No.582
2006年7月25日
「賃下げ勧告」は断じて許さない!
= 7・25第2次中央行動に全国から3千人が結集 =
 公務労組連絡会は25日、夏季闘争がヤマ場をむかえるなか、第2次中央行動にとりくみ、全国から約3,000人が参加しました。
 貸し切りバスで駆けつけた長野や宮城、近畿の仲間をはじめ、各地から集まった参加者は、趣向を凝らした総決起集会、人事院・各省への要求行動、官庁街のデモ行進で奮闘し、官民比較方法の見直しによる賃下げをねらう政府・人事院への怒りにあふれる行動となりました。

「最賃・人勧」を一体にして公務・民間の共同集会を開催

 梅雨明けが遅れ、東京も朝から小雨が降るなど天候が心配されましたが、中央行動のスタートとなる総決起集会が開会される頃には、雨もすっかりあがり、会場には、公務・民間組合の色とりどりの旗が立てられました。
 「デキシーキャッスル」のみなさんによる勇ましいファンファーレが鳴り響くなか、正午過ぎから、公務労組連絡会と全労連、国民春闘共闘の共同による日比谷野外音楽堂での「7・25総決起集会」の幕が上がりました。
 公務労組連絡会の渡辺・蟹沢の両幹事の司会によって始まった集会では、はじめに、主催者を代表して、国民春闘共闘の岩田事務局長・全労連事務局次長が、「最低賃金が2年連続で改善されてきたもとで、公務労働者に賃下げをせまる官民比較方法の見直しは断じて許されない。全労連も昨日、人事院に申し入れをおこなった。すべての労働者にかけられた攻撃として、断固たる態度でたたかう」と決意を込めてあいさつしました。
 民間労組を代表してJMIUの三木書記長からは、「8万円もの賃下げを争う裁判闘争で、東京高裁が不当判決を出すなど労働法制改悪の先取りする事態が起こっている。地域に出て仲間たちと対話するなかで確信もひろがっている。JMIUもみなさんとともにたたかう」と連帯の言葉がおくられました。
 若井事務局長の闘争報告では、賃金改善署名などの夏季闘争の到達点をはじめ、人事院勧告をめぐる最新の情勢、労働基本権にかかわる政府の「専門調査会」の動きなどが報告され、8月の勧告ギリギリまでの奮闘が呼びかけられました。

各単産のパフォーマンスで会場の熱気は最高潮に

 その後、4単産による決意を込めたさまざまな「パフォーマンス」が続き、会場は、一気に盛り上がりました。
 一番手の国公労連は、「勝ち組」の福井日銀総裁、宮内オリックス会長が登場、それを手助けしてきた「小泉首相」とともに、「御用提灯」を手にした国公ブロック代表が退治するという、「グッバイ・小泉内閣」と題した寸劇を披露しました。
 次に登場した全教は、校長先生に扮した長谷川全教副委員長が、教員に賃金カットを押しつけ、それに怒った本田副委員長、植西中執の先生たちが猛烈に反撃し、校長に詰め寄ると、最後は、校長も味方につけてしまうというパフォーマンス。トリオ漫才のような軽妙なやりとりには、会場から爆笑が起こりました。
 郵産労を代表して登壇した砂山副委員長は、郵便局の集配局の統廃合などがねらわれ、各地で反対の声がひろがっているもとで、全労連や公務労組連絡会に結集してたたかいぬくとの決意を表明しました。
 最後の自治労連のパフォーマンスは、昨年につづく「自治労連黄門」です。「オリックス屋」の宮内と悪代官が悪だくみして、保育所の民営化で保育士の首切りをたくらんでいるところに、おなじみ「自治労連黄門」が登場し、みごと悪代官を退治するというお話です。胸のすくような筋書きには、会場から「いいぞ!」と喝采の声があがりました。
 楽しいパフォーマンスのあとは、特殊法人労連の岡村幹事のリードで、参加者全員でシュプレヒコールを繰り返し、最後は、石元議長の発声で団結ガンバロウを三唱して、人事院前の行動へと出発しました。
 集会には、26日からの全労連大会に出席するため来日したインド労働組合センター(CITU)のチッタブラタ・マジュムダル、サビトリ・マジュムダルの両氏、フランス労働総同盟(CGT)のジャン・ミシェル・ジュビエ氏が急きょ駆けつけ、国際交流も深めました。

1万人の怒りがこもったタペストリーを人事院は見ろ!

