No.551
2005年11月16日
公共サービス切り捨て「基本指針」は許さない!
= 「小さな政府」に反対して官・民・農が共同行動を展開 =
  経済財政諮問会議が公務員削減の「基本指針」を決定するもと、公務労組連絡会は16日、秋年闘争の第3次中央行動にとりくみました。
 この日は、全労連の全国統一行動日であり、年末一時金などたたかいのヤマ場を迎える民間組合に加え、「農業構造改革」による農業つぶしに反対する農民連とも共同して、決起集会や霞が関の「総行動」、銀座デモ、駅頭宣伝など多彩な行動を展開しました。行動には、公務・民間などあわせて全国から2,000人が参加しました。

力を合わせ「小さな政府」の攻撃をはね返そう!

 秋晴れのさわやかな青空がひろがるもと、昼休みの時間帯には、日比谷野外音楽堂で「『小さな政府』は大きな国民負担、許すな小泉『構造改革』!『もう一つの日本の実現を』−11・16総決起集会」が開かれました。公務労組連絡会に加え、全労連、農民連の共催による集会には、午前中から要請行動などにとりくんできた民間の仲間も続々と駆けつけました。
 主催者を代表してあいさつした熊谷全労連議長は、「政府がねらう『小さな政府』とは、日本を弱肉強食の社会へと作りかえる国家改造計画だ。全労連は闘争本部を発足させ、この攻撃と立ちむかう。反転攻勢にむけて、ともにがんばろう」と訴えました。
 激励に駆けつけた日本共産党の紙智子参議院議員は、「小泉首相の『構造改革』とは、『暴走改革』路線であり、社会のゆがみを生み出し、国民との間で矛盾をひろげている。公務員に対する攻撃は、国民への攻撃だ。いっしょに力を合わせて、ゆがんだ政治を変えたい」と決意を込めて、連帯のあいさつをおくりました。
 その後、5つの労組・団体から発言がありました。民間組合からは、「『小さな政府』に反対する。公務員減らしは、国民サービスの切り捨てだ。ともにたたかって世論を高め、政府の攻撃をはね返そう」(JMIU・三木書記長)など公務労働者への力強い言葉や、「タクシー労働者は、規制緩和で塗炭の苦しみを味わっている。命を削る『構造改革』阻止へ断固たたかう」(自交総連・小林書記次長)などの決意がのべられました。
 また、政府の農業つぶしに対して、「京都で日米首脳会談が開かれているが、政府は、アメリカいいなりで牛肉輸入を再開しようとしている。究極の農業つぶしである『農政改革』に反対してたたかい抜く」(農民連・佐々木会長)、「組合員全員一致で農協の合併反対の決議を採択した。郵便局とともに、農協は地域を守る砦だ。地域と農業を守るためたたかいぬく」(大分下郷農協・横山組合長)などの力強い発言がつづきました。
 最後に、国公労連の小田川書記長は、「国民の生活より企業の儲けを優先するのが『構造改革』であり、公務の切り捨てをねらって『基本指針』が決定された。『小さな政府』のウソとごまかしを暴露するため、全国で宣伝行動を展開している。公務のリストラ反対へ全力でたたかう」とのべ、公務労働者として「小さな政府」に反対してたたかう決意を表明しました。
 参加者全員で「11・16集会アピール」(別掲)を採択したのち、最後に、石元公務労組連絡会議長の閉会あいさつと団結ガンバロウで集会を締めくくりました。

公務員削減の「基本指針」の決定強行に抗議する!

 集会終了後は、財務省・内閣府・農水省・厚労省の4か所に分かれて、「霞が関総行動」を展開しました。このうち、公務労組連絡会として、財務省と内閣府(経済財政諮問会議)への要求行動にとりくみました。
 経済財政諮問会議の事務局が設置されている内閣府前の要求行動では、主催者あいさつした駒場副議長は、まずはじめに、「総人件費削減の『基本指針』決定に抗議する!」とのべ、労働組合の声に耳も貸さずに強行した経済財政諮問会議への怒りをぶつけました。そのうえで、公務員の削減は、結局は国民の新たな負担をまねき、増税・憲法改悪の地ならしであり、労働組合つぶしの攻撃であると強調しました。
 全労連民間部会を代表して連帯あいさつした西川日本医労連書記長は、「病院という公共機関で働く労働者として、みなさんと立場は同じだ。日赤病院や労災病院では、公務員に準拠して能力・業績主義が強化されてきている。医療制度の改悪阻止の課題とあわせて共同してたたかう」と決意がのべられました。
 新堰事務局次長の情勢報告では、「対GDP比で半減」などとする「基本指針」の問題点や、国民に負担を迫る「小さな政府」論の本質が指摘され、国民的なたたかいで反撃する重要性がのべられました。
 3名の代表の決意表明では、「JR西日本の事故や欠陥車など、国民の安全・安心が脅かされ、そのうえ、交通運輸行政の職場では、職員の削減がすすんでいる。総人件費削減を許さないためがんばる」(国公労連全運輸本部・小池執行委員)、「『給与構造の見直し』がねらわれるなか、地域から確定闘争でのとりくみを強めている。秋から06春闘にむけてたたかいぬく」(静岡自治労連・斉藤書記長)、「『郵政株式会社』の社長に決まった三井住友銀行頭取は、銀行のリストラをすすめてきた人であり、いよいよ民営化の実態が見えてきだした。国民サービスを守るためがんばりたい」(郵産労東京地本・吉澤書記長)など、各分野での公務職場に対する攻撃とたたかいが報告されました。
 最後に、全教本部の伊藤書記のリードによるシュプレヒコールで、仲間たちの怒りを経済財政諮問会議にぶつけました。

