No.616 2007年6月1日 |
|||||||
「公務員制度改革」法案で安倍首相を追及 |
|
= 強行採決も辞さない自公政権のねらいを押しとどめる = | |
|
|
実力主義で天下りもなくなると強弁1日の内閣委員会では、はじめて委員会に出席した安倍首相に対して、細野豪志・馬淵澄夫(以上、民主)、吉井英勝(共産)の各議員が質問しました。民主党の細野議員は、社保庁「解体・民営化」によって新たにできる独立行政法人「年金機構」にかかわって、年金機構からの役員は天下りの規制の対象になるかどうかを問いただしました。 「各省からのあっせんがあれば規制できる」と答弁した渡辺行革担当大臣に対して、細野議員は、「あっせんがなければ規制の対象にはならないのか」とさらに質すと、「だいたい今までの天下りは、すべて各省のあっせんがある。あっせんがないなどとは想像しがたい」などと決めつけ、さらには、「各省のあっせんがあって当然だ。社会的実態にそって考えるべきだ」などと抽象的な答弁に終始しました。 細野議員は、独立行政法人から他法人へ再就職は、政府法案では規制の対象になっていないことを指摘し、年金に対する国民の不信がひろがっているもとにあって、独立行政法人・年金機構を通した渡り鳥的な天下り(ワタリ)が自由になることを批判し、安倍首相に見解を求めました。 安倍首相は、「役所からのあっせんがなければワタリもできない。年金機構では、『親方日の丸』的な体質や労働慣行をあらためる。これまで通りの組織ではない。そうしたもとでは、指摘するような事態は想定しえない」と言い放ち、社保庁法案の審議と同様に、社会保険庁を「解体・民営化」することで、まるで新しい世界ができるかのような答弁を繰り返しました。 その後の「新人材バンクをつくっても、これまでのように押しつけ的なやり方はなくならない」とする馬淵議員の質問に対しても、安倍首相は、「これまでは、省庁による予算と権限による押しつけ的な人事があった。そうした省庁によるあっせんを全面禁止したのが新人材バンクだ。能力・実績主義にもとづく人事管理になれば、自分の能力を切り開く世界になる。まったく新しい公務員の世界になる」とし、天下りが政官財の癒着の温床になっているもと、その抜本的な問題解決は棚上げにして、実力主義による公務員の「改革」こそ必要だと主張しました。 官民交流の促進は財界の要望にもとづくもの共産党の吉井議員は、この間の質問で、公務職場のいっそうの民間開放を求める財界の要望にももとづいて、政府が官民交流促進をねらっていること、また、そのことが、公務の公正性や中立性をゆがめる点を明らかにし、政府の描く「官民交流」について一貫して追及を強めてきました。この日も、吉井議員は、「国民批判の集中している天下りと官製談合とは、密接不可分な関係にある。天下りの原則禁止を取り払うならば、癒着の防止どころか、官民交流の名のもとに新たな癒着をつくり出すだけだ」と厳しく批判し、安倍首相に見解を質しました。 安倍首相は、「天下りは、役所のあっせんによって生まれている。だから、法律で各省によるあっせんをすべて禁止する。ただし、一方では、職業選択の自由がある。また、公務員だけで人生を終えなければならないということでもない。公務での経験を利用できる場がほかにもある」などと答弁し、官民の垣根は低くするとの政府の立場をあらためて示しました。 吉井議員は、「あっせんをすべて禁止して新人材バンクをつくると言いながら、法案では、新人材バンクに各省が関与できる仕組みになっている。これでは、省庁との関係は断ち切ることができない。癒着の根絶にはならない」とせまりました。 安倍首相は、「直接かかわるような今までのあっせんを禁止するというのが、新しい法律だ。ただし、再就職をあっせんする場合、各個人の資質などをセンターで把握しておくことが必要だ。信頼ある情報が求められており、情報提供の面から各省に協力をお願いすることとなる」と答弁しました。 吉井議員は、「省庁にかわってセンターから再就職先に圧力をかけるのなら、今と何ら変わらない。新人材バンクができても、天下りは根絶できない」と厳しく指摘したうえ、解明すべき問題は多く残っており、総務委員会との連合審査をふくめて、時間をかけた法案の徹底審議を強く求めました。 |
|
以 上 |