 13時過ぎから始まった人事院包囲行動は、厚生労働省から人事院の庁舎前に加え、道路をわたって日比谷公園側の歩道を参加者が埋め尽くし、文字通り人事院を取り囲む大行動となりました。
 人事院前には、貸し切りバスで夜を徹して上京してきた国公近畿ブロックの仲間によって、1万人の要求を込めてつくった巨大な「1万人のタペストリー」が掲げられました。
 主催者あいさつした堀口副議長は、「企業規模50人以上」への見直しを判断した人事院の研究会報告にふれ、「研究会の名を借りて、人事院による人事院のための結論を導き出した」と厳しく批判、「公務労働者の生活と権利を無視した攻撃は断じて許さない。最後の最後まで奮闘しよう」と訴えました。
 山本賃金・専門委員長の情勢報告では、人事院への「賃金改善署名」提出行動が並行してとりくまれていることを紹介しつつ、これまでの人事院との交渉の経過などが報告されました。とりわけ、官民比較方法見直しでは、人事院がいまだに合理的な説明をしていないことを指摘し、賃下げにつながる見直しはただちにやめるべきと強調しました。
 そのあと、公務・民間組合を代表した3名の決意表明がつづきました。「いま計画している人事院北海道地方事務局への座り込み行動には、民間組合からの支援もひろがっている。北の大地から官民一体で熱くたたかう」(北海道国公・柏樹事務局長)、「滋賀知事選挙での全国の支援に感謝する。給与構造見直しで県内に給与格差がひろがっている。すべての労働者の賃下げにつながる比較方法の見直しは断じて許さない」(滋賀自治労連・古道書記長)、「全労連民間部会で人事院に要請した。勧告が民間労働者にも影響することを訴えても、人事院は関係ないとの態度をとった。公務のみなさんといっしょにたたかう必要性を実感した」(生協労連・桑田委員長)など、労働基本権制約の「代償機関」としての役割も果たさず、賃下げをねらう人事院に対する怒りがぶつけられました。

公務員の大幅削減、公務リストラを阻止するぞ

 人事院前を埋め尽くした参加者は、その後、総務省前と財務省前の二手に分かれて、引き続き要求行動をつづけました。
 総務省前の要求行動では、駒場副議長が主催者あいさつし、「政府の『骨太の方針』では、国・地方の公務員の5.7%純減が示されたが、認められるものではない。労働基本権問題での『専門調査会』が設置されたが、政府は、全労連との交渉には応じていない」とのべ、公務労働者の労働基本権確立の重要性を訴えました。
 総務省に対するたたかいを中心に情勢報告した柴田公務員制度・権利専門委員長は、7月7日に閣議決定された「骨太の方針」の問題点を明らかにし、「骨太の方針」は、生存権をおびやかすもので、公務リストラを許さないたたかいを引き続き強化していく重要性を強調しました。
 3名の決意表明では、「社保庁『改革』では、1万人もの削減がねらわれている。民営化になれば、年金などに対する国民の不安に拍車がかかるのは明らかだ。社会保障制度拡充の要求と結びつけて断固たたかう」(国公労連全厚生愛知支部・佐藤さん)、「NHKの特集番組では、職のない青年、介護保険料が払えない商店主、働いてももとがとれない農家など貧困化の実態が明らかにされた。憲法が保障する生活の実現にむけて茨城からがんばりたい」(茨城自治労連・石引委員長)、「郵便局の廃止計画は、国会の附帯決議を反故にするものだ。100以上の地方議会で反対決議があがっている。郵便サービスを守るため奮闘する」(郵産労東京地本・吉沢書記長)など、国民いじめの「構造改革」に反対して、国民と共同してたたかう決意がのべられました。

国民本位の行財政実現を、消費税の増税は許さない!

 財務省前の要求行動では、主催あいさつにたった石元議長は、「『骨太の方針』は、『歳入・歳出一体改革』として、消費税増税などで国民に耐え難い痛み押しつけるものだ。来年度予算での具体化を許さず、国民と共同を広げ阻止していこう」とのべました。
 情勢報告で新堰事務局次長は、「貧困の広がりや格差が拡大するばかりなのに、『骨太の方針』では、消費税の増税をねらっている。国民の生活に対して将来の不安への心くばりすら見られない。大もうけの大企業いいなり小泉『構造改革』に反対し、力を結集してたたかいを前進させよう」と報告しました。
 各単産の決意表明では、「小さな政府論により、国民に大きな弊害が生まれ、何から何まで『官から民へ』といっそうの格差拡大が懸念されている。地域に足を踏み出し、すべての国民と共同の輪を広げる決意だ」(国公労連全港建・岡部中執)、「滋賀知事選で自公民の政治にノーの審判を突きつけ、県民の良識が示された。県下の公立学校の入学金が一気に値上げしたが、ここにも教育基本法のねらいが読みとれる。何としてでも改悪をくい止める」(滋賀高教組・福永書記次長)、「賃金昇格差別問題で20年間争議を続けており、最高裁に上告中だ。本日も争議早期解決へむけて財務省に申し入れたところだ。国民金融公庫も行革でなくなるが、争議の早期解決を求める」(特殊法人労連政金労・岩清水執行委員)とそれぞれ力強い決意が述べられました。
 総務省・財務省への要求行動を終えた参加者は、ふたたび日比谷公園に集合し、「官庁街パレード」へと出発し、霞が関一帯にシュプレヒコールをとどろかせました。

「賃金改善署名」11万5千筆を人事院に提出

 中央行動では、各単産代表による「賃金改善署名」の提出行動にとりくみました。
 提出行動には、代表して大阪自治労連・猿橋執行委員、愛知高教組・伊佐地書記長、国公労連・浅野中執が参加し、この日までに集約した署名114,897筆分を人事院へ提出し、要求実現を求めました。
 なお、「賃金改善署名」は、25日までの合計で182,479筆を集約しています。公務労組連絡会では、今後、8月2日の「座り込み行動」などの場を通して、人事院に提出することとしており、ギリギリまでとりくみをすすめ、さらに多くの署名を人事院に提出できるよう奮闘を呼びかけます。                     
以 上