No.542
2005年9月28日
05年人事院勧告の実施を閣議決定
= 公務員総人件費削減阻止へ、引き続くたたかいに奮闘を =
 2005年人事院勧告の取り扱いについて、本日開かれた第3回給与関係閣僚会議で勧告通りの実施が了承され、その後の閣議において、勧告の実施が決定されました。
 「賃下げ勧告」「給与構造の見直し」によって、公務労働者に二重の賃下げをせまる05年勧告に対して、公務労組連絡会は、8月15日に要求書を提出し、勧告実施に反対してきました。また、公務員総人件費削減が叫ばれるもとで、勧告の値切りも議論される状況のもと、「要求打電行動」など職場からのたたかいを強化してきました。
 こうしたもとでの勧告実施の閣議決定に、公務労組連絡会として幹事会声明を発表し、国民犠牲の「構造改革」を許さず、公務員総人件費削減阻止へたたかう決意を内外に明らかにしました。

「賃下げ勧告」実施の閣議決定に抗議する声明

2005年9月28日
公務労組連絡会幹事会

1、政府は、本日開いた第3回給与関係閣僚会議で、国家公務員給与の0.36%(1,389円)引き下げや、全国的な俸給水準の4.8%引き下げと勤務実績の給与への反映強化などの「給与構造の改革」を内容とした2005年人事院勧告を「完全実施」する方針を確認し、その後の閣議でこの方針を了承した。閣議では、国家公務員退職手当の見直しも了承された。
 民間の春闘相場からもかけ離れた「賃下げ勧告」を容認し、「調整措置」と称した賃下げの遡及実施を三度繰り返し、「給与構造の改革」をすすめる閣議決定に、怒りをもって抗議するものである。

2、とりわけ、「給与構造の改革」は、最も民間賃金の低い地域にあわせた俸給表全体の引き下げに加え、新たな評価制度がないままの「勤務実績反映の給与制度」の導入、中高年いじめの「給与カーブのフラット化」など、数々の問題点を持っている。50年ぶりと言われる制度改定であり、使用者として責任ある立場での十分な検討こそ必要であったが、政府がこれを全面的に受け入れたことは重大である。
 地域経済に否定的な影響を与えるとともに、回復傾向がうかがえた民間賃金の流れに冷や水を浴びせる「地域給」引き下げなど「給与構造の改革」は、国民生活を守る観点からも認めることができない。特別国会に提出される給与法「改正」法案に反対するとともに、国に準じた地方公務員の「給与構造の改革」を総務省が「指示」したもとで、地方自治体での給与制度改悪を許さない取り組みに全力をあげるものである。

3、過日の総選挙では、郵政民営化をはじめ「官から民へ」とする「改革」をめぐって、公務員総人件費の削減が焦点となった。
 その結果、「自民圧勝」の政治情勢のもとで、勧告の扱いをめぐっても予断を許さない状況が続いた。3度におよんだ給与関係閣僚会議では、「賃下げ勧告」をさらに切り込む議論がおこなわれ、27日の経済財政諮問会議では、民間議員から「国家公務員の5年間5%純減」「給与水準の適正化」など公務員総人件費「改革」を求める意見が集中した。
 こうしたもと、公務労組連絡会は、総務省との交渉を強めるとともに、職場からは、緊急の「要求打電行動」でたたかった。結果として、勧告通りの実施を閣議決定したが、公務員労働者の労働基本権制約のもとで、その「代償措置」たる人事院勧告の値切りを論じること自体、重大な権利侵害であり、認められるものではない。今後とも、「構造改革」推進のために、公務員給与を政治的に利用する動きには断固反対してたたかう決意である。

4、開会中の特別国会では、小泉首相は、郵政民営化関連法を成立させ、これを突破口にして、サラリーマン大増税や消費税増税をねらっている。また、「数の力」を借りた「憲法調査特別委員会」設置強行によって、改憲に道を開こうとしている。
 公務労働者にとっては、「骨太の方針2005」にもとづいた公務員総人件費削減の「基本指針」策定がめざされるなか、給与・定員の両面からの削減をねらう攻撃に対して、たたかう体制のいっそうの強化が求められている。
 公務労組連絡会は、公共サービスの営利企業化・商品化によって国民生活を切り捨てる攻撃と対決し、国民との共同のいっそうの拡大にむけて、たたかいを強める決意である。
以 上

