上』にもどすよう要求する。政府による総人件費削減の動きが強まるなか、中立機関としての存在意義に立って検討すべき」と求めました。
 これに対して、小林主任職員団体調査官は、「本日みなさんからいただいた要求書は、さっそく関係部局に伝えたい。検討したうえで、後日、回答したい」とのべました。
 また、11時からの総務省への要求書提出は、総務省側は、人事・恩給局総務課の相米課長補佐ほかが対応しました。
 米浦議長は、要求書を相米課長補佐に手交し、「本日、人事院に対して要求書を提出してきた。政府に対しては、使用者責任をふまえた要求の検討を求める。総務省で評価制度が検討され、能力・実績主義の人事管理制度にもとづく『公務員制度改革』法案が国会で審議されているが、民間の成果主義賃金が破綻しているうえ、成果主義は公務になじまない。職員が意欲を持って働ける職場にすることが使用者としての役割であり、その点に全力をあげていただきたい」と求めました。
 相米課長補佐は、「要求書の趣旨はうけたまわった。今後、誠意をもって検討し、しかるべき時期に回答させてもらいたい」とのべました。

以 上



【2007年夏季重点要求書】

2007年6月8日

 人事院総裁 谷 公士 様
                            公 務 労 組 連 絡 会
                            議 長  米 浦  正

2007年人事院勧告にむけた重点要求書

 公務労組連絡会は、07年春闘において、「平均賃金を月額11,000円・2.9%(国公行政職(一))」の賃上げ要求をはじめとして、公務労働者の生活と労働条件の改善を強く求めてきました。
 しかし、人事院は春闘期における最終回答で「官民較差にもとづく適正な給与水準の確保」などと従来の枠を一歩も出ず、その上、昨年に引き続き官民比較企業規模を50人以上にまで拡大するという極めて不当な態度をとっています。今年の民間の春闘相場は昨年をやや上回っているもののプラス勧告を楽観できるまでには至っておらず、50人以上の調査結果を反映させることは認めるわけにはいきません。
 一方、通常国会で「公務員制度改革法案」「社会保険庁解体法案」「教育関連三法案」が提出され、中央統制と分限処分強化の方向が打ち出され、労働基本権を制約したまま能力・業績主義を強要しようとしています。さらに経済財政諮問会議では昨年の「06骨太方針」で「歳入歳出一体改革」と称し事実上歳出削減のみを課題とし、公務員給与・定員のいっそうの削減を強要し、今年度も蹈襲する方向で決定しようとしています。総務省及び財務省は地方公務員の給与について、国との均衡をやめ地域における民間の水準に引き下げるよう求めています。
 これまで、私たちが繰り返して指摘してきたように、公務員給与の引き下げは、730万公務関連労働者はもちろんのこと、民間労働者の賃金、地域最低賃金や地域経済にも否定的な影響を与えることは明らかであり、断じて認められるものではありません。
 8月の人事院勧告にむけて、下記の重点要求をまとめましたので、公務員労働者の労働基本権制約の「代償措置」としての人事院の役割を発揮するとともに、民主的行政・教育の確立を求める国民の期待をふまえ、公務労組連絡会の要求を真摯にうけとめて誠意ある回答をおこなうよう強く求めるものです。

1 賃金等の改善について
 (1) 公務員労働者の生活と労働の実態をふまえた賃金改善を行うこと。
 (2) 官民給与の比較対象企業規模を「100人以上」に戻すこと。
 (3) 官民較差が顕著な初任給を改善すること。
 (4) 一時金の支給月数を引き上げるとともに、改善部分は全て期末手当にあてること。   また、役職傾斜支給、管理職加算は廃止し、全職員の一時金改善にあてること。
 
 (5) 扶養手当について、支給範囲及び支給額を改善すること。
 (6) 借家・借間を対象とする住宅手当について、上限額を引き上げること。
 (7) 通勤にかかわる一切の自己負担をさせないよう通勤手当を改善すること。
 (8) 単身赴任手当の支給要件を改善し、全額を比較給与対象外とし、支給額を改善すること。
 (9) 超過勤務手当の支給割合を150%に、深夜勤務及び休日給の支給割合を200%に引き 上げること。
 (10) 寒冷地手当について、燃料費の高騰を踏まえ改善すること。
 (11) 本府省手当の新設は行わないこと。
 (12) 専門スタッフ職俸給表の新設にあたっては、退職管理及び複線型人事管理のあり方も含め、労働組合と十分協議すること。
 (13) 人事評価制度については、透明性・客観性・納得性を備えた職員参加、育成重視型の仕組みを確立すること。また、短期の評価結果を賃金決定に直結させる評価制度としないこと。

