No.589
2006年9月29日
賃金改善、教育基本法改悪阻止へ全力
= 秋年闘争の第1次中央行動に全国から1,000人が参加 =
 公務労組連絡会は29日、秋季年末闘争の第1次中央行動にとりくみました。
 新内閣が誕生し、臨時国会では、安倍首相の所信表明演説がおこなわれるもと、中央行動では、「ベアゼロ」勧告の実施反対、地方確定闘争の勝利にむけた総務省への要求行動をはじめ、教育基本法改悪法案などの廃案を求めて、国会請願デモや議員要請行動を展開しました。
 また、労働法制中央連絡会とも共同して、厚生労働省前行動や総決起集会を開き、秋季年末闘争勝利にむけた決意を固め合いました。全国から1,000人が参加しました。

「ベアゼロ勧告」実施は断じて許さない

 昼休みの総務省前要求行動では、公務労組連絡会の新堰事務局次長が主催者あいさつし、「安倍新首相は、今国会で、教育基本法を最優先させようとしている。いま、全国キャラバンがとりくまれているが、各地から反対の声があがっている。『構造改革』で怒りのガスが充満し、火がつけば爆発する状況だ。いまこそたたかいを強めよう」と呼びかけました。
 公務員制度・権利専門委員長の柴田幹事が情勢報告し、「臨時国会開会後、新内閣のもとでの初めての中央行動として、教育基本法改悪など悪法阻止へ決意を固めよう」とのべつつ、賃金、退職手当などこの秋の課題が報告されました。
 とくに、「50人以上」に比較規模を引き下げて意図的につくり出した「ベアゼロ勧告」の実施を、政府が、10中旬にも閣議決定をねらうもとで、国・地方の公務員にとどまらず、730万人に影響する問題としてとりくみを強めるよう訴えました。
 これをうけて、3名の職場代表が決意表明し、「地方切り捨ての政治に怒りを感じる。東京だけが日本ではない。田舎を守ることこそ『美しい国』の道だ。地方をなめるな!と声を大にして言いたい」(京都自治労連・岡部執行委員)、「総務省は、なぜ、地方公務員の給与決定に口を出すのか。青森では5年にわたり独自の賃金カットが強行されている。地元新聞では、小泉『改革』は、痛みと貧困だけを残したと批判する社説が載った」(青森県教組・平戸副委員長)、「ベアゼロ勧告に怒りがひろがっている。地域手当は、同じ職場でも格差をつけるもの。『つくばエクスプレス』も開通したので、どんどん東京の行動にも参加してたたかう」(国公労連全建労地理支部・勝俣さん)など、公務員賃金削減、地方切り捨てへの怒りの声が続きました。
 参加者は、最後に、総務省にむけてシュプレヒコールを繰り返し、総決起集会の会場となった社会文化会館へむかいました。

総決起集会で悪法粉砕にむけた奮闘を誓い合う

 国会議事堂にほど近い社会文化会館ホールでは、13時20分から労働法制中央連絡会との共催で「秋年闘争勝利!9・29総決起集会」を開きました。
 主催者あいさつした石元議長は、「安倍首相は、新しさを強調するが、小泉『構造改革』を引き継ぎ、さらに国民への負担増をせまろうとしている。悪法審議のもとで、公務労働者のみずからの要求実現と、教育基本法改悪法案、国民投票法案の阻止を車の両輪にして、意気高くたたかおう」と、秋年闘争での奮闘を訴えました。
 労働法制中央連絡会から今村幸次郎弁護士(自由法曹団事務局長)が連帯あいさつし、「労働法制改悪をはじめ、規制緩和推進、憲法・教育基本法改悪は、すべてアメリカと日本の財界の要求だ。一般国民は、だれも憲法『改正』など求めていない。安倍首相は、アメリカいいなりをいっそうすすめようとしている」と指摘、「一方では矛盾も深まっている。最近の日の丸・君が代の強制は憲法違反と認めた判決や、葛飾ビラまき事件での無罪判決など、たたかいが生み出した成果に確信を持とう」と激励の言葉をおくりました。
 また、日本共産党の塩川鉄也衆議院議員が、本会議が終わったばかりの国会から駆けつけ、「いま、安倍首相の所信表明を聞いてきたが、国民の願いに応えるものは何もない。一方、集団的自衛権の行使や、教育の目的を『品格ある国家』をつくることなどとのべ、憲法・教育基本法改悪を先取りしている。すべての野党が、意見の違いを乗り越えて、教育基本法改悪法案の廃案で一致した。みなさんの運動と固く団結してたたかう」と、決意を込めてあいさつしました。
 続いて、若井事務局長が秋年闘争をめぐる情勢報告と行動提起をおこない、07年人事院勧告の取り扱いや、地方自治体での賃金闘争の状況、退職手当の削減にむけた人事院の動きなどが報告され、教育基本法改悪に執念を燃やす安倍内閣に対して、一つ一つの行動や集会を成功させて、廃案を勝ち取とるための奮闘を呼びかけました。