【資料1】

公務員の給与改定に関する取扱いについて

平成17年9月28日
閣 議 決 定

1 一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける国家公務員の給与については、去る8月15日の人事院勧告どおり平成17年度の給与改定を行うとともに、平成18年度から地場賃金の適正な反映、年功的な給与上昇の抑制、勤務実績の給与への反映等の給与構造の抜本的な改革を実施するものとする。
2 特別職の国家公務員の給与については、おおむね1の趣旨に沿って改定等を行うものとする。
3 1及び2については、平成17年度の給与改定は新たな追加財政負担は要せず、平成18年度からの給与構造の改革は総人件費の削減に資するものであるが、我が国の財政事情がますます深刻化している下で総人件費改革が求められていることを考慮すれば、行財政改革を引き続き積極的に推進し、総人件費を削減する必要がある。そのため、次に掲げる各般の措置を講じるとともに、本年秋までに総人件費改革のための「基本指針」を策定する。
(1)地方支分部局等を始めとする行政事務・事業の整理、民間委託、情報通信技術の活用、人事管理の適正化等行政の合理化、能率化を積極的に推進する等の措置を講ずる。また、定員については、大胆な再配置を進めるとともに、純減目標を策定し、政府全体を通じた一層の純減の確保に取り組む。
(2)人事院に対し、官民給与比較の方法について、調査対象民間企業の拡大や民間企業における人事・組織形態の変化への対応など、民間賃金の状況をより的確・精緻に反映させるための方策について、専門家の意見も踏まえて早急に総合的検討を行うよう要請する。
(3)国家公務員の退職手当制度について、給与構造の改革と併せて、支給率カーブのフラット化、勤続年数に中立的な形で貢献度を勘案する部分の新設、在職期間長期化に対応する算定方式の特例の導入等の構造面の見直しを行う。
(4)独立行政法人(総務省設置法(平成11年法律第91号)第4条第13号に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)についても、中期目標設定、評価等について役職員数も含めた一層の事務運営の効率化を図る。特に、平成17年度末に中期目標期間が終了する独立行政法人については、「今後の行政改革の方針」(平成16年12月24日閣議決定)等を踏まえ、中期目標期間の終了に伴う組織・業務全般の整理縮小、民営化等の検討を進める。さらに、特殊法人等についても厳しい定員削減を実施する。
(5)独立行政法人の役職員の給与改定については、国家公務員の給与水準を十分考慮して適正な給与水準とするよう要請する。独立行政法人及び主務大臣は、総務大臣が定める様式により、役職員の給与等の水準を毎年度公表することとする。また、特殊法人等の役職員の給与改定に当たっても、国家公務員の例に準じて措置されるよう対処するとともに、事業及び組織形態の見直しを通じた給与等の適正化を進めるものとする。特殊法人等の役職員の給与等についても、法令等に基づき、公表を進める。
(6)地方公共団体に定員の増加を来し、人件費の累増をもたらすような施策を厳に抑制する。
(7)地方公共団体の定員については、新地方行革指針(平成17年3月29日)に基づき、過去の実績を上回る総定員の純減を図るよう、引き続き要請する。
(8)地方公共団体における地方公務員の給与改定に当たっては、現下の極めて厳しい財政状況及び各地方公共団体の給与事情等を十分検討の上、国と同様、行政の合理化、能率化を図るとともに、既に国家公務員又は民間の給与水準を上回っている地方公共団体にあっては、その適正化を強力に推進するため必要な措置を講ずるよう要請するものとする。
 また、国家公務員における給与構造の改革を踏まえ、地方公務員給与についても速やかな見直しを行うとともに、人事委員会機能を発揮することなどにより、地域の民間給与の状況をより的確に反映させるよう要請を行うものとする。(以上)