2 勤務時間等について
 (1) 所定内勤務時間を「1日7時間、週35時間」に短縮すること。当面、以下の要求を実現すること。
  @ 06年勧告時報告での民間における週所定労働時間の調査結果を踏まえ、所定内勤務時間を1日7時間45分に短縮すること。
  A 交替制勤務者の所定勤務時間を週38時間45分とするとともに、連続勤務時間を短  縮し、連続拘束時間について上限を設けるなど必要な改善措置を講じること。
 (2) 厚生労働省通達に準じて勤務時間管理を徹底し、超過勤務の大幅な縮減と不払い残業の根絶を図ること。
   「超過勤務の縮減に関する指針」を改正し、超過勤務時間の上限規制を明示するなど、実効ある対策を盛り込むこと。
   また、超過勤務縮減などにかかわる労使による協議機関の設置を義務づけること。
 (3) 宿日直勤務における通常業務の規制を強化すること。
 (4) 育児のための短時間勤務制度及び自己啓発等休業制度の運用にあたっては、取得しやすい職場環境を整えるよう各府省を指導すること。とりわけ、育児短時間勤務の取得者が不利益な取扱いを受けることがないよう各府省を指導すること。
   また、介護のための短時間勤務制度について早急に制度化を検討すること。

3 非常勤職員の処遇改善について
 (1) 画一的・一方的な「雇い止め」を規制するなど、非常勤職員制度を抜本的に見直すこと。
 (2) 非常勤職員の勤務や処遇の実態を調査すること。その調査結果に基づき、職務や勤務形態、経験等に対応した類型化を行い、常勤職員との均等を基本にそれぞれの類型に対応した処遇改善を図ること。具体的には、以下の要求を実現すること。
  @ 非常勤職員の給与の最低基準を規則化し、俸給額や諸手当等について給与法で定めること。
  A 非常勤職員の休暇等については、常勤職員と同等の制度に改善すること。当面、無給とされている休暇を有給にするとともに、夏季休暇、結婚休暇及び育児休業などの制度化を図ること。また、年次休暇や忌引き休暇、病気休暇などの取得要件を緩和すること。

4 男女平等、母性保護の拡充等について
 (1) 公務における真の男女平等を実現するため、採用、育成、昇任・昇格など、雇用の全段階における男女差別をなくすこと。
 (2) 各府省が策定した「女性職員の採用・登用拡大計画」に基づき、積極的な採用・登用拡大を促進するよう各府省に対する指導を徹底すること。
 (3) 育児休業制度について、男性の取得促進に向けた取り組みを強化すること。

5 健康・安全の確保について
 (1) 過労死・過労自殺及び公務災害の根絶のため、職場の「労働安全衛生」対策を強化するとともに、職員の「心の健康」の保持増進に必要な対策を強化すること。
 (2) 職場の労働安全衛生にかかわる労使による協議機関の設置を義務化するよう指導すること。
 (3) 一般健康診断の受診項目を拡大すること。

6 高齢対策について
 (1) 雇用と年金の連携を図る観点から、65歳定年制とすること。また、再任用制度については、希望者全員の雇用や配置が可能となるよう、定員管理のあり方を含め早急に制度改善を図ること。

7 その他
 (1) 「被用者年金一元化」にかかわって、公務員等の新3階年金については、人事院が報告した調査結果と見解をふまえ、支給水準の改善を前提に創設されるよう関係機関に対する働きかけを行うこと。
 (2) 国有財産の売却等にかかわって、職員の宿舎確保に支障が生じないよう関係機関に対する働きかけを行うこと。

以   上



2007年6月8日

内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
総 務 大 臣  菅  義偉 殿
                            公 務 労 組 連 絡 会
                            議 長  米 浦  正

2007年夏季重点要求書

 公務労組連絡会は、07年春闘において、「平均賃金を月額11,000円・2.9%(国公行政職(一))」の賃上げ要求をはじめとして、公務労働者の生活と労働条件の改善を強く求めてきました。
 しかし、政府は春闘期における最終回答で「人事院勧告制度の維持尊重」など従来の枠内にとどまり、使用者たる政府として、私たちの切実な要求に何ら応えない極めて不満な回答でした。
 一方、通常国会で「公務員制度改革法案」「社会保険庁解体法案」「教育関連三法案」が提出され、中央統制と分限処分強化の方向が打ち出され、労働基本権を制約したまま能力・業績主義を強要しようとしています。さらに経済財政諮問会議では昨年の「06骨太方針」で「歳入歳出一体改革」と称し事実上歳出削減のみを課題とし、公務員給与・定員のいっそうの削減を強要し、今年度も蹈襲する方向で決定しようとしています。総務省及び財務省は地方公務員の給与について、国との均衡をやめ地域における民間の水準に引き下げるよう求めています。
これまで、私たちが繰り返し指摘しているように、公務員給与の引き下げは、730万公務関連労働者はもちろんのこと、民間労働者の賃金、地域最低賃金や地域経済にも否定的な影響を与えることは明らかであり、断じて認められるものではありません。
 8月の人事院勧告にむけて、下記の重点要求をまとめましたので、使用者として公務員労働者の生活の安定や権利のあり方に責任を果たすとともに、民主的行政・教育の確立を求める国民の期待をふまえ、公務労組連絡会の要求を真摯にうけとめて誠意ある回答をおこなうよう強く求めるものです。