「構造改革」のもとですすむ職場の実態を告発

 行動提起をうけて5名が決意表明し、「小泉『構造改革』で、住民の生活や命まで脅かされている。総人件費削減や市場化テストの導入阻止へむけ、地域のとりくみを強化することを先日の定期大会で決定した。非正規職員のたたかいを強化し全力で奮闘する」(自治労連・川西副委員長)、「教育基本法改悪のねらいは、格差と競争によるエリート育成にある。改悪法案の廃案をめざして、全国キャラバン行動を展開中だ。日の丸・君が代強制は違憲とする東京地裁判決もバネに、父母・国民と共同して全力でたたかう」(全教・東森書記長)、「秋年闘争では、憲法9条の改憲阻止、働くルールの確立、公共サービス商品化反対、組織拡大の4つの柱でたたかう。国民投票法案や教育基本法改悪法案阻止にむけて、全国紙全面に意見広告を出して国民に訴えていく」(国公労連・香月書記次長)、「財団法人の民事法務協会は、登記のオペレーター業務をしているが、市場化テストで08年4月から順次競争入札される。全国一律のサービスを利用者は受けられなくなり、来年から職を失う状況が出てくる。何としても食とめるためがんばりたい」(特殊法人労連・杉浦幹事)、「来年10月から郵政民営化がスタートするが、これを前にして郵政公社は集配郵便局4,696局を統廃合し、将来的には1,088局にするねらいだ。地方切り捨てに怒りが湧き起こっている。国民のための郵政事業確立めざしてたたかう」(郵産労・山崎委員長)など、職場の実態報告や秋のたたかいの前進にむけた力強い決意が示されました。
 最後に石元議長の団結がんばろうで中央総起集会を終え、参加者は国会請願デモにむけて出発しました。社会文化会館から、赤坂の繁華街を経て、首相官邸前から国会議事堂前を通るデモコースでは、憲法・教育基本法改悪反対、国民の暮らしといのちを守る社会をめざし、シュプレヒコールやスポットで訴えました。

教育基本法改悪法案の廃案、公務・公共サービスの拡充を要請

 デモ終了後は、議員会館の衆参のすべての国会議員事務所を訪問し、臨時国会で成立がねらわれる教育基本法改悪法案の廃案を求めるとともに、新しい内閣のもとで、「骨太の方針2006」にもとづいた国民負担の反対、公務・公共サービスの拡充を訴えました。
 また、議員要請では、全労連「もうひとつの日本」闘争本部が作成したDVD「もうひとつの日本を!」や、郵便局再編・廃止問題でのパンフレットも全国会議員に届け、「もうひとつの日本」をめざす運動への賛同・協力を要請しました。

労働法制の改悪阻止へ秋年闘争でのたたかい強化を確認

 これらの行動とともに、午前中には、労働法制中央連絡会が厚生労働省前の行動にとりくみ、公務労組連絡会も共催しました。
 主催者あいさつした労働法制中央連絡会代表の坂内全労連議長は、「安倍新首相は、『再チャレンジ可能な社会』と言うが、それには、抜本的な政策転換が必要だ。これ以上の労働法制の改悪は、格差と貧困を生み出すだけだ。労働法制改悪法案の来年の通常国会への提出がねらわれ、この秋がたたかいの正念場だ。ともにがんばろう」とのべました。
 中央連絡会事務局次長の井筒全労連常任幹事からは、労働法制改悪をめぐる最新の情勢が報告され、今後のとりくみとして、労働組合だけでなく、民主団体・女性団体とも共同をひろげ、11月には学習決起集会を開催することなどが提起されました。
 その後、JMIU、全教、新日本婦人の会の3名から決意がのべられました。全教からは、日高教の工藤副委員長が登壇し、「高校生の就職難が深刻だ。『チャレンジ』しようにも求人がない。就職しても、長時間・過密労働の押しつけで息切れし、あげくの果ては、自己責任を押しつけられる。子どもたちが必死に未来を見つめようとしていることに、勇気づけられる。みなさんと固く団結してたたかう」と決意表明しました。
以 上