定率減税廃止・消費税増税反対、公務員と国民にツケを回すな

 財務省前の要求行動では、堀口副議長が主催者あいさつで、「政府は、『小さな政府』で民間開放をすすめ、公務員をどんどん削減しようとしている。国民の安全・安心を守るための役割や責任を果たせなくするものであり、断じて認められない。総人件費削減の攻撃を阻止するため、全国の仲間たちの奮闘を心から期待する」と訴えました。
 情勢報告では、若井事務局長は、11月14日に出された経済財政諮問会議の総人件費削減の「基本指針」にふれ、「行政の公的責任の放棄と、国民に負担増を押し付けるのが、『小さな政府』であり、制度そのものの変質をねらうものだ。増え続ける国の借金は、公務員の人件費が原因ではない。また、サラリーマン減税や消費税増税で国民にツケを回すな。国民との共同で攻撃をはねかえそう」とのべました。
 連帯あいさつにかけつけたJMIUの西中執は、「公務に対する政府の攻撃が、同じように民間にかかり、消費税増税へかかってくる。官も民も力をあわせよう」と連帯のあいさつをのべました。
 決意表明では、「職員8人で地方・家庭・簡易の3つの裁判所の仕事を掛け持ちで何役もこなしている。職場実態は劣悪だ。人員削減は断じて許すわけにはいかない」(国公労連全司法静岡支部・里書記長)、「義務教育国庫負担の削減は、憲法にも反する。全国の自治体では半数に迫る意見書が採択されている。義務教育費の国庫負担制度の維持・拡充を求めてたたかう」(全教本部・高橋執行委員)、「秋年闘争では、キャラバン行動で自治体首長と対話してきた。自治労連の掲げるこんな日本と地域をつくりたい≠フスローガンのもと大増税反対の先頭に立つ」(千葉自治労連・細田書記長)、「市場化テストに反撃するため、大宣伝行動を計画している。20年前から国民金融公庫の不当労働行為でたたかっているが、早期解決にむけ財務省当局がしっかり指導せよ」(特殊法人労連・竹内事務局長)などの発言がつづきました。

銀座デモ・ターミナル宣伝で道行く人たちに訴える

 農水省前での要求行動にとりくんだ農民連をふくめて、参加者は、ふたたび日比谷公園に集合し、銀座へのデモ行進に出発しました。デモでは、「公務員総人件費削減反対」「公務・公共サービスの充実」「危険なアメリカ牛肉の輸入反対」「国民の安全・安心を守れ!」など、さまざまな要求をシュプレヒコールにして、道行く人たちに訴えました。
 また、デモ解散後は、東京・有楽町・新橋・新宿・御茶ノ水など主要駅での「いっせいターミナル宣伝」にとりくみ、全国から集まった仲間は、ビラを手渡しながら、総人件費削減、公務・公共サービスの拡充を訴えました。

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11・16集会アピール

全国の仲間のみなさん!
 総選挙で「改革」への国民の信を得たとする小泉首相は、みずからが「改革続行内閣」と断言する新内閣を発足させ、「構造改革」の総仕上げをはかろうとしています。
 特別国会では、9割をこえる自治体で採択された意見書を踏みつけて、一度廃案になった郵政民営化関連法を「数の力」で押し通し、また、障害者の生活をさらに困難にする「自立支援法」の成立強行には、許しがたい暴挙への怒りがひろがっています。
 そして、「構造改革」の柱として、「小さな政府」づくりがねらわれています。定率減税廃止や消費税の二桁への増税、社会保障制度の改悪で国民にはさらなる負担をせまり、その一方で、公務員の大幅削減や、市場化テスト・民営化で公共サービスを切り捨てようとしています。「官から民へ」と、公共の財産を大企業に売り渡す「小さな政府」とは、結局は、国民に「大きな負担」となってかえってくることは明らかです。
 「改革」がすすむなかで、国民の安全・安心が置き去りにされていることも重大です。交通・運輸の規制緩和は、JR西日本の事故に象徴的されるように、国民のいのちを奪い、農業分野では、輸入「自由化」で日本の農業が破壊され、そして、いま、アメリカの圧力に屈して、BSEの根本的な問題が何ら解決されないまま、政府は、牛肉の輸入再開を強行しようとしています。
 国民のいのち・暮らしを犠牲にしながら、弱者切り捨て、格差拡大の社会を作り出す「構造改革」をこのまま許してもいいのか!そんな思いを胸に、「もうひとつの日本」実現への願いを込め、それぞれの要求を持ち寄って、私たちは、全国各地から集まりました。
 大増税と福祉切り捨ての小泉政治がすすめば、国民との間で深い矛盾を呼び起こさざるをえません。そこに、運動が急速にひろがる条件があります。また、「自衛軍」の創設まで表明する自民党など改憲勢力に対して、職場・地域の「9条の会」結成など「憲法守れ!」の運動が草の根からひろがっているように、国民は、悪政の推進を決して許していません。
全国のみなさん!
 私たちは、国民に際限のない痛みをせまる「構造改革」の強行に反対します。「戦争をする国」への流れとも連動した「小さな政府」づくりを許しません。公務・公共サービスの拡充、社会保障の充実、農業政策の転換など、憲法にもとづいた国の役割発揮を求めます。そのために、「もうひとつの日本」の実現を、私たちは高らかに呼びかけます。

2005年11月16日

「小さな政府」は大きな国民負担、許すな小泉「構造改革」!
「もうひとつの日本」実現を−11・16決起集会

以 上