1、賃金について
(1)生活改善できる公務員賃金の引き上げを行うこと。初任給引き上げを重視し、職員の各年齢段階に応じた生計費増、公務員としての経験の蓄積や専門能力の高まりを十分考慮した賃金体系とすること。
また、常勤・非常勤を問わず、公務職場に働くすべての公務労働者の賃金底上げをはかること。
   なお、地方自治体や特殊法人、独立行政法人の賃金決定に対し、不当な介入や干渉を行わないこと。
(2)一時金支給月数を引き上げ、期末手当に充てること。
また、役職傾斜支給、管理職加算は廃止し、一時金の抜本的な見直しを図ること。
(3)単身赴任手当の支給要件を改善し、全額を比較給与対象外とし、支給額の改善を図ること。
(4)公務の勤務実態にも着目し、扶養手当の削減等はおこなわず、改善を図ること。
(5)超過勤務手当などの支給率の改善を図ること。
(6)教員人材確保法を堅持し、勤務実態に見合う適正な教職員賃金水準を確保すること。

2、労働時間・休暇などについて
(1)厚生労働省通達に準じて勤務時間管理を徹底し、超過勤務の大幅な縮減と不払い残業の根絶を図ること。
   また、超過勤務縮減を効果的に進めるため、労働者代表が参加する「対策委員会」を各任命権者単位で設置するなど、必要な措置を講じること。
(2)裁量労働制の導入など、弾力的な勤務形態を一方的に拡大せず、労働組合との十分な協議を尽くすこと。
   その際、制度運用にかかわる職員参加の仕組みや勤務時間管理のあり方について積極的に検討すること。
(3)文部科学省の実施した「教員勤務実態調査」の結果を踏まえ、違法で恒常的な超勤  実態を是正すること。
(4) 育児のための短時間勤務制度及び自己啓発等休業制度の運用にあたっては、取得しやすい職場環境を整えるよう各府省を指導すること。とりわけ、育児短時間勤務の取得者が不利益な取扱いを受けることがないよう各府省を指導すること。
   また、介護のための短時間勤務制度について早急に制度化を検討すること。
 育児のための短時間勤務制度及び自己啓発等休業制度の自治体への導入にあたっては、各自治体の自主性を尊重し、画一的な「指導」は行わないこと。
(5)「裁判員」に選ばれた職員を対象に特別休暇を新設すること。

3、非常勤職員の制度改善について
(1)非常勤職員制度を抜本的に見直し、雇用の安定と常勤職員との均等待遇を実現するため、給与法をはじめとする諸規定の整備を図ること。
(2)非常勤職員の休暇等を常勤職員に準じたものに改善すること。当面、無給とされている休暇を有給にするとともに、夏季休暇、結婚休暇や育児休業などの制度化を図ること。

4、男女平等、母性保護の拡充等について
(1)公務における真の男女平等を実現するため、採用、育成、昇任・昇格など、雇用の全段階における男女差別をなくすこと。また、各府省が策定する「女性職員の採用・登用拡大計画」に数値目標を設定させるなどの指導を徹底すること。
   役職段階にしめる女性の割合を男女の職員構成比に応じたものとすること。そのための積極的差別是正措置(ポジティブアクション)を講じるとともに、苦情処理制度やセクシャルハラスメント防止対策の拡充をはかること。
(2)育児休業制度について、男性の取得促進のため、啓発などの取り組みを強めること。 また、数値目標の大幅な引き上げ、達成年度の前倒しなど実効ある措置をとること。
(3)育児休業取得に伴う昇給延伸などの不利益を是正すること。また、育児休業手当金は、1歳6か月までの取得期間中は取得者全員に無条件で支給するなど育児休業制度の拡充を図ること。

5、健康・安全の確保について
(1)過労死・過労自殺や公務災害の根絶のため、職場の「労働安全衛生」対策を抜本的に強化するとともに、職員の「心の健康」の保持増進に必要な対応を図ること。
(2) 職場の労働安全衛生にかかわる労使による協議機関の設置を義務化するよう指導 すること。

6、再任用制度の改善について
(1)民間における法律改正及び雇用と年金の連携を図る観点から、65歳定年制を検討すること。再任用制度については希望者全員の雇用や配置が可能となるよう、定員管理のあり方を含め制度改善を検討すること。
以 上