【資料2】

内閣官房長官談話

平成17年9月28日

 政府は、本日の給与関係閣僚会議及びその後の閣議において、一般職国家公務員の給与改定について人事院勧告どおり実施することなどを内容とする本年度の公務員の給与改定の方針を決定しました。
 本年度の勧告は、民間の給与実態を反映し、平成17年度は俸給等を引き下げる一方、勤勉手当を引き上げることとし、また、平成18年度から地域における国家公務員給与の見直しを始めとした給与構造の抜本的な改革を実施することとするものであります。
 政府は、人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立ち、国の財政事情、民間の経済情勢など国政全般の観点から、国民の理解の得られる適正な結論を出すべく検討を行った結果、本日、勧告どおり実施することを決定したところであります。
 これらについては、17年度の給与改定は新たな追加財政負担は要せず、18年度からの給与構造の改革は総人件費の削減に資するものですが、政府としては、ますます深刻化している財政事情等にかんがみ、行財政改革を引き続き積極的に推進し、総人件費を削減する必要があると考えております。そのため、行政の合理化、能率化を一層強力に推進するとともに、定員については、純減目標を策定し、政府全体を通じた一層の純減の確保に取り組む所存であります。さらに、人事院に対しては、官民給与比較の方法について、民間賃金の状況をより的確・精緻に反映させるための方策の総合的検討を早急に行うよう要請することとしております。
 また、国家公務員の退職手当制度については、給与構造の改革と併せて、在職期間中の貢献度をより的確に反映できる制度となるよう構造面の見直しを行うこととしました。    
 なお、地方公共団体においても、定員の純減や地域の民間給与の反映などの見直しに取り組むよう要請することとしております。
 公務員諸君は、今回の決定が現下の厳しい諸情勢の下でなされたものであることを十分理解し、今後とも、国民の信頼にこたえ、公務能率及び行政サービスの一層の向上を図るとともに、官庁綱紀の厳正な保持、公正な公務運営の確保に努めるよう強く期待するものであります。(以上)


【資料3】

総務大臣談話

平成17年9月28日

 政府は、本日の閣議において、一般職の国家公務員の給与について、人事院勧告どおり平成17年度の給与改定を行うとともに、平成18年度から給与構造の抜本的な改革を実施することを決定しました。
 この決定を踏まえ、総務省としては、今後、関係府省との連携を密にしつつ、早急に給与法改正法案を国会に提出するよう努力する所存であります。
 また、行政改革に積極的に取り組むことを基本とし、従来にも増して、行政事務・事業の整理、人事管理の適正化等行政の合理化、能率化を強力に推進するとともに、定員について純減目標を策定し、政府全体を通じた一層の純減の確保に取り組んでまいります。また、人事院に対し、官民給与比較の方法について早急に総合的検討を行うよう要請しております。
 国家公務員の退職手当制度については、給与構造の改革と併せて、構造面の見直しを行うこととしております。
 本年度の地方公務員の給与改定については、国家公務員の給与改定に準ずるべきものと考えます。また、地方公務員についても、国家公務員における給与構造の改革の内容等を踏まえ、速やかな見直しを行うよう、地方公共団体に対し要請してまいります。
 各地方公共団体においては、地方財政が引き続き極めて厳しい状況にあり、その健全化が重要な課題となっていること及び地方公務員の給与のあり方について国民の強い関心が寄せられていることを十分認識し、不適正な給与制度・運用等については、速やかに是正措置を講ずる必要があります。
 また、地方公務員の人件費の抑制については、新地方行革指針に基づき、徹底した行革の推進により進めていく必要があります。各地方公共団体においては、定員の一層の抑制に取り組むとともに、給与情報の徹底した開示を進めながら、給与制度・運用等の適正化を強力に推進するなど、自主的・計画的な行政改革の推進と簡素かつ公正を旨とした行政運営に一層努力を払われるようお願いいたします。(以上)
以 上