No.609 2007年4月24日 |
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公務員制度関連法案の閣議決定を強行 |
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= 公務員制度を政治の道具に利用する暴挙を断じて許さない = | |
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国家公務員法等改正法案の概要T 目的21世紀にふさわしい行政システムを支える公務員像を実現するため、公務員制度改革全体をパッケージとして検討を進めつつ、実現できる改革から迅速に実現し、公務員制度改革を前進させることが重要である。このため、再就職に関する規制、能力・実績主義の導入を内容とする法律案を提出する。 U 法案の概要 1、能力・実績主義 (1)人事管理の原則 職員の任用、給与その他の人事管理について、職員の採用試験の種類や年次にとらわれてはならないこと、人事評価に基づいて適切に行うことといった基本的な原則を明らかにする。 (2)能力本位の任用制度の確立 イ 昇任、転任等 職員の昇任及び転任は、職員の人事評価又はその他の能力実証によるものとする。また、職制上の段階の標準的な官職と、その官職に必要な標準職務遂行能力を明らかにし、標準職務遂行能力及び適性を、昇任又は転任の判断基準とする。 口 採用昇任等基本方針 職員の採用、昇任、降任及び転任に関する制度の適切かつ効果的な運用を確保するための基本的な方針を策定する。 (3)新たな人事評価制度の構築 イ 現行の勤務成績の評定に代え、新たな人事評価制度を構築する。 口 職員の人事評価を「任用、給与、分限その他の人事管理の基礎とするために、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価」と定義し、公正に行わなければならないこととする。 ハ 職員の執務について、その所轄庁の長は、定期的に人事評価を実施する。 (4)分限制度 分限事由の一つである「勤務実績がよくない場合」を「人事評価又は勤務の状況に照らして、勤務実績がよくない場合」に改め、明確化する。 2、再就職に関する規制の改正等 (1)再就職あっせんの規制及び官民人材交流センターの設置 各府省等職員が職員又は職員であった者について、営利企業及び非営利法人( 以下「営利企業等」という。)に対し再就職あっせんを行うことを禁止し、内閣府に設置する官民人材交流センター(以下「センター」という。)に一元化する。センターは、職員の離職に際しての離職後の就職の援助及び官民の人材交流の円滑な実施のための支援を行う。 センターは平成20年中に設置し、一元化実施はセンター設置後3年以内とする。 注)一元化までの移行期間中は、再就職等監視委員会等の承認を受けた場合に限り、各府省等職員による再就職あっせんを可とする。 センターについては、設置後5年を経過した場合、その体制を見直し、必要な措置を講ずる。 (2)現職職員の求職活動規制 現職職員が自らの職務と利害関係を有する一定の営利企業等に対し、求職活動を行うことを規制する。 注)現役出向の場合、一定の官職以下の職員の再就職の場合、センターから紹介された場合、再就職等監視委員会等の管理下において行う場合には、現職職員による当該営利企業等への求職活動を可とする。 (3)退職職員の働きかけ規制 離職後に営利企業等の地位に就いている退職職員が、離職後2年間、一定の国の機関の現職職員に、当該営利企業等又はその子法人が関係する契約又は処分であって離職前5年間(課長レベル以上ではそのポストに就いていた間)に担当していた職務に属するもの等に関して働きかけを行うことを規制する。 離職後に営利企業等の地位に就いている退職職員が、一定の国の機関の現職職員に、在職中に自らが決定した契約又は処分であって当該営利企業等が関係するものに関して働きかけを行うことを期限の定めなく規制する。 (4)働きかけを受けた現職職員の規制 退職職員から上記(3)に規定する働きかけを受けた現職職員に対し、監察官への届け出を義務付ける。 (5)上記(1)〜(4) において、違反行為に対しては懲戒、過料を科し、不正な行為等に対しては刑罰を科す。 (6)再就職情報の内閣での一元管理 管理職職員であった者が、営利企業等の地位に就く場合等には、離職後2年間、内閣総理大臣に一定の事項を届け出なければならないものとする。 (7)事前承認制度の暫定的存続と廃止 離職後2年間の内閣による事前承認制度を暫定的に設け、一元化時点で同制度は廃止する。 (8)監視体制の整備 再就職等監視委員会を内閣府に設置し、再就職に関する規制の適用除外の承認、任命権者への勧告等を実施する。 同委員会に監察官を置き、各府省等における再就職に関する規制違反の調査等を実施する。 (注)特定独立行政法人の役員についても、再就職に関する規制の規定を準用する。 国家公務員法改正法案の閣議決定にあたっての談話 2007年4月24日 法案は、「能力基準(標準職務遂行能力)」による昇任や「新たな人事評価制度」による人事管理などを内容とする「能力・実績主義」の人事管理強化と、「押し付け的あっせん規制のための人材バンクの設置」や「事前規制から行為規制への転換」を内容とする「再就職に関する規制の変更」を中心的な内容としている。 これらの内容は、頓挫した2001年12月の「公務員制度改革大綱」を基本的に踏襲していると言わざるを得ない。評価基準を設けることが極めて困難な「能力」をもとにした人事管理は、「T種キャリア特権制度」の合法化にほかならない。 「天下り」にかかわる「行為規制」は、同様の制度を持つアメリカでもその実効性に疑問が呈されている。「人材バンク」の構想も、結局、高級官僚の「再就職自由化」となることは必至であり、「天下り合法化法案」にほかならない。 決定された法案は、公務員制度の民主化とは程遠く、改革の名に値しないものである。 より重要な問題は、公務員労働者の労働基本権回復について、なんら言及していないことである。言うまでもなく、公務員労働者の労働基本権回復は、公務員制度、公務運営双方の民主化の要の課題であり、かつ、ILOからも国際労働基準への適合を繰り返し求められる緊急の改革課題である。 政府は、行政改革推進本部内に専門調査会を設置し、2006年7月から、実質的な論議が始まったところであり、現時点では論議の取りまとめも不十分な状況にある。 経過からすれば、専門調査会での論議の成熟を待って、公務員制度改革論議を行うのが本来である。後付の「公務員制度改革基本法」論議も含め、政府の対応は極めて不誠実であり、より良い制度改革を行う姿勢とは受けとめられない。 しかも、政府は、国家公務員法「改正」法案に準じる内容で、地方公務員法「改正」も行うと一方的に宣言している。公務員制度は、一面で、公務員労働者の労働条件そのものであり、このような不誠実かつ一方的な制度改革は労使間の軋轢を高めるものであり、厳しく抗議する。 われわれは、公正・中立で安定的な公務運営のためにも、専門的、民主的な公務員制度の確立が不可欠と考える。市場原理にもとづく競争主義を公務・公共サービスにもちこむ「小さな政府」に反対する取り組みとも結合し、労働基本権回復を含む民主的公務員制度確立のたたかいを引き続き強化する。 |
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以